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腕時計の購入の決め手は?と聞かれた時、多くの方がブランドネームやデザイン,価格に機能性を挙げるのではないでしょうか。

しかしながら近年、ムーブメントもまた購入の可否を左右する、大きな要素として語られています。

機械式時計は、ムーブメントもまた魅力の一つ。

ご自身の腕時計にどんなムーブメントが使われているかを知ることは、よりその時計についての知識を深めるとともに、修理やメンテナンスの際に大きく役立ちます。

 

この記事では、機械式時計によく用いられる「汎用ムーブメント」からメーカー開発の「自社製ムーブメント」まで、代表的なムーブメントをまとめてみました!

奥が深いムーブメントの世界への第一歩として、是非ご覧ください。

機械式時計ムーブメント

 

知っておきたい「汎用ムーブメント」と「自社製ムーブメント」

機械式時計のムーブメントを語るうえで、「汎用ムーブメント」と「自社製ムーブメント」についてまず知っておきたいところです。

①汎用ムーブメントとは?

汎用ムーブメントとは、文字通りブランドの垣根を超えて共通して用いられる、汎用性の高いムーブメント。

具体的にはムーブメント製造メーカーが生産したエボーシュ(半完成品状態のムーブメントのこと)を指しており、各社では仕上げ・組み立てを行います。そのまま使われることもありますが、高級腕時計ブランドになると、各社はこのエボーシュをベースに装飾を施したり、モデファイして自社の独自性を出すことが一般的です。

なお、エボーシュを用いた製造体系をエタブリスールと呼ぶこともあります。

チューダー サブマリーナ

※チューダー サブマリーナ。ロレックスのデュフュージョンブランドである同社は、外装パーツはロレックスと共有しつつ汎用ムーブメントを用いることで、低価格な製品展開を実現してきた

 

後述する自社製ムーブメントが近年では付加価値の一つと捉えられていますが、スイスでは伝統的にエボーシュが用いられてきました。

なぜならスイス時計産業では垂直分業型の生産体制が主流であったためです。「餅は餅屋」とでも言うべきか、文字盤は文字盤サプライヤーに、ケースはケースサプライヤーに、そしてムーブメントはムーブメントサプライヤーのエボーシュを用いて、ブランド各社では組み立て・調整を行ったうえで「腕時計」として販売する、といった仕組みが受け継がれてきました。

なお、一定以上の価格帯で用いられるエボーシュは、ETA社・セリタ社の二社が代表的です。

この二社は低コストでムーブメントの量産を実現していること。製造から一定期間を経ているため実績があり、信頼性や高い性能を既に有していることから、多くのブランドが採用しています。

 

こういった汎用ムーブメントのメリットは、メーカー側にとってはコストを抑えられる、ということ。すなわち完成品の販売価格も低く設定できることを示唆します。

高級腕時計 メンテナンス

前述の通り実績があるため信頼性が高く、また修理ノウハウも出回りやすいので、メーカーのみならず民間の修理工房でメンテナンスできるケースが大きいことも、重要なポイントです。端的に言うと、修理を受けやすくまたランニングコストも抑えやすいということです。機械式時計を末永く使っていくうえで、このランニングコストは避けては通れません。

汎用ムーブメントのデメリットとしては、機能や針の位置などが決まっているので、デザインに制限が生まれてしまうことでしょう。そのため、同じムーブメントを採用している時計を見比べてみると、どこか似ている事も多く「オリジナリティー」に欠けるといった声もあります。

 

②自社製ムーブメントとは?

対して自社ムーブメントとはその名の通り、メジャーブランドや小規模ブランドが「自社」で製造しているムーブメントのことを指します。

1990年代頃から大手コングロマリットを中心に、従来のエタブリスールから、ムーブメントを始めとしたパーツ製造をブランド(または傘下の企業)が担う生産体制が採用され始めました。この生産体制をマニュファクチュールとか、垂直統合型とか呼んでいます。

「ブランドが担う」とは言うものの、この自社製の定義はやや曖昧な面もあります。

ムーブメントの開発・設計やパーツ製造、および組み立てまでを一貫して行っているようなブランドは「完全自社製」「完全マニュファクチュール」と呼ばれ、ごく一部に限定されます。パテックフィリップやランゲ&ゾーネ,ロレックスなどといった名門のみです。

また、スイスとは異なる形で独自進化を遂げてきたセイコー,シチズンといった日本のメーカーも、完全マニュファクチュールとなります。

世界三大腕時計

一方、近年注目を浴びているのが、同グループ内や資本提携を交わしたブランド間で基本設計を共有しつつ、各社のオリジナリティを出すやり方です。

こちらも後述しますが、カルティエやヴァシュロンコンスタンタンを傘下とするリシュモングループでは、グループ傘下のムーブメントサプライヤー「ヴァル フルリエ」が製造したムーブメントを、各社がおのおのモジュール的に機能を組み込んだり、仕上げ・装飾を施したりすることで独自性を出しています。

 

こういった自社製ムーブメントの最大のメリットは、機構や装飾にオリジナリティを出しやすいということです。自社のコンセプトを反映させた設計にすることも可能で、幅のあるデザインを実現します(例えばインダイアルの位置や、各種インジケーターの有無等)。

また、マニュファクチュールは近年ブランドにとって付加価値となっているため(確かに自社でムーブメント開発できるということは、それだけ高度な設計力や開発力を有していると言えます)、ブランディングにとって有効です。

私たちユーザーにとっても、ブランド渾身のムーブメントを手に取ることは特別な体験となりますよね。

また、生産規模の大きいブランドであれば、外部サプライヤーに依存するよりも、自社開発・製造の方が全体的な生産コストは低減できると言えます。

ロレックス デイトナ 116500LN

※ロレックスの現行デイトナ 116500LN。自社製クロノグラフムーブメントCal.4130を搭載。ロレックスはクロノグラフだけは歴史的にバルジューおよびゼニスのエルプリメロと汎用機を用いていたが、2000年より自社製クロノグラフをローンチした

 

一方のデメリットは、開発には莫大なコストがかかるため、販売価格が高くなりやすい傾向にあることです。

また、近年の開発だったり特殊機構のムーブメントだとメーカーでの修理受付のみとなり、ランニングコストが高くつく場合もあります。

ただしロレックスのように修理ノウハウが広まっており、民間の修理工房でも対応可能なブランドもあります。現在はメーカー修理対応の機械も、今後の出回り次第では状況が変わってくる可能性は多分にあると言えるでしょう。

 

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ETA社の汎用ムーブメント

ETAは世界最大のムーブメント製造メーカーです。1990年代には、スイス製機械式時計の実に90%に、このETA製エボーシュが載せられていたとか!

現在は後述するETA2010年問題(2020年問題)によって供給先は限られることとなりますが、それでもシェアの大きさは圧倒的です。

 

では、そもそもETAとはどんなメーカーなのでしょうか。

ETAの正式名称はETA SA Manufacture Horlogère Suisse(エタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス)となり、現在ではスウォッチグループの子会社となっています。

ETAの歴史は古く、19世紀末に南スイスのグランシェで発足したマニュファクチュールブランド「エテルナ」の、エボーシュ製造部門にルーツを遡れます。

 

1920年代になると、スイス時計産業界では業界団体が設立されていきます。同業者による共通組織を作ることで連帯感を高めると同時に、技術発展や普及を担ったり、経済危機に立ち向かっていったりすることが目的となります。その実カルテルの性格が大きかったことも事実です。

スイス 時計産業

1926年、そんなスイス時計の業界団体として、エボーシュSAが立ち上げられました。

スイスにあったエボーシュメーカーが独自に連帯したコングロマリットであり、後年にはバルジューやプゾー、ランデロンにユニタスといった名門サプライヤーが参画しました。

前述の通りエテルナのエボーシュ製造部門であったETAですが、1932年にエテルナから分離。エボーシュSA傘下へと加わります。

同じ頃(1928年)、エボーシュや脱進機,ヒゲゼンマイといったパーツサプライヤーが合併し、ASUAG(全スイス時計産業株式会社)という巨大企業が誕生しました。さらに1930年、オメガとティソが合併し、SSIH(スイス時計産業会社)を設立します。

この二社はスイス時計産業を牽引していきますが、1950年代から続く機械式時計黄金時代に、競争が激化したこと。これに伴い市場の自由化が叫ばれ、業界団体とは言えカルテルの性格が強かった巨大企業への批判が高まったことなどからは1984年にASUAGは解体。オメガ・ティソから始まったSSIHに合併され、現在のスウォッチグループの前身となるSMH(スイス時計マイクロエレクトロニック総連合)へと改編されました。

SMHはスイスの名だたる銀行が出資していたこともあり、この業界再編の中でエボーシュSAもまた同グループに吸収されていきます。

こうしてエボーシュ製造メーカーとしてのETAは現スウォッチグループの子会社として編成されました。なお、各エボーシュSAはETAの傘下となった形です。

 

そんなETAムーブメントは、安定感やメンテンナンス製、コストパフォーマンスにとても優れています

長らく時計市場のシェアの大きい部分を占めてきただけあり、信頼感は抜群です。

パーツの入手も比較的容易なため、修理やオーバーホール時に街の時計屋修理工房に依頼しやすいこと。また、メンテナンスも安価に抑えられることも嬉しいですね。

もっとも、とても広く流通しているため、希少価値は自社ムーブメントに後塵を拝します。

 

自動巻きムーブメント ETA2824

機械式時計入門モデル用として必要不可欠なのがこの”ETA2824″。3針エントリーモデルへの搭載が多く、生産コストを抑えたムーブメントとして幅広く使用されています。4.6mm厚により耐久性にも優れますが、その分時計自体が厚くなりがちなのが欠点。パワーリザーブは38時間となっています。

ETA2824 ムーブメント

出典:https://www.eta.ch

 

搭載モデル
ハミルトン カーキ フィールド オート H70455133

タフさと現代的なセンスを兼ね備えた「カーキ フィールド オート」シリーズは、アウトドア派におススメのコレクションです。オン・オフ問わず活躍する、アクティブな大人のためのカジュアルウォッチです。

 

 

自動巻き3針ムーブメント ETA2892A2

シンプルな3針ムーブメントで使用され、主に上級モデルで使用されているETA2892A2。薄型タイプムーブメントとしても有名なこのムーブメントはクロノメーターレベルの高精度が魅力です。また、チューンナップしやすい構造も特徴となっており、各ブランドが独自に手を加えていることも多いです。

2892a2

出典:https://www.eta.ch

 

ブルーのカラーリングが施された逆回転防止機構付きベゼル、「波」を連想させるブルーダイアルがシーマスターらしさを醸し出す300m防水モデル。ETA2892A2をベースにGMT機能を追加したムーブメントを搭載しています。

 

 

自動巻きクロノグラフムーブメント ETA7750

ETA社に吸収合併されたバルジュー社が1974年に開発したムーブメント”ETA7750″。高い精度、安定性、改良のしやすさが人気を博しました。大量に生産されていたためパーツの流通が多く、メンテナンスが容易な点も大きなポイント。

現在でも100万以下のモデルを中心に幅広く使用されています。

ETA7750 ムーブメント

出典:https://www.eta.ch

 

ETA7750を独自に改良した「ブライトリング13」ムーブメントを搭載したモデル。500m防水を実現した本格ダイバーズウォッチとして人気です。

 

【column】2010年ETA問題(2020年問題)

2010年に起こったETA問題は時計業界に大きな影響を与えました。

これは2002年、ETAの親会社となるスウォッチグループが「ETA社製エボーシュのグループ外供給の制限」を発表した、一連の大騒動です。

前述の通り、多くのスイス製機械式時計がETAのムーブメントを用いていました。1990年代の90%のシェアは、「ほとんど全て」と言って過言ではないかもしれません。

そのためスウォッチグループ以外への供給がストップするとなると、腕時計製造自体がストップしてしまうブランドが出てくることを示唆しています。

このシェアの大きさは、繰り返しになりますがETAのコストパフォーマンスがきわめて優れていたためです。一方でETAはその流通量の豊富さから安価に売買される傾向にあり、スウォッチグループとしてはこの傾向を良しとしていなかったようです。

スウォッチグループ

出典:https://www.swatchgroup.jp/

影響力の強すぎるETAの供給停止に各ブランドから抗議の声が上がり、スイス連邦のCOMCO(スイス連邦競売政策委員会)も介入せざるをえない事態へと発展しました。

COMCOは、各社がETAの代替品を用意できるまでの準備期間として、当初「2006年の供給停止」から「2010までに供給を段階的に縮小する」ことを提案してスウォッチグループと合意。このことからETA2010年問題と呼ばれましたが、実際にはその後2020年までに猶予期間が引き延ばされました。

 

このETA問題、出た当初こそ天地をひっくり返すような騒ぎとなりましたが、思わぬ効能を置いていくこととなりました。と言うのも、各社が自社開発ムーブメントの製造に着手し、百花繚乱とも言える製品群がラインナップされるようになったためです。

一方でETA製エボーシュのパーツが枯渇し、かつて安価であったメンテナンス費用が上がりつつあることも事実です。

ETA問題を経て、今後各社のムーブメント事情がどうなっていくかはわかりません。また、ETA製品が完全にストップしたというわけではなく、今なお多くのブランドで採用されています。

今後も、業界の動向に注目していきたいところです。

 

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セリタ社の汎用ムーブメント

セリタ社はETAムーブメントと互換性のある「ジェネリックムーブメント」を製造しているムーブメント製造メーカーです。ジェネリック医薬品をイメージされるとわかりやすいと思います。

時計業界ではETA社の2010年問題を切っ掛けに、自社製ムーブメントを製造するブランドは飛躍的に多くなりました。とは言え、全ての時計に自社製ムーブメントを取り入れるのは難しく、安価なモデルはどうしても汎用ムーブメントに頼らざるを得ません。

そこで、注目を浴びたのがセリタ社です。

セリタ社はETA社の下請け工場でしたが、2010年問題後に独自にムーブメントを発表。セリタ社のムーブメントの大きな特徴は、今までETA製エボーシュを使っていた時計でも、特別加工せず代替として使えることにあります。

その結果、汎用ムーブメントの供給に困っていたスウォッチグループ外のブランドは、セリタ社のムーブメントを採用することが徐々に増えていきました。現在では多くの時計ブランドで採用されるほどに信頼を得ています。

 

自動巻き3針ムーブメントSW200

セリタ社が現在最も多く製造している低価格モデル用のムーブメントが”SW200″。ETAムーブメントのETA2824に相当する性能をもち、低価格モデルを主力としているメーカでは必要不可欠なムーブメントです。開発当初よりも性能は格段に向上しており、大手ブランドの評価も高まっています。

出典:https://www.ablogtowatch.com/

 

ホワイト爽やかなセラミックベゼルとダイヤルに、シルバーボディ&ブレスがモダンにマッチした男らしい40ミリ自動巻きダイバーズモデルです

 

 

自動巻き3針ムーブメント SW300

セリタ社が製造する3針ムーブメントの中で上位機種に当たるのがSW300。ETA社の2892A2の代替ムーブメントとして開発されました。ETA2892A2よりもルビーを4石増やしたことにより、安定性が向上しています。ただ、ムーブメント装飾がシンプルなものになっているため、シースルーバックでムーブメントの美しさを楽しむことには向いていません。

セリタ SW300

出典:https://www.calibre11.com/

 

以前はETA2892A2を使用していた同モデルですが、現在はSW300に改良を施した”cal.30110″を搭載しています。軟鉄製インナーケースを備え、優れた耐磁性を発揮、両面反射防止加工されたサファイアガラスは急激な気圧変化にも対応します。

 

 

自動巻きクロノグラフムーブメント SW500

SW500は精度や耐久度に優れ、各ブランドから高い評価を得ているクロノグラフムーブメント。ETA7750の代替品として開発され、スウォッチグループ以外の企業で重宝されています。ETA7750とサイズは全く一緒ですが、パワーリザーブが4時間ほど長いなど、機能面では申し分ないスペックを誇ります。

セリタ SW500

出典:https://www.calibre11.com/

 

搭載モデル
ジン 356.FLIEGER

ドイツ語でパイロットを意味する”フリーガー”。耐衝撃性・耐磁性・防水性全てのスペックを満たし、反射を抑える為のマットなステンレスケースを採用、そして黒文字盤で限りなく視認性を高めたプロ仕様のパイロットウォッチです。

 

ブランドの垣根を超えたムーブメントの基本設計共有~ケニッシやリシュモングループ~

上記のような汎用ムーブメントとも、完全自社製ムーブメントとも異なる流れが、今業界にはあります。それが、ブランドの垣根を超えて、ムーブメントの基本設計を共有する、というもの!

外部のムーブメントサプライヤーから供給を受けるのではなく、自社グループ傘下や出資企業のエボーシュを用いること。また、高級ブランドの場合は基本設計は共有しつつ、仕上げや装飾,モジュール的に追加した機能性において、独自性をも獲得していることが大きな特徴です。

現在、この基本設計共有で成功しているのが、リシュモングループとケニッシ社製ムーブメントを用いるチューダー・ブライトリング・シャネルです。

それぞれをご紹介致します。

 

リシュモングループのムーブメント

リシュモングループは、カルティエやヴァシュロンコンスタンタン,IWCといった高級時計・宝飾ブランドを傘下に加えるコングロマリットです。

ファッション・宝飾ジャンルのコングロマリットとしてはLVMHグループ(ウブロやタグホイヤー,ブルガリ等)に次いで業界二位となっており、コロナ禍においてもいち早く立て直しを見せています。

そんなリシュモングループでは、「リシュモンキャリバー」とも呼ぶべきグループ内共有ムーブメントを開発しました。製造元は、傘下のヴァル フルリエです。

2005年、同グループがスイス北西部のヴァル・ド・トラヴェールに設立したヴァル フルリエは、ETA問題を受け基幹ムーブメントの製造をスタート。

主なベースは下記の通りです。

自動巻き3針ムーブメント 1904 MC

2010年、カルティエ初のメンズ専門ラインとしてリリースしたカリブル ドゥ カルティエとともにローンチした自社製ムーブメントです。
現在ではヴァシュロンコンスタンタンのフィフティーシックスの、ベーシックライン等でも用いられています。

 

自動巻き3針ムーブメント 1847 MC

2015年、同じくカルティエからローンチされた自社製ムーブメントです。

2020年にモデルチェンジした同社のパシャ ドゥ カルティエの他、サントスやパネライのCal.OP XXXIV等でも用いられています。

 

自動巻きクロノグラフムーブメント 69000系

出典:https://www.iwc.com/jp/ja/home.html

傘下のIWCと共同開発したクロノグラフです。

クロノグラフはエボーシュに頼るメーカーが少なくなく、同機構を開発した功績は非常に大きいと言って良いでしょう。

 

ケニッシのムーブメント

スイス ジュネーブに本拠地を置くケニッシは、ロレックスの弟分・チューダーが設立した自動巻きムーブメント専業メーカーです。2015年、チューダーが自社製3針ムーブメントとして発表したMT5612は、このケニッシとの共同開発に拠るものです。

2017年からはブライトリングとも協業し、3針ムーブメント供給。ブライトリングでは代わりに自社製クロノグラフB01をチューダーへと供給しています。

さらに2019年には、シャネルもケニッシの株式の20%取得を発表し、同社ムーブメントの採用に至りました。

現在この三社は特にグループを同一にしていませんが、ムーブメントの基本設計は共有していることとなります。

各社のムーブメントは下記の通りです。

 

自動巻き3針ムーブメント MT5612

出典:https://www.tudorwatch.com/ja

2015年、チューダー初となる自社製ムーブメントとして発表されました。

チューダーらしく良心的な価格帯ながら、精度調整機構に高級時計の標準装備とも言うべきフリースプラングテンプを使用。さらにロレックスの弟分らしくシリコン製のヒゲゼンマイをも搭載しており、耐久性や耐磁性に優れます。

パワーリザーブ約70時間と、同価格帯の中でもきわめてハイスペックと言えるでしょう。

 

自動巻き3針ムーブメント B20

出典:https://www.breitling.com/jp-ja/watches/superocean-heritage/

チューダーのMT5612をベースにブライトリングが製造した3針自動巻きムーブメントです。こちらもパワーリザーブ約70時間を備えており、機能性は抜群です。

スーパーオーシャン ヘリテージのベーシックライン等に搭載されています。

 

自動巻き3針ムーブメント 12.1

シャネル初の自社製ムーブメントとしてフラグシップのJ12に搭載されています。

なお、シャネルでは当該ムーブメントより、シースルーバックを採用するようになりました。そのため裏蓋側から、当ムーブメントを鑑賞することが可能です。

クロノメーター認定×パワーリザーブ約70時間と高性能であり、かつきちんとパーツを仕上げているところに、さすがシャネルというハイブランドの矜持を感じます。

 

一流メジャーブランドの自社ムーブメント

世界の一流ブランドには自社でオリジナルムーブメントを開発するブランドが数多く存在します。2002年に発表されたETAムーブメントの供給問題を切っ掛けに、ムーブメントを外部供給に頼っていたブランドも自社ムーブメントの開発に乗り出しました。

そこで、汎用ムーブメントに次いで紹介するのは一流ブランドが独自に開発した”オリジナルムーブメント”です。

 

ロレックスの自社ムーブメント

ロレックス デイトナ

ロレックスは現行の全シリーズに自社開発ムーブメントを搭載しています。その全てがクロノメーター規格をさらに超える厳格な「ロレックス高精度クロノメーター」を満たしており、高精度の仕様になっているのが魅力です。

一方で非常によく出回っているため、自社製ムーブメントであるにもかかわらず、修理ノウハウが出回っていることも大きな特徴です。信頼性や安定感にかけても抜群で、ロレックスが「実用時計の最高峰」と語られる理由がよく垣間見えるムーブメントの数々です。

なお、1980年代後半~Cal.3100系が主な現行ムーブメントでしたが、2015年にローンチしたデイデイトを皮切りに、順次Cal.3200系へと移行。

この3200系は「高効率稼働によるパワーリザーブ約70時間」「優れた耐磁性・耐衝撃性・耐久性」「カレンダー操作禁止時間帯の撤廃」を実現する、きわめて傑出したムーブメントとなっています。

 

 

デイトナ専用ムーブメント Cal.4130

ロレックスはクロノグラフだけはバルジュー、後にゼニスのエルプリメロといった他社ムーブメントをベースとしていましたが、2000年デイトナ用ムーブメント”Cal4130″を開発します。初めて自社開発に成功したクロノグラフ用ムーブメントです。スイスの公的機関が検査するクロノメーター検定をクリアし、毎時2万8800振動で高精度を維持します。クロノを制御するための機構にコラムホイールを採用した高級仕様ムーブメントです。

クロノグラフかつ高振動でありながら、パワーリザーブ約72時間を実現していることも特筆すべき点です。

ロレックス Cal.4130

出典:https://www.rolex.com/

 

2016年のバーゼルワールドで発表された、待望の新型「コスモグラフ デイトナ」116500LN。ベゼルがステンレスから傷のつきにくいセラクロムへ変更され、文字盤のインダイヤルの縁取りもブラックとなり、より精悍なイメージになりました。

 

新世代ムーブメント Cal.3255

一般的なヒゲゼンマイの10倍の対衝撃性、高精度クロノメーターの承認など、従来のムーブメントから大きく進化を遂げたデイデイト専用ムーブメント”Cal.3255″。14件もの特許を習得した、ロレックスが誇る最新技術が集結した最新世代ムーブメントです。

Cal.3255 ムーブメント

出典:https://www.rolex.com/

 

日差-2~+2秒、パワーリザーブ70時間を誇る新型ムーブメント”Cal.3255″搭載モデル。18Kエバーローズゴールド製ケースにチョコレートダイアル&バケットカットダイヤモンドをセッティングした高級感溢れる一本です。

 

自動巻きGMTムーブメント Cal.3186

現在では前述の新世代ムーブメントCal.3200系へと移行が進んではいるものの、1980年代からロレックス技術を下支えしてきた3100系の、信頼性の高さは今なおトップレベルです。
また、修理ノウハウが出回っているため、民間の修理業者でもメンテナンスを受け付けてくれるケースが多いところも嬉しいですね。

こちらはロレックスの人気モデルGMTマスターⅡ用に開発された多機能ムーブメント”Cal.3186″。耐磁性が強く、プログラマーやエンジニアでも身につけやすいのがポイント。独自開発のパラクロムヒゲゼンマイを初めて採用したことでも知られています。ちなみにGMTマスターⅡ以外にも旧型エクスプローラーⅡにも使用されました。

ロレックス Cal.3186

出典:https://watchbase.com/

 

2007年に大幅にリニューアルされ発売された新型“GMTマスターII ”。丸みを帯び装着感が増したケース、太く大きくなった針・インデックス、セラミックを使用することにより強度と質感が向上したベゼルディスクなど、従来の機能性を変えることなく近年のロレックスの特徴をそのまま引き継いでいます。

 

自動巻き3針ムーブメント Cal.3132

先代エクスプローラーⅠ 214270にのみ搭載されているムーブメント”Cal.3132″。スポーツロレックスとして対磁力性や対衝撃性に優れているのがポイント。パラクロムヒゲゼンマイも導入された入門機モデルとしては贅沢なムーブメントです。

ロレックス ムーブメント Cal.3132

出典:https://watchbase.com/

 

2016年バーゼルワールドで発表された新型エクスプローラーⅠ。機能・デザインともにスポーツロレックスの中では一番シンプルなモデルです。アラビアインデックスの3・6・9にもクロマライト夜光が塗布され視認性が向上。さらに時分針にも変更が加えられ、これまでよりも長く太い針になりました。

 

 

パテックフィリップの自社ムーブメント

パテックフィリップ コンプリケーション

高級腕時計ブランドの頂点に君臨するパテックフィリップの自社ムーブメントは超一級品。

とりわけパーツ一つひとつが丁寧に仕上げ・装飾された様は、さすが雲上時計といったところでしょう。超高級時計の条件は様々だと思いますが、この極上のムーブメント装飾を挙げる方は少なくありません。

なお、パテックフィリップもクロノグラフだけは長らく他社製をベースとしてきましたが、2005年より自社開発に成功。永久カレンダーとスプリットセコンド・クロノグラフを融合した”Cal.CHR29-535 PS”などは、多くの時計ファンが憧れる複雑かつ芸術な設計となっています。

 

手巻きムーブメント Cal.215

1976年に登場して以来、多くの手巻式に採用されてきた信頼性の高いムーブメント”Cal.215″。このムーブメントは長寿命、優れた信頼性、高精度といったパテック フィリップの腕時計の優れた評判に対して、顕著な貢献をしました。2.55mmの薄型設計、44時間のパワーリザーブを備えています。

パテックフィリップ ムーブメント"Cal215"

出典:https://www.patek.com/

 

鋲打ち模様と言われるホブネイルパターンのベゼルが、クラシカルでありながら高級感あるデザイン。発売から約十年間に渡りパテックの顔として広告イメージにも採用された有名なモデルです。柔らかな色合いのローズゴールドは、どんなシーンにもピッタリと合います。

 

自動巻きムーブメント Cal.240Q

マイクロローターをムーブメント内に埋め込むことで、ムーブメントの厚みを2.53mmに下げることに成功した、超薄型ムーブメントが”Cal.240Q”です。すべての彫刻と面取りは、完全に手作業で行われており、芸術性の高さも最高級。時計の厚みを抑えたいモデルには最適の設計となっています。

パテックフィリップ ムーブメント"Cal240Q"

出典:https://www.patek.com/

 

パテック・フィリップの定番、Ref3940 をリニューアルしたモデル。極薄型ムーブメント Cal.240Q を搭載することで、厚みを抑え装着感がアップしました。シースルーバックからはマイクロローターを搭載し、手作業で装飾が施された美しいムーブメントを眺めることができます。

 

自動巻きトラベルタイムムーブメント Cal.324 S C FUS

1936年にパテックフィリップが開発したパイロットウォッチをモチーフに2015年に開発されたムーブメントがこの”Cal.324 S C FUS”。トラベルタイムが搭載されており、現地時間を一時間単位で前後に操作できるプッシュボタンを9時側に2つ配置しています。操作のしやすいパイロットウォッチムーブメントとして話題を集めました。

パテックフィリップ 324_S_C_FUS

出典:https://www.patek.com/

 

搭載モデル
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.5524G

2015年バーゼルワールドで話題となったパイロットウォッチ。エレガントなモデルばかりが並ぶパテックのコレクションの中で”異端の存在”として賛否両論が巻き起こりました。流通量も少ない注目モデルです。

 

手巻きスプリットセコンドクロノグラフムーブメント Cal.CHR29-535 PS

見たものを虜にする芸術性が魅力のパテックフリップが誇る傑作クロノグラフムーブメント。2100年までカレンダー調整のいらない永久カレンダー、そしてスプリットセコンドを融合した複雑構造。デイ・ナイト表示や65時間パワーリザーブまでも兼ね揃えた凄まじいムーブメントです。ただし製造コストは高く、オーバーホール代も高コスト。修理するときはスイス本国の対応になります。

パテックフィリップ Cal.CHR29-535 PS

出典:https://www.patek.com/

 

搭載モデル
スプリット秒針クロノグラフ Ref:5370

パテックフィリップ 5370G

出典:https://www.patek.com/

本黒七宝文字盤やゴールド植字ブレゲ数字を使用した高級感溢れる最上級モデル。正規価格では3000万を超える時計界の王者パテックフィリップならではの複雑時計です。

 

 

オメガの自社ムーブメント

オメガ スピードマスター

長らくコストカットにより、ムーブメントの自社開発を控えてきたオメガですが、2007年に30年ぶりとなる自社ムーブメントを開発。さらには世界初となる「マスタークロノメーター」認定モデルの開発にも成功しています。このムーブメントは従来のクロノメーター認定機としての精度をクリアしているのみならず、15,000ガウスというきわめて高い磁気への耐性を有した、業界トップクラスの高性能ムーブメントです。

さらにコーアクシャル機構を搭載することで、オーバーホールスパンを従来品の二倍に延長することとなりました。

世界にムーブメント製造の技術力をしらしめました。

 

コーアクシャルムーブメント Cal.8500

オメガ独自の機構「コーアクシャル機構」は脱進機に負担をかけないように設計された”壊れにくい脱進機”のこと。このコーアクシャル機構を搭載した、オメガで30年ぶりとなる自社ムーブメントが”Cal.8500″。クロノメーター規格を合格した性能を持ち、2007年以来オメガの3針モデルの搭載が進められてきました。

オメガ Cal.8500 ムーブメント

出典:https://watch-journal.net/

 

搭載モデル
オメガ デビル 431.10.41.21.01.001

クラシックとモダンの融合を目指す“デ・ヴィル”コレクション。このモデルはブラックとシルバーを基調にしたエレガントなドレスウォッチに仕上がりです。ダイアル外周に配されたアップライトのローマンインデックスは格調高い雰囲気を放ちます。

 

自動巻きクロノグラフ ムーブメント Cal.9904

2016年に発表されたムーンフェイズ付きスピードマスター向けに製造されたのがCal.9904です。クロノメーターの認定はもちろんのこと、磁気や衝撃、防水性能といった耐久性テストにも合格したマスタークロノメータームーブメントです。

オメガ スピードマスター

出典:https://www.omegawatches.jp/

 

搭載モデル
スピードマスター ムーンフェイズ クロノグラフ マスタークロノメーター

スピードマスターの新作は6時位置にNASAの宇宙写真を使ったムーンフェイズを配置したお洒落なモデル。シースルーバックからCal.9904の精密な動きを楽しむことができます。業界最高値の対磁性を誇っており、ITエンジニアにもオススメな逸品。

 

自動巻き3針ムーブメント Cal.8900

オメガの自社ムーブメントの中核を担うムーブメント”Cal.8900″。こちらもマスタークロノメーター標準を満たしており、3針モデルの新たなるスタンダードとなりそうです。

Cal.8900 ムーブメント

 

2016年の新作。 コーアクシャルエスケープメントやツインバレルを備えた自動巻きCal.8900を搭載した、オールステンレスのモデルです。スイス連邦計量・認定局(METAS)承認のマスタークロノメーターの認定を受けています。

 

クロノメータームーブメント Cal.8901

オメガの技術力を結集させた最高峰のムーブメント”Cal.8901″。このムーブメントはスイス連邦計量認定局(METAS)とオメガが2015年に共同発表した品質規格マスタークロノメーターに初めて認定されたオメガの高品位ムーブメントです。精度の高さはもちろん、15000ガウス以上の強耐磁性など8つの基準をクリアした画期的なムーブメントとなりました。

オメガ Cal.8901 ムーブメント

出典:https://www.omegawatches.jp/

 

搭載モデル
オメガ コンステレーショングローブマスター

最新の機械式ムーブメントを搭載したこのモデルのデザインは、1952年製のデザインを復刻させたもの。サンドブラスト仕上げのプラチナ950製”パイパン”ダイヤルは時計ファンにとって憧れの文字盤です。また、裏蓋には当時ロレックスやセイコーと精度争いを展開した「天文台コンクール」をイメージした天文台メダルがデザインされています。

 

ブライトリングの自社ムーブメント

ブライトリング 時計

クロノグラフを知り尽くしたブライトリングは、2009年に初の自社製造ムーブメント”Cal.01″を発表。その後もGMT機能やワールドタイム機能を備えたムーブメントなど、オリジナルムーブメントを次々と投入しました。そのいずれもクロノメーター基準を満たした高性能なものです。

 

自動巻きクロノグラフムーブメント Cal.01

ブライトリングの定番モデルであるクロノマットに搭載するために作られたオリジナルムーブメント。時間帯を気にせずに日付が早送りできる設計が大きなポイント。機能性やメンテナンス性にも優れた、画期的なムーブメントとして話題になりました。

 

初の自社開発ムーブメント「Cal.01」を搭載した500m防水のダイバークロノグラフです。70時間パワーリザーブを備え、コラムホイールと垂直クラッチを採用。日付調整を常時可能(24時間早送りを可能)にするカレンダー機構を搭載しています。

 

手巻きクロノグラフムーブメント Cal.B14

1915年、懐中時計向けに開発した「ワンプッシュクロノ」機構を現代に蘇らせたものが手巻き”Cal.B14″。

ブライトリング Cal.B14

出典:https://www.breitling.co.jp/

 

プッシュボタン誕生100周年を記念して発売されたのがこちらのモデルです。復刻モデルではないものの、レトロな雰囲気のインデックスや2時位置にプッシュボタン1つを設けるなど、ルーツをオマージュしたデザインに仕上がっています。

 

自動巻き3針ムーブメント Cal.B35

極めて容易な操作で時間帯を調整できる独創的なワールドタイム機能を実現したムーブメントが”Cal.B35″ブライトリングでは初となる3針自社ムーブメントとして話題になりました。約70時間のパワーリザーブを保ちつつ、ムーブメントサイズをコンパクトにするため、香箱が2つのツインバレル方式になっているのも特徴です。

ブライトリング Cal.B35

出典:https://www.breitling.co.jp/

 

搭載モデル
ブライトリング アビエーター 8 B35 オートマチック ユニタイム 43

アビエーター 8 ユニタイムは、世界中を旅する人のためにデザインされた時計です。シンプルなデザインで視認性が高く、幅広い世代の男性から厚い支持を集めています。文字盤カラーはブラックまたはホワイトの2種類から選べます。

 

自動巻きクロノグラフムーブメント Cal.B06

Cal.B06は「30秒クロノグラフ」という特許技術を組み込んだムーブメント。30秒クロノグラフはクロノグラフ秒針が30秒で文字盤を一周するため、コンマ秒単位まで正確に読みやすくした機能です。70時間パワーリザーブ、時間帯を問わない日付送りなど、機能性の高さはピカイチです。

ブライトリング Cal.B06

出典:https://www.breitling.co.jp/

 

搭載モデル
ブライトリング ベントレーB06

英国の高級車メーカー、ベントレーとのコラボモデル。49mmケースは迫力抜群です!Cal.B06の30秒クロノグラフを堪能でき、シースルーバックからローターの動きを鑑賞することもできるブライトリングの中でも人気モデルとなっています。

 

 

タグホイヤーの自社ムーブメント

タグホイヤー カレラ

タグホイヤーでは2010年の創業150周年を記念し、3年かけて自社ムーブメント”Cal.1887″を開発。設計ベースに「セイコー」のムーブメントを使用することで、どうしても高額になってしまう自社開発ムーブメントをローコストで製造することに成功しました。

 

自動巻きクロノグラフムーブメント Cal.1887

タグホイヤーが作り上げた自社ムーブメント。 「1887」の名称は同社がクロノグラフの伝達機構・振動ピニオンを開発した年が由来となっています。精度の信頼性は極めて高く、コラムホイールや40時間パワーリザーブを兼ね備えています。

タグホイヤー Cal.1887

出典:https://watch-journal.net/

 

“Cal.1887″を搭載したスタイリッシュなモデル。ケース径は41mm。12時位置に30分計、3時位置に日付表示とブランドロゴを備えています。機械式時計初心者にもオススメです。

 

自動巻きクロノグラフムーブメント ホイヤー01/02

2010年に発売されて以降、人気の途絶えないカレラ。そのカレラに搭載されている”Cal.1887″をスケルトン仕様に変更したものが”ホイヤー01″です。2015年に発売された新カレラに搭載された”ホイヤー01″は文字盤からもシースルーバックからムーブメントのメカニズムを堪能できることで大人気モデルになりました。

なお、2019年にホイヤー01は生産終了となり、代わって2017年から製造されていたホイヤー02が同社の自社製期間ムーブメントとなっています。

ホイヤー01がブラッシュアップされて、パワーリザーブ約80時間へと延長(従来は40~50時間)。クロノグラフの操作性も向上しています。

 

搭載モデル
タグホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02

新キャリバーとなる”ホイヤー02″を搭載。スケルトンの文字盤やモジュール構造のケースなど、既存のカレラとは全く異なる雰囲気のスポーツモデルらしい個性的でモダンな1本です。ケースやベゼルにはマット仕様のブラックチタニウムカーバイドコーティングを施したセラミックを採用しています。

 

 

ゼニスの自社ムーブメント

ゼニス 機械式ムーブメント
ゼニスは古くからムーブメントの開発に力を入れていたブランドです。20世紀の初頭時点で既に”3大マニュファクチュール”に数えられるほどの老舗マニュファクチュールとして名を馳せました。特に1969年に登場したエル・プリメロは、世界初の”自動巻”クロノグラフに挙げられ、現在でも多くの時計ファンに愛用されています。

 

自動巻きクロノグラフムーブメント エル・プロメロ400

自動巻きクロノグラフの傑作とも呼ばれている「エル・プリメロ」は絶大なネームバリューを誇ります。かつてロレックス”デイトナ”に搭載されていた歴史を持つ、毎時3万6000振動を誇る高精度モデルです。

ゼニス エルプリメロ

 

言わずと知れたゼニスの傑作ムーブメント“エル・プリメロ”を搭載しながら、抑えた価格設定であることも魅力のひとつです。

 

自動巻き3針ムーブメント エリート681

ゼニスといえば「エル・プリメロ」が有名ですが、クロノグラフ以外にも傑作が多いのがゼニス。中でも3針薄型ムーブメント「エリート681」はゼニスのムーブメントの中でも評価が高いです。ドレスウォッチにピッタリなこのムーブメントはエリートウルトラシンなどに搭載されています。

ゼニス ウルトラシン エリート681

 

搭載される厚さ3.81mmの超薄型ムーブメント“エリート681”は、高い精度と品質を誇るゼニスの技術を投入して生み出された傑作ムーブメントです。薄さの割に直径は40mmと大きめなサイズ。スモールセコンドを9時に配置した視認性の高いシンプルな3針です。自社ムーブメント搭載モデルでありながら、抑えた価格設定であることも見逃せないポイント。

 

 

パネライの自社ムーブメント

パネライ 自動巻きムーブメント

パネライはETAムーブメント供給問題を期に、2006年遂に初の自社ムーブメントCal.P.2002の開発に成功しました。2011年には装飾に拘ったシンプルな自動巻きムーブメントCal.P.9000を開発。現在もGMTの追加型など、積極的にムーブメントの開発に取り組んでいます。

 

自動巻き3針ムーブメント Cal.P.9000

ブランドの主軸となる自社製自動巻きムーブメントとして開発されたCal.P.9000。195パーツで構成されており、2つの香箱を採用することで72時間のパワーリザーブを実現させました。ただ、こだわりの独自パーツを数多く使用していることもあり、生産数は低めです。

パネライムーブメント Cal.9000

出典:https://www.panerai.com/

 

ツインバレルによる3日間(72時間)のパワーリザーブを実現した自社製ムーブメントCal.P.9000を搭載したモデル。3時位置にカレンダー窓、9時位置にスモールセコンドを配したP.9000シリーズの中でも最もシンプルなモデルです。

 

自動巻き3針ムーブメント Cal.P.9010

自社ムーブメントCal.P.9000の後継機として誕生したのが”Cal.P.9010″。基本的なスペックは変わらないものの、近年の薄型時計開発に合わせて厚さが薄くなっていることが特徴です。”Cal.P.9010″搭載モデルはスーツにも使えるパネライ時計として現在注目を浴びています。

パネライ Cal.P.9010 ムーブメント

出典:https://www.panerai.com/

 

これぞパネライといった王道デザインで作られたルミノール マリーンの人気モデル。軽9時位置にスモールセコンド配置し、視認性に優れたモデルです。派手すぎず落ち着いたデザインはビジネスはもちろん、カジュアル、フォーマルまで洋服を選ばず装着できます。

 

 

カルティエの自社ムーブメント

カルティエ 自社ムーブメント

カルティエでは2010年に現行唯一のメンズコレクション「カリブル  ドゥ カルティエ」を発表。このモデルに搭載するために作られた自社開発ムーブメントが”Cal.1904-PS MC”です。パワーリザーブ48時間を誇り、なんといってもローターに施されたコート・ド・ジュネーブ装飾はカルティエならではの魅力。

 

カリブル ドゥ カルティエ専用ムーブメント Cal.1904-PS MC

カルティエ カリブル ドゥ カルティエへの搭載を前提として作られており、サイズ感や装飾が非常にマッチしているのがポイント。「1904」はサントスの誕生年であり、サントスへのオマージュを込めたムーブメントともいえます。

Cal.1904-PS MC

出典:https://watchbase.com/

 

自社開発ムーブメントが”Cal.1904-PS MC”搭載モデル。ローマンインデックスやレールウェイなど、カルティエの伝統的な要素を残しつつも、立体的なベゼルや6時位置の大きなスモールセコンド、大きくデザインされたXIIのインデックスや前後の日付が確認できるカレンダーなど、これまでにはないカルティエをイメージさせる逸品です。

 

 

IWCの自社ムーブメント

IWC ムーブメント

古くから自社ムーブメント開発を行い、その技術に定評のあるIWC。「ペトラン自動巻き機構」と呼ばれる効率的な双方向巻き上げシステムは今も現役で活躍するIWC独自の機構です。

 

自動巻き4針ムーブメント Cal.52010

圧倒的なパワーリザーブ168時間を誇るIWC自慢の自社ムーブメント”Cal.52010″。巻き上げ爪、自動ホイール、ローター軸には摩耗しにくいセラミック素材を採用しています。2個の香箱を備えており、高い安定性を誇ることもポイントです。

IWC ムーブメント Cal.52010

 

2015年新作 新たに開発された”Cal.52010″を搭載したモデルです。ポルトギーゼは華美な装飾を持たず、正確な時刻を告げるという時計本来の目的を忠実になぞった姿勢を持つIWCを代表するコレクション。ビジネスマンの腕元を飾る小道具として、まさに最適なモデルです。

 

 

結局”汎用ムーブメント”と”自社ムーブメント”どちらがオススメ?

今回汎用ムーブメントと一流ブランドの代表的な自社ムーブメントを紹介させていただきましたが、あなたが”初めて”高級腕時計を買うということならば、汎用ムーブメント搭載モデルがオススメです。

理由としてはモデルの価格が安いこと、そしてメンテナンス費用が安いメリットがあるからです。まだ、扱いに慣れていない初心者は上級者と比べると、どうしてもメンテナンスをする頻度が増えてしまいがち。そこで最初は汎用ムーブメントを搭載したモデルで「高級腕時計」の魅力を知っていただき、機械式に愛着が持てたら、拘りの強い自社ムーブメント搭載モデルにランクアップするのがよいのではないでしょうか。

もちろん気に入ったモデルがある場合は最初から自社ムーブメント搭載モデルに挑戦するのもOK!大事なのは、この時計と一緒に時を刻みたいという愛情なのですから。

 

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この記事を監修してくれた時計博士

廣島浩二(ひろしま こうじ)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任

1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年

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