ワインディングマシーンをご存じですか。
10年ほど前に姿を現し、定着しつつあるこの装置。
収納ボックスのようにも見えますが、自動巻き式時計をセットするだけでスイングや回転でローターに振動を与え、装着せずにゼンマイを巻いてくれる優れものです。
でも実際に購入を考えた時、価格帯が広くまた様々なメーカーが出しているため、どれがいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は、時計愛好家も納得のおすすめワインディングマシーンを、その利便性や使い方とともにご説明いたします。
気になっている方必読です!
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/accessories/fine-leather/watch-boxes/7020310001/
目次
1.ワインディングマシーンとは
自動巻き時計は毎日身につけていれば、手でゼンマイを巻き上げなくとも動き続けてくれるというメリットを持ちます。
しかし、週末は時計を外したり、何本も所有している方は1日の駆動時間が少ないため時計が止まってしまうこともしばしばあるのではないでしょうか。
一度時計が止まるとリューズでゼンマイを巻き上げなくてはいけないだけでなく、時刻やカレンダーも修正しなくてはなりません。
そこで役に立ってくれるのがワインディングマシーン。
元々は時計メーカーや時計店が修理・メンテナンスをした後の最終検査で用いていたプロのためのマシンでした。
自動巻き時計の人気に火が付いた2000年になり、一般にも普及。
時計をセットするとスイングや回転でローターに振動を与え、ゼンマイを巻き上げてくれる機能は、多くの時計オーナーに受け入れられることとなりました。
現在では時計工具の権威・ベルジョン社や時計メーカーがラインする10万円近くのものから、5000円程度で買えるプラスチック製のものなど幅広い商品展開が行われています。
時計販売店の多くで取り扱っていますが、量販店や通信販売でも購入することが可能です。
ワインディングマシーンをおすすめしたいオーナー
■時計を何本も所有していて、毎日同じものを身につけない方
■自動巻き時計を毎日使わない方
■装着していても、デスクワークなどであまり動かない方
現在は80時間超のロングパワーリザーブムーブメントを開発するメーカーもありますが、一般的な稼働時間は約48時間程度。しかしこの「48時間」も時計に一切の負荷を与えない状態で計測した最長時間になりますので、生活の中で使用していると実際はもう少し短い駆動時間になります。
週末は時計を着けず、月曜の忙しい朝に時刻合わせでバタバタしている方にもおすすめです。
ワインディングマシーンの種類
前述のように一口にワインディングマシーンと言っても、ピンからキリまでありどんな種類・機能のものがあるのかわかりづらいのではないでしょうか。
そこで、機能や種類別にまとめてみました!
1本しかセットできませんが、ベーシックゆえ安いものだと1万円以下の低価格で購入可能。
ワインディングマシーンを初めて持つ方におすすめ。
スペースを取らないことも魅力ですね。
出典:https://www.europassion.co.jp/boxy/top.html
2本以上の時計を同時にセットできるタイプ。
2~8本もの同時巻き上げを可能にしたものもあります。
出典:https://esprima.jp/second/brands/items/lu30004rd.html
巻き上げスペースのみならず、いつくかの時計を収納できるタイプ。
本格的なものが多いため高価格帯になりがちですが、外装に高級感があるためインテリアとしても様になります。
ウッドケースのものは高級に位置づけられます。
逆にプラスチック製は比較的リーズナブル。
樹脂など新しい素材が使用されることもあります。
●動作プログラム
「時計回り」か「反時計回り」どちらか一方にのみ動くのが一般的ですが、両方向に回転するタイプもあります。
●動作音
動力部のモーターによって動作音への影響が大きくなります。
マブチモーター社製のワインディングマシーンは静かなことに定評があります。
その他、インテリアのアクセントとなるようなデザインやシックなものも。
多機能になればなるほど価格は上がります。
必ずしも実用的な機能ばかりではありませんが、お持ちの時計の彩りをより強調できるディスプレイのような側面を楽しめるようなワインディングマシーンも楽しいのではないでしょうか。
2.ワインディングマシーンの使い方
使い方は簡単。
時計を所定のターンテーブルにセットして、スイッチを押すだけです。
セッティングの際、枕と時計の間に隙間があると回転の際ずれてしまうので、しっかりと密着させます。
ワインダーの回転プログラムは通常3タイプ(時計まわり、反時計まわり、両方向回転)あるので、自分の時計の巻き上げ方式に合わせて選択します。
時計をセットさえしてしまえば後は何も手動ですることはないので、カレンダーや時刻合わせを面倒に思っている方のパフォーマンスは高いのではないでしょうか。
しかし時計によっては一方向にしか巻けないものもあるので注意が必要。
例えばロレックスやブライトリングは左右どちらに回しても問題ありませんが、オメガやパテックフィリップ、カルティエなどは右回りにしか巻き上がらないことがあります。巻き上げ方向と逆回転のワインダーに時計をセットしてもゼンマイは巻き上げられません。
ワインディングマシーンのデメリット
このように便利なワインディングマシーンですが、選び方・使い方によっては時計に良くない影響を与えるものもあります。
■磁気帯びの危険
モーターの永久磁石からセットした時計が帯磁してしまうことがあります。
普通はモーターと時計が一定の距離を保つ設計であったり、モーター周囲に細工をするワインディングマシーンが主流ですが、安価なものの中には対策が成されていない粗悪品もあります。
■内部劣化
オーバーホールをせず時計内部の油が切れかかっていたり、部品同士が摩耗している時計をワインダーにかけてしまうと、時計内部に負担がかかり故障の原因となってしまいます。
■ワインダー自体の故障
そこまで大きくないモーター駆動のワインディングマシーン、長時間使用しているとワインダー自体が故障することもあります。
もちろんメーカーによって保証期間もありますが、決して安くはないワインダーを購入する際はこういったデメリットも考慮に入れなくてはならないでしょう。
3.おすすめワインディングマシーン10選
おすすめワインディングマシーン①威風堂(IFUDO) ウォッチワインディングマシーン・ファントム(Phantom)
出典:https://www.ifudo.co.jp/products/index.html
価格19,440円(税込)
幅17.5cm/奥行24cm/高さ20.5cm
マブチモーター社製モーターを使用し、その動作音の静けさからファントム(幽霊)と称されるおしゃれな2本用ワインダー。
2本巻きや3本の収納スペースを有するにもかかわらず、無駄な空間がないため邪魔になりません。
ゼブラウッドの木目が美しいMDF合板にピアノ塗装が施され、高級感ある光沢を放つところが素敵なインテリアにもなりますね。
収納可能なことは、ある程度数を持っている方でも満足できる一つです。
おすすめワインディングマシーン②ローテンシュラガー (LUHW MDF) 木製4連ワインディングマシーン LU30004RW
出典:https://esprima.jp/second/brands/items/lu30004rw.html
価格79,000円(税別)
幅32.7cm/奥行29.5cm/高さ19.3cm
ワインディングマシーンの有名メーカーのうちの一つ、エスプリマが展開するハイエンドブランド「ローテンシュラガー」。
スイスの時計職人ローテンシュラガー氏の監修により、天然木合板を使用した高級感ある逸品です。
回転タイプは4モード対応。
価格はやはり高いですが、静音性が高かったりモーターに磁気シールドが施されていたりと時計への気遣いがそこここに感じられます。
おすすめワインディングマシーン③BOXY Design ワインディングマシーントリプル P03CC-BK
出典:https://www.europassion.co.jp/boxy/top.html
価格32,000円(税別)
幅30cm/奥行14.5cm/高さ20.5cm
珍しい3本巻モデル。
ワインディングマシーンを選ぶ時、時計をどう見せるか、インテリアとしての側面も重要になってきます。
そういった意味で、BOXYDESIGNはカーボンを使用した、斬新で未来的なデザインが魅力。
空間を邪魔しないインテリアと言えます。
おすすめワインディングマシーン④ベルソス (VERSOS)ワインディングマシーン 縦型ツイン LEDライト付き ホワイト 2本巻き VS-WW012
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B01MRPV3TA
価格6,580円(税込)
幅14cm/奥行18cm/高さ24cm
ベルソスは、いわゆるジェネリック家電(大手メーカーの一世代前の技術を利用し、低機能ながら低価格を実現した日本家電商品のこと)メーカーで、他社とは一線を画す高品質の製品を低価格で供給する非常にコストパフォーマンスの高いワインディングマシーンブランドです。
そのため2本巻きにもかかわらず1万円以下で買えるこの製品は、まさに破格。
青色LEDライトが美しく時計を彩る様子も斬新ではないでしょうか。
マブチモーター搭載。
おすすめワインディングマシーン⑤アビエス(ABIES) ワインディングマシーン 2本同時巻 ゼブラウッド×アイボリー
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B00GJ7NAQ4
価格11,200円(税込)
幅19cm/ 奥行26cm/高さ22cm
AC電源でも乾電池でも稼働可能なタイプのワインディングマシーン。
通常安定的な動作のためにはAC電源が適していますが、乾電池は自由に置き場所を決められるというメリットがあり、双方の良いとこどりをした製品。
外装にはMDF木材を使用、高級感もバツグンです。
マブチモーター搭載。
おすすめワインディングマシーン⑥オリエント(ORIENT) 腕時計自動巻き上げ機 ブラック(ソフトラバー仕上げ) AA0101
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0017RYQ3C?tag=s02a3-22
価格18,360円(税込)
幅16cm/奥行25cm/高さ12cm
1950年より続く時計ブランド・オリエントが開発・製造した1本用のワインディングマシーン。
ソフトラバー仕上げのブラックボディはスペースをとらず、また他のインテリアの邪魔をしないシックさを有します。
回転タイプは4モード対応、巻き上げ補助用傾斜台も付属しています。
また、動作状況を知らせるLEDライトで巻き上げの様子も確認でき、時計ブランドならではのきめ細かな気遣いがあります。
おすすめワインディングマシーン⑦愛の巣(Love Nest) ワインディングマシン(ラバーウッド+ブラック枕) LN-001
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B01KPN57KY?tag=s02a3-22
価格13,985円(税込)
幅・奥行13cm/高さ15cm
ラバーウッド色でピアノ光沢仕上げの外装が非常に高級感のあるワインディングマシーン。
実はこちら、手作りによる工芸品なんです。
ラグジュアリーなだけでなく、回転タイプも4モード対応、マブチモーター搭載。
さらに厚みのあるステンレス鋼ヒンジを採用したことにより、高い耐久性を実現。
長期間使用できる高品質ワインディングマシーンと言えます。
おすすめワインディングマシーン⑧エスプリマ(ESPRIMA) ワインディングマシーン 丸型
出典:https://esprima.jp/second/brands/items/es10301bk.html
価格16,500円
直径11.4cm/高さ14.5cm
シンプルな1本用のワインダー。
エスプリマはワインダーの定番メーカーであるため、インテリアとしても使え、邪魔にならないなどオーナーのニーズにかなった製品が多いことが特徴。ちなみにこちらの製品は8年ものロングセラーです。
どのワインダーよりも耐久性に優れ、派手さはないものの誠実に堅実に巻き上げを行います。
カラーはブラックの他シルバーやシャンパンゴールドなどがあります。
おすすめワインディングマシーン⑨BOXY Design ワインディングマシーン ブリックワインダー FBWF
出典:https://www.europassion.co.jp/boxy/top.html
価格13,000円(税別)
幅14cm/高さ11.3cm
1本用ワインダーですが、同じタイプのものを積み上げて作動できます。
3個まで積み上げて連動でき、しかも電源のACアダプター1つで、同時動作が可能。
ポップで斬新なシースルー半球体内部で時計が回転し、とってもおしゃれ。
一風変わったワインディングマシーンです。
おすすめワインディングマシーン⑩ベルソス(VERSOS)ワインディングマシーン ブラック 1本巻き VS-WW011
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B01MQNPKCO
価格4,180円(税込)
幅12.8cm/奥行14cm×高さ15.6cm
1本用、回転タイプは時計まわり・反時計まわりの2タイプですが、ベーシックゆえスペースもとらず、入門機にはうってつけです。一定の水準を満たし、安価ながら安っぽくない外装、信頼のベルソスブランドと、文句なくコストパフォーマンスナンバーワン。
マブチモーター搭載。
まとめ
ワインディングマシーンは時刻合わせやゼンマイを巻くわずらわしさを解消してくれるだけでなく、またおしゃれなインテリアとして活躍してくれるものもあります。
お気に入りの時計が動く様子を見る楽しさもあるのではないでしょうか。
もちろんゼンマイを巻く楽しさを味わいたい方や、1本を毎日身に着けている方はあまり実用性はありません。
ご自身の時計ライフに適った装置を探すことも、また機械式時計の醍醐味と言えるのではないでしょうか。
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この記事を監修してくれた時計博士
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年