ブログをご覧の皆様、こんにちは。
湿度の高い日々をいかがお過ごしでしょうか。
最近、自分の中でずっと有耶無耶にしてきたナビタイマーの使い方がようやく理解できたので、今回はそのまとめになります。
ブログを熱心に読んで頂いている方なら覚えているかもしれませんが、ナビタイマーの使い方が記事になるのは今回で二度目です。
前回の投稿は2013年11月23日。「航空計算尺の使い方/ ブライトリング ナビタイマー」というタイトルで投稿しました。
このブログがスタートしたのが2013年11月なので、理系出身のマネージャーらしい初投稿だったと言えます。
さて今回は、前回よりガクンとレベルを落として解説して参りたいと思います。
まず、ブライトリングのナビタイマーといえば、誰もが思い浮かべる、この航空用回転計算尺を備えたフォルムですよね。
ブライトリングが初めて回転計算尺付きの腕時計を発表したのは1942年のことになりますが、それが“ナビタイマー”ではなく“クロノマット”であった事は面白い事実です。
飛行計算が可能な航空計算尺付きの“ナビタイマー”が発表されたのは、それから10年後の1952年のことです。初代モデルは世界最大のパイロット協会、AOPA(Aircraft Owners and Pilot Association)のオフィシャルウォッチに認定されました。
モデル名にそれぞれリンクを貼ったので、1942年のクロノマットと1952年のナビタイマーの計算尺の違いをご確認下さい。
小型の電卓が普及し始めるのは1970年代に入ってからなので、【1950年代に速度や燃費を割り出す為の掛け算・割り算が、腕時計のベゼルを回すだけで簡単に行えた。】という事がどれだけ便利であったかは、想像に難くないでしょう。
さて、ナビタイマーのうんちくはこれくらいにして、実際に計算尺を見てみましょう!
ナビタイマーは、ベゼルを回すとガラスの内側に収められた計算尺の外側も一緒に回ります。
上の写真で言うと、ベゼルを回すと赤い部分が回転します。
基本の位置はココ。
外側の数字と内側の数字がピッタリ一致しています。
数が大きくなるにつれて、目盛りの間隔が少しづつ狭くなっているのが分かるでしょうか?
ためしにベゼルを反時計周りに回すと、10までから20の間隔、20から40までの間隔、30から60までの間隔、40から80までの間隔がすべて同じになっている事が分かります。
実は、これが回転計算尺のカラクリなのです!実際には高校の数学で勉強した「対数」の原理が使われているのですが・・・数学アレルギーの方が読むのを止めてしまいそうなので、中学校くらいのレベルに戻します。
内側の10に外側の20を合わせた時、内側の20は外側の40と向き合っていました。・・①
また、内側の10に外側の40を合わせた時、内側の20は外側の80と向き合っていました。・・②
気づいたでしょうか?ベゼルの動きを止めた時、計算尺の内側と外側の向き合っている数の比は、グルっと360度どこでも同じなのです!凄くないですか?
シンプルな数式にするとこうなります。
10:20 = 20:40 ・・・①
10:40 = 20:80 ・・・②
忘れてしまった方もいると思いますが、2つの比が等しいとき、内積と外積は一致します。
①・・・内積が400(=20×20)のとき、外積も400(=10×40)で同じ数。
②・・・内積が800(=40×20)のとき、外積も800(=10×80)で同じ数。
この応用で掛け算・割り算が出来てしまいます。
実際に計算尺を使う時は、1でも1000でも“10”の位置を使って計算するので、数字の桁数は頭の中で調整しなければいけませんが、イメージにすると・・・
という図式が成立します。
イメージより文章の方が覚え易い方は、この3行を呪文のように覚えてください。
「掛け算をする時、10の向かいに掛ける数を合わせ、掛けられる数の向かい側が積(掛け算の答え)」
「割り算をする時、割られる数と割る数を合わせ、10の向かい側が商(割り算の答え)」
そして、積と割られる数は必ず10の反対側に来ることを忘れないで下さい!
それでは実践。
問1.24×18を求めよ。
疑り深い方のために内側の10に18、24をそれぞれ合わせてみました。24×18でも18×24でも答えは同じです。
【左】内側の10に18を合わせたときは、内側の24の向かいに来る数字を読み取り、
【右】内側の10に24を合わせたときは、内側の18の向かいに来る数字を読み取ればいいのです。
上の写真で確認すると、その数字がなんとなく43~43.5の間の43寄りであるのがわかると思います。
2桁同士の掛け算の場合、一の位はどうしてもアバウトな表示になってしまいますが、そこはご愛嬌。
4×8=32なので下一桁は2です。ですから、答えは432です。
問2.12000÷22を求めよ。
必ず内側の10を使わなければいけない訳ではありません。外側の10を使っても答えを出せます。ということで、こちらも2パターン用意してみました。
【左】割られる数を外側:割る数を内側に合わせた場合、内側の10の向かいに来る数を読み取り、
【右】割られる数を内側:割る数を外側に合わせた場合、外側の10の向かいに来る数を読み取ればよいのです。
答えは約545(正確には545.4545・・・と続きます)なのですが、読み取れたでしょうか?
割り切れない数なのでどうしてもアバウトになってしまいますが、ざっくりした答えであったとしても、こんなに簡単に答えが出せてしまうなんてすごいと思いませんか?
さて、回転計算尺で出来る計算は、先ほど取り上げたように単純な掛け算・割り算だけではありません。単位の「換算」も出来ます!
★ナビタイマーの隠された使い方・その①
内側のKM(キロメートル)、STAT(法定マイル・statute mile)、NAUT(海里・nautical mile)の目盛りを使うと、距離の単位を別の単位へ瞬時に換算することができます。
例1: 1キロメートル≒0.62マイル、1キロメートル≒0.54海里です。
内側のKMに10を合わせたとき、STATが62、NAUTが54に向き合っているのが分かるでしょうか?
ちなみに、1マイル≒1.6km、1マイル≒0.87海里なので、内側のSTATに10を合わせると下のようになります。
★ナビタイマーの隠された使い方・その②
NAUTとSTATの間にある▲と内側の12時位置にあるMHPは、それぞれ36と60の位置にあたるため、内側の10の目盛りと組み合わせることで、(1)時間-(60)分-(3600)秒の換算が容易に行えます。
例2: 24時間=1440分=86400秒です。
では、秒速90メートルの場合、分速、時速はそれぞれどうなるでしょうか?
1分間で進む距離は60倍、1時間で進む距離は3600倍すれば求められるので、まず内側の10に90を合わせます。
MPH(60)が54、▲(36)が32.4(←小数点以下は6×9=54から推測)と向き合っているのが読めると思います。
なぜなら、秒速90メートルは分速5400メートル、そして時速324キロメートルだからです!
ということで、長々と続けて参りましたが、ここで終講としたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
それでは良い時計ライフをお過ごしください。
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