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スイスは北西部。
フランス、ドイツの国境に位置し、ライン川が街を貫くバーゼル。
雪解けを迎え春の息吹が聞こえてくる3月頃に、世界最大級の時計・宝飾品の新作見本市が開催されます。
その名もバーゼルワールド。

有名時計ブランドが一堂に会しその年の新作を発表するこの展示会は、業者だけではなく多くのメディアや腕時計愛好家が待ち望み注目するところ。

“でも、バーゼルワールドとは?
どんなところでやってるのか?
どうしてこんなに話題になるのか?“

などなど、疑問がある方も多いと思います。
そこで、私が実際にバーゼルワールドに行った時の様子をお伝えしたいと思います!

 

1.バーゼルという土地について

スイス北西部に位置し、フランスとドイツの国境にほど近い街・バーゼル。
市街地をライン川がまたぐように流れていて、産業地帯である北岸をKleinbasel―小バーゼル―、行政や商業の中心である南岸をGrossbasel―大バーゼル―と呼びます。

スイスというと白い山岳風景がまず浮かんできますが、ここバーゼルに目立った山はなく、スイスの中ではなだらかで比較的温暖な気候を持つ平野地帯。

古くからヨーロッパの水上・陸上交通の要衝として栄え、様々な人々や文物が行き交いました。
現代でも重要な国際会議や見本市が開催されます。

バーゼルワールドもそのうちの一つ。
豊かな文化と芸術が根差した、有名ブランドが会するに大変相応しい風土と言えます。

 

2.バーゼルワールドとは?~その歴史と話題性の秘密~

そんな歴史ある街・バーゼルで毎年3月から4月頃、約1週間をかけて開催される世界最大級の腕時計・宝飾品の見本市、バーゼルワールド。

期間中は各国から1500を超える出展社が、そして関係者・一般客を合わせて毎年約15万人もがこの地を訪れ、その年の新作をチェックしたり商談を行ったりします。

そんなバーゼルワールド。
歴史は古く、1917年に同地で開かれたスイス産業展が始まりと言われます。
国内のさまざまな文物が集まって、見本市を行っていたとか。

やがて腕時計・宝飾品の取扱いへと限定されていくなかで、国内からヨーロッパへ、そして世界中のあらゆるブランドが参加していくように。2017年で100年を迎え、世界最大級にして最高峰のお披露目の舞台へと発展しました。

最大級・最高峰と称される理由は、なんと言ってもその有名ブランドの参加数。
ロレックスやオメガ、パテックフィリップなど老舗メーカーはもちろん、シャネルやグッチを始めとしたファッションブランドなどもその新作をお披露目します。

もちろん日本だって負けてはいません。
セイコーやシチズン、カシオはマニュファクチュールを持ち、他のハイブランドに負けないクォリティの腕時計を毎年誕生させています。

アウェイであるゆえかメインエントランスからは少し離れていますが、バーゼルワールドは同業が他社の新作情報を収集する場としても活躍。
ヨーロッパ諸国の老舗メーカーを一度とならず窮地に追い込んできた日本メーカーに注目している関係者は少なくありません。

その会場の大きさも最大級。

例年会場として使用されるメッセバーゼル。
スイスで2番目の高さを持つメッセトゥルム・バーゼルと直結します。

メッセバーゼルではこの見本市の他にも、世界最大の現代アートフェアなどが行われるスペックを持ちます。
2012年から2013年には改装が行われ、さらに拡張がなされました。

特筆すべきは、1フロアの高さ!なんと、通常の建物の3階分!

建物の中にさらに数多くの建物が連なり、各社のブースが様々に展開。
その様子は、さながら高級ブティック街のよう。

日用品の枠に留まらず、デザイン性や気品を問われる高級時計。
有名ブランドだけあって、各ブースもその製品同様華やかで洗練されています。

会場1階が高級ブランド、2階が普及ブランド、とか。

腕時計の雰囲気をそのまま演出したかのようなブースの数々。

関係者に留まらず、各国のメディアや一般入場者が集い、会場は大賑わいを見せます。
SIHHに分散された?
いいえ、そこは世界最大の看板に偽りなし、です。

高性能ムーブメントやクロノグラフなどの技術面から、ダイヤやゴールドを用いたデザイン面に至るまでの進化・深化は、例年目が離せません。

各時計メーカーのこうした企業努力によって、バーゼルワールドの話題性は連綿と続いていきます。

 

3.バーゼルワールド2017注目新作

バーゼルワールド2017注目新作~ロレックス編~

メインエントランスをくぐると、目に飛び込んでくる見慣れたロゴ。
「永遠の男の憧れ」としてそのネームバリュー・技術ともに不動の人気を誇る王者、それはロレックス。

バーゼルワールド2017で、最も注目度の高いブランドのうちの一つだったのではないでしょうか。

そのロレックスから、注目の新作をピックアップしてご紹介します。

 

ロレックス シードゥエラー 50周年記念モデル Ref.126600

シードゥエラー

今年はシードゥエラー生誕50周年!
誕生年を迎え、あの赤シードが再びダイアル上に姿を現しました。

ダイアル上のSEA DWELLERが赤い字で印字されたモデルは、アンティークで非常に高い価値がついていました。

 

赤シード

出典:https://www.rolex.com/ja/watches/baselworld/new-sea-dweller/m126600-0001.html

さらに、ムーブメントには新世代に相応しい、新しいCal.3235を搭載。
ロレックスが誠実に守り抜いてきた技術を惜しみなく注ぎ込み、より高い精度、より強い耐衝撃性と耐磁性を今回の新作で実現しました。
パワーリザーブ約70時間。1220m防水。

 

ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.116518LN

でいとな2

スポーツウォッチの王者・デイトナから、待望のバーゼルワールド2017年新作。

ロレックスの中でも最上級のスポーツウォッチとして高い人気を博すコスモグラフ デイトナが、またその華麗なる歴史に一石を投じました。

タキメーターベゼルにはハイテクセラミック製のモノブロックセラクロムを採用。
耐蝕性と耐傷性、そして耐久性に優れ、紫外線からの影響も最小限に留めます。

イエローゴールド、ホワイトゴールド、エバーローズゴールドの三種類の新作があり、どの素材も非常にゴージャスでベゼルのブラックに非常に映えます。

ケース径40m。高性能のCal.4130を搭載し、パワーリザーブは約72時間。100m防水。

ロレックス スカイドゥエラー Ref.326933

出典:https://www.rolex.com/ja/watches/baselworld/new-sky-dweller/m326933-0001.html

超複雑機構の腕時計・スカイドゥエラーから新作が発表されました。
2012年に最初のモデルが発表されて以来、話題をさらってきた、全ての旅を愛する人々へ向けてロレックスが贈る当モデル。

GMTマスターとは異なり、文字盤中央で目を引くGMTディスクが回転することで、赤い逆三角形のマーカーから第二時間帯(ホームタイム)を読み取ります。

年に一度、3月1日にのみ日付調整が必要な年次カレンダー―サロス―。
ダイアルのアワーマーカー外周にある12個の小窓で月を表示する機能など、ロレックスの技術の価値をまたワンランク上げる仕様となっています。

ロレゾール(ロレックスウォッチで、ゴールドとスチールのコンビネーション素材のこと)によって放たれるエレガンスな輝きは、日常にも特別な旅行にもおすすめ。

 

スカイドゥエラー

出典:https://www.rolex.com/ja/watches/baselworld/new-sky-dweller/m326933-0001.html

ケース径42mm。
ロレックス史上最も複雑なムーブメントCal.9001を搭載。パワーリザーブは 約72時間。
100m防水。

バーゼルワールド2017注目新作~オメガ~

オリンピックやNASAの公式時計など、高い技術と壮大な物語を持つ有名時計ブランド、オメガ。
月面着陸を果たしたモデルとして高名なスピードマスターコレクションが生誕から60周年を迎え、バーゼルワールド2017でもひと際注目を浴びていました。

オメガ スピードマスター レーシング マスター クロノメーター

 

スピードマスター

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watches/baselworld2017/speedmaster-racing/

1968年に発表された初代モデルのデザインが、60周年の節目に復活を果たしました!

カーレーシングと密接な関わりを持ち、多くのプロフェッショナルから愛されてきたスピードマスター レーシング マスター クロノメーター。
カーレーシングに敬意を表し、ミニッツトラックをあしらったユニークなデザインがファンにはたまらない逸品。

スーパールミノヴァを塗布したアローヘッドインデックスや、新作モデルでやや大きくなったサブダイアルなど、視認性が高くなり、より高度な実用時計に。

ケース径は44.25mm。
サファイアクリスタルガラスを加工したことにより、従来よりもさらにスリムでスタイリッシュに。
ブラックのレザーにオレンジラバーがちらりと除く、オメガらしいスポーティーなデザインも魅力。

 

スピードマスターラバー

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/

ブルータイプ。

スピードマスターブルー

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/

オメガ最高峰と謳われるCal.9900/9901を搭載。パワーリザーブは約60時間。
50m防水。

 

オメガ スピードマスター 38mm カプチーノ

スピードマスターカプチーノ

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watches/baselworld2017/speedmaster-racing/

同じくオメガ スピードマスターから、洗練され都会的な38mmコレクションを新たに発表します。

従来のデザインを大切にしたスポーツウォッチでありながら、そのカラーとベゼルに配されたダイヤが女性にも嬉しいラグジュアリーな雰囲気に。

ダイアルのバイカラーに、ストープブラウンのアリゲーターストラップを合わせて、カプチーノのニックネーム通りフェミニンなカラーリング。
ステンレススティールと18Kセドナ™ゴールドのコンビモデルを添えて。

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/

 

スピードマスターホワイト

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
ホワイト。ベゼルで存在感を発揮するダイアモンド。

ブルー

スピードマスターブルー

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/

ムーブメントにはオメガが誇るクロノグラフCal.3330搭載。パワーリザーブは約52時間。
100m防水。

バーゼルワールド2017注目新作~パテックフィリップ~

高級時計メーカーの御三家として、美・技・ステータス性どれをとっても最高峰であるパテックフィリップ。
パテックフィリップは何かの節目の年に、アニバーサリーモデルを発表することは有名ですが、今年はアクアノート誕生から20周年。

期待通り、注目のアニバーサリーモデルがバーゼルワールド2017で発表されました。

 

パテックフィリップ アクアノート ホワイトゴールド 5168G-001

パテックフィリップ アクアノート

出典:https://www.patek.com/en/mens-watches/aquanaut/5168G-001

ケース径42.2㎜という重量感に加え、ホワイトゴールドを素材に使用したことにより20周年の節目にふさわしい威厳と気品を備えました。

ダイアルとベルトはミッドナイトブルー。
アクアノートのコンセプトである「スポーツエレガンス」が伝わります。

アクアノートダイアル

ジャンボサイズのケースとは裏腹に、厚さわずか3.3㎜自社製ムーブメントCal.324 S Cを搭載。
パワーリザーブ最小35時間、最大45時間。
120m防水。

 

パテックフィリップ アクアノート トラベルタイム アドバンストリサーチ 5650G 500本限定

パテックフィリップアクアノート
出典:https://www.patek.com/en/communication/news/aquanaut-travel-time-ref-5650g

そして、20周年のアニバーサリーを祝してもう一つ、第二時間帯を一つのダイアルから視認できるトラベルタイム搭載モデルです。500本限定モデル。

アドバンストリサーチとは、15年以上前からパテックフィリップが取り組んでいる自社技術の進化・深化を図るプロジェクトで、今年は

・Spiromax®髭ぜんまい…日差–1/+2秒以内という精度の実現。
・フレキシブル機構…タイムゾーン変更機構の部品数を37個から12個へと減らすことを達成。さらに機構が薄型化されただけでなく、磨耗がないため潤滑油も不要に。

以上二つの技術を見事統合しました。
このシステムは、当ブランド初となるダイアル面のシースルー構造によってその動きを見ることができます。

アクアノートダイアル
出典:https://www.patek.com/en/communication/news/aquanaut-travel-time-ref-5650g

自社製ムーブメントCal.324S C FUS搭載、パワーリザーブは最小35時間、最大45時間。

 

パテックフィリップ グランドコンプリケーション 永久カレンダー 5940R-001 メンズ

パテック5940
出典:https://www.patek.com/en/mens-watches/grand-complications/5940R-001

記念すべき生誕祭のスポットライトは、もう一つ大きな偉業に当てられます。

1977年に発表された超薄型自動巻ムーブメントCal.240は、パテックフィリップの技術のスピリッツそのものでした。
40周年を迎え、そのムーブメントの多様性・機能性を示した新作の数々をバーゼルワールド2017で発表しました。

そのうちの一つの中でも、とりわけ複雑な機構・永久カレンダーを搭載した珠玉の逸品をご紹介します。

1925年、パテックフィリップが歴史上初めて永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)付腕時計を制作。

通常のカレンダー機能では、毎月31日まで日めくりをし、31を過ぎて初めて1日の表示となります。
実際の暦の上では31日があったり28日があったり、うるう年で4年に1度29日の月があったり…

その誤差は全て手動で直していく必要がありましたが、この永久カレンダー機構はその暦を把握。
うるう年をも確認し、手直しがいらなくなるという、非常に画期的で複雑なシステムです。

そんな複雑機構を搭載したこちらのモデル。
曜日、日付、月、閏年を指針表示し、さらに中央には夜空をモチーフにしたムーンフェイズも付けられました。

パテックフィリップの素晴らしさは、こうした精密・精緻なシステムを美しくそしてスタイリッシュなボディに納めているところ。
たった37 x 44.6 mmという大きさのケースの中に、こういった世界が繰り広げられているのです。

パテックフィリップの渾身の作品・超薄型自動巻ムーブメントCal.240だからこそ成しえた偉業です。

Cal.240 Q搭載、パワーリザーブは最小38時間、最大48時間。
30m防水。

 

テックフィリップ グランドコンプリケーション ワールドタイム 7130G-014 レディース

パテック71
出典:https://www.patek.com/en/ladies-watches/complications/7130G-014

クォーツを使った華奢なモデルが多いレディースですが、パテックフィリップはレディースのラインナップにもその技術を惜しみなく発揮しています。

こちらは自動巻き時計にワールドタイムを搭載したモデル。
文字盤外周の内転リングには24の主要都市名がプリントされており、10時位置のプッシュボタンを操作することで容易にホームタイムとローカルタイムの設定が可能です。

グレイブルーのダイアルには美しく施されたギョーシェ彫、ベゼルには62個ものダイヤを備え、最高峰の名に恥じぬラグジュアリーな出来栄えです。

この薄さも、Cal.240ならでは。

パテックフィリップ横
出典:https://www.patek.com/en/ladies-watches/complications/7130G-014

Cal.240 HU搭載、パワーリザーブは最小48時間。
30m防水。

バーゼルワールド2017注目新作~タグホイヤー

F1チームやレーシングドライバーのスポンサード、レースの公式計時を担当するなどモータースポーツと関わり深いタグ・ホイヤー。
価格も比較的リーズナブルなため、腕時計フリークでなくとも注目しているメンズは多いかもしれません。

タグホイヤー オータヴィア ホイヤー02 クロノグラフ

出典:https://www.tagheuer.com/ja/baselworld2017

ヴィンテージウォッチに時代遅れはない。
このコンセプトを基に、タグホイヤーの不朽の名作・オータヴィアが、オータヴィア・カップを経て、バーゼルワールド2017で満を持して復活を果たしました。

4代目ジャック・ホイヤーが生み出したこのモデル。
タグホイヤーにとっては三つの初を冠します。

・名前を持ったホイヤー初のクロノグラフ。
・回転式ベゼルを備えた初のクロノグラフ。
・そして、ジャック・ホイヤーが30歳の時、初めて当ブランドのためにデザインした腕時計。

このタグホイヤー史に重大な意味をもつオータヴィアモデル。
オータヴィアカップによって決定された1966年の雰囲気を誠実に復刻。
しかし、搭載するムーブメントは現代的かつ先進的な技術の結晶である自社製Cal.ホイヤー02。

伝統と未来へと進化し続ける技術が融合し、ファンにとっても実用時計を求めている方々にとっても、たまらない一本となりました。パワーリザーブ約75時間。100m防水。

ジャックの生まれ年にちなみ、1932本の限定モデルとなります。

 

終わりにかえて

これら多くの機械式腕時計は職人の手技に依るところが多く、そのため大量生産は難しいです。
春先に発表された新作が私たちの手元に届くのは秋口になる、なんてこともあります。

しかし、丹精込めて一つひとつの部品を組み立てられていく腕時計。
たった4~5cmほどのボディの中で繰り広げられているのは、ものづくりの夢と情熱そのものではないでしょうか。

現代社会は大量消費社会の一途をたどり、ともすれば時代のニーズに乖離しつつあるかに思われる高級腕時計産業。
100周年を迎えたバーゼルワールドの活気と熱気は、その概念とは全く違った未来を示唆しているようです。

参考
スイス政府観光局 MySwitzerland.com
<https://www.myswitzerland.com/ja/basel-world.html>
(2017年3月27日アクセス)


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