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ロレックス「ターノグラフ」というモデルをご存じでしょうか。

デイトジャストの派生モデルとして2004年に登場するも、10年も経ずに生産終了。そのため流通量はそう多くなく、一方で「知る人ぞ知る」といった立ち位置から、今なおロレックスの中古市場では根強い人気を誇っています。

 

しかしながら近年、このターノグラフの相場動向に大きな変化が見受けられます。限定的な流通量に対して需要が殺到し、これに伴い実勢相場も大きな上昇ラインを描くこととなったのです。

もともとターノグラフは「次に価格高騰するロレックス」などと言われてきました。そして現在、過去類を見ないような値上がり率を見せるに至っております。

 

そこでこの記事では、ターノグラフがどのようなモデルなのか解説するとともに、ターノグラフの近年の価格推移から見る人気についてご紹介いたします!

ロレックス ターノグラフ

※掲載している定価・相場は2022年5月現在のものとなります。

※当店に入荷した中古個体をもとに平均相場を採っております。状態・仕様によって価格は上下します。

 

ロレックス ターノグラフとは?

冒頭でもご紹介した通り、ターノグラフはデイトジャストの派生モデルとして2004年に登場し、10年を迎えず生産終了になったモデルです。

ロングセラーの多いロレックスには珍しく短命ですが、だからといって人気が無い訳ではなく、むしろ今なお評価は高いと言えます。

ではターノグラフがどのような時計であったのかと言うと、デイトジャストに時間計測ができる回転ベゼルを搭載させたモデルです。

ロレックス ターノグラフ デイトジャスト

左:デイトジャスト41 126334G/右:ターノグラフ 116264

 

ロレックスはデイトジャストやデイデイト、カメレオンなどといったドレッシーモデルに過去、フルーテッドモデルを載せてきました。独特の切れ込みを有して輝くフルーテッドベゼルはドレッシーの象徴のような存在です。

現在では2012年にラインナップに加わったスカイドゥエラーがリングコマンドベゼルとして可動式のフルーテッドベゼルを備えていますが、それでも回転式のこのタイプはロレックスの中でも珍しい存在です。数字やメモリがプリントされているのも、スポーティーな印象を強めていますね。なお、ベゼルを回転させる際にはサブマリーナーなどと異なり、カチカチッといったクリック感はありません。

ケース・外装はステンレススティールを用いたRef.116264を含め、ターノグラフの全てのモデルはコンビであることも大きな特徴です(116264はベゼルがホワイトゴールド製)。

 

さらにターノグラフはロレックスのペットネームとして、ダイアルにロゴ表記があります。 「TURN-O-GRAPH」 ゼロへ戻る、という意味ですが、時間計測が可能な回転ベゼル機能に由来している、といった説があります。

ロレックス ターノグラフ

このダイアルのロゴ・秒針・カレンダーの数字が赤く彩られていることも、スポーティーかつレーシーなデザインとして完成されています。

なお、後述しますが回転式ベゼルを備えたデイトジャストとして、ターノグラフの先代にサンダーバードというモデルが製造されていました。しかしながらサンダーバードにはターノグラフのように文字盤に記されたペットネームはありませんでした。

 

バリエーションはデイトジャストらしく豊富で、ブレスレットはドレッシーなジュビリーまたはオイスターブレス。また文字盤も基本のブラック・ブルー・ホワイトの他、素材によってはグレーやシルバー等も製造されました。

ロレックス ターノグラフ

ケース直径36mmながら、スポーティーな印象の強いデイトジャストがターノグラフとなっております。

※余談ですがターノグラフが誕生した2004年は、デイトナにオールホワイトゴールドのRef.116509が追加された年でもあります(これまでWG製デイトナには革ベルト仕様のみでした)。このデイトナ 116509も赤い針やメモリがとてもレーシーな印象でした。ロレックスは市場のニーズを巧みに汲み取ってきたブランドであるため、当時から吹いていたスポーツ・デザインの風を自社製品に巧みに組み込んだのかもしれません。

 

さて、そんなターノグラフですが、この名前の初出は2004年ではありません。

半世紀ほど遡った1953年、Ref.6202としてターノグラフがロレックスから製造されました。

この初代ターノグラフは、その後、時計市場で屈指の人気を誇るスポーツロレックスの原型となったとも称されるモデルです。

出典:https://www.phillips.com/

上記の画像からもわかる通り、初代ターノグラフは回転ベゼルを有していたことが大きな特徴です。

今でこそダイバーズウォッチやGMTウォッチなどといった多機能機で、可動式ベゼルを持つことは珍しくありません。現行ロレックスだけ見ても、サブマリーナ―やシードゥエラー、あるいはGMTマスターIIにヨットマスターと多岐に渡りますね。

しかしながらロレックス史に目を向けると、回転ベゼルを搭載し、かつその個体が連続的に生産された初めてのモデルが、ターノグラフ Ref.6202となるのです。

なお、Ref.6202がリリースされた同年の1953年にサブマリーナ― Ref.6204もまた登場することとなりますが、Ref.6202の方が僅かに早く出ていることから、「原型」と称されている次第です(プレサブマリーナ―などと呼ぶこともあるようです)。

また初代ミルガウス Ref.6541にも影響していると考えられます。現行ミルガウスはスムースベゼルが搭載されているためあまりピンとこないかもしれませんが、この初代Ref.6541では回転ベゼルが搭載されておりました(そして、この初代のデザインコードの復刻を望む声は少なくありませんが、果たして新型ミルガウスの動向やいかに?)。

ロレックス ミルガウス

画像出典:https://www.rolex.com/ja/watches/milgauss/m116400gv-0001/magazine.html

 

ターノグラフ Ref.6202は製造期間が一~二年ほどとそう長くはなく、現在一般市場に流通することは極めて稀です。

しかしながらいくつかのバリエーションがあることが確認されており(文字盤にも、そしてベゼルにも)、当時のロレックスの試行錯誤を感じさせる一大コレクションと言えるでしょう。

 

Column;サンダーバードとは?

さて、このようにスポーツロレックス史に燦然と輝く偉大なるターノグラフですが、「回転ベゼルを搭載したデイトジャスト」としては、サンダーバードも忘れてはいけません。

ロレックス サンダーバード

サンダーバード最終モデルの1626316264

 

デイトジャストは2004年にモデルチェンジしているのですが、その際に「回転ベゼル搭載デイトジャスト」もサンダーバードからターノグラフへと移行していった形となります。

外観は結構違うのですが、こういった世代の流れから復刻版ターノグラフを、サンダーバードの後継機として見ることができます(実際、リファレンスからはDNAを同一にしていることがわかりますね)。

 

この2000年代のデイトジャストについてさらに余談を続けると、第五世代から第六世代への移行が行われています。

サンダーバードのステンレススティール製モデルに当たったRef.16264は、1988年頃~2004年頃まで製造されました(デイトジャスト第五世代は2006年頃)。

ムーブメントは変わらずCal.3135が第六世代へと引き継がれていきますが、ターノグラフにおけるバリエーションはバーインデックスのみに(第五世代デイトジャスト自体は、むしろバリエーションが豊富になっておりますが)。またこれは多くの2000年代のロレックスに言えることですが、ブレスレットが改良され、フラッシュフィット一体型となり、コマの中空が無垢へと変更されるなど、いっそうの堅牢性を備えることとなりました。一方で外装もより優美となり、ヘアライン仕上げから鏡面仕上げへと変更が加えられています。

さらにこれまた全てのロレックスに言えることですが、2004年から偽造防止のためルーレット刻印(インナーリングにシリアルとROLEXのロゴを刻印した仕様)が採用されています。

左:サンダーバード 16264。アラビアインデックスに彫りコンピューターダイアルが印象的/右:ターノグラフ 116264

なお、デイトジャストは2018年以降に第七世代へ順次モデルチェンジが行われています。

 

サンダーバードについても余談を続けさせて頂くと、前項でも言及しているように、ターノグラフのようなペットネームを有しているわけではありません。

また、同じ回転ベゼルとは言え、ターノグラフとは大きく意匠が異なります。独特のエンボス加工を施し、5分刻みにメモリがあるのが見て取れますね。この回転ベゼルはファインリーエンジンターンドベゼルとも呼ばれており、ジェットエンジンにこの名前がちなむと言われています。ターノグラフは優美な印象が強いですが、サンダーバードは往年のパイロットウォッチといった風貌ですね。

サンダーバードの歴史もまた古く、1956年にアメリカ空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」隊長のドン・フェリス大佐の引退を記念し、同氏のために特注されたモデルがもととなっています。

ターノグラフのように何十年か後に復刻された、というわけではなく、デイトジャストの中の派生モデルとして連綿と製造され続けてきました。なお、第五世代にあたるサンダーバード Ref.16264の生産終了と同時に、「サンダーバード」の名は現行ロレックスから消えていくこととなります。

こういった歴史からサンダーバードは製造期間が長く、比較的流通個体が少なくありません。とは言え、近年ではアンティークロレックスが再評価されていること、また時計の中古市場が拡大していることなどから、世界的な需要によってグッドコンディションな個体がどんどん少なくなり、これに伴い実勢相場もジワジワと高騰しているのですが・・・

いずれにしろ、ターノグラフのように中古市場で根強い人気を誇り続けてきた一大コレクションであることは間違いありません。

 

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価格推移から見るロレックス ターノグラフの価値と人気

それではロレックス ターノグラフの、2017年~2022年までの価格推移をご紹介いたします。

直近の価格推移から、いかにターノグラフへの人気が確実に高まっていったのかがおわかり頂けるかと思います。

なお、冒頭でも述べたように、掲載する価格推移グラフは当店に入荷した中古個体をもとに、各年の平均を取ったデータから作成しております。コンディションや付属品の有無などで実際の価格は異なることをご了承下さいませ。

 

デイトジャスト ターノグラフ 116264

ロレックス ターノグラフ 116264

ケースサイズ:直径36mm×厚さ12mm
素材:ホワイトゴールド×ステンレススティール
文字盤:ブラック・ホワイト・ブルー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3135/パワーリザーブ約48時間
防水性:100m

 

◆ブラック文字盤 価格推移

 

 

 

◆ホワイト文字盤 価格推移

 

 

◆ブルー文字盤 価格推移

 

 

ターノグラフの中でもスタンダードなホワイトゴールド×ステンレススティール製モデル Ref.116264。ベゼルはホワイトゴールドが採用されていますが、その他の外装はステンレススティール基調となっており、扱いやすいターノグラフになっております。

ブラック・ホワイト・ブルーの3色展開ですが、いずれもターノグラフのスポーティーな面ともドレッシーな面ともマッチしたカラーリングですね。

ターノグラフの全てのモデルに共通しますが、ムーブメントは信頼性の高い自動巻きCal.3135を搭載。パワーリザーブ約48時間と、デイリーユースにも最適な一本と言えます。

 

上記の価格推移を見ると、全ての文字盤色で実勢相場が右肩上がりを見せているのがおわかり頂けるのではないでしょうか。

前述の通り、相場上昇を続けるターノグラフ。2016年以前は40万円台以下で購入できる個体がほとんどでした。しかしながら2017年以降、ロレックス相場全体がジワジワと高騰を始めます。

この相場高騰の主役は主にデイトナなどといったスポーツロレックスでしたが、デイトジャストの中でもスポーティー感の強かったターノグラフ。ドレス系の中ではいち早く相場高騰を見せることとなりました。

ロレックス ターノグラフ 116264

さらに2021年になると、相場高騰が一気に加速。

高くなってきたとは言え60~70万円台がプライスレンジであったかつてに比べて、2022年5月現在は「100万円出さなくては買えなくなった」と言って良いでしょう。

 

とりわけ価格高騰が顕著なのがブルー文字盤です。

ロレックス ターノグラフ 116264

洗練された印象の強いブルー文字盤は、現在の時計業界のトレンドの一つ!

近年では様々なカラーリングの文字盤カラー・装飾が各ブランドからラインナップされていますが、ブルー文字盤の人気は非常に根強く、また実勢相場にその人気が反映されやすいカラーの一つでもあります。

パテックフィリップのノーチラスやオーデマピゲのロイヤルオーク、あるいはヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズに代表されるラグジュアリー・スポーツウォッチは、ブルー文字盤から価格高騰が始まりました。

 

ロレックスのターノグラフも、ここ数年ほどはブルー文字盤の相場上昇が目立ちます(もちろん、全体的に高くなっていますが)。

赤い秒針やロゴと濃いブルーが、とてもよくマッチしていますね。

 

なお、スポーティーテイストの強いオイスターブレスレットモデルの方が人気が高い傾向にありましたが、近年ではGMTマスターIIやスカイドゥエラーでのバリエーション効果も手伝ってか、最近はジュビリーブレスレットモデルが良い!といった方も多いです。

 

デイトジャスト ターノグラフ 116261

ロレックス ターノグラフ 116261

ケースサイズ:直径36mm×厚さ12mm
素材:ピンクゴールド×ステンレススティール
文字盤:ブラック・ホワイト・シルバー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3135/パワーリザーブ約48時間
防水性:100m

 

 

※2017年以前の個体の入荷が少なかったため、2018年から掲載いたします。また、これまで文字盤カラーによる価格差がそう大きくなかったことから、全体的な平均価格からグラフを作成いたしております。

 

ピンクゴールドとステンレススティールのコンビ素材が使われたターノグラフ Ref.116261。ピンクゴールドの華やかで優美な美しさが、ターノグラフのドレッシーな高級感を引き立てますね。

ロレックスの近年の価格高騰はステンレススティールモデルを中心にスタートしましたが、現在ではコンビや金無垢モデルにも波及。ステンレススティールモデルが価格高騰しすぎて、ゴールドを用いた個体の方のお得感が強くなった結果、需要が流れてきたといった経緯もあります。

一方でそんなゴールド素材の中でも、長年高い人気を誇り、多くのロレックスの人気コレクションでいち早く価格高騰が目立ったのがピンクゴールドでした。

ロレックス ターノグラフ

ターノグラフも御多分に漏れず。「SSモデルよりもお得感が強い」と言った面のみならず、ピンクゴールドの持つ美しさ、上品な輝きが多くの時計ファンから評価されているがゆえでしょう。

文字盤バリエーションはブラック・ホワイト・シルバー。文字盤による価格差はそう大きくはありませんが、SSモデルにはないシルバー文字盤はターノグラフの中でもいっそうの稀少性が高いと言えます。

また、こちらもオイスターブレスレット・ジュビリーブレスレットがともに展開されています。

ロレックス ターノグラフ 116261

SSモデルと比べるとRef.116261は全体的に流通量が少な目なので、本当に欲しい方は出会った時に買っておきたいですね。

 

 

デイトジャスト ターノグラフ 116263

ケースサイズ:直径36mm×厚さ12mm
素材:イエローゴールド×ステンレススティール
文字盤:ブラック・ホワイト・グレー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3135/パワーリザーブ約48時間
防水性:100m

最後にご紹介するのは、ゴージャスなイエローゴールド×ステンレススティールモデルのRef.116263です。

ピンクゴールドとのコンビ Ref.116261に輪をかけて稀少性が高く、価格の平均を取れるほどの入荷実績がなかったため推移グラフは掲載しておりませんが、

2017年より前は40万円台~、またロレックス相場が高騰した後も2018年頃までは70万円台で購入できる個体もあった一方で、現在では100万円を切ることはほとんどありません。

文字盤バリエーションはブラック・グレー・ホワイト。とりわけブラック人気が高く、状態が良いと170万円超の値付けが行われることも。

 

なお、ターノグラフ Ref.116263には、屈指の稀少モデルが存在します。

それは、日本限定モデルです。

ロレックス ターノグラフ 116263 日本限定

あまり知られていませんが、実はロレックスが日本市場に向けて作ったであろういくつかの特別モデルというのが存在します。その中でも、ロレックスが公式に日本限定と表明している個体はごくわずか。この「ごくわずか」のうちの一つが、ターノグラフ Ref.116263 日本限定となります。

2011年に、ブラック・ホワイト文字盤で各300本のみ生産とされており、ブレスもオイスターのみのラインナップです。

通常のターノグラフでは赤であったロゴ、秒針、カレンダーがロレックスのコーポレートカラーであるグリーンで色付けされており、特別感はひとしおですね。文字盤上でグリーンが使用されることは滅多になく、ファン垂涎のレアモデルです。

 

各300本限定生産と非常に希少なため、なかなか市場に出回ることはありませんが、ここ数年ほどは130万円台~150万円台といった値付けがなされてきました。ターノグラフ全体の相場高騰が著しい今、いっそうの高値が期待できるモデルでもあり、もし今ご売却をご検討されている方にとっては一つの売り時を迎えていると言えるでしょう。

 

まとめ

ロレックス デイトジャストの派生モデルでありながら、回転ベゼルを搭載したスポーティーなターノグラフについてご紹介いたしました。

1953年に誕生した、その後のスポーツロレックスに影響を与えることとなったRef.6202の系譜を引き、かつデイトジャストのラグジュアリーさをも備えるターノグラフ。10年にも満たない生産期間が稀少性を高めており、今最も注目したいロレックスと言って過言ではありません。

2022年も、ターノグラフの相場動向を追っていきたいと思います!

文:鶴岡

 

 

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