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トゥールビヨンとは、時計製造の技術の中で最も難易度の高い、世界三大複雑機構のうちの一つ。

精度を向上させるという時計において根源的な役割にもかかわらず、発明から200年以上経つ今なお構築できるブランド・職人は限られています。

そんな難解複雑なこの機構、時計愛好家にとっては憧れであり機械式時計が有するロマンの象徴とも言うべき存在であることをご存知でしょうか。さらに近年では、この世界一難しい機構の技術進化が行われており、ますますの複雑さ・あるいはますますの美しさを獲得してまいりました。

 

でも、そもそもトゥールビヨンとはどのような機構なのか?

トゥールビヨンを製造しているブランドは?

トゥールビヨンが搭載された時計の価格は?安いものもあるって本当?

 

この記事では、トゥールビヨンに関する疑問に答えつつ、美しくも精緻な複雑機構の世界をご紹介したいと思います。

ロイヤルオーク 26347PT.OO.D315CR.01

 

 

トゥールビヨンとは

そもそも、トゥールビヨンとは一体どのような機構を指すのでしょうかを解説いたします。

 

トゥールビヨンの始まり

機械式時計が常に挑み続けてきた命題、それは精度の向上です。

日に数秒から数十秒ずれてしまうことが一般的な機械式時計ですが、精度を落としてしまう要因の一つに「姿勢差」があります。

姿勢差とは時計の向きやポジションの変化により、ムーブメントにかかる重力の方向が違ってくることで進度に生じる、時計の誤差のことを指します。

置き時計や掛け時計とは違い、腕の動きなどにより向きが変わってしまう懐中時計や腕時計は、姿勢差の影響を大きく受けやすい弱点を抱えていました。

この姿勢差を解消するための機構が、トゥールビヨンです。

懐中時計が主流であった1800年代、「時計の歴史を200年早めた」と名高いアブラアム・ルイ・ブレゲ氏によって発明・特許を取得しました。ちなみにこの特許取得日は1801年6月26日のため、今でもブレゲ社ではこの日を「トゥールビヨンの日」として、お祝いしているとのことです。

ブレゲ トゥールビヨン

出典:https://www.breguet.com/jp

ブレゲ氏はトゥールビヨンの他、同じく世界三大複雑機構として並ぶミニッツリピーター、永久カレンダーを開発したまさに天才時計師です。

なお、そんな氏でもトゥールビヨンの開発には10年を費やし、市販化にはそれから4年がかかっています。さらに言うと、氏の存命中のトゥールビヨン製造数は35個。こういったエピソードから、いかにトゥールビヨンの製造難易度が高いかおわかりいただけるでしょう。

 

トゥールビヨンの仕組み

トゥールビヨンは一定の姿勢でいることを時計自ら補正する特殊機構です。前述した「姿勢差」の課題を、時計のあるパーツを動かすことによって解決する、というのがその目的となります。

 

まず、機械式時計とはどのような構造になっているのかをご覧ください。

機械式時計 仕組み

出典:https://www.seiko-watch.co.jp/

上記画像は、通常の機械式時計の構成図です。ここでミソとなるのが、脱進機です。「脱進機」とはがんぎ車、アンクル、テンプなどの総称で、いわば機械式時計の動力源・ゼンマイのガバナー(調速機構)です。

簡単に言うと、がんぎ車はテンプにゼンマイの動力を伝える役目、テンプはその動きを時刻として正確に刻ませるため、振り子のように往復運動を行う役目を持ちます。

ここに姿勢差がかかると時計精度に大きな影響を与えてしまいます。精度を司る言ってみれば肝にあたるためです。特にテンプに収められるヒゲゼンマイは超繊細となります。

その一つのソリューションとして、トゥールビヨンが生み出されました。

 

トゥールビヨンは、通常の機械式時計では固定されている「がんぎ車やアンクル」と「テンプ」を、特殊なキャリッジ(籠)に収め、キャリッジそのものを回転させています。つまり、ここで機械のパーツにかかる重力を平均化し姿勢差を解消する、というわけです。

さらに同時に固定された歯車(四番車、通常秒針がつくところ)をも駆動させ、ゼンマイの動力を輪列全体に行き渡らせています。

キャリッジは通常秒針が配される個所に設置され、回転は一般的なもので1分間に1回転(通常のモデルで、テンプによって秒針が1秒1刻みするのと一緒です)。そのため、スモールセコンドの役割をも果たす個体が多くなります。

トゥールビヨンとはフランス語で渦を意味しますが、キャリッジが回転する様がさながら渦のようであったことから命名されました。

ちなみにこの機構を構築するためには150をゆうに超えるパーツが必要となります。

組立にも大変緻密な設計と調整を要し、1980年代には「製造できる時計師は世界で10人しかいない」などと言われたことも。

現在でも熟練した手作業に依るところが大きく、トゥールビヨンが搭載されたモデルは非常に高額となります。

※以上はトゥールビヨンの基本原理となります。ブランドや時計師によっては、構造や仕組みに違いがあります。

 

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トゥールビヨンの必要性

これだけ複雑で難度の高いトゥールビヨン。

実は現在ヒゲゼンマイ等の材質向上や技術躍進により、腕時計への姿勢差の影響は格段に少なくなりました。そのため、トゥールビヨンは実用面での必要性はあまりありません。

それどころか、トゥールビヨンのパーツ数の多さやキャリッジを回転させるためのトルクの重量などにより、通常のムーブメントに比べ重力の影響を受けやすい・あるいは衝撃に弱いといった弱点も・・・!

実際、戦後にオメガやパテックフィリップが開発に挑みましたが精度ではあまりふるわず、クォーツの台頭と併せてその有用性は失われつつありました。

しかし1983年、ブレゲがトゥールビヨンを腕時計に搭載させたモデルを復活させます。
世界的に見て希少で複雑な機構を、「時計の精度向上のため」ではなく「時計のステータス」として売り出したのです。つまり、趣味性を前面に打ち出したというわけですね。

この戦略は見事成功。
製造できる時計師が世界的に少数であるレア感に加え、トゥールビヨンの渦の美しさそのものが時計愛好家にはたまらないロマンとなりました。

トゥールビヨンモデルの多くは文字盤をシースルーにし、その渦巻く様を鑑賞できる仕様となっています。

AP トゥールビヨン

出典:https://www.audemarspiguet.com/jp/watch-collection/royal-oak/26347TI.OO.1205TI.01/

ちなみに購入価格は1千万円並のものがほとんど!

しかしトゥールビヨンにさらに複雑な機構を搭載させたり回転にバリエーションを加えたりと、まだまだ各社開発の手は止まりそうにありません。

 

トゥールビヨンの種類~基本から超絶技巧まで~

そんな複雑機構のトゥールビヨン。

近年では様々に進化を遂げており、ブランドによって目で見て美しくも面白い新機構が構築されています。

基本的なものから「何のためにここまで!?」と驚かされるような超絶技法まで。各メーカーが研究・開発にいそしむ種々のトゥールビヨンをご紹介いたします。

 

①ノーマルトゥールビヨン

まず一つ目が、ノーマルトゥールビヨン。

先程ご紹介した、キャリッジとそれを固定するためのブリッジを持つ、昔ながらの手法です。

ノーマルトゥールビヨン

 

②フライングトゥールビヨン

フライングトゥールビヨンとはブリッジをなくし、キャリッジが浮いているように見える機構のこと。

トゥールビヨンの動きをもっとよく見るために近年開発されました。

完全になくしたものからブリッジを一本にしたもの、ブリッジを細くしパッと見ではわからないようにしたものなどブランドによって工夫がありますが、いずれもブリッジで支えられたキャリッジより均衡が崩れやすいため、難易度は格段に上。キャリッジ自体も軽量にしなくてはなりません。

タグホイヤー フライングトゥールビヨン

↑タグホイヤーのフライングトゥールビヨンCAR5A8W.FT6071

 

ちなみにカルティエのマニュファクチュールが誇るミステリークロック。

透明なディスクを針やムーブメントが浮いているように見える超絶技法ですが、そのトゥールビヨンも圧巻。

カルティエ トゥールビヨン

出典:https://www.cartier.jp/

なんでもパーツを巧妙に隠し、2枚のサファイアクリスタルに支えられているのだとか。

トゥールビヨンは趣味性の高い機構となっていますが、その究極がカルティエのこのシリーズではないでしょうか。

ブランパンやピアジェもまた、この手法をとっているようです。

 

③ジャイロトゥールビヨン by ジャガールクルト

時計界屈指の職人集団・ジャガールクルトが手掛けるトゥールビヨンは、一味も二味も違います。トゥールビヨンを進化させ、新たな種類を生み出してしまうのですから。それは、3D球体ジャイロトゥールビヨンです!

ジャイロトゥールビヨン
出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/watches/reverso/reverso-gyrotourbillon-2/2332420.html

ジャイロトゥールビヨンとは、ジャガールクルトが開発した、世界初の3D球体トゥールビヨンのこと。多軸トゥールビヨンと呼ばれるものの一つで、3次元キャリッジによってガンギ車やテンプを回転しているのですが、この球体にすると言う技術の難易度の高さは、このキャリッジを見ていただければ一目瞭然でしょう。もちろんただキャリッジを3Dにするだけでなく、調速機構自体もそれに合わせて映える仕上がりになっているところがすごいところ。精度を狂わせないように、この機構を組み立てなくてはならないためです。

立体的に球体キャリッジが回転することにより重力の影響を最小化するばかりか、目で見ても美しい仕上がりとなりました。

パーツにはステンレススチールではなく軽量で加工性に富むアルミニウムを採用するなど、機能面で細部にもこだわりを見せます。

このこだわりのジャイロトゥールビヨン、永久カレンダーにレトログラード機構をも採用したモデルが4300万円・・・

ちなみに日本のテレビ番組でも紹介され、機構そのものより価格帯にやはり驚かされていました。

ジャガールクルト ジャイロトゥールビヨン

出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/home-page.html

SIHH2019でも、このジャイロトゥールビヨン第五作目にあたる新作が発表されていましたが、今のところ時価です。もちろん一般流通用ではないのでしょうが、もはや鑑賞用の美術品か?と思わせる価格帯です。

 

④ユニークなキャリッジへの挑戦

オーヴァーシーズ トゥールビヨン

出典:https://www.instagram.com/vacheronconstantin/

メイカームーブメントという言葉をご存知でしょうか。様々な産業でデジタルツールを使っていく潮流を指しており、これは時計界でも例外ではありません。特にCAD(Computer Aided Design/設計や製図をコンピュータで行うもの)や3Dプリンターによってムーブメント設計はより容易により複雑なものを製造できるようになりました。

トゥールビヨンにおいてもこの分野は顕著です。特に、トゥールビヨンの美しさの要となるキャリッジを、こういったコンピュータツールを使ってユニークなものとへと変身させる手法がとられるようになりました。

オーヴァーシーズ トゥールビヨン

出典:https://www.instagram.com/vacheronconstantin/

掲載している画像は、ヴァシュロンコンスタンタンのトゥールビヨンです。これは、同社のブランドロゴであるマルタ十字をキャリッジにしたもの。非常にユニークですよね。

ちなみに該当モデルはSIHH2019で発表になったオーヴァーシーズ搭載機ですが、スポーツモデルなのにクラシカルなトゥールビヨンとよくマッチしているのは、キャリッジのフォルムに拠るところも大きいのではないでしょうか。

 

⑤複数トゥールビヨンの搭載

イストワール トゥールビヨン

出典:https://www.harrywinston.com/en

一つ作るだけでも難易度の高いトゥールビヨン。しかし近年では、複数個を搭載させたユニークかつ超絶なコンプリケーションとして打ち出すブランドも出てきています。

上記の画像は、ハリーウィンストンが2019年に発表した「史上初の4軸トゥールビヨン」です。

この時計、そもそも通常の機械式時計の常識を大きく逸脱したモデルです。と言うのも、このトゥールビヨンはそれぞれ36秒で一回転に調整されているのですが、なんとそれぞれが独立し、独自の速度で稼働しています。「ディファレンシャルギア」と呼ばれる差動装置を三つ搭載することで、こちらを可能としました。

ちなみにこのムーブメントに使われているパーツは、総数673個とのこと!

ゼニス デファイ ダブルトゥールビヨン

出典:https://www.watchtime.com/wristwatch-industry-news/watches/doubly-defiant-zenith-defy-el-primero-double-tourbillon/

こちらは、ゼニスがエルプリメロ50周年として発売したダブルトゥールビヨンです。

 

いずれにせよ「アニバーサリー」のような立ち位置で、なかなか実機を見る機会はそうありませんが、確実にトゥールビヨンの趣味性は進化し続けていると言えるでしょう。

 

 

実用的なトゥールビヨン~安い・強い・薄い~

一般の方にはなかなか手が出せないトゥールビヨン。事実、これまで美術工芸品と見まごうかのような逸品をご紹介してきました。

一方で、時計製造技術の進化とともに、今、実用的なコンプリケーションが有名ブランドから市販化されています。

トゥールビヨンにおいてもその流れがあり、手に入れやすい価格帯・コンプリケーションの弱みであった衝撃への弱さの解消・同じくコンプリケーションのデメリットであったムーブメントの厚みを克服するに至っています。

本項では、そんな実用化されたトゥールビヨンをご紹介いたします。

 

①タグホイヤーが始めた安いトゥールビヨン

TH トゥールビヨン

出典:https://www.tagheuer.com/en/news/tag-heuer-carrera-heuer-02t

2016年のバーゼルワールドにおいて、トゥールビヨン革命と騒がれるようになったある新作がタグホイヤーからリリースされました。カレラ キャリバーホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377です。

なんと、定価が100万円台!初出は1,675,000円でした。高級時計の象徴とも言うべきトゥールビヨン。一千万円が当たり前だったトゥールビヨン。それをタグホイヤーは、200万円をきるような価格で実現したのです。この年のバーゼルワールドを多いに沸かせたことは言うまでもありません。

カレラ トゥールビヨン

カレラ キャリバーホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A90.BH0742

その後もタグホイヤーは「安い」トゥールビヨンを第二弾、第三弾と輩出しています(価格は素材によって200万円台のものも。もっとも、それでも十分安価と言えますが・・・)

タグホイヤーによると、もともとあったクロノグラフCH-80をベースに開発したこと、そしてコストを徹底的に見直したことによりこの驚異の価格を実現したとのこと。もちろんCADも欠かせません。なお、クロノグラフも搭載されているにもかかわらず均整とれたダイアルも、ファッション性が高いタグホイヤーならではですね。

高級機として聖域的であったトゥールビヨンに一石を投じることとなりました。

タグホイヤー カレラ トゥールビヨン

ちなみにこのカレラの誕生後、グラハムがクロノファイターで367万2000円のトゥールビヨン搭載機を出したり(2019年)、ユリスナルダンがマリーンコレクションから3,499,200円のトゥールビヨンを出したり(2017年)と、比較的安い製品が続々登場しました。この波は今後ますます広がっていくでしょう。

トゥールビヨンが「頑張れば手の届く時計」になりそうなことは吉報です!

 

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②投げても壊れない!?強いトゥールビヨン

トゥールビヨン

出典:http://www.richardmille.jp/watch/RM-70-01_TPT.html

コンプリケーション全てに言えることですが、機構が複雑になればなるほどパーツが増え、ちょっとの衝撃や誤作動で壊れやすいという欠点があります。また、摩耗も比較的早く、維持費がかかってしまうことにも繋がりますね。

近年、メイカームーブメントに加えてもう一つ新しい製造業への潮流があります。それは、新素材の開発・採用。先ほどジャガールクルトのジャイロトゥールビヨンをご紹介した時、ステンレスより軽量なアルミを採用した、というお話をしたかと思います。もちろんアルミも優秀な素材ですが、衝撃や摩耗にはあまり強くありません。そこで近年では、シリコンなどといった半導体素材を採用することでその弱点を克服する向きが出てきました。

ブレゲ ヒゲゼンマイ

出典:https://www.breguet.com/

こういった、伝統的な時計製造ではあまり見られなかった新素材の使い手で、今最も熱いブランドと言えばリシャールミルではないでしょうか。このリシャールミルこそが、「投げても壊れないトゥールビヨン」の先駆者的存在です。

リシャールミルは2001年に登場した新興時計メーカーです。1000万円を超える超高額時計をラインナップすることでも有名で、新興でありながら「成功者が身に着ける」とも言われてきました。ちなみにZOZOTOWNの前澤社長の愛機です。

そんなリシャールミルが製造する”トゥールビヨンモデル RM001″。同社のファーストモデルでもあるのですが、カーボナノファイバーと呼ばれる、カーボンを高級時計仕様に独自進化させた軽量かつ強靭な素材をパーツに利用することでこの「投げても壊れない」を実現するに至ったのです。

リシャールミル トゥールビヨン

出典:https://www.richardmille.jp/

もちろん「投げても壊れない」というのは極端ですが、近年こういった新素材を使用したり、CAD技術によってパーツレスに挑み、耐衝撃性を高める・あるいは摩耗を減らしたりする試みが進みます。特にキャリッジの軽量化は効果的で、ブレゲなどはわずか0.290グラムのキャリッジを搭載したCal.581を開発しています(しかもこれに均時差インジケータを追加してる)。

 

③まるで3針!薄いトゥールビヨン

ブルガリ オクトフィニッシモ

出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/products/103072-e.html

やはりトゥールビヨンに限らずコンプリケーションにありがちな悩みの一つに、どうしてもムーブメントが大型になってしまう、というものがあります。

しかしながらこれまたCAD技術などの利用によってトゥールビヨンのキャリッジなどの小型化が進み、ケースの薄型化が実現されていきました。ちなみに先ほどからCADを使った製造手法をご紹介しておりますが、もちろん設計したものを実際の時計として、精度を狂わせないように組み立てることには時計製造自体の高い技術力は欠かせません。そのため、便利になったとは言え、どのブランドもトゥールビヨン製造が可能かと言うとその限りではありません。

話が逸れましたが、このようにコンピュータを用いても非常に困難なトゥールビヨン。それを世界最薄とした至高のブランドはブルガリです。

ブルガリ オクトフィニッシモ

出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/products/103072-e.html

2014年に厚みわずか1.95mmの手巻きトゥールビヨンムーブメントを、ついで2018年にはこの厚みそのままに自動巻きとしたオクトフィニッシモ トゥールビヨン オートマティックを発売しました。
ちなみに自動巻きはローターがある分、厚みが増します。しかしながら初出の手巻きが5mmケースであったのに対し、後者の自動巻きは3.95mm・・・驚くべきことなのですが、ペリフェラルローターという外周をくるくる回ってゼンマイを回す機構を用いて実現したとのこと。

ショパール フライングトゥールビヨン

出典:https://www.chopard.jp/

なお、ショパールも2019年、同社初となるフライングトゥールビヨンを備えた、厚さわずか7.2mmのL.U.Cコレクションを輩出しました。

 

こういった安い・強い・薄いの他、14日間のパワーリザーブを備えたヴァシュロンコンスタンタンの14デイズ・トゥールビヨン、約80時間のパワーリザーブを備えたブレゲのマリーンCal.581搭載トゥールビヨンなど、「使うこと」を前提に利便性が組み込まれたトゥールビヨンが年々増えていっています。

より身近になったトゥールビヨン。これまで気になっていた方は、今がねらい目かもしれません!

 

トゥールビヨン搭載モデル紹介

時計技術の最高峰・トゥールビヨンを搭載した、各社渾身の力作モデルをまとめてみました!

 

オーデマピゲ ロイヤルオーク トゥールビヨン クロノグラフ オープンワーク 26347PT.OO.D315CR.01

ロイヤルオーク トゥールビヨン 26347PT.OO.D315CR.01

ケースサイズ:直径44mm
素材:プラチナ
駆動方式:手巻き
防水性:20m
参考定価:要問合せ

オーデマピゲ2016年新作。
かの有名なジェラルドジェンタ氏デザインのロイヤルオークにトゥールビヨンを搭載させた、最上級の美しさを放つコンプリケーションウォッチです。ちなみにトゥールビヨンを始めて腕時計に搭載させたのはオーデマピゲでした。それまでは懐中時計の時代でしたから。

ケース素材には従来のステンレスではなくプラチナを採用。
未だかつてない重量感と高級感を持ち合わせた仕上がりとなりました。

ロイヤルオーク トゥールビヨン 26347PT.OO.D315CR.01

スケルトンダイアルおよび裏蓋からは自社製手巻きムーブメント2936の精密な動きが鑑賞できます。

ケースサイズは44mm。パワーリザーブ最長72時間、20m防水のスペックを誇る最高級の一本です。

 

オーデマピゲ ロイヤルオーク GMT トゥールビヨン コンセプト 26560IO.OO.D002CA.01.A

ロイヤルオーク GMT トゥールビヨン コンセプト 26560IO.OO.D002CA.01.A

ケースサイズ:直径44mm
素材:チタン×セラミック
駆動方式:自動巻き
防水性:100m
参考定価:23,166,000円

現行のトゥールビヨン搭載ロイヤルオークの中でも、随一の力強さとかっこよさを誇る一本。

最先端の時計コレクターや愛好家のためのモデルですが、男性なら誰でも惹かれる外観と技術を備えているのではないでしょうか。

ロイヤルオーク GMT トゥールビヨン コンセプト 26560IO.OO.D002CA.01.A

ケースサイズは44mm、パワーリザーブはなんと約237時間!世界三大時計メーカーに数え上げられる、オーデマピゲの高度で革新的な技術を目の当たりにすることができます。

100m防水と、非常に実用的な一本でもあります。

 

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タグホイヤー キャリバーホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377

ホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377

ケースサイズ:直径45mm
素材:チタン
駆動方式:自動巻き
防水性:100m
参考定価:1,991,000円

前項でご紹介した、タグホイヤーが時計の歴史に一石を投じることとなった革命機。
素材にチタンを、ベルトにブラックラバー/アリゲーターストラップを採用したことにより、トゥールビヨンとは思えない実用性を誇ります。

ちなみにタグホイヤーのトゥールビヨンは全てCOSC認定。

ホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377

ケースサイズは45mm、パワーリザーブ最長65時間、100m防水と、これまた実用性が十二分ですね。

 

ハリーウィンストン オーシャンプロジェクトZ5 OCEATG45ZZ001

ハリーウィンストン オーシャンプロジェクトZ5 GMT トゥールビヨン OCEATG45ZZ001

ケースサイズ:直径45mm
素材:ザリウム
駆動方式:自動巻き
防水性:100m
参考定価:17,496,000円

先ほど4軸トゥールビヨンを搭載したイストワールもご紹介いたしましたが、実はジュエラー・ハリーウィンストンもまたコンプリケーション開発に余念のないブランドです。
とりわけ2004年にスタートしたプロジェクトZシリーズでは、ザリウムと呼ばれる新素材を用いつつ、レトログラードやデュアルタイムなど、多彩な機構を採用することで、同社の中でも特別感溢れるコレクションとして打ち出してきました。

ハリーウィンストン オーシャンプロジェクトZ5 GMT トゥールビヨン OCEATG45ZZ001

こちらは、2008年に誕生したZ5です。
デュアルタイムとトゥールビヨンの合わせ技となっていること。通常センター針となることが多い時針やGMT針を異ダイアルとして表現したことから、唯一無二の独創性をも獲得しました。

現在は生産終了しておりますが、今なお時計愛好家の間では傑作として語り継がれています。

 

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ユリスナルダン マリーン 1283-181/E0

ユリスナルダン マリーン トゥールビヨン 1283-181/E0

ケースサイズ:直径43mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
防水性:100m
参考定価:3,499,200円

知る人ぞ知る名門時計メーカー・ユリスナルダン。

19世紀半ばより航海に用いられた「マリーンクロノメーター」の担い手として名高かっただけあり、高度な時計製造にかけては天下一品のブランドです。
錨のトレードマークからも、その矜持が伝わってきますね。

ユリスナルダン マリーン トゥールビヨン 1283-181/E0

こちらのマリーンは、そんな航海用クロノメーターを腕時計に落とし込んだ同社のフラグシップ・コレクションです。

6時位置に配置されたトゥールビヨンの美しさを、グラン・フー・エナメル文字盤や上品なローマンインデックス、そして独特の針達が引き立てます。

パワーリザーブインジケーターや100m防水など実用性も兼ね備えており、デイリーユースにもお勧めしたいトゥールビヨンとなっております。

 

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まとめ

長いながい時計の伝統に君臨する複雑機構・トゥールビヨン。
実際に目にしたことのある方は少ないかもしれませんが、今後の技術向上で私たちの手元を彩る日が来るかもしれませんね。

多くの時計職人・時計愛好家を虜にしてきた精密精緻で美しい世界。
その一端をお伝えできていれば、と思います。

TEXT by C.Tsuruoka

 

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この記事を監修してくれた時計博士

穴井 孝美(あない たかみ)

株式会社羅針 代表取締役社長

1967年生まれ
高校卒業後、電機メーカーに就職し生産管理を学ぶも一年半で退職。
銀座の通信販売会社にて輸入時計の販売に従事。
輸入時計卸売会社を経て、2006年に東京都台東区にて株式会社羅針を設立。
香港、シンガポールなど海外と国内小売店とのネットワークを活かし時計の卸業として事業を展開する。

  • 2009年に銀座に移転し、販売買取のリテール事業を開始。
  • 2011年に店舗を一階に移転オープン。
  • 2017年に買取サロンオープン。
  • 2018年にロレックス専門店オープン。
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