年齢問わず、誰が身に着けていても上品な存在感を放つロレックスの人気モデル”サブマリーナ”。
ダイバーズウォッチとして開発されたサブマリーナは、オンオフ問わず身に着けることが可能な「洗練されたデザイン性」、300m防水や高精度なムーブメントといった「機能性」を兼ね備え、誰からも愛される高級腕時計として高い人気と知名度を誇ります。
しかし、人気のモデルであるが故「サブマリーナ」の事をあまり知らずに使っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は”サブマリーナ”を持っている人はもちろん、”サブマリーナ”が気になっている方に、是非知ってもらいたい基礎知識をまとめました。
目次
①ロレックス サブマリーナの歴史
サブマリーナの歴史は、ロレックスが1926年に3大機構のひとつ「オイスターケース」を発明したところから始まります。
以降ロレックスの防水性は他社を圧倒する大きなアドバンテージとなっていきます。
と言うのも、当時のロレックスは純粋な時計としての性能を凌駕する「プロフェッショナルな時計」の開発を進めており、目を付けたのが自社最大の強みであった防水性であったのです。
その防水性を生かし、1953年に開発されたのがダイバーズウォッチであるサブマリーナです。
ロレックス サブマリーナの誕生
初代サブマリーナが開発されたのは1953年。100m防水・潜水時間を測定するための回転ベゼルを搭載した、正真正銘のプロフェッショナル用の防水腕時計でした。サブマリーナは、「過酷な環境で活躍するプロダイバー」向けに作られたのです。
そして翌1954年にロレックスは「バーゼルフェア」*にてサブマリーナのファーストモデル”Ref.6204″を世界に向け発表します。
当時、”Ref.6204″は100mの防水、潜水時間を計測するための回転ベゼルを備えられた世界初のダイバーズウォッチとして大きな話題を呼びました。深海660フィートでも動き続ける革新的なモデルとして世界中から賞賛を浴びたというエピソードは、サブマリーナがいかに偉大な発明かということを端的に表しますね。
*バーゼルフェア=「スイス・バーゼル」にて行われる世界最大の宝飾と時計の見本市。2000年代前半に正式名称「バーゼルワールド」となった。
試行錯誤と進化
1950年代はサブマリーナ黎明期にあたり、デザインの試行錯誤やムーブメントの進化に伴うモデルチェンジが幾度も重ねられました。
この時代のサブマリーナは”アンティーク・サブマリーナ”と呼ばれ、コレクター要素の高い時計として人気です。
特に1953年頃から1958年までに製造された”Ref.6200″サブマリーナは資産価値 数千万円以上といわれている激レアモデルです。
主なアンティーク・サブマリーナ
1954年、世界に向けて発信されたRef.6204と同時期に製造されていた超稀少サブマリーナ Ref.6200です。サブマリーナ発表の前年に当たる1953年に開発されました。
厚みのあるケースが特徴で「BREVET(仏語で特許のこと)」の刻印が入った8mmのデカリューズを採用した100m防水時計です。なお、200m防水であった、という説もあるようです。
ムーブメントにはCal.A260を搭載しています。
出典:https://www.bobswatches.com/watch-resources/rolex-submariner-ref-6204-history
同じく、1953年に開発・1954年に発表されたサブマリーナです。
この当時のサブマリーナはリファレンスがいくつか存在しており、「どれが初めにリリースされたか」については様々な議論があります。ただ、最も早く製造され、最も早く世界にお披露目されたのが、こちらのRef.6204だった、という説が有力です(シリアル番号が古い、という観点より)。
なお、1955年にはRef.6205が登場しています。
つまり、「初代サブマリーナ」としては、6200・6204・6205が1950年代後半頃まで製造されていた、ということです。なお、6205はCal.A260の次世代ムーブメントCal.A296が搭載されているものも確認できます。
出典:http://www.matthewbaininc.com/watch-details/354
第二世代にあたるサブマリーナです。1956年頃~1959年頃まで製造されました。
200m防水として打ち出された、当時きわめて画期的であった歴史的一本となります。さらに、Cal.1030を搭載した初のクロノメーター仕様ということも特筆すべき点です。
ちなみに映画007でジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリー氏が着用していたと言われており、「真のボンドウォッチ」などと呼ばれることがあります。
なお、同時期にサブマリーナのディフュージョンモデルとなるRef.6536もリリースされていました。こちらは100m防水モデルとなります。
出典:https://www.bobswatches.com/rolex-blog/watch-review/the-details-are-not-the-details-they-make-the-design-inside-the-rolex-submariner-reference-5508.html
第三世代のサブマリーナです。1958年頃~1960年代初頭まで製造されました。
サブマリーナのいくつかのリファレンスや、エクスプローラーにも搭載されたCal.1530を搭載しています。このムーブメントはノンクロノメーターであったため、クロノメーター仕様のCal.1560へと移行していきます。ただ、1530も安定性や耐久性に優れた実用度の高いキャリバーでした。
なお、Ref.5508は100m防水ですが、同時期に発売されたRef.5510は200m防水です。
また、リューズガードのないサブマリーナの、最終世代となります。
初のリューズガードが備えられた第四世代のサブマリーナです。1959年頃~1978年頃まで製造されました。
後述するRef.5513と併売されていましたが、こちらはクロノメーター仕様のCal.1560または1570を搭載していたことが大きな特徴です(初期はノンクロノメーター個体あり)。
また、第四世代では、200m防水がサブマリーナのスタンダードとなりました。
約20年ほど製造されていたロングセラーのため、製造年によって文字盤やリューズ仕様に変遷があります。ただ、5512はどの個体も稀少性が非常に高く、非常に高額な相場で売買されています。
同じく第四世代に分類されるサブマリーナですが、こちらは1962年~1990年まで製造された、非常に息の長いロングセラーです。それゆえ5512に比べると比較的入手しやすく、また現存する個体の状態も上質なものが多いため、アンティークロレックスの中でも高い人気を誇ります。
前述の通り、同時期の5512がクロノメーター仕様であったことに対し、こちらはノンクロノメーターです。5512のディフュージョンモデルとして誕生した経緯があるためです。
なお、こちらも30年の製造期間の中でマイナーチェンジが多く、文字盤やムーブメントに様々なバリエーションが存在します。
ちなみに映画『007』でこれまたジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーア氏が実際に着用していたモデルでもあります。
イギリス軍のオーダーによって製造された軍用時計。通称「ミリサブ」「軍サブ」などと呼ばれる非常にレアなモデルです。
基本的には5513とスペックを同じくしますが、デザイン面で一線を画すことがおわかり頂けるでしょう。
5513はこういった派生モデルがいくつか存在しますが、そのいずれもきわめて高い稀少性から、オークション級の値付けが行われています。
そして、1965年。ロレックスは試行錯誤の集大成として、カレンダーを搭載した新モデル「デイト」を開発しました。以降、サブマリーナシリーズは「デイト」「ノンデイト」の2つのモデルを並行して展開していくこととなります。Ref.1680自体は1980年頃まで製造されました。
1680より、サブマリーナではお馴染みのトリプロックリューズ(リューズ・ケース合わせて三重のパッキンを搭載させ、より防水性を向上させた仕様)が採用されることとなります。また、クロノメーター仕様のCal.1570が搭載されています。
ちなみに1680もアンティークロレックスの中では非常に相場が落ち着いており、初心者でも入りやすい一本です。ただし、赤サブ(SUBMARINERのロゴが赤く彩られた仕様)は高値となります。
なお、現行品を含む現代サブマリーナについての詳細は、後述する「ロレックス サブマリーナの軌跡」をご覧ください。
※サブマリーナには上記以外にもアンティークモデルが存在します。この時代は様々な研究が行われていますが、ロレックスが秘密主義であることも相まってハッキリとした製造年や世代の区分けはわかっていません。
ただ、現在のサブマリーナ人気を築き上げる、偉大な試行錯誤であったことに変わりはないでしょう。
②2種類のサブマリーナ「デイト」「ノンデイト」
現在のサブマリーナには大きく分けて2つの種類があります。一つはカレンダーが搭載されている「サブマリーナ デイト」。もう一つはカレンダーが搭載されていない「サブマリーナ ノンデイト」です。
サブマリーナはカレンダーが搭載された「デイト」が発表された1965年以降(Ref.1680)、「デイト」「ノンデイト」のモデルが並行して製造されてきましたが、どちらかというと「デイト」がサブマリーナの主力として扱われました。
左:サブマリーナ デイト Ref.16610 右:サブマリーナ ノンデイト Ref.14060
上記2つのモデルは1989年、同時期に発売された「デイト」と「ノンデイト」のモデルです。
「ノンデイト」”Ref.14060″に搭載されているムーブメント”Cal.3000″は、「デイト」の”Ref.16610″に搭載されているムーブメント”Cal.3035″に比べ、低コストで作られているムーブメントでした。
ただ、「ノンデイト」の現行モデルである”Ref.114060″ではムーブメントが”Cal.3130″に変更され、「デイト」モデルとのムーブメント性能差は殆どなくなっています。
もはやカレンダーの有無以外「デイト」と「ノンデイト」は大きな違いはほとんどなく、どちらを選ぶかは好みの問題と言っていいでしょう。
ただ、「ノンデイト」は1954年発売にされたサブマリーナの礎となったデザインとして、「デイト」よりも歴史の深い”クラシック”なモデルという印象です。
一方で、機能以外の面で「デイト」と「ノンデイト」で大きく異なる点があります。それは価格の違いです。
「ノンデイト」は「デイト」に比べて安い。
「ノンデイト」「デイト」の同時期に発売されたモデルを比較すると、新品価格・中古価格ともに「ノンデイト」の方が安く、メーカー小売価格(定価)で大まかに11万円の価格差があります。※116610・114060の場合。具体的な価格は後述
左:デイト付き Ref.116610LN ¥943,800 右:ノンデイト Ref.114060 ¥832,700
さらに新品の実売価格においても、デイト付きは160万円前後~、ノンデイトは120万円前後~と、開きがあります。
ただ、これはどちらが優れているとかではなく、デイト機能の利便性などから需要が一方に集まっている、といった結果です。
また、近年では「クラシックテイスト」がトレンドのためか前述の通りその要素が強いノンデイト人気も負けてはいません。実際、確実に相場は上がっています。
第一印象や好みで皆さんお選びになっているのでしょう。
③ロレックス サブマリーナの魅力
サブマリーナは街でも着けている方をよく目にするダイバーズウォッチの定番中の定番。ここではスポーツウォッチながら多くの人に選ばれるサブマリーナの魅力を紹介します。
300m防水を誇る高い防水性
サブマリーナの特徴は何といっても「防水性」。この防水性は時計の機能として大変優秀です。営業職の方、水仕事が多い方はもちろん、天候に左右されやすい屋外での仕事をしている方にピッタリの機能といえます。
もちろんダイバーズウォッチなので、プロのダイバー、そして「マリンスポーツ」や「フィッシング」といった海に関する趣味を持つ方には最高の1本です。
シンプルで普遍的なデザイン
サブマリーナはブラックカラーの文字盤とブラックベゼルの非常にシックでシンプルなデザイン。50年以上も変わらない「普遍性のあるデザイン」でもあり、世界でも類を見ないほど高い認知度を誇ります。また、ステンレスモデルにはブラックとグリーンの2パターンしかなく、ラインナップも非常にシンプルです。
通称”ブラックダイヤル”と呼ばれる文字盤は高い独自性と視認性を誇り、夜光塗料を施した18 ctゴールド製アワーマーカーが特徴的です。
逆回転防止ベゼル
サブマリーナにとって欠かせない機能「逆回転防止ベゼル」。このベゼルには60分の目盛が刻まれていて、ダイバーにとって生死にかかわる潜水時間と減圧停止を正確に測定することが可能になりました。さらに、現行モデルの”Ref.116610″ではステンレスだった逆回転防止ベゼルはセラミック素材への進化し、絶対的な耐傷性を得ています。
高品質なムーブメント
サブマリーナ デイトの”Ref.116610″に搭載されているムーブメントは”Cal.3135″。ノンデイトの”Ref.114060″のムーブメントは”Cal.3130″です。
Cal.31系はスイス公認クロノメーター検査協会(COSC)のテストに合格した高精度の時計にのみ与えられる、クロノメーター認定を受けている高品質ムーブメントです。また、このムーブメントにはヒゲゼンマイと呼ばれる「ブルーパラクロム」という特殊な素材から作られていて、「温度変化に強い・磁力に耐性がある」といった特徴があります。
内部機械の細かな調整が可能となっており、定期的にメンテナンスを行えば「半永久的」に精度が保てるムーブメントとして、時計業界における最高のムーブメントの一つと評価され続けています。
出典:https://www.rolex.com
さらに2020年には、サブマリーナデイト・ノンデイトともにCal.32系へ移行されました。ちなみに前者が”Cal.3235″、後者が”Cal.3230″です。
32系は31系に比べて精度や信頼性、耐磁性と言った実用性がブラッシュアップ。加えて特筆すべきは、パワーリザーブが従来の約48時間から約70時間へと大幅延長されたことでしょう。
近年、ロレックスはCal.31系から32系への移行が進んでいます。31系は非常に成熟した名機ですが、より現代的なテクノロジーを備えた「新世代」ムーブメントとして、今後間違いなくロレックスの「実用性」を下支えする新キャリバー。
サブマリーナに搭載されたことで、ますます内外ともに死角のないダイバーズウォッチに仕上がっていくことでしょう。
アフターケアが手厚い
高級時計メーカーの中でも、ロレックスの正規オーバーホールはコストパフォーマンスに優れています。
サブマリーナのオーバーホール基本料金は45,000円程度。他社と比較しても安価な価格設定となっています。驚くべき部分は通常別料金となる仕上げをロレックスは基本料金に含んでくれていること。末永くサブマリーナを使うための維持費が安く済むのはとても魅力です。ちなみに製品保証期間は”5年間”(2015年7月以降のモデル)であり、これまた他社と比較して長めの設定となっています。
④ロレックス サブマリーナの軌跡
サブマリーナは1954年に発表されてから、大きくデザインを変えることなく現在まで受け継がれてきた伝統のあるモデルです。その風貌から「どのサブマリーナも同じに見える。」と思われる方もいます。
そこで、サブマリーナが辿ってきた進化の軌跡をまとめました。あなたが持っているサブマリーナはどのモデルで、どのような特徴があるのか。もしくは欲しいサブマリーナはどのモデルなのかを確認してみましょう。
※1960年以降のモデルのみ抜粋しています。アンティークに関しては、冒頭の「ロレックス サブマリーナの歴史」をご確認ください。
ロレックス サブマリーナ 5513
製造期間:1963年 ~ 1990年
ケースサイズ:直径 36mm
搭載ムーブメント:Cal.1520
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム
防水性能:200m
「ロレックス サブマリーナの歴史」でもご紹介した、第四世代のサブマリーナです。
約30年と非常に製造期間が長いため仕様によって価値が大きく変わるサブマリーナです。
最も代表的な仕様としては、前期型の「フチなし」後期型の「フチあり」です。1985年頃まで製造された個体はインデックスにメタル枠がなく、フチなしと呼ばれます。
左:フチなし / 右:フチあり
一般的にフチなしの方がヴィンテージ感があって人気ですが、とは言え製造年が新しい方が状態が良く、その分高い価格がつく傾向にあります。
もっとも、フチなし・フチあり問わず、特にレア個体などでなければ相場は100万円前後~。流通量も豊富で、アンティークロレックスの中では比較的手に入れやすくなっております。
しかしながらきわめて高額なレア仕様もあります。
※ミラーダイアル
1967年頃までの製造個体に見られるミラーダイアル(現在のマットダイアルと様相を異にした、独特のツヤ感がある黒文字盤。サブマリーナ問わず、キレイにミラーダイアルが現存している個体は通常相場より1.5~2倍になるのが通例)。
あるいはメーターファースト(防水表記が「200m=660ft」になった個体)やフィートファースト(「660ft=200m」がSABMARINERの下に配された個体。下サブとも)などがレア仕様とされており、個体によっては300万円超えが当たり前となります。
ロレックス サブマリーナ 1680
製造期間:1965年 ~ 1980年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.1570
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム
防水性能:200m
1680は初のデイト付きサブマリーナ。
風防にカレンダーの視認性をアップさせるためのサイクロップレンズが装備されました。現行のデイト付きサブマリーナまで、以降1680のデザインコードが踏襲されることとなります。
こちらも約15年間製造とロングセラーで、流通量が豊富なため手に入れやすいアンティーク論レックスとして高名です。相場感としては、100万円程度~です。
なお、前述の通り「赤サブ」がレア仕様の代表格です。
1960年代後半~1970年代中頃に製造された1680に見られる個体で、赤く彩られた「SUBMARINER」が良いアクセントになっています。
ちなみにこの赤サブの中でもメーターファースト個体があり、モノによっては300万円を超える相場となります。
ロレックス サブマリーナ デイト 16800
製造期間:1980年 ~ 1986年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3035
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム
防水性能:300m
16800が、デイト付きサブマリーナの第二世代です。
風防がサファイアクリスタルになり、防水は300mにスペックアップ。また、逆回転防止ベゼルが採用され、かつムーブメントに高精度Cal.3035を搭載するなど、機能性が劇的に向上したことが特徴です。
なお、インデックスにフチなしとフチありが存在し、こちらはフチなしの方が人気が高くなります。
ロレックス サブマリーナ デイト 168000
製造期間:1986年 ~ 1989年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3035
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム
防水性能:300m
1986年頃に唐突に誕生した、6桁リファレンスのデイト付きサブマリーナです。168000とゼロがミッツ並んでいることから、トリプルゼロといった相性も存在します。
デイト付きサブマリーナとしては「第三世代」に分類されますが、16800と大きな違いがなく、何かと謎の多いモデルでもあります。
ただ、一説にはステンレススティールが316Lからハイランクの904Lを正式採用するようになった初めてのサブマリーナが16800と言われています。
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 14060
製造期間:1989年 ~ 2000年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3000
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム/ルミノバ
防水性能:300m
1989年にはRef.5513の後継機種にあたるノンデイト14060が発売します。
デイトモデルと同じくサファイアクリスタル風防×逆回転防止ベゼルが採用されました。もちろん防水性は300m防水です。
また、ノンデイトサブマリーナにおいても、高精度なCal.3000が搭載されることとなりました。
価格としては、状態にもよりますが120万円台で購入できる製品もあります。
ロレックス サブマリーナ デイト 16610
製造期間:1989年 ~ 2010年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム/ルミノバ
防水性能:300m
今なお人気を博している16610は20年以上にも渡り生産されたデイト付きサブマリーナのロングセラーモデルです。
ムーブメントに現行サブマリーナでも採用され続けているCal.3135を搭載させたことが大きな特徴となります。安定性やメンテナンス性が飛躍的に高まりました。
風防6時位置の王冠の透かし(2003年)やインナーリングへのルーレット刻印(2007年)などの偽造防止策が施されたことでも有名な個体です。
現行よりもラグやリューズガードが細く、よりクラシカル・テイストが強いことから根強い人気を誇っています。
ロレックス サブマリーナ デイト 16610LV
製造期間:2003年 ~ 2010年
ケースサイズ:直径 36mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:ルミノバ
防水性能:300m
サブマリーナ生誕50周年を記念して発表されたモデルです。
Ref.16610をベースにグリーンベゼルを搭載し、針・インデックスが大型化されました。ブラック文字盤とグリーンベゼルのコントラストが美しい人気モデルです。
ちなみにグリーンをここまで大々的にデザインコードに加えたのは、ロレックスの中では16610LVが初めてでした。
なお、16610LVには、いくつかのレア仕様が存在します。
ベゼルのグリーンがもう少し淡いライムベゼル、SWISS MADE表記が大きいビッグスイス、ベゼルの40の4が幅広なファット4などがこれに当たります。
ただ、特にレア仕様でなくとも平均相場は150万円台~と、きわめて高い需要・稀少性に比例して高価格となっております。
ロレックス サブマリーナ デイト 14060M
製造期間:2000年 ~ 2011年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3130
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:ルミノバ/クロマライト
防水性能:300m
14060のマイナーチェンジと呼べるモデルです。
外観上には大きな変更点はありませんが、ムーブメントにCal.3130を搭載しました。これまた現行ノンデイトサブマリーナに続く、高性能なキャリバーとなります。なお、この14060MにCal.3130が搭載されたことで以て、ロレックスのモデルは全てがクロノメーター化されることとなりました。
また、6位置に王冠透かしマークが施されたことも特徴的です。
ロレックス サブマリーナ デイト 116610LV
製造期間:製造期間:2010年 ~ 2020年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
2010年から発売されているグリーンサブです。文字盤にもグリーンが採用されることで、より統一感を持つデザインに仕上がっています。
ベゼルはステンレス製からセラクロムに変更されたことで、サブマリーナ人気をさらに押し上げることとなりました。このセラクロムベゼルは傷や退色に強いだけでなく、美しいツヤや、メモリ部分のプラチナコーティングによって高級感を備えていることが特徴です。
さらに、ドットタイプのインデックスも大きくなったことで、視認性が向上しました。
なお、後述する黒ベゼルの116610LNに比べて、定価は987,800円と若干高く設定されています。
さらに言うと、最近の相場高騰の凄まじさは、他の追随を許さないほどです。
そして2020年9月、ロレックスが新作サブマリーナを発表したことで、モデルチェンジが決定しました。これより相場は爆上がりし、現在は300万円越え・・!もちろんこの急騰がずっと維持されるとは考えづらいですが、かといって供給はいずれストップしますので(新作が流通するため)、高値傾向は続いていくと予想されます。
116610LVは「高く売れるロレックス」としても高名で、値崩れしづらく、リセールバリューの高さには定評がありましたが、その評価をさらに今後押し上げていくことでしょう。
ロレックス サブマリーナ デイト 116610LN
製造期間:製造期間:2010年 ~ 2020年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
サブマリーナデイトの現行モデルです。グリーンサブ 116610LVと同じく2010年に発売されました。
セラクロムベゼルを搭載させたことで、前世代までと大きくデザインを変えていないにもかかわらずクラス感がアップ。また、ラグやリューズガードが大型化されているので、より現代風にリファインされた印象です。
グリーンサブに比べて定価は943,800円。116610LV同様にモデルチェンジが発表されてより急騰。現在は200万円前後という相場をほこります。
こちらもグリーンサブ同様に世代を問わず絶大な人気を博しており、飛ぶように売れていることもあり、今後も高値傾向で推移していくことが予想されます。
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 114060
製造期間:製造期間:2012年 ~ 2020年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3130
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
Ref.14060Mの後継機種にあたる現行ノンデイトです。
艶やかなセラミックベゼル、耐磁・耐衝撃性に優れるパラクロム製ヒゲゼンマイを採用したCal.3130を搭載したハイスペックな一本となりました。
価格もデイトに比べリーズナブルなのが嬉しいところ。定価は税込832,700円です。
ロレックス サブマリーナ デイト 126610LN・126610LV
出典:https://www.rolex.com/ja
製造期間:製造期間:2020年 ~
ケースサイズ:直径 41mm
搭載ムーブメント:Cal.3235
パワーリザーブ:70時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
何度か言及している新作サブマリーナです。
デイト・ノンデイトともにリリースされましたが、こちらはデイト。
Cal.31系からCal.3235に移行したことは前述の通りですが、さらに当新作では、ケースサイズが直径41mmにアップサイジングされました。
ケースサイズが変わるにあたり設計もリファインされ、ラグ幅が20mm⇒21mmへ。それに伴いラグがシャープとなり、スタイリッシュな印象がいや増しました。
出典:https://www.rolex.com/ja
さらにグリーンサブの方は、16610LV時代に採用されていた黒文字盤が再び採用されることとなりました。
定価は116610LVが1,009,800円、116610LNが965,800円(ともに税込)。
この変化が、今後新旧サブマリーナ相場にどのような影響を与えるかが見どころです。
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 124060
出典:https://www.rolex.com/ja
製造期間:製造期間:2020年 ~
ケースサイズ:直径 41mm
搭載ムーブメント:Cal.3230
パワーリザーブ:70時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
こちらはノンデイトの新作 124060です。
これまたCal.3230へ移行、そして直径が41mmへと変更になりました。
ちなみにロレックスが新作発表の一週間ほど前に公開していたティザー広告から、既にサブマリーナ ノンデイトの新作がくる、という考察が各所で行われていました。それに伴いノンデイト 114060の相場が上昇していた背景があります。
⑤個性的なサブマリーナ
サブマリーナは50年以上の歴史を持ち「普遍的デザイン・カラー」を守り続けてきましたが、近年はブラック・グリーン以外にもブルーの文字盤、ケースがゴールドといった特殊なバリエーションも増えています。最後にそんな個性的なサブマリーナをいくつか紹介したいと思います。
ロレックス サブマリーナ デイト Ref.16613SG
製造期間:製造期間:1989年~2010年
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:トリチウム
防水性能:300m
コンビブレス、シャンパンダイアルに8Pのダイヤインデックスと3Pのサファイアインデックスを配したゴージャスなモデルです。シンプルなサブマリーナのイメージを覆す煌びやかなモデルとして話題を博しました。
ロレックス サブマリーナ デイト 116618LB
製造期間:製造期間:2008年 ~
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
ズッシリと重い装着感を感じられるイエローゴールド無垢のケースに、300m防水のハイスペック機能を備えマリンカラーのブルーを基調としたラグジュアリーなダイバーズウォッチ。圧倒的な存在感があります。
ロレックス サブマリーナ デイト 116613LB
製造期間:製造期間:2009年 ~
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
海をイメージさせるブルーを基調とした爽快な色使いは「青サブ」と呼ばれ、夏を愛する方にピッタリのモデルです。2009年に発表されたコンビモデル116613LBは新設計のケースやブレスレットはそのままに、高級感と質感が大きく向上しています。
ロレックス サブマリーナ デイト 116613GLN
製造期間:2009年 ~
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
ブラックダイアルとダイヤインデックスを組み合わせたゴージャスでスポーティなモデル。防水性能の高いダイヤ付きモデルは意外と珍しいです。日本国内よりも海外で人気があります。
ロレックス サブマリーナ デイト Ref.116619LB
製造期間:2008年~
ケースサイズ:直径 40mm
搭載ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
一見ステンレススティールにも見えますが、実は高級感溢れる18金ホワイトゴールドが使われているモデルです。鏡のように反射させる性質をもつため、ケース・ブレスに鮮やかなブルーが映えます。定価3,801,600円と、かなりの高級モデルではありますが、人気は非常に高いです。
⑥サブマリーナの資産価値
今サブマリーナをお持ちの方。あるいはこれから初めてサブマリーナをお買い求めになる方。皆さまに知っておいていただきたいことの最後に、サブマリーナの資産価値についてお話したいと思います。
今、ロレックスの相場が全体的に上がっているということもありますが、サブマリーナは一過性の高騰では終わらない普遍・不変の価値があります。
と言うのも、「サブマリーナの軌跡」でもご紹介いたしましたが、サブマリーナはあまりデザインを初代から変えていません。
「どのサブマリーナも同じに見える」と言うことは、一過性の流行にとらわれないということ。また、300mという防水性を保つために、堅牢であり続けることを追求してきました。そのため、経年による使用感があったとしても、時計としての機能が保たれやすい、ということをも意味します。
つまり、きちんとメンテナンスをすれば、子や孫の代までサブマリーナを受け継いだり、売却したりがしやすいのです。一方で中古購入であっても、良好なコンディションの個体を見つけやすい側面も持ちます。事実、サブマリーナの中古・アンティーク市場では、数十年前の個体が出回ってきました。もちろん新品当時の防水性・精度を保つ、ということはお約束できませんが、家宝としての資格は十分です。
そんな、サブマリーナの資産価値の魅力も、知っておきたいことの一つです。
まとめ
サブマリーナはロレックスの中でも1、2位を争う人気モデル。高い防水性能、高品質なムーブメント、そして何より50年以上変わらず守り続けた「普遍性のあるデザイン」はサブマリーナの大きな魅力です。
その歴史の長さから膨大な数のモデルが並ぶサブマリーナは、アンティークモデルを中心に”レアモデル”も多く存在しているのも特徴。コレクターズアイテムとしての側面もあるサブマリーナは「1本持っていても、さらにもう1本欲しくなる」。そんな魅力に溢れたシリーズです。
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この記事を監修してくれた時計博士
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年