世界一の知名度を誇る腕時計ブランド「ロレックス」。オメガやタグホイヤーといった強豪を凌いで、人気腕時計不動の1位に君臨しています。
そんな中、多くのお客様からお問い合わせでいただくのが「ロレックスの中で一番人気があるモデルってどれ?」というもの!
そこでこの記事では、当店の売上データを集計し、ロレックスの中で最も売上高/売上本数が高かったモデルをご紹介いたします。
デイトナ、サブマリーナ、エクスプローラー、GMTマスター・・・たくさんの人気シリーズを抱えるロレックスの中で1位に輝いたモデルとは?
目次
ロレックスの中で一番人気が高いモデル コスモグラフ デイトナ 116500LN
2022年において売上高&売上本数第1位に輝いたモデル。それは、2016年に発表されたデイトナの現行モデル116500LNです!
2017年・2018年・2019年・2020年・2021年・2022年・・・そして2023年と当店ロレックス人気ランキングにおいて7年連続一位に輝いており、そのぶっちぎり具合はロレックス内のみならず、他ブランドの追随も許しません。
後続機として126500LNが発売された後も人気は衰えることなく、現在進行形で売れ続けています。
デイトナ自体は1963年登場(プレ機は1950年代)と、非常に歴史の長いモデルです。ロレックス唯一のクロノグラフで、歴代リファレンスで大変高い需要を誇ってきました。
しかしながら116500LNは、その中でも異彩。ベゼルがステンレスからデイトナ初となる傷つきづらいセラクロムに変更され、従来のデイトナと比較して高級感がさらに増しました。加えてホワイトダイアルはインダイアルの縁取りがシルバーからブラックに変更にされ、コントラストが明確になっています。
これらの特徴は126500LNに受け継がれましたが、初出のインパクトは相当なものでした。
116520までは黒文字盤モデルの方に人気が集まっていましたが、116500LNの誕生でスタイリッシュさが増した白文字盤モデルが一躍大人気となりました。ちなみにスポーツロレックスは黒文字盤に人気が集まる傾向にありましたが、116500LNが出て以降、白文字盤の評価が格段に上昇し、デイトナ以外の他機種でも白文字盤需要が高まるという、エポックメイキング的な存在でもあります。
なお、新作型番116500LNの「LN」はLunette Noirの頭文字をとった言葉であり、フランス語で黒いベゼルという意味を持ちます。
116500LNの登場によってデイトナ人気は大きく押し上げられ、ロレックス市場を牽引していく存在となりました。
搭載ムーブメントは先代と同じく自動巻きクロノグラフCal.4130。9時位置に12時間積算計、3時位置に30分積算計、6時位置にスモールセコンドというデイトナらしい横目配置の設計となっています。
ちなみにパワーリザーブ約72時間・耐磁および耐久性の高いパラクロムヒゲゼンマイを使用した、屈指の実用性を誇ります。
ロレックス デイトナ 116500LN
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4130
パワーリザーブ:約72時間
防水性:100m
定価:1,757,800円
前述の通り、例年高い人気を誇るデイトナ 116500LNは、常に品薄!正規店での購入が非常に難しいという現状です。
もともと人気モデルの宿命か、デイトナは正規店でなかなか買えない代表格でした。
しかしながら、ここ数年は品薄状況が加速。
コロナ禍における高級品需要や、デイトナの「資産価値」への注目度の上昇などといった背景により、並行輸入店ですら在庫確保に躍起になっていると言った状況です。
2023年においては多少の相場変動がありながらも、実勢相場は高値をキープ。
12月時点では、並行価格が白文字盤480万円台~、黒文字盤でも400万円前後〜とまだまだプレミア価格で推移しています。
しかしながら、これ程まで高騰しているにもかかわらず圧倒的な需要は健在なのがデイトナの凄いところです。
と言うのも、ほぼ毎年売上高・売上本数ともにデイトナ 116500LNがナンバーワンに輝いているのです。
普通、「売上本数」で計上すると安価なモデルが上位にくるもの。しかも116500LNと言えば屈指の価格高騰モデルです。
これほどまでに高額になってしまうと、普通は「買い控え」が起きるもの。しかしながら116500LNへの需要は一向に止まず…むしろ入荷から販売までの回転数の高さから、いかに多くの方々から愛されてきたかが垣間見えますね。
今後126500LNの供給が進むにつれ相場はある程度落ち着くと予想されますが、現段階では高止まりが続きそうです。
ロレックスの中で二番目に人気があるモデル エクスプローラー 214270
次に2023年の、売上本数第2位をご紹介いたします!
それは、デイトナと並んでロレックスの定番を誇るエクスプローラーIのRef.214270です!なお、売上金額でも第6位という結果になりました。「金額」に直すと上位をほとんど単価の高いデイトナが占めることとなりますが、エクスプローラーIは必ず食い込んでおり、このモデルの強さを例年感じさせられます。
人類未踏の地へチャレンジする探検家(エクスプローラー)のために開発された当モデルは、武骨なまでのシンプルさが何よりの特徴です。カレンダー窓すら持たず、かつ直径39mmという大きすぎないサイズ感。TPOを選ばず幅広いシーンで着用できるとあって、年齢問わず多くのファンから高い支持を得てきました。
もともとデイトナ 116500LNと一位、二位を争う屈指の人気モデルでしたが、2021年、とりわけエクスプローラーIの注目度がいや増しました。と言うのも、同年4月に行われた新作見本市Watches & Wonders Geneveにおいて、エクスプローラーIのモデルチェンジ、すなわちRef.214270生産終了が公になったためです。
※2021年に発表された、新型エクスプローラーI 124270
しかもこのモデルチェンジはムーブメントや細部の違いに留まらず、ケースサイズ自体が変わるというドラスティックなものでした。なんとケースサイズが先代Ref.114270に回帰し、36mmへダウンサイジングしたのです!新型エクスプローラーIのリファレンスがRef.124270であるからして、214270ではなく114270の系譜を引くことがわかりますよね。これに伴い、文字盤レイアウトもまた114270に倣うこととなりました。
これの意味するところとは、すなわち、39mmサイズのエクスプローラーIの、完全廃盤です。(2023年に224270が発売されましたが、こちらは40mmサイズでした。)
36mmサイズが出回ってきた今、人気が二分されるかと思いきや、にわかに旧型となった214270の人気も価格も、上昇ラインを描いています。
生産終了になったとは言え214270は流通量も豊富。そのため不動の人気として君臨し、2024年においてもロレックス市場を牽引していくことでしょう。
ちなみにエクスプローラーI 214270についてさらに紹介すると、2010年にリリースされたロングセラーです。ただし、2016年のランニングチェンジで文字盤仕様に変更がいくつか加えられています。変更点は「インデックスの3・6・9に夜光を塗布」したこと。および「針が長く太く」なったことにより、さらに探検家がどのようなシーンでも高い視認性を享受できるようになりました。
カジュアルにもフォーマルにも合い、どんなファッションでもなじむようなシンプルさ。それでいて頑丈な造り。高級腕時計の代表格でありながら、タフな実用時計でもあり、人気が高いのも当然かもしれません。
※もっとも、針に関してはケースサイズ36mmであった先代14270から変更が加えられていなかったため、「デザインバランス」について賛否両論がありました。その声を受けて、完璧なデザインを目指した結果だったのでは、といった捉え方もあります。
ムーブメントはCal.3132を搭載。これは、2000年頃~ロレックスのノンデイトの基幹ムーブメントCal.3130を、エクスプローラーI 214270のためにリファインした名機となります(その後、オイスターパーペチュアル39にも搭載されることとなりました)。
ロレックスが独自開発したブルーパラクロム・ヒゲゼンマイ、パラフレックス・ショックアブソーバーが採用されており、きわめてすぐれた耐磁性・耐衝撃性を獲得することとなりました。
ちなみにロレックスのムーブメントはCal.3200へと移行されており、エクスプローラーIも前述した2021年のモデルチェンジによって最新世代のCal.3230を搭載するようになりました。
Cal.3230においては安定的な高精度を実現しながらも、約70時間のロングパワーリザーブを誇り、大幅なスペックアップを果たしています。
これによりエクスプローラーI 214270に搭載されているCal.3132は旧型のムーブメントになりましたが、ケースサイズの違いという個性があるため、モデル自体の評価は下がっていません。
むしろエクスプローラーI 214270の方が現在相場を大きく高めているのは、前述の通りです。
「安く買える」価格帯であったエクスプローラーI 214270の価格高騰が顕著で、今では実勢相場が130万円前後(文字盤後期型の場合)となりました。
もっとも、エクスプローラーIはもともと人気が高く価値が安定しているため、手放すときは入手価格から大きく存せずにお買い取りが可能なモデルです。そのためイニシャルコストは高くなっても売却時に損をしづらいと言ったマインドから、あまり買い控えが見られない商材となっています。
ロレックス エクスプローラー 214270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm×厚さ11.3mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3132
パワーリザーブ:約48時間
防水性:100m
定価:687,500円(生産終了時)
「実勢相場が130万円前後」と前述しましたが、旧型文字盤であれば、まだ100万円程度~購入できる個体は少なくありません。
まさに、ねらい目!
2016年より前に製造されていた個体で、文字盤仕様は異なるものの、ムーブメントは同一。そのため経年があるとは言え大きくスペックは変わりません。
こういった背景からか、214270の中でも旧型文字盤の売上本数が少しづつ伸びています。
とは言え廃盤となった個体は年数を経るに従って状態の良い個体が少なくなり、その稀少性は増すもの。
もしご購入を迷われている方がいらっしゃいましたら、お早めのご決断をおすすめいたします!
ロレックスの中で三番目に人気があるモデル エクスプローラー 114270
三番目に売れたロレックスは、エクスプローラー 114270です!売り上げ金額においては14位に甘んじましたが、売上本数においては3位と大躍進を果たしました。
売上本数7位に14270、11位に124270がランクインするなど、今年度もエクスプローラーの人気は根強い結果となっています。
近年の動向として面白いのが、5桁リファレンスの人気が飛躍的に高まり、活発に売買されているということです。
114270や5桁リファレンスの14270が最新世代の124270を上回っており、シリーズ全体を通して売上本数が伸びました。
なお、114270の実勢相場は80万円台~。14270は70万円台~となっています。
エクスプローラーIだけでなくエクスプローラーIIもまた人気が上がっています。特にRef.16570はここ二年ほどで急速に売り上げを伸ばしてきている注目機です。
他のロレックスが相場を上げすぎてしまって、まだ比較的安いエクスプローラーIIに需要が流れてきていることなどが、人気急上昇の要因として考えられます。
しかしながら、エクスプローラーIIが長年ファンから愛され続けるロングセラーであることに変わりなく、新作の発表に伴い価値も上がっています。
今はまだデイトナやGMTマスターほどの「プレミア相場」にはなっていませんが、今後相場を上げてしまう可能性があるので、狙っている方はお早めの決断をお勧めいたします。ちなみに順位としては売上本数8位となっています。
ロレックスの中で四番目に人気があるモデル サブマリーナ 16610
サブマリーナーはご存知、ロレックスを代表するダイバーズウォッチです。
1953年に誕生し、良く1954年にバーゼルワールドでお披露目された当コレクション。100m防水に回転式のダイビングベゼルを既に備えた画期的な一本で、その後ロレックス人気を牽引するのみならず、現代ダイバーズウォッチに大きな影響を与える存在となりました(1980年代~防水性300mに)。
こういった歴史に加えて300m防水の堅牢な外装に視認性高い文字盤、ロレックスらしい高い精度ち信頼性を誇るなどといった機能美。さらに高級機として作りこまれたケース・ブレスレットの美しさや「これぞサブマリーナー」といったアイコニックな顔立ちは、唯一無二の存在感がありますよね。
「初めてダイバーズウォッチを買おう!」と思った時、まず候補に挙がる一本ではないでしょうか。
今年度の売上本数においては5桁リファレンスの16610が4位。現行Ref.126610LNが5位にランクインしました。
ロレックス サブマリーナー デイト 16610
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ13mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3235
パワーリザーブ:約70時間
防水性:300m
定価:1,222,100円
みんな大好きサブマリーナー。
多くのロレックスのロングセラー同様に、サブマリーナーもまた初代のデザインやコンセプトは踏襲しつつ、時代に合わせたモデルチェンジが連綿と行われてきました。
16610は1世代前のモデルに当たる旧型サブマリーナであり、「針・ラグ・リューズガード・ドットインデックス」が細く、全体的にシャープな印象を与えます。
ロレックス サブマリーナー デイト 126610LN
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ13mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3235
パワーリザーブ:約70時間
防水性:300m
定価:1,222,100円
サブマリーナはどの年代のモデルも人気がありますが、やはり現行モデルRef.126610LNはよく売れました。
現行Ref.126610LN(および126610LV)は、ケース直径41mmへとアップサイジングされていたことで大きな話題となったモデルです。サイズこそ大型化されましたが、厚みはほとんど変わっていないため、サブマリーナらしいスタイリッシュなデザインは健在です。
新世代ムーブメントCal.3235を搭載させたことによって、ロレックスらしい高精度はそのままに、パワーリザーブ約70時間(これまでは48時間程度)かつ優れた耐磁性能・耐衝撃性を誇る一級品へとまたアップデートされることとなりました。
驚くべきは、2023年12月現在の実勢相場が200万円前後~と、初出からほとんど落ち着きを見せていないということ!
こういった急激なアップダウンを見せずに高値を堅持していくモデルは、相場情勢に左右されづらく、高値安定していくポテンシャルを有しています(ダイバーズウォッチなので、夏場により人気が高まるなどの季節的要因はありますが)。
しかしながら近年のロレックス相場高騰の煽り―加えてサブマリーナー人気のいっそうの高まり―を受け、歴代モデルが全体的に高騰。昨年まで高騰の中心は「グリーンサブ」ことRef.16610LVや116610LV,126610LVでしたが、ベーシックなブラックベゼルもぐんぐんと価格が上昇していった次第です。
昨今はロレックス相場が不安定で「先を読みづらい」とも言われていますが、そんな中でもドッシリとした貫禄を有している一本と言えるでしょう。
ちなみに、現行グリーンサブ Ref.126610LVは僅差でランキングには入りませんでした。
これは「人気がなかった」のでは決してなく、むしろ常時品薄で仕入れが難しかったという背景が一つとして挙げられます。
Ref.126610LVの、現在の実勢相場は240万円台~。各時計店は絶対に在庫を切らしたくないモデルゆえ、依然として個人買取価格も高値が続いている状況です。
最後に、デイトナの旧型モデル116520の衰えない人気についても言及しなくてはなりません。
デイトナは126500LN、116500LNだけでなく旧モデル116520も人気があります。116520は売上本数では9位ですが、売上高では2位と好成績を残しました。
現在の実勢相場は約300万円~500万円台とまだまだ高値で取引されており、需要の高さが伺えます。
なお、ランキングには加わりませんでしたが、5桁リファレンスの16520も非常に高い人気を誇ります。
16520はもともと高相場でしたが、デイトナ人気の高騰により現在は実勢相場が約330万円〜700万円超!とプレミア価格になっています。
状態の良い個体が年々減少していくことから、今後も値上がりが続く可能性は高いです。
本稿では掲載しきれなかったヨットマスターやGMTマスターも根強い人気を誇ります。
また、定番モデルだけでなく、デイトジャストやオイスターパーペチュアルといった、従来は定番外しであったモデルへの注目度も高まりました。
2024年、いったい時計業界にとってどのような年となるのでしょうか。
今後もロレックスの相場・人気・新作動向について、注意深く追っていこうと思います。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年