
Watches And Wonders Geneva 2026でのヴァシュロン・コンスタンタンは、オーヴァーシーズに注力した新作発表となりました。
オーヴァーシーズはこれまでも多くのバリエーションがあり、革新を重ねてきましたが、今年は一味違います。
オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイントは今までステンレスが基本だったシリーズにチタンを採用した点で注目を集めています。
東西南北をテーマにトラベルウォッチのストーリー性を拡充している面でも見応え十分です。
2016年にも薄さを進化させオーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラットが登場しましたが今年は自社ムーブメントで実現したということですからファンにはたまらない朗報です(かつてはジャガールクルト製のムーブメントを採用)。
世界三大時計ブランドに数えられるヴァシュロン・コンスタンタンの注目すべきWatches And Wonders Geneva 2026新作を見ていきましょう。
※本記事は2026年4月14日時点の発表情報をもとに執筆しています。
4月18日~のスイス・ジュネーブ現地取材後、実機の質感やディテール、ブースの様子など、現地でしか得られない情報を本記事に随時反映していきます。
目次
Watches And Wonders Geneva 2026の新作としては以下の4つのカラーバリエーションを含む全5リファレンスになります。
まずは、連作シリーズとなるオーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイントの4リファレンスをテーマである東西南北の順で解説します。
最後に薄型モデルオーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラットをご紹介する構成になっています。
気になるモデルからご覧いただく形で楽しんでいただければ幸いです。
| 2026年新作ヴァシュロン・コンスタンタン一覧表 | |
|---|---|
| 東:Ref.7930V/210T-H074 | 西:Ref.7930V/210T-H075 |
| 南:Ref.7930V/210T-H072 | 北:Ref.7930V/210T-H073 |
| Ref.2500V/220P-H028 (X25PH028) | |

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
| Ref.7930V/210T-H074のスペック詳細 |
|---|
| 【外装】 ・ケースサイズ:直径41mm ・ケース素材:チタン ・ブレスレット:チタン ・文字盤:ブルー |
| 【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻き ・ムーブメント:Cal.5110 DT/2 ・パワーリザーブ:約60時間 |
| 【機能】 ・防水:150m |
| 【価格・発売時期】 ・予定価格:6,512,000円(税込) ・発売予定:2026年 |

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
2019年に写真家で探検家のコーリー・リチャーズ氏のエベレスト登頂を通してその堅牢性を証明したプロトタイプの量産版として登場した「オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント」です。
「オーヴァーシーズ」=「海を越えて」を意味する名の通り、旅をテーマとしたウォッチとして知られるシリーズですが今年のWatches And Wonders Geneva 2026では旅にまつわる
「東西南北」がテーマになり各方角ごとにリファレンスが用意されています。
一つ目の「Ref.7930V/210T-H074」は「東」がテーマで、ブルーの文字盤は海と空を感じるカラーリングになっています。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
いずれのリファにも共通する特徴ですが、ダイヤルの複雑な仕上げが特徴です。
まず、グレイン仕上げと呼ばれる梨地の表現が文字盤中央に大きな面積で施され、落ち着いた印象を醸成しています。
円形サテン仕上げ(円周状のヘアライン)を施した内側のミニッツトラック(分目盛部分)が光によって表情を変えて全体としてはマットな印象の中に彩りを与えています。
外側のミニッツトラックはラッカー仕上げとなっており、半艶とでも呼べば良いのか絶妙な質感で全体の調和を生み出しています。
スネイル仕上げ(うずまき状)のカウンターも、31日間を指し示す比較的大きな空間に表情を加え、複雑な味わいがあります。
東がテーマの「Ref.7930V/210T-H074」にはブルーダイヤルによく似合う、ブルーラバーストラップとオレンジラバーストラップが付属しています。
ベルトチェンジもワンタッチかつ数秒で交換できることから、手軽に様々なシーンに合わせた組み合わせで楽しむことができます。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
| Ref.7930V/210T-H075のスペック詳細 |
|---|
| 【外装】 ・ケースサイズ:直径41mm ・ケース素材:チタン ・ブレスレット:チタン ・文字盤:グリーン |
| 【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻き ・ムーブメント:Cal.5110 DT/2 ・パワーリザーブ:約60時間 |
| 【機能】 ・防水:150m |
| 【価格・発売時期】 ・予定価格:6,512,000円(税込) ・発売予定:2026年 |

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
「西」がテーマの「Ref.7930V/210T-H075」はグリーンのダイヤルを備え、そのカラーは「深い森」をイメージさせてくれます。
上述のブルー文字盤でも解説した通りに複雑な仕上げが組み合わされ、単なる森ではなく、「深い森」と表現したくなる奥行きのある仕上がりです。
今回の4モデル共通の特徴ですが、GMT針にはオレンジが差し色として採用されています。
GMT針には赤色が使われることが多い印象がありますが、赤とグリーン組み合わせはやや強いコントラストになりがちです。
その点、本モデルはオレンジを採用することで自然な差し色に仕上げています。
グリーンダイヤルを好む方にとっても、嬉しいカラーマッチングといえるでしょう。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
こちらのモデルには、チタンブレスレットの他にグリーンとオレンジのラバーストラップが付属します。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
| Ref.7930V/210T-H072のスペック詳細 |
|---|
| 【外装】 ・ケースサイズ:直径41mm ・ケース素材:チタン ・ブレスレット:チタン ・文字盤:ブラウン |
| 【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻き ・ムーブメント:Cal.5110 DT/2 ・パワーリザーブ:約60時間 |
| 【機能】 ・防水:150m |
| 【価格・発売時期】 ・予定価格:6,512,000円(税込) ・発売予定:2026年 |

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
「南」をテーマとした「Ref.7930V/210T-H072」は、ブラウンダイヤルを採用しています。
南といえば青や白または黄色など爽やかであったりトロピカルな色を想像しますが、
本作の着想源は「火山砂」(Volcano sand)とのこと。
参考: Revolution Watch|ヴァシュロン・コンスタンタン、ウォッチズ&ワンダーズ2026にて:アメリカン1921&オーバーシーズ、セルモニ&ペルヴェスとのコラボレーション
そう聞くと、ハワイの黒い砂は「Volcanic sand (beach)」と呼ばれることからも南国のイメージに納得がいきます。
ブラウンのダイヤルとホワイトゴールド製の時分針のコントラストが非常に高く、視認性に優れ、普段使いしやすい1本です。
付属のブラウンとオレンジのラバーストラップに替えれば、南国らしい世界観をいっそう楽しめるでしょう。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
| Ref.7930V/210T-H073のスペック詳細 |
|---|
| 【外装】 ・ケースサイズ:直径41mm ・ケース素材:チタン ・ブレスレット:チタン ・文字盤:ホワイト |
| 【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻き ・ムーブメント:Cal.5110 DT/2 ・パワーリザーブ:約60時間 |
| 【機能】 ・防水:150m |
| 【価格・発売時期】 ・予定価格:6,512,000円(税込) ・発売予定:2026年 |

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
「北」がテーマの「Ref.7930V/210T-H073」はホワイトのダイヤルで氷雪の世界を思わせます。
ダイヤルのホワイトは「ピュア」という言葉が相応しい白を実現しています。
クールな表情とは裏腹にシースルーバックからはNAC処理(グレーのコーティング)で耐久性を上げながら、ローターの金色との鮮やかなコントラストで楽しませてくれます。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
そんな「Ref.7930V/210T-H073」はホワイトとオレンジのラバーストラップが付属します。

画像引用:ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント
フォーマルな場にはホワイトストラップでクールに装い、オレンジストラップではオフタイムのリラックスしたシーンで楽しむこともできそうです。

画像引用:サイト名|ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラット
| Ref.2500V/220P-H028 (X25PH028)のスペック詳細 |
|---|
| 【外装】 ・ケースサイズ:直径約39.5mm ・ケース素材:プラチナ950 ・ブレスレット:プラチナ950 ・文字盤:ラッカー仕上げ サーモンカラー |
| 【ムーブメント】 ・駆動方式:自動巻き ・ムーブメント:Cal.2550 ・パワーリザーブ:約80時間 |
| 【機能】 ・防水:50m |
| 【価格・発売時期】 ・予定価格:19,008,000円(税込) ・発売予定:2026年 |

画像引用:サイト名|ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラット
注目はやはり、ヴァシュロン・コンスタンタンが7年の歳月をかけて新開発したCal.2550です。
ムーブメントサイズの半径に匹敵する通常のローターでは、ムーブメントに積み重ねるようにレイアウトしなければいけません。
当然、ローター分の厚みが増す方向になります。
そこでオーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラットでは「マイクロローター」という小径15.5mmのローターを採用することでムーブメントの中に埋め込んでいます。

画像引用:サイト名|ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラット
この径であればムーブメントに平面として場所を確保すれば、埋め込むことは可能です。
ただ、その平面を確保するためにバレル(ゼンマイが入っている香箱)は「サスペンデッドバレル」を採用していると推測できます。
つまり、香箱を2つに分けて上下に重ね、1本の支柱で支持する構造を採ることで、約80時間のパワーリザーブを確保しつつ、ムーブメント内の限られたスペースを有効に使っていると考えられます。
これはムーブメントを外から見る限り、香箱が1つしか見えないことからの推測ですが、そういった工夫を積み重ね、ムーブメントとして厚み2.4mm、ケースの厚みとして7.35mmを実現していると考えると感慨深いものがあります。
また、ムーブメントの仕上げも美しく見応えがあります。
ローターの仕上げはウインドローズと呼ばれる方角を示す紋様が鏡面で輝き、その周りを梨地のマットな表現でコントラストを作り引き立てています。
ローターの下に見える地板は細かいペルラージュ(渦目模様)が施されており、小径であればあるほど仕上げの時間がかかることを考えると抜かりなく手間をかけて仕上げていることが感じられます。
地板やブリッジに見られるコート・ド・ジュネーブ(縦の波目)は、幅が狭くこちらも手間がかかっています。
そして、何よりほとんどの輪列を受ける大きな地板と、テンプを支えるブリッジのコート・ド・ジュネーブがつながっている(ズレていない)ことから一緒に目付けを施す補助具を使いながら美観にこだわって磨き上げられていることがわかります。
よく見るとローターにも「Pt 950」の表記があることから、プラチナであることがわかります。
ここまで来ると2,000万円近い値段にもうなづけます。
ややムーブメントで語りが過ぎてしまったので外観に目を向けると、やはり話題の「サーモンダイヤル」が印象的です。

画像引用:サイト名|ヴァシュロンコンスタンタン公式サイト|オーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラット
1940年代から採用されているサーモンカラーダイヤルとホワイトメタルの組み合わせはヴァシュロン・コンスタンタンの定番として知られ、伝説のクロノグラフ4178を彷彿とさせることでも有名です。
ファンとしてはたまらないカラーです。
新しい革新の自社ムーブメントと定番カラーを備えた「Ref.2500V/220P-H028 (X25PH028)」は完成度の高い1本と言えます。
ヴァシュロン・コンスタンタンの今年のブースは「Explore All Ways Possible(可能なあらゆる道を探求する)」というテーマを体現する空間でした。
入口では「オーヴァーシーズ・デュアルタイム・カーディナルポイント」が東西南北のモチーフを通じて旅の世界観を示し、続く「オーヴァーシーズ・オートマティック・エクストラフラット」が薄型技術への挑戦を印象づけます。
さらに奥にはLa Quête du Tempsなどの高度な技術を体現したモデルが並び、ブランドの探究心を強く感じさせる展示になっていました。
ヴァシュロン・コンスタンタンの2026年新作は、オーヴァーシーズというコレクションの可能性を改めて広げる内容となりました。
東西南北をテーマとした「デュアルタイム・カーディナルポイント」は、旅の物語性とチタン外装の新鮮さが魅力でした。
一方、「オートマティック・エクストラフラット」は新開発の自社ムーブメントによって薄型の価値を再提示して驚かせてくれました。
実用性や造形美、技術的挑戦を高い次元で融合させた今回の新作は、ヴァシュロン・コンスタンタンの探究心を強く印象づけるラインナップだったと言えるでしょう。