「カルティエのタンクにはどんな種類があるの?」
「タンクマストとマストタンクはどう違うの?」
カルティエのタンクが気になっている方は、タンクシリーズの種類の多さや違いについて知りたいのではないでしょうか。
カルティエはフランス・パリで長い歴史を誇る老舗ブランドで、世界中の王侯貴族を顧客に持つことから「王の宝石商・宝石商の王」と呼ばれる名門中の名門ジュエラーです。
タンクシリーズは、腕時計ブランドとしてもトップクラスのカルティエが、100年以上前に生み出したフラッグシップモデルで、時代ごとに進化を続け今でも高い人気を博しています。
この記事では、カルティエのタンクシリーズに関して、数多くの種類とそれぞれの違いや魅力について解説します。
手頃な価格で手に入りやすいタンクについても解説していますので、これからカルティエタンクを購入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
カルティエタンクは、第一次世界大戦終了後のアールデコが花開く時代に先駆けて1919年にリリースされました。
タンクは第一次世界大戦を終結に導いた平和の象徴「ルノー製戦車(タンク)」の轍、あるいは戦車の平面図からインスピレーションを得てデザインされたと言われています。
角張った戦車の構造を思わせる、縦に伸びた2本の枠にラグを一体化させた直線的なデザインが、100年を超えるカルティエタンクシリーズを貫く特徴です。
カルティエタンクシリーズの種類は以下になります。
タンク フランセーズは1996年にリリースされたモデルで、現在もなお代表的なアイコンとして多くのファンに愛されています。
フランセーズ(Francaise)とは、フランス語で「フランスの・フランス人の」「フランス的な」という意味があり、フランス名門ブランドの中でもトップクラスに君臨するカルティエの信念と矜持が、その名前に込められています。
タンクシリーズの直線的なデザインはそのままに、ケースとブレスレットがなめらかに一体化している点が特徴で、カラーや素材のバリエーションも豊富です。
タンク アメリカンは1988年にリリースされたモデルで、タンクシリーズの直線美を活かしつつ、モダンアメリカンスタイルを取り入れている点が魅力的です。
国名をモデル名に持つタンクはアメリカンのほかにフランセーズ・アングレーズがあり、創業後に創業者兄弟がパリ・ロンドン・ニューヨークに店舗を構えたことに由来すると言われています。
古き良き時代のニューヨークスタイルを彷彿とさせるモダンなケースは、他のタンクよりも少し長く、手首に合わせて湾曲しているため装着感の良いモデルです。
また砲弾型が特徴的なタンクのなかでも平坦にカットされたリューズや、SMサイズよりも小さなミニサイズがある点、2023年にリニューアルした点などが特徴です。
タンクアメリカンのサイズ展開はミニ、スモール、ラージの3サイズ展開。ミニは「ミニサイズ…28mm×15.2mm」、「スモールは35.4mm×19.4mm」、「ラージは44.4mm×24.4mm」となっています。
タンク アングレーズは2012年にリリースされたモデルで、フランス風の「フランセーズ」、アメリカ風の「アメリカン」に続き、イギリス風という意味の「アングレーズ」と名づけられています。
タンク フランセーズ・アメリカン・アングレーズは「タンク3部作」と呼ばれており、それぞれリューズが砲弾型ではなく、平坦な点が特徴です。
なかでもタンク アングレーズはリューズがケースに埋め込まれており、さらに丸みのあるケースのフォルムと相まって品の良いやわらかな印象のデザインとなっています。
タンク アングレーズは優美な印象のケースに加え、サイズ展開が豊富な点で特に女性から支持されているモデルです。
サイズ展開はLM・MM・SMの3種類ですが、同じサイズ表示でも他のタンクより実寸は少し大きめです。
LM | 縦39.2mmx×横29.8mm |
---|---|
SM | 縦34.7mmx×横26.2mm |
MM | 縦30.2mm×横22.7mm |
タンク ソロは2004年にリリースされたモデルで、初代タンクや市販され広く親しまれるタンク ルイ カルティエのDNAを色濃く受けつつ、現代的解釈を加えたデザインが特徴です。
100年以上の歴史を持つタンクに、シャープな一体感や現代的なディティールを与えることで、一層ミニマルで洗練された印象となりました。
ステンレススティールを主な素材として使用しているため、タンクシリーズのなかでは控えめな価格帯で、3段階のサイズ展開とジェンダーレスなデザインにより男女ともに高い人気を誇りました。
惜しまれつつ2021年に廃盤となりましたが、中古市場でも根強い人気を保っています。
タンクソロは、男性女性問わず着けやすいジェンダーレスなデザインで、3種類のサイズ展開です。
サイズ表記はタンク ルイ カルティエと同様のXL・LM・SMですが、実測の寸法は若干異なります
XL | 縦40.85mm×横31mm |
---|---|
LM | 縦34.8mmx横27.4mm |
SM | 縦31mmx横24.4mm |
タンクルイカルティエは、カルティエのタンクシリーズのなかで最もラグジュアリーなハイエンドモデルで、1922年に誕生し三代目カルティエが実際に愛用していた名機として知られています。
世界中にファンを持つモデルで、タンク ルイ カルティエを愛してやまない「タンキスト」という言葉を生み出したアイテムとも言われ、現在に至ってもブランドのフラッグシップモデルとして君臨しています。
誕生から変わらない直線的なデザインと貴金属製のケース、贅沢な皮革や貴金属を使用したブレスレット、ギョーシェ彫りを施した文字盤などすべてがハイレベルな作りです。
さらに、砲弾をイメージしているリューズのジュエルもブルースピネルではなく、本物のサファイアが使用されています。
タンク ルイ カルティエのサイズ展開について解説します。
カルティエの腕時計はベニュワール以外、メンズ・レディースの違いがほとんどなく、その代わりサイズ展開が非常に豊富です。
女性も男性も、手首のサイズや好みに合わせて様々なサイズから選べるジェンダーレスな点が、カルティエの腕時計の特徴です。
XL | 縦41mm×横31mm |
---|---|
LM | 縦33.7mm×横25.5mm |
SM | 縦29.5mm×横22mm |
MM | 縦28mm×横20.5mm |
ミニ | 縦24mm×横16.5mm |
もとはSMが最も小ぶりで、MMはボーイズサイズとされていましたが、2025年の現行ではLM・SMの2サイズで展開、さらに小ぶりなミニサイズも登場しています。
100年以上流通しているモデルで、アンティークの数が多くXLサイズやMMサイズのアイテムも見つけやすいため、ちょうど良いサイズ感のものをお求めの方におすすめです。
マストタンクは、カルティエが1970年代にディフュージョンシリーズとしてリリースした「レ マスト ドゥ カルティエ」の腕時計で、経営不振にあえいでいたカルティエの救世主となったヒット商品です。
「レ マスト ドゥ カルティエ」のタンクということで「マストタンク」と呼ばれ親しまれ、2000年頃の生産終了まで高い人気を維持し、現在は中古市場でも好評を得ています。
特徴は「ヴェルメイユ」と呼ばれる特殊なケースで、スターリングシルバー(シルバー925)にメッキよりも厚い1.5ミクロン以上のゴールドをコーティングして作られています。
「金箔を着せた銀」と呼ばれるヴェルメイユは、18Kゴールドケースよりも安価ですがメッキよりもはるかに金の美しさが堪能できる、優れた加工技術です。
マストタンクのサイズ展開について解説します。
マストタンクは1970年代から2000年頃まで長く販売されていたため、マイナーチェンジが行われており、生産された時期などによってサイズに若干の個体差が生じています。
XL | 縦33.5mm×横25.5mm |
---|---|
LM | 縦30mm×横23mm |
SM | 縦28mm×横20.5mm |
MM | 縦29.5mm×横22mm |
なかでもMMサイズは90年代以降にリリースされ、比較的すぐに生産が終了したため流通数が少なく、希少価値が高くなっています。
2021年に登場したタンクマストは、大変な人気を誇り2000年頃に生産終了を迎えた「レ マスト ドゥ カルティエ」ことマストタンクのデザインに現代的解釈を加えた復刻モデルです。
マストタンクの特徴である、直線的でありながら優美な曲線美もあわせ持つデザインを継承し、さらに最先端の技術も惜しみなく取り入れています。
太陽光で発電するソーラービートムーブメントや、動物愛護やサスティナブルな観点から注目されている非動物性素材を使用しており、地球にやさしい腕時計としても関心が寄せられています。
タンクマストはマストタンクの復刻モデルですが、サイズは時代に合わせて少々異なります。
また、ムーブメントがソーラービートか自動巻きか、クォーツ式かによってサイズ展開が異なるモデルです。
XL | 縦41mm×横31mm |
---|---|
LM | 縦33.7mm×横横25.5mm |
SM | 縦29.5mm×横22mm |
基本的に、自動巻きはXLサイズです。
クォーツ式はLMサイズかSMサイズ、またソーラービートもLMサイズとSMサイズが基本サイズです。
タンクMCとは、2013年にリリースされた機械式モデルで、「MC」は「マニュファクチュール・カルティエ」の頭文字から名づけられています。
その名前が示す通り、カルティエのマニュファクチュールムーブメントであるCal.1904MCを搭載しており、シースルーバックから様子を眺めることも可能で、スケルトンタイプも存在しています。
カルティエでは男性に向けてタンクMCを開発しており、スモールセコンドや日付機能などがプラスされたタンクでは珍しいデザインです。
タンクMCは、ジェンダーレスなモデルが多いカルティエとしては珍しく、男性向けにデザインされており、基本的にLMサイズのみ生産されています。
LMサイズはタンクMCの場合、縦44.0mm×横34.3mmです。
スケルトンタイプもLMサイズのみですが、通常タイプのタンクMCと若干実寸が異なり、縦43.8mm×横34.5mmです。
マストタンクとタンクマストは、名前が似ていて「何が違うの?」「別のモデルなの?」と悩む方も少なくありません。
マストタンクとタンクマストは似た名前ですが、異なるモデルです。
マストタンクとタンクマストの違いを表で解説します。
項目 | マストタンク | タンクマスト |
---|---|---|
リリース | 1976年 | 2021年 |
2025年現在 | 廃盤 | 現行 |
シリーズ | レ マスト ドゥ カルティエ | – |
素材 | 18K・ステンレススティール・ヴェルメイユ等 | ステンレススティール |
リューズ | 丸みのあるカボション | 砲弾型カボション |
ブレスレット | レザーストラップがメイン | メタル・非動物性皮革を交換できる |
デザイン | レトロでバラエティー豊富 | ミニマルで洗練されている |
タンクソロとタンクマストは似た点が多く、違いがわからないという方もいます。
タンクソロとタンクマストの違いについて、わかりやすく表にまとめました。
項目 | タンクソロ | タンクマスト |
---|---|---|
リリース | 2004年 | 2021年 |
2025年現在 | 廃盤 | 現行 |
デザイン | 初代タンクに現代解釈を加味 | マストタンクに現代解釈を加味 |
素材 | ステンレススティール | ステンレススティール |
コンセプト | エントリーモデル | マストタンクの後継 |
ブレスレット | レザーストラップがメイン | メタル・非動物性皮革を交換できる |
ムーブメント | 機械式・クォーツ | 機械式・クォーツ・ソーラービート |
リューズ | 丸みのあるカボション | 砲弾型カボション |
印象 | シャープで直線的 | 丸みがありシンプル |
カルティエタンクの中で、一番安く買えるモデルについて解説します。
タンクは販売年数が非常に長いロングセラーで、モデルも数多く存在していますが、価格帯は数十万円で買えるものから超高級品まで無限大です。
初めて高級腕時計やカルティエタンクを購入する場合、失敗しないためにも一番安く買えるモデルを知っておきましょう。
2025年現在、一番安く買える可能性が高いモデルは、マストタンクです。
1976年から2000年代まで長く販売されていたため中古市場にも数多く流通しており、探せばすぐに見つかります。
価格は個体によって20万円前後から販売されており、デザインや素材も豊富で選択肢が多いこともメリットです。
次点で手頃な価格で買えるモデルは、カルティエタンクソロです。
タンクソロは元々ハイエンドモデルであるタンク ルイ カルティエをデザインのベースとし、現代解釈を加えてリーズナブルな価格設定に抑えたエントリーモデルとして登場しました。
廃盤となっている現在では中古市場で流通していますが、20万円中盤から販売されています。
タンクフランセーズは品の良いアクセサリーのようなフォルムが女性に人気のモデルですが、タンクソロと同じくらいの価格帯で購入できます。
現行品はカルティエの定価で50万円以上からの価格で販売されていますが、中古市場で販売されているものは20万円中盤前後の価格帯です。
数多く流通していることもあり、安くて質の良い個体に出会える可能性も少なくありません。
腕時計の中古価格は個体のコンディションによって異なりますが、円相場や金相場にも大きく左右されるため、時期を見極めてよりお得にゲットできるように専門店に相談して購入することがおすすめです。
カルティエのタンクシリーズは、平行する直線的なラインというシグネチャーなフォルムを貫きながら、100年以上の歴史の中で時代に合ったモデルを数多く輩出してきました。
初めての高級腕時計・ファーストカルティエにぴったりの手頃な価格のマストタンクやタンクソロから、「上がり」に相応しいハイエンドモデルまで揃っています。
また、ジェンダーレスなデザインでサイズ展開も豊富なため、男性・女性関わらず「好き」なモデルをストレートにセレクトできる点も魅力です。
モデル・サイズ展開など種類が豊富なカルティエタンクで、あなただけの「生涯の相棒」に相応しい1本を探してみてはいかがでしょうか。