腕時計界のF1と称されるリシャールミルが、クレーコートの王者「ラファエル・ナダル」のために生み出した「RM35-02 オートマティック ラファエル・ナダル」。
単なるシグネチャーモデルにとどまらず、ナダルがコート上で求める軽さ・耐衝撃性・信頼性を革新的素材の融合と、精密設計による堅牢な構造設計で徹底的に具現化した、まさにリシャールミルの思想を体現する存在といえる時計です。
深紅のケースを纏った「RM35-02」は、過酷な環境下でも揺るがぬ性能を誇る”究極のアスリートウォッチ”。その外観、テクノロジー、ムーブメントに込められた技術の革新を、ディテールを鮮明に写し取った写真とともに紐解いていきたいと思います。
目次
「リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02」は、新富裕層をターゲットに高い人気を得ているリシャールミルが、テニス界のヒーロー、ラファエル・ナダル氏と2016年に共同開発した高級機械式腕時計。
本記事で紹介するモデルは真っ赤な表面に木目のような白い模様が浮かぶケース、スケルトン仕様の文字盤とケースバック、見ただけでも複雑さが伝わるムーブメントと攻めたデザインです。トノー型ケースの存在感も圧倒的で、一目で常識を逸した時計であることを印象づけることでしょう。
リシャールミルは非常に高価なことで知られる超雲上ブランドで、著名人の愛用機という点ばかりが注目を集めていますが、その品質や性能についてはあまり深く知られていません。
では、なぜ「クレーの王者」と称されるラファエル・ナダル氏が、この時計を実際に試合中に着用しているのか。その理由を探ることで、リシャールミルが単なるステータスシンボルにとどまらず、性能や耐久性においても卓越した存在であることが浮かび上がってきます。
ラファエル・ナダル氏の名を冠した「ナダル」モデルが誕生したのは、2010年のことです。
リシャールミルは当時から「極限の環境でも使用できる時計」を目指し、ナダル氏をアンバサダーとして迎え入れました。ナダル氏自身が開発に携わり、実際に試合で使用することを前提に設計されたシリーズは、現在に至るまで高い人気を誇っています。
試合中に腕時計を着けることなど想像もしなかったラファエル・ナダル氏ですが、リシャールミルから最初に手渡された試作機を装着した瞬間、その圧倒的な軽さに驚かされました。
20gにも満たない超軽量の機械式時計は、腕時計業界でも前例のない存在です。「腕時計は重く、パフォーマンスを妨げるもの」と考えていたナダル氏にとって、その着け心地はまるで羽のように軽やかだったのです。
さらに、計算し尽くされたバックケースの形状と特殊素材の採用により、長時間の着用でも快適さが損なわれません。その優れた装着感から、ナダル氏は自身が共同開発に携わったナダルモデルを「第二の肌」と呼んでいます。
画像引用:リシャールミル公式HP|RM 027トゥールビヨン ラファエル・ナダル
リシャールミルの「ナダルモデル」の始まりは RM027(2010年発表)。このモデルはトゥールビヨンを搭載しながらも実際に5時間に及ぶ試合に耐え得る設計を実現していました。
元々トゥールビヨンというものは複雑機構のなかでも特に精緻で、拍手で壊れるとも言われる繊細な機構です。
5時間の試合で腕時計にかかる衝撃は数百Gに及びますが、リシャールミルのトゥールビヨンはびくともせず、ナダル氏はナダルモデルを着用してその年の全仏オープン、全英オープン、そして全米オープンを勝ち抜きました。
こうして誕生したナダルモデルは、軽さと耐衝撃性という相反する要素を見事に両立させ、リシャールミルの革新性を世に知らしめました。
その系譜を受け継ぎつつ、さらなる進化を遂げたのが本記事で紹介する「リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02」です。
ここからは、ナダルシリーズの革新とも言える本モデルの特徴について詳しくご紹介いたします。
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02は、ナダル氏が共同開発に携わるナダルコレクションの中でも特に人気の高い一本で、真紅のケースがひときわ強烈な印象を放つモデルです。
最大の特徴は、シリーズとして初めて自動巻きムーブメントを搭載した点にあります。加えて、鮮烈なレッドのケース、驚くほどの軽量性、そして過酷な環境下でも信頼できる強靭なムーブメントと、随所に注目すべき要素が詰め込まれています。
まずは、ひと目で心を奪う鮮やかな赤のケースに焦点を当てましょう。
横から眺めれば整然と積層する層が浮かび上がり、表面から見ると木目のような白が不可思議な模様を描き出します。この独創的な素材と仕上げこそ、RM35-02の個性を象徴するものです。
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02のケースは、非常に軽くて高い環境耐性を持つクオーツTPT®で作られています。
クオーツTPT®は、リシャールミルとノース・シン・プライ・テクノロジー(NTPT®)社の共同開発で誕生した新素材で、超高級腕時計素材として活用されています。
ノース・シン・プライ・テクノロジー(NTPT®)社は、強化繊維と特殊な樹脂を精密な管理下で均一に含浸させた「プリプレグ素材」の第一人者で、リシャールミルが要求する航空宇宙分野やF1マシンレベルの特殊な素材を生み出してきました。
RM35-02に使用されるクオーツTPT®は強化繊維にクオーツファイバーを用いた素材で、強度や耐熱性に優れるうえ、電磁波の透過性により、外部からの電磁波による影響を受けにくいという腕時計には欠かせない特性を持ちます。
赤と白からなる素材は、耐久性・安定性に優れ、5,000Gの加速にも耐えられます。実際一般人が耐えうる加速は6G程度と言われているため、その強靭さがいかに突出しているか、想像が容易いです。
また、REACH規則(欧州連合が制定した化学物質の登録、評価、認可および制限に関わる規則)に準拠し、生体的適合性・非アレルギー性も高いため、誰でも安心して使用できるという点があり、まさに腕時計のケースに最適な素材といえます。
リシャールミルはクオーツTPT®などの複合素材を超高級腕時計のケース素材に採用し、必要に応じて新たな素材を研究開発することを、ラグジュアリーウォッチ製造の新たなスタイルとして確立しました。
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02のケース素材である、レッドクオーツTPT®は、ひとつとして同じ模様が得られない唯一無二の素材です。
ケースを横から見ると真紅の層と白い層が均一に重なっていますが、なだらかに削り出された表面には木目のような模様が不規則に浮かびます。
この模様は、クオーツTPT®の特殊な製法により生み出されています。
赤い部分は厚さ45ミクロン以下のシリカ層を、リシャールミルが開発した特殊なレッド母材で着色したものです。
赤い母材とホワイトのクオーツファイバーを、各層の繊維の方向を45度ずらしながらきっちりと重ねていき、航空機部品製造レベルの高圧窯で120度の熱処理を施すと、赤と白の縞模様が鮮やかな素材が生まれます。
完成した素材をリシャールミルのケースファクトリーである「プロアート」で切り出すと、赤と白の層が交互に表面へと現れ、ダマスカス鋼にも似た唯一無二の模様となるのです。
ムーブメント | キャリバーRMAL1 |
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種類 | 自動巻きムーブメント |
パワーリザーブ | 55時間 |
テンプ振動数 | 毎時28,800振動(可変慣性テンプ) |
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02に搭載されているキャリバーRMAL1は、ナダルモデル初の自動巻きムーブメントです。
これまでナダルモデルは軽さを追求するため手巻きムーブメントが使用されてきましたが、顧客からの熱い要望に応える形で、自動巻きムーブメントが搭載されることになりました。
自動巻きムーブメントには巻き上げローターが必要なため、手巻きよりも重く、複雑で故障しやすくなるといわれますがリシャールミルでは、軽量化のため徹底的に肉抜きされたローターが使用されていることが、両面反射防止処理済みサファイアクリスタル製のケースバックから見て取れます。
さらにローターには植物の双葉のような、左右に伸びる三角形のフィンが取り付けられているのですが、これこそが当機の大きな特徴である「可変慣性モーメントローター」です。
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02には「可変慣性モーメントローター」という特許取得技術が搭載されています。
当機の特徴であるシースルーバックから見える、ローターに取り付けられた三角形の部品が可変慣性モーメントローターのフィンで、角度によって慣性モーメントの大きさを変動させることが可能です。
ランニングやウォーキングを愛するアクティブな方と、デスクワークや乗り物移動が主なインドア派な方では、腕の運動量が大きく異なるため、ローターの回転数も違ってきます。
ローターの巻き上げ効率に関しては、各ブランドともに向上を目指しています。しかし、運動量の変化に応じた巻き上げ効率の対個人向け最適化までは、腕時計業界も顧客もほぼ気にしていなかったことでしょう。
リシャールミルはライフスタイルに応じて巻き上げ効率を最適化することで、香箱をはじめとする内部構造への負担を極限まで軽減することに成功したのです。
リシャールミルでは腕時計購入時にオーナーへライフスタイルについて質問、運動量に合わせて慣性モーメントフィンの角度を調整し、一人一人に最適な「オーダーメイド」の巻き上げ効率を実現できます。
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02に採用されているムーブメント「Cal.RMAL1」は、腕時計の心臓部にあたる構造の要となる「地板」と「ブリッジ」にグレード5チタンを使用しています。
ムーブメントの地板(メインプレート)とブリッジは、主要パーツの土台と覆いになる対の部品で、ムーブメント全体を支えパーツを正確な位置に留めるための非常に重要な基礎です。
地板とブリッジにグレード5チタンを使用することで、ムーブメントの土台と支えの剛性が高まり、歯車の軸ブレやトルクロスを防ぎ、時計の精度と耐久性を長期間維持できます。また軽量で耐腐食性にも優れるため、精緻な構造を安定させつつムーブメント全体の負荷を軽減できます。
理想とする最高峰の機能性のためにはコスト・手間を惜しまないリシャールミルが、ムーブメントの要となる地板・ブリッジに選んだ素材こそ、グレート5チタンなのです。
グレート5チタンの優位性を端的にまとめると以下となります。
高剛性 | 軽量ながら強度が高く、地板やブリッジのたわみ・変形を防ぎ、歯車の軸ブレやトルク伝達効率を維持する。 |
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耐衝撃性 | 衝撃や振動に強く、瞬間的変形でも割れにくいため、スポーツや高G環境でもムーブメントを保護する。 |
熱膨張率が低い | 温度変化による寸法変化が少なく、輪列のズレやムーブメントの変形を防ぎ、精度を安定させる。 |
軽量 | ムーブメントや腕時計全体を軽くし、快適な装着感とローター効率向上、摩耗低減による耐久性が向上。 |
地板はメインプレートとも呼ばれる部品で、ムーブメントの土台となる構造です。
歯車やゼンマイ、脱進機などムーブメントの主要パーツがすべて地板(メインプレート)に取り付けられるため、腕時計の機構の柱となる部分です。
そのため地板がたわんだり歪んだりすると、歯車の噛み合わせがずれてしまい、精度低下や歯車の摩耗、トルクロスといった不調の原因となるため、地板の剛性は非常に重要。
リシャールミルでは剛性に優れたグレード5チタンを採用することで、精緻このうえないムーブメントの高い精度を保ち続けることが可能です。
ムーブメントの部品の土台である地板(メインプレート)と対になったカバーのような部品で、地板とブリッジでパーツを挟み込んで固定します。
ブリッジは「受け」と呼ばれることも多く、「テンプ受け」「輪列受け」といった呼び方に馴染みがある方も多いでしょう。
歯車を支える穴石や受けを取り付けるパーツのため、ブリッジにゆがみやたわみなどがあれば、歯車の軸ブレなどが生じて、歯車の回転トルク伝達効率が低下してしまうほか、精度にも悪影響を及ぼします。そのため地板同様、素材の剛性は非常に重要なため、グレート5チタンが使われることでブレが抑えられます。
グレート5チタンはたわみや衝撃に強く、熱による変形も少ない非常に軽い金属で、リシャールミルのムーブメントを守る土台に最適な金属素材です。
「腕に巻くF1マシン」という異名も持つリシャールミルのムーブメントは、強いだけでなくパフォーマンスを最大限に引き出す軽量と、どんなに過酷な環境下でも精度を保つ安定性を兼ね備えなければなりません。
リシャールミルでは、非常に優れたグレート5チタンに対して、PVD(物理蒸着法:コーティング被膜を張る)とTitalyt®処理(チタリット処理:電気プラズマでチタン表面に被膜を張る)を行ってから、引き伸ばし加工を施すことで、さらなる剛性と完璧な平面性を実現しています。
グレート5チタン製の地板とブリッジに挟まれることで、どんな衝撃が続いてもムーブメント内の可変慣性テンプは28,800振動/時振動を維持し、二重香箱による安定的なトルク供給と合わせて高い精度を保てるのです。
リシャールミルの特徴は軽量性、耐衝撃性の高さですが、どれほど軽いのか、機械式時計の常識をくつがえす丈夫さがあるのか、実情が気になっている方は多いでしょう。
この項目では当モデルを実際に着用した際のレビューをお届けします。
まずは、なんといっても、手に取れば必ず驚くその軽さ。
ケースサイズが大きめな見た目ということもあり、とにかくその軽さに驚かされます。
普段、ステンレススチールなどの機械式腕時計に慣れている人は、余計に軽く感じるかと思います。
たった72g程度の軽さに「本当に丈夫なのかな」と不安を感じるほどですが、非常に堅牢でテニスプレー中のインパクトにもしっかり耐える構造のため、相手とぶつかり合うコンタクトスポーツでなければ安心して着用できる時計といえます。
トノー型のケースは縦50mm×横44mmとかなり大ぶりですが、バックケースの形状がコンフォータブルに設計され手首に沿ってくるため、フィット感はとても良いです。
金属製のケースと比較すると柔らかな肌触りで、大きさを感じさせない軽やかな着け心地です。
大きめのトノーケースではありますが、手首に沿うバックケースの形状や柔らかく肌にフィットする素材感などで着用感が良く、手首の可動にも問題なくラバーベルトの腕当たりも優しい感じです。
特殊なクオーツの層に圧力と熱を加えて形成されるケースは、幾重にも重ねられた素材が縞模様となって表面に現れ、ざらりとした風合いのある手触りです。
木材を感じさせるような素朴な手触りや、同じものが1つとない縞模様の表面、削り出したままクリアコートをかけていない仕上げなど、最先端の新素材に触れている感覚が堪能できます。
重ねて鍛造した特殊素材の表面に浮かぶ縞模様はダマスカス鋼のような風合いで、荒々しささえ感じさせる素材感は、特別な腕時計という満足感を与えてくれます。
ただし、当然ではありますが一般的な金属製の時計と比べると外装は少し柔らかいため、すり傷などに関しては注意する必要がありそうです。
リシャールミルのターゲットは世界人口の1%以下といわれる「超富裕層」です。世界的に知られる成功者、実業家やアスリート、芸能人、アーティストなどが、リシャールミルの愛用者です。
とはいえ、リシャールミルはプラチナなどの貴金属・宝石を使っていないモデルでも、1本1,000万円以上が当たり前、1億を超えるモデルも珍しくない腕時計です。
時計に詳しくない人からすると、なぜここまで高価な時計が売れるのか不思議ですよね。
リシャールミルの腕時計がどれも非常に高価である理由は、最先端を極めた素材・技術を惜しみなく使用しているという点がまず挙げられます。
「エクストリームウォッチ(過激・極端な時計)」をテーマに、腕時計を開発し続けているリシャールミルという企業について掘り下げることで、雲上の価格を標榜する理由が見えてきます。
リシャールミルの腕時計は、独自に開発された最先端素材や前例のない技術、そして全く新しい視点から設計されたムーブメントによって支えられています。
前述した通り、ケースやムーブメントにはグレード5チタンやTPT®素材といった、宇宙開発分野でも採用されるほどの強度と信頼性を持つ新素材を採用。さらに複雑機構を搭載したムーブメントは「放り投げても壊れない」と形容されるほど堅牢でありながら、精密な正確性を維持します。
これらの研究・開発・製造には膨大な時間とコストが必要となるため、必然的に価格が高価になります。
また、「腕時計のF1(フォーミュラ1)」を掲げるブランドとして、構造・ムーブメント・軽量化のあらゆる面で革新を追求。実際にネジ1本に何十回もの試作を重ね、1本で100ドル以上のコストがかかることもあるほど、細部まで妥協のない設計思想が反映されています。
画像引用:リシャールミル公式HP|ブランドの歴史|リシャール・ミル氏
リシャールミルの創業者であるリシャール・ミル (Richard Mille)氏は、腕時計の技術者ではなくコンセプター(※新しい概念(コンセプト)を考え、それを分かりやすく言葉や形にして世の中に提案する人)です。ブランド創設前はマーケティングを学び、ジュエリーブランドなどで手腕を発揮していました。
オーデマピゲの複雑機構を担当するルノー・エ・パピという企業のCEOと出会い、コンセプターとして機械式・複雑機構搭載腕時計開発への理想を具現化させることに成功します。
自身は技術者ではないリシャール・ミル氏の腕時計開発は、素材やメカニカルをその業界のトップブランドに依頼し、共同で新たに生み出すという他にはないスタイルです。
これまでの老舗ブランドとは全く異なるアプローチが、最高レベルの素材・ムーブメントの誕生や、宇宙開発レベルの技術力搭載を可能にしましたが、その点もコストアップに繋がっています。
また、リシャールミルでは「テニスプレイヤーやゴルファーが試合中に着けられる複雑機構」「クオーツレベル、それ以上の精度を持つ機械式時計」など、コンセプトありきで腕時計を製作します。
一般的には価格が設定され、そこに収まる枠内で腕時計が設計・製造されますが、リシャールミルは全く逆です。「理想にかなう腕時計を作る」ことが目的で、価格は満足できる品質の腕時計が完成したところで決まります。
リシャール・ミル氏の理想にかなう腕時計を実現させるためには、数年に及ぶ開発期間と手間を惜しまない製造工程が必要となるため、年間にごく少数しか作ることができません。そのため、1モデルを製造できる数が限られ、価値・価格はその分だけ高くなるのです。
リシャールミルの腕時計が雲上価格でありながらも市場で確固たる地位を築いているのは、単なるラグジュアリーの象徴にとどまらず、明確に新富裕層をターゲットとしたマーケティング戦略と、コストを度外視しても追求される卓越した時計のパフォーマンスにあります。
注目すべきは、高額であっても「売れる仕組み」を緻密に構築している点。価格そのものを価値としつつも、それに見合う技術革新とストーリー性を組み合わせることで、時計愛好家やコレクターの購買意欲を揺さぶり続けています。
画像引用:リシャールミル公式HP|フェラーリと複数年にわたるパートナーシップを発表
リシャールミルは、フェラーリ(F1)をはじめ、ラファエル・ナダル氏(テニスプレイヤー)、アラン・プロスト氏(レーシングドライバー)、バッバ・ワトソン氏(ゴルフプレイヤー)といった世界的アスリートや著名人をアンバサダーに迎えています。
彼らが身を置く舞台は、6Gを超えるGフォースと時速350キロ以上で展開されるF1、ショットごとに強烈な衝撃が伝わるテニスやゴルフといった、時計にとって極限とも言える環境。リシャールミルは、こうした状況下でもプレイヤーが満足に着用できるモデルを開発し続けてきました。
世界中のファンが憧れるスター選手が実際に試合中に装着することで、ブランドのステータス性はもちろん、耐久性・堅牢性・精度・装着感といった本質的な価値をリアルに体現しているのです。
リシャールミルはこれまで、「腕時計業界のF1」「投げても壊れないトゥールビヨン」といった挑戦的なテーマを掲げ、それを実際に形にしてきました。その哲学は、単なる耐久性にとどまらず、常識を超えるパフォーマンスをユーザーに約束するものです。
特殊素材の個性と、極めて限られた生産体制が生み出す唯一無二の存在感。そこには、ブランド創業者リシャール・ミル氏の「頑丈で、正確で、軽く、そして真に実用的な腕時計を作りたい」というシンプルにして揺るぎない願いが込められています。
時計にとって極限の世界でこそ真価を発揮するリシャールミル。その精神を体現したこのモデル「リシャールミル オートマティック ラファエル・ナダル RM35-02」は、クレーの王者の情熱を込めて作られた特別な一本です。
ぜひ実際に手に取り、その圧倒的な存在感を肌で感じてみてください。
リシャールミル オートマティック ラファエル ナダル RM35-02
参考価格¥39,200,000(税込)
モデル情報
リシャールミルを特徴づけるケースと文字盤がスケルトナイズされたベーシックな自動巻モデルです。特徴的なケースは新素材のTPTクオーツ素材を採用。何百ものクオーツファイバー(石英繊維)層を積み重ねた、鮮やかな赤と白のコントラストが美しく耐熱性と強度、生体適合性を備えております。シンプルな機能ながらオーナーの使用状況を確認後にゼンマイの巻上げ効率を上下させられる“可変慣性モーメントローター”を装備しています。