ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.116598RBOW(通称:デイトナ レインボー)は、レーシング・クロノグラフにハイジュエリーの表現を融合させた、ラグジュアリースポーツの極致です。
18Kイエローゴールドのケースに、虹色のグラデーションで配されたバゲットカット・サファイアのベゼルと、8ポイントのダイヤモンドインデックス。色相・透明度・カットを揃えるために膨大なストーンから厳選されるベゼルは、視覚的な華やぎだけでなく、ロレックスの宝飾技術の粋を体現しています。
ムーブメントは自社製Cal.4130を搭載。コラムホイール×垂直クラッチの組み合わせにより、確実な作動と高い耐久性、72時間のパワーリザーブを実現します。
宝飾の装いを纏いながらもデイトナ本来の計測機器としての本質を一切損なわない、まさに「華やぎと精密を極めた唯一無二のラグジュアリースポーツウォッチ」といえるでしょう。
2012年バーゼルワールドでの登場以来、現在に至っても供給は限定的で非常に珍しく価値ある時計で、コレクターズピースとして、いまなお世界中の愛好家を惹きつけ続けています。
モータースポーツという機能美に、宝飾の極彩を与えたRef.116598RBOW。その設計思想をディテールを鮮明に捉えた写真とともに紐解いていきます。
目次
Ref.116598RBOWが放つ華やかな印象の裏には、寸分の狂いもないプロポーション設計と質感を巧みに切り替えた外装仕上げが施されています。
ケース設計やクラスプ内に潜んでいるのは、意外にも実用性の高さ。
また、ロレックスが自社の鋳造工房で独自に精錬・鋳造する最高品質の18Kイエローゴールドからは、ため息が漏れるほどの美しさを感じられます。
細部を知れば知るほど、このモデルが「飾るための時計」という側面だけではないことに気付かされるでしょう。
Ref.116598RBOWの細部について、より詳細にみていきましょう。
Ref.116598RBOWのケース径は定番の40mm。
これに厚さ12.4mm、ラグトゥラグ47.6mmという完璧なバランスにより、装着時の安定感が際立っています。
幅・厚み・縦寸法が絶妙に調和しているため、重心の安定感が生まれ、手首上での収まりや装着感に優れています。その結果、宝飾によって重量が増しても、時計が「腕で暴れない」のです。
金無垢ケースがもたらす適度な重みも、腕元での収まりをより確かなものにしています。
派手な外観に目を奪われがちですが、完璧に練られた実用時計としての寸法設計が、全体のまとまりを陰で支えていることは間違いありません。
また、ケースラグおよびリューズガードには、ラウンドブリリアントカット・ダイヤモンドが高密度でパヴェセッティングされています。
パヴェセッティングは、フランス語で「石畳」を意味し、小粒の宝石を隙間なく敷き詰めて留める技法です。極小の爪や地金から掘り出したビーズで石を固定し、文字盤やケース全面に輝きが広がる“宝石のカーペット”のような効果を生み、時計に華やかさと存在感を与えます。
ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドは、57面以上のカット面によって光を最大限に反射・屈折させ、たとえ小粒でも強い輝きを放ちます。
円形で均整の取れた形はパヴェセッティングと非常に相性が良く、隙間なく敷き詰められるため、面全体が輝きで覆われます。
その連続した反射が、まるで光の絨毯を広げたような華やかな表情を生み出します。
さらに、Ref.116598RBOWでは地金の一部を極小の爪やビーズ状に加工し、鏡面のように光を反射し、宝石のファセットから放たれる光と相まって全体のきらめきを強調する設計になっています。
計算された光の連続性と高級感を兼ね備えているのが特徴で、その煌めきは単なる装飾にとどまらず、ケース形状と調和しながらデザインに溶け込みジュエリーウォッチとしての格を一層引き上げています。
外装は、眺める角度によって異なる表情を見せるサテン仕上げとポリッシュ仕上げの絶妙なコンビネーション。
ケースサイドやブレスレット中央リンクには、鏡面のように磨き上げられたポリッシュが施され、華やかな艶を放ちます。
対して、外側リンクや一部の面には、光を柔らかく受け止める上質なサテンフィニッシュを採用。
この質感の切り替えが光の反射を巧みにコントロールし、全体の立体感と輪郭の鮮明さを引き立てています。
バックルには、ロレックス独自の延長機構であるイージーリンクを搭載。
これはクラスプ内に組み込まれた折り畳み式の可動パーツを引き出すだけで、工具を使わずに約5mmの延長ができる便利な機能です。
イージーリンクが存在することで、腕がむくんだりした際も一瞬でサイズ感に余裕を持たせられます。
設計自体は至ってシンプルがゆえに部品点数が少なく耐久性にも優れ、長期間にわたり安定した操作感を保ちます。
ロレックスは、自社内に専用の鋳造所を構える稀有なマニュファクチュールです。
そこで生まれる18Kイエローゴールドは、純金に銀、銅、プラチナ、パラジウムを独自の比率で配合し、色味や硬度を精密にコントロールした特別な合金。
外部調達では得難い、均質で澄み切った輝きも大きな魅力です。
ケースとブレスレットには、この自社製18Kイエローゴールドのみを使用し、精緻な切削と丹念な研磨を経て、金属が本来備える深い艶を引き出しています。
さらにこの合金は耐蝕性にも優れ、時を経ても変わらぬ色調を保ち続けます。
華やかさの奥に息づくのは、素材づくりから一切の妥協を許さないロレックスならではの品質哲学です。
Ref.116598RBOWで真っ先に目を奪われがちなのは、虹色に輝く36石のバゲットカット・サファイアベゼルです。
とはいえ、その魅力はベゼルの煌めきだけにとどまりません。
文字盤にも、素材の選定から加工に至るまでロレックスならではの審美眼と精緻なクラフツマンシップが息づいています。
色彩の調和と質感の深み、そして自然素材がもたらす唯一無二の表情。
細部に目を凝らせば、このモデルがただの宝飾時計ではないことに気付かされるはずです。
Ref.116598RBOWのベゼルには、厳選された36個のバゲットカット・カラーサファイアが虹色のグラデーションを描くように配されています。
12時位置から時計回りにレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、バイオレット、ピンクと移ろう配列は、色の濃淡や透明度を緻密に揃えることで境目のない滑らかな色彩の流れを表現。
その選別は極めて厳格で、同一色相の中でもわずかなトーン差が許されず、熟練した宝石職人による高度な目利きが不可欠です。
さらに、バゲットカット・ダイヤモンドを配したインデックスが無色透明の凛とした輝きによりブラックラッカーの文字盤を引き締め、鮮やかなベゼルとの調和を一層高めているようです。
色彩と輝きが織り成すこの絶妙なバランスが、Ref.116598RBOWを比類なき存在へと昇華させています。
インダイヤルには、ロレックス独自のゴールドクリスタルが使用されています。
これは18Kゴールドの表面を特殊な化学処理で結晶化し、その結果自然に生まれる結晶模様を意匠として活かしたオンリーワンの素材です。
結晶の形や大きさは、加工工程のわずかな条件の違いによって変化し、同じ模様が再び現れることはありません。
そのため、各個体のインダイヤルは世界にただ一つの表情を湛えています。
光と影が織りなすこの結晶模様は、時を刻む機能に静かな深みを添え、Ref.16598RBOWにしかない奥深い魅力を生み出しています。
外からは見えない領域にこそ、ロレックスの本質が潜んでいます。
宝飾が煌めく奥にはプロ仕様の精密機構と堅牢な構造が宿り、その本質がこのモデルを特別な存在へと導いています。
ムーブメント | キャリバー 4130 |
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種類 | 自動巻き式クロノグラフ |
パワーリザーブ | 72時間 |
テンプ振動数 | 毎時28,800振動(4.0 Hz) |
石数 | 44石 |
Ref.116598RBOWは、2000年にロレックスが完成させた完全自社開発クロノグラフムーブメントのCal.4130を搭載しています。
Cal.4130は、前世代のCal.4030(ゼニス社のエル・プリメロを独自改良したもの)から部品点数を大幅に削減し、主要パーツも裏蓋側に集約。
また前世代Cal.4030では、秒針(クロノグラフ秒針ではなく常時動くスモールセコンド)は文字盤の9時位置にあり、その駆動には輪列を横方向に迂回させる必要がありましたが、Cal.4130ではスモールセコンドを6時位置に変更することで、輪列の配置を一直線に近づけ歯車の数を減らしたため、伝達効率と整備性が格段に向上しています。
テンプ受けは片持ち式から両持ち式へと進化し、精度の安定性と耐久性がアップ。
双方向巻き上げ効率を高める新型リバーシングホイールや、1本のリセットハンマーで3つの積算針を同時に帰零できる新構造など、随所に合理化が施されています。
パワーリザーブも従来の52時間から72時間へと延長され、日常での使い勝手が大きく改善されました。
平均日差は-2~+2秒と、ロレックス独自の厳格な精度基準を満たしている点も見逃せません。
さらに、2007年以降製造のCal.4130は、耐磁性、耐衝撃性、耐温度変化に優れるブルー・パラクロムひげゼンマイを内蔵。(Ref.116598RBOWの全モデルはこの仕様)
その鮮やかな青は、耐久性を高める酸化膜処理によるものです。
そして、このムーブメントを語る上で欠かせないのが垂直クラッチとコラムホイールの存在です。
垂直クラッチは、クロノグラフ作動時の針のブレやズレを防ぎ、スムーズなスタートを可能に。
コラムホイールはスタート、ストップ、リセットといった操作を正確かつ軽やかに制御します。
これらの仕組みを備えたRef.116598RBOWは、宝飾時計でありながら華やかな外観の奥に確かな信頼性を秘めているのです。
Ref.116598RBOWのケースは、100m防水を誇るオイスター構造。
サファイアやダイヤモンドで彩られた外観からは想像しがたいものの、その中身はロレックスが培ってきたプロフェッショナル仕様そのものです。
ねじ込み式リューズとトリプルロック機構が水の侵入を防ぎ、モノブロックミドルケースが衝撃や歪みに対して高い剛性を発揮。
ベゼルやラグの精緻なセッティングも、防水性と耐久性を損なわない設計思想のもとに行われています。ロレックスは宝飾加工を施した後、最終組み立て後に完成品として防水検査が行われ、ケース・裏蓋・リューズ・クリスタルの気密構造を損なわない設計で製造されています。
レインボーの愛称で知られるデイトナは、その名の通り虹色に煌めくサファイアベゼルをまとった特別な存在です。
2012年に誕生した初期のモデルは、希少素材と卓越した宝飾技術を融合させることで、従来のスポーツクロノグラフの概念を超越し、独自のポジションを確立しました。
本章では、その誕生から進化までの軌跡をたどります。
画像引用:オイスター倶楽部|Basel World 2012
ロレックスがデイトナレインボーを初めて世に送り出したのは、2012年のバーゼルワールド。
イエローゴールド製のRef.116598RBOWとホワイトゴールド製のRef.116599RBOWが同時に発表され、国内正規価格はそれぞれ8,856,000円と9,180,000円に設定されました。
贅を尽くした宝飾モデルでありながら、高性能クロノグラフとしての信頼性も確保。
その希少性と完成度の高さにより、発表直後から世界的な注目を集めました。
当時から正規店での入手は困難を極め、2010年代前半のロレックスを象徴するプレミアムモデルとして今なお語り継がれています。
画像引用:ROLEX公式HP
2018年のバーゼルワールドで登場したRef.116595RBOWは、デイトナレインボーの系譜を継ぐ新たな一章を刻むモデル。
前作にあたるRef.116598RBOWとは、ケースとブレスレットの素材が18Kエバーローズゴールドに置き換わったこと、そしてインデックスが8ポイントのダイヤモンドから11ポイントのバゲットカット・サファイアに変更されたことが大きな相違点です。
発表時の国内正規価格は、9,979,200円に設定されていました。
Ref.116595RBOWにはブラックダイヤルの他に、よりゴージャスかつ高額なフルペイブダイヤモンドのバリエーションも存在します。
ムーブメントは、Ref.116598RBOWやRef.116599RBOWと同じ自動巻き式クロノグラフのCal.4130を搭載。
プロフェッショナルツールとしての高精度と信頼性を兼ね備える点は、やはりロレックスならではです。
Ref.116598RBOWは登場した当初、その鮮烈な色彩と宝飾的な外観ゆえに賛否を呼びました。
しかし、時を経て唯一無二の完成度が評価され、今ではデイトナの系譜における特別な存在として揺るぎない地位を確立しています。
Ref.116598RBOWは、その製造工程の複雑さと使用素材の希少性から、ごく少量しか製造されませんでした。
具体的な生産数は公式に明かされていないものの、市場に流通する個体の少なさがその希少性を雄弁に物語っています。
現在も二次流通市場で見かけることは稀であり、出品されれば即座に高値で取引されることもしばしば。
その評価は年々高まっており、2025年時点でコンディションの良い個体には5,000万円を優に超える値が付くなど、驚異的なプレミアムを伴って流通しています。
ごく限られた本数しか製造されず、すでに生産も終了しているRef.116598RBOWは市場で見かける機会が滅多にありません。
華やかな外観に秘められた高い完成度は、所有者に強い愛着を抱かせ手放す理由を与えません。
さらに定価を遙かに上回る市場価格は、金価格の上昇、ロレックス全体の高級化や人気の加速も相まって、今後さらに高まっていく可能性すら秘めています。
ロレックスには、一般顧客向けの公式カタログに掲載のない特別なモデルが存在しますが、Ref.116598RBOWもその1つ。
市場における希少性はもちろんのこと、ブランドがあえて情報を開示せず、限られた顧客にだけ案内する特殊な仕組みによって、その価値は一層高められています。
目に見えない選別のプロセスがあるからこそ、Ref.116598RBOWはロレックスファンの心をさらに惹きつけ、熱狂を呼び起こしているのです。
どれだけ熱望しても、Ref.116598RBOWのような特殊モデルを正規販売店で購入するのはほぼ不可能です。
その存在を知る手がかりすら、多くの場合は限られた関係者や特定顧客からの口伝えに限られています。
こうしたモデルは「シークレットモデル」や「オフカタログモデル」とも呼ばれ、選ばれた販売店にごく少数だけが割り当てられる仕組み。
販売の打診は店舗側から顧客へと直接行われる場合が多く、あらかじめ信頼関係を築いていなければ案内は受けられないでしょう。
結果として、その入手経路は限りなく閉ざされており、二次流通市場でも滅多に姿を現さない幻のような存在として語られています。
コスモグラフデイトナRef.116598RBOWの華やかさと実用性を融合させたその佇まいは、デイトナというツールウォッチの本質を損なうことなく、新たな美意識の領域を切り開きました。
大量生産や派手な広告戦略に頼ることなく、ごく限られた流通量と厳選された顧客層を通じて、その価値は色あせることなく語り継がれています。
この時計は、卓越した機械式精度と緻密な宝飾技術が一体となった唯一無二の存在であると同時に、長く愛用できるタイムレスな価値を提供し続けるという、ロレックスの揺るぎない精神を体現しています。
その輝きは、選ばれし者だけが手元で味わえる至高でありながら、多くのロレックスファンにとっては憧れの象徴として記憶に刻まれ続けるでしょう。
ロレックス コスモグラフ デイトナ レインボー 8Pダイヤ Ref.116598RBOW ブラック×ゴールド ランダム番
参考価格¥57,800,000(税込)
モデル情報
こちらは2012年発表モデルです。ベゼルには36個のレインボーカラーのサファイア、ケースラグ・リューズガードにはダイヤモンドが惜しみなくセッティングされており大変存在感のあるモデルです。さらにインダイアルはロレックス独自のゴールドクリスタルダイアルが採用されています。イエローゴールドのケースと相まって唯一無二の華やかさを演出しています。