「グランドセイコーはどんな時計なんだろう?」
「エントリーモデルを選んでも失敗しないだろうか?」
グランドセイコーの評判やエントリーモデルが気になっているのではないでしょうか。
結論からいうと、グランドセイコーのエントリーモデルは「最初の1本」として間違いのない選択肢です。
30〜60万円台でも上位機種と同等の美しい外装仕上げがされた時計を所有できます。
この記事では、グランドセイコーの魅力やエントリーモデルの選び方を解説します。
初めての高級時計として購入検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
独自の審美眼と職人技から生まれるムーブメントや外装の仕上げが魅力です。
セイコーの最高峰ラインとして誕生したグランドセイコー。
その完成度からは「世界に通用する腕時計を作る」という姿勢が感じられます。
ここからは、その具体的な強みや魅力を解説します。
ムーブメントには機械式、独自機構のスプリングドライブ、クォーツのラインナップがあります。
機械式は精度と安定性に優れ、工芸的な装飾が裏蓋から確認できるものもあります。
また、独自の機構を持つスプリングドライブは秒針が滑らかに運針することで知られています。
通常、上位機種に搭載される上記の2つがフォーカスされることが常です。
しかし、ここではエントリーモデルに搭載されている「9Fクォーツ」と呼ばれるムーブメントに注目したいと思います。
通常のクォーツ(電池式)が月差レベルであるのに対し、年差±10秒という驚異的な精度を誇ります。
9Fは温度による影響の補正機構や瞬間日送りカレンダー機構を有し、他社とは一線を画す機能を持ちます。
その複雑さから、訓練を積んだ「信州 時の匠工房」の職人の手で丁寧に組み立てられています。
9Fクォーツは、上位機種と全く変わらない気遣いが注がれ、クォーツの高級品としての魅力を持っています。
グランドセイコーの外装仕上げを語るうえで欠かせないのが「ザラツ研磨」です。
これは職人が手作業で歪みのない鏡面を生み出す技術です。
ザラツ研磨は回転するヤスリの板に押し付けながら磨き上げる手法になります。
押し付け過ぎれば、鏡面の面積が広がってしまうため職人の加減が仕上がりを左右します。
光の角度によって現れる鏡面の美しさは、職人のこだわりそのものです。
エントリーモデルを選ぶ上では、「価格」「長く使えるか」「日常的な機能の有無」を意識すると良いでしょう。
まず、エントリーモデルの価格は30〜60万円台と考えると良いでしょう。
その価格でも、高精度ムーブメントやザラツ研磨による美しい仕上げが手に入るので、コスパは良いと言えます。
また、長く使えるかの観点では、SBGX261やSBGV239のようなヘリテージラインが最適です。
長年生産しており、パーツ供給や修理サポートが安定しています。
それは、メンテナンスをしながら長く使えることを意味します。
使い易さの観点では、グランドセイコーはいずれを選んでも大丈夫という答えになります。
エントリーモデルでも傷のつきにくいサファイアガラスや日常生活で十分な防水性能が採用されているからです。
強いてあげれば、日付表示やパワーリザーブの有無は検討項目に挙がります。
こちらは、日付をよく意識する方や、置いておく時間の長さなどのライフスタイルによります。
まとめると30万円〜60万円台の価格帯でヘリテージなどの定番モデルを選ぶと間違いがありません。
日付やパワーリザーブの有無はライフスタイルを加味して、自分に合ったエントリーモデルを見つけましょう。
グランドセイコーが選ばれる理由は以下の点が挙げられます。
同価格帯でスイスブランドと比べて、外装仕上げや精度で優れている例があります。
国内ブランドのため、為替の影響を受けない点もコストパフォーマンスに繋がっています。
国内での修理対応、正規品保証、パーツ供給の安定性など、購入後の安心感が強いと言えます。
防水性能、視認性、傷つきにくさなど、日本ならではの設計がなされています。
例えば、時分針は各辺にダイヤカットが施され、どこから見ても光を反射し視認性に優れています。
時計ファンからの評価も高く、「通」が選ぶブランドのひとつである点が挙げられます。
日本の自然や、季節性を表現するデザインは独自の世界観を作っています。
ザラツ研磨、スプリングドライブといった技術も、「通」の所有欲を満たす要素になります。
これらが組み合わさることで、世界的に見ても日本人が初めて買う高級時計として妥当なブランドになっています。
せっかくグランドセイコーを選ぶなら、長く愛せる1本を見つけたいもの。
とはいえ、デザインやムーブメント、サイズの違いによって印象も使い勝手も大きく変わります。
ここでは、初めての高級時計として失敗しないために押さえておきたい「選び方の基準」を整理しました。
グランドセイコーのエントリーモデルは、36mmから40mm程度が主流です。
日本人の手首にはこのサイズ感が最も自然に馴染みます。
外径36mmに近い小径モデルは装着感の軽さで日常使いに最適です。
クラシカルな印象になりますので服装もスーツやシックな格好に合います。
どちらかというと個人的に時計を楽しみたい方に向いています。
40mmに近づくと、スポーティな存在感が演出されます。
活動的な印象を与えたいシーンに最適です。
時計を話題にしたい方や大柄な方にも好まれます。
使うシーンや体格に合わせたサイズ選びが、長く愛用する鍵となるでしょう。
ビジネスやフォーマルを中心に使うなら、ミニマルなSBGW040のようなシンプル3針モデルが好印象です。
シンプルな時計は長く飽きがこないため、お子さんに引き継ぐものとしても最適です。
一方で、オンオフ両用を狙うなら、SBGV239のように44GSデザインを継承したスポーティなケース形状もおすすめです。
グランドセイコーなので主張は激しくありませんが、ケースケース形状でやや好みが分かれる点は否めません。
クロノグラフやGMT搭載モデルまで視野を広げると、よりスポーティになりますがエントリーから価格が遠のく印象です。
シンプルでいくか、スポーティで選ぶかを決めると大きな指針となります。
手間をかけて所有する喜びを味わいたいなら、手巻きがおすすめです。
ゼンマイを巻く感触や機械の鼓動が、時計との“対話”を感じさせてくれます。
自動巻きは、自分の動きでローターがゼンマイを巻き上げるため手間いらずです。
着けているだけでフル巻きになり、精度の良い状態で使い続けられる点も魅力です。
機械式、スプリングドライブ共に手巻き、自動巻きの選択肢があり選ぶ楽しみがあります。
近年、グランドセイコーは中古市場でも注目度が高まっています。
理由は正規価格の高騰です。
かつては50万円台でスプリングドライブモデルが購入できましたが、現在は最低60万円台からと値上がりをしています。
値上がりすることで、投資対象としての意識も醸成されています。
また、実利用者視点では国内でメンテナンスしやすい点もリセールバリューに影響しています。
中古で購入しても日本製なので何があってもどこかで直せる安心感は大きな魅力です。
グランドセイコーは資産性の高まりと国産の安心感でリセールバリューに定評があります。
「手が届きやすい価格帯で、定番のモデル」を中心に選ぶのが合理的です。
しかし、上位機種を知った上でエントリーモデルを選ぶことで納得感が増す点も見逃せません。
ここではエントリーモデルを中心に上位機種も紹介します。
数あるグランドセイコーの中でも、最初の1本として多くの人に選ばれているのが「SBGX261」です。
このモデルは、グランドセイコーが誇る高精度ムーブメント「9Fクォーツ」を搭載しており、年差±10秒という世界トップクラスの精度を誇ります。
秒針の動きはキレがあり、どの角度から見ても時間を正確に読み取れます。
美しい針の仕上げは職人技の結晶です。
ブラックの文字盤とシルバーのインデックスが織りなすコントラストが凛としています。
スーツにもカジュアルにも馴染む万能なデザインはコスパが良いと言えるでしょう。
ケース径は37mmと控えめで、手首にも自然に収まる快適なサイズ感です。
サファイアガラス風防を採用しており、長期間使用しても傷がつきにくいのも嬉しいポイントです。
まさに“長く愛用できる高級時計”の条件をすべて満たしています。
「グランドセイコーを初めて手にするなら、まずはこのモデルから」と自信を持ってすすめられる1本といえます。
グランドセイコー ヘリテージコレクション クォーツ SBGX261
参考価格¥268,000(税込)
モデル情報
セイコーが世界に誇る、現代の最高峰クォーツムーブメントとして名高い9F系キャリバーを搭載したグランドセイコー。ツインパルス制御モーター・バックラッシュオートアジャスト機構・スーパーシールドキャビン構造など、多くの機構を搭載したクォーツの常識を超えたクォーツと呼ばれています。そんな最先端をいくムーブメントを包むのはクラシカルなステンレスケース。幅広いシーン・年代で活躍する一本です。
エントリーモデルの中でも「デザイン性の高さ」で選ばれているのが、グランドセイコーSBGV239です。
グランドセイコーにおけるデザイン哲学の原点、1967年の「44GS」にインスピレーションを受けています。
「光と影の間に無数の表情を宿す」というコンセプトを現代に受け継いでいます。
平面を基調としたケースとシャープな稜線が織りなす造形が特徴的です。
光の角度による鏡面とヘアラインの陰影は、グランドセイコーが世界に示した「セイコースタイル」の真髄です。
一見シンプルながら、角度を変えるたびに違う表情を見せてくれるのが魅力です。
40mmのケースに研磨技術と美意識が融合した小さな工芸品といえるでしょう。
グランドセイコー ヘリテージコレクション マスターショップ限定 クォーツ 44GS現代デザイン SBGV239
参考価格¥298,000(税込)
モデル情報
1967年に発表され、セイコースタイルを確立した44GSの造形を現代的に解釈し復刻されたモデルです。「ザラツ研磨」という下地処理を施すことで歪みのない鏡面に磨き上げられた平面を多用するケース形状、美しく輝く鏡面仕上げと筋目仕上げが際立たせる立体感、多面カットされた植え略字を12カ所に備えた広い文字板などが、美しい輝きと高い視認性を確保しています。搭載キャリバーは9F82。10気圧防水。
グランドセイコーの中でも、機能性と上品さを両立させたモデルとして高い人気を誇るのが「SBGE209」です。
スプリングドライブを搭載しながら GMT(第二時間帯表示)機能を備えた1本です。
日常から出張・旅行まで幅広く活躍します。
搭載ムーブメントは、グランドセイコー独自の キャリバー9R66。
機械式のトルクとクォーツ制御の高精度を融合させたスプリングドライブです。
滑らかに流れる秒針と±1秒/日の精度を実現しています。
GMT針は独立して操作でき、片方の時間だけを操作できる点は高級品といえます。
実用性と信頼性を兼ね備えた旅時計といえるでしょう。
グランドセイコー ヘリテージコレクション スプリングドライブ GMT SBGE209
参考価格¥588,000(税込)
モデル情報
GMTとパワーリザーブ機能を搭載したモデルが入荷しました。インデックスの内側に施された24時間表示は、視認性がよく、すっきりとしたモダンな雰囲気を作り出しています。搭載しているCal.9R66は、専任チームの手作業により一つ一つ丹念に組み立て調整を行なった後に、ムーブメント単体の精度を6方向の姿勢と3段階の温度に設定した環境で17日間にわたって検定する「グランドセイコー規格」の基準を満たした高精度メカニカルムーブメントです。
スプリングドライブのモデルで定番かつ完成度の高い1本「SBGA203」です。
搭載ムーブメントは、信頼性の高いキャリバー9R65。
機械式のトルクとクォーツ制御の精度を融合させたスプリングドライブ機構により、秒針が途切れなく滑らかに流れます。
平均日差±1秒という高精度を実現しつつ、約72時間のパワーリザーブを備える点も魅力です。
文字盤の7時位置にはパワーリザーブインジケーターが配置され、残量を一目で確認できます。
デザインはシンプルかつ機能的。
ブラックダイヤルにシルバーの針とインデックスが映え、視認性は抜群です。
ケース径41mmのステンレススチール製ケースは重厚でありながらも装着感に優れています。
100m防水を備えており、日常使用にも安心感があります。
SBGA203は、スプリングドライブを代表する“ど定番”モデルとして、あらゆるシーンに対応できる万能機です。
初めてスプリングドライブを検討する方は、まずこのモデルをチェックしてみてください。
グランドセイコー ヘリテージコレクション スプリングドライブ SBGA203
参考価格¥438,000(税込)
モデル情報
グランドセイコーが誇るスプリングドライブ搭載モデルが入荷しました。スプリングドライブ・ムーブメントは、ゼンマイの解ける力を動力源としながらも水晶からの正確な信号によって精度を制御する、セイコー独自の駆動機構です。ゼンマイからの動力を物理的に伝える輪列部(歯車)のカナや‘ほぞ’には、一つ一つ丁寧な磨き加工を行ってエネルギーの損失を抑える等、1960年代から受け継がれたメカニカルウオッチ製造の伝統的な技術やノウハウも活かされています。
これまで紹介してきたエントリーモデルは、30〜60万円台でグランドセイコーの魅力を体験できる“最初の1本”として最適なラインナップです。
しかし、ブランドの原点や哲学をより深く知りたい人には、この「SBGW040」を紹介します。
SBGW040は、セイコー創業130周年を記念して製作された130本限定の特別モデル。
1960年の初代グランドセイコーを現代の技術で再構築した復刻モデルです。
ケースには18Kイエローゴールドを採用。
職人によるザラツ研磨が施され、歪みのない鏡面が柔らかく光を反射します。
派手すぎず、上質さを感じさせるその輝きは静かなる実力者といった印象があります。
ケース径は35.8mmとコンパクトながら、十分な存在感を保っています。
ムーブメントは、手巻き式のキャリバー9S64を搭載。
約72時間のパワーリザーブを備え、ゼンマイを巻き上げる感触を味わうことができます。
このSBGW040は上位に位置しますが、ブランドの哲学を感じられる1本です。
グランドセイコー メカニカル セイコー創業130周年記念モデル 130本限定 SBGW040
参考価格¥1,930,000(税込)
モデル情報
2011年に発表されたセイコー創業130周年記念限定の初代グランドセイコーの復刻デザイン限定モデルです。イエローゴールド130本限定ケースを使用した130本限定モデルです。初代モデルが醸し出す、暖かみやクラシックで格調高い雰囲気を再現するとともに、最新の外装加工技術により、よりシャープで質感の高い、現代の高級ウオッチとしてふさわしい外観に仕上っております。
せっかく手に入れたグランドセイコーを長く愛用するためには、定期的なメンテナンスと少しの工夫が欠かせません。
オーバーホールのタイミングを守ること、ベルトを季節に合わせて替えること。
こうした「ひと手間」が、時計やベルトなどを長持ちさせます。
また、純正パーツを利用することで、価値を保つこともできます。
ここでは、長く楽しむための具体的なコツを紹介します。
グランドセイコーの推奨オーバーホール周期は、3〜4年が目安です。
潤滑油の劣化を防ぐため定期メンテナンスが推奨されています。
オーバーホールを怠ると精度低下や防水性能の劣化につながります。
動いているうちに整えるという意識が大切です。
ベルトを交換しながら使うことで革ベルトの寿命を伸ばし、おしゃれも楽しむことができます。
グランドセイコーのデザインは、ベルトを変えるだけで表情が大きく変わります。
クラシカルなモデルにはブラウンのカーフやクロコがよく似合います。
逆にスポーティなモデルにはナイロンやラバーを合わせると軽快な印象になります。
季節ごとにベルトを替えることで、ベルトを長持ちさせ、ファッションを楽しみましょう。
グランドセイコーの純正ベルトは、素材・仕立て・バックル形状まで専用に設計されていることが魅力です。
メタルベルトでは駒のエッジを僅かに丸めて手触りを良くしています。
なかなか、社外品では見られない気遣いです。
純正クロコベルトは、ケースとの隙間が最小限に抑えられています。
ケースとのマッチングで手首へのフィット感も秀逸。
純正品は全体のバランスを崩さず高級感を保ちます。
長く使いたいなら、まずは純正から始めてみるのがおすすめです。
自分らしく楽しむなら、ベルト交換は最も手軽なカスタマイズです。
純正以外にも、革・ラバー・ナイロンなどさまざまな素材があり、装いに合わせて気分を変えられます。
たとえば、SBGV239にブラックラバーを合わせればアクティブな印象に変化します。
グランドセイコーを手に入れたら、さまざまなベルトを組み合わせて1本を楽しみ尽くしましょう。
時計好きの間で、グランドセイコーを着けている人は一目置かれます。
それは、派手さやステータスではなく、
「本質的な価値を理解している人」という印象を与えるからです。
光を捉える面の美しさ、針やインデックスの精密な仕上げ。
「わかる人にはわかる」完成度を持っています。
派手ではなくても確かな存在感を放つことが、時計好きがグランドセイコーを高く評価する理由です。
「いい時計だね」と自然に言われる、そんな1本を手にしたい人にふさわしいブランドです。
グランドセイコーのエントリーモデルは、「初めての高級時計」として安心して選べる存在です。
30〜60万円台という現実的な価格帯ながら、精度、外装仕上げなど上位機種と同じ魅力があります。
この記事で紹介したように、エントリーモデルでも完成度はいずれも一級品です。
また、サイズやデザイン、リセールバリューなど、選び方のポイントを押さえれば、長く愛用できる1本に出会えるでしょう。
当記事の監修者
遠藤 有隆(えんどう ゆうこう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
営業企画部 マーケティング課
好きなブランド IWC・ジャガールクルト・ランゲ&ゾーネなど
1984年生まれ、神奈川県出身。時計業界は2017年より。
デザイン系の短期大学を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。約10年間、レディースの服飾雑貨の責任者として店頭接客、MDやVMD業務に従事してきました。
10年目を迎え、更なる成長を求めて高級時計店への転職を決意し、2017年にGINZA RASINに入社。店頭接客を7年経験した後、現在の営業企画部 マーケティング課へ異動。
人と話すことが好きで、スーパーポジティブな私は現在、愛用のIWCメカニカルフリーガークロノとスモールギーゼを共にしながら、店舗での経験を活かしつつ、多角的な視点で記事の監修を行っています。