ビジネスマンとして脂が乗りにのってる40代・50代が身に着ける腕時計とはどのようなものでしょうか。
ステータスや知名度重視でロレックス?
30代から使い始めたオメガ?
スイス勢の華やかなブランドは魅力的ですが、日本が誇るグランドセイコーも最適な選択です。
若い方は地味と感じるかもしれません。
しかし、「正しく時間を刻む」という時計本来の機能を極限まで追究しており、国内外での評価は非常に高いものがあります。また、近年ではブランディングの刷新が行われており、グランドセイコーの熟成された魅力と新境地は、さらに多くのユーザーが知るところとなりました。
こういった背景からグランドセイコーは、当店でもロレックス・オメガ・タグホイヤーの次にくるくらいの人気ブランドなのです。
一方で基本フォルムは同じでわかりやすい派手さはないため、どのモデルが良いか悩むという声も聞こえます。
そこでこの記事では、40代・50代の男性がビジネスで使うのにふさわしいグランドセイコーのモデルを15本ご紹介いたします。
東京銀座に店を構える当店GINZA RASINでの2020年の人気ランキングをもとに、この年代の方々が使うことを想定した厳選15傑!
タイトなスケジュールで日々を戦う全てのビジネスマンに贈ります!
40代・50代のビジネスマンがグランドセイコーを選ぶべき四つの理由
1960年に誕生したグランドセイコーは、2020年で60周年を迎えました。
そんなグランドセイコーの15傑をご紹介する前に、40代・50代のビジネスマンに向けてのおすすめポイントをご紹介いたします。
理由①時計本来の機能性が重視されている
グランドセイコーのラインナップは、ロレックスの「デイトナ」「サブマリーナ」のようなモデルごとの区分けは最近まではありませんでした。
基本シリーズは「クォーツ」「メカニカル」「スプリングドライブ」とムーブメントの種類によって区分けされています。とてもシンプルですよね。
※後述しますが2017年から母体のセイコーより独立かを図り、その際に「ヘリテージコレクション」「エレガンスコレクション」「スポーツコレクション」の区分けに刷新されました。しかしながら新しいコレクション名の中でもムーブメントによる種類分けが行われています。
このように、ムーブメントをブランドの中の一つの指標と捉えているグランドセイコーですが、それもそのはず。ムーブメントこそが同社のアイデンティティと言っても過言ではないためです。
そんなグランドセイコーが誇る三つの機構は、下記の通りです。
まずは、「クォーツを超えたクォーツ」と名高い、世界最高峰の高精度を誇るクォーツ。
あるいはスイス公認クロノメーター(C.O.S.C;精度の良さを示す指針として最も有名)を越える「新GS規格」をクリアしたメカニカル。
そしてゼンマイを駆動力とし、クォーツの高精度と機械式時計の力強さを手にしたスプリングドライブ。
グランドセイコーは創業以来、「スイスメイドの時計より精度が良い」と世界の人々にイメージしてもらうことが重要なポイントであったため、スイスのスタンダードを越える基準を設け、それをクリアしてきました。
コンセプトは「最高の普通」そして「実用時計の最高峰」。
時間管理が問われる現代人が、日常で力を遺憾なく発揮できるのがグランドセイコー独自の味わいなのです。
グランドセイコーは部品生産から組み立てに至るまで全て日本国内で行う、日本の「モノづくり」の魂を今なお継承する腕時計です。
打倒スイスを掲げた当時の目標どおり、現在は「国産最高峰の機械式時計」ではなく、「世界のグランドセイコー」として認知されています。
理由②40代・50代にマッチしたデザイン性
グランドセイコーは派手ではないですが、「高級時計」として完成されたフォルムを持ちます。
実は細部にこだわっていて、例えば平面を主体としつつ、二次曲面(切り口が二次曲線になる曲面のこと)を取り入れてフォルムを構成することが一つのルールです。また、ザラツ研磨と呼ばれる歪みのない美しい鏡面仕上げが丁寧に施されており、これらの相乗効果によってシャープで、かつ高級機らしい輝きを放つ一本に仕上がります。
また、視認性を重視しているため文字盤に余計なデザインは入っていませんが、インデックスや針にも同様の造形美が採用されており、上品な印象に一役買っています。
グランドセイコーが放つ高級時計に必須の「高級感」は、こういった丁寧な仕事によるものでしょう。
これらのグランドセイコー独自の哲学を、「セイコースタイル」と同社は称します。
ちなみに、冒頭でグランドセイコーは60周年を迎えたと述べましたが、セイコースタイルが確立したのは1967年と早い段階。「44GS」というモデルより、市場に送り込まれることとなりました。
理由③高いコストパフォーマンス
近年高級時計市場はますますの広がりを見せており、それにつれて人気と価格が釣りあがっている現状があります。ロレックスの平均単価は100万円以上、IWCやフランクミュラーも中古品で50万円以上が当たり前です。
グランドセイコーも2017年よりセイコーから独立し高級路線を歩んではいますが、それでも平均的な相場は20万円台~40万円台。ハイスペックなスポーツコレクションでも50万円台が相場感で、そもそもの定価自体20万円台~30万円台のモデルも少なくありません。
グランドセイコーレベルの時計を30万円台で手に入れられるコストパフォーマンスの高さには驚きを禁じえません。
クォーツが最も安価で、メカニカル、そしてスプリングドライブと続きます。
また、グランドセイコーは品質が大変良く持ちがいいため、より価格を抑えられる中古を選ぶことも手です。
理由④確かなステータス性・海外ブランドとそん色のないブランド力
何度か言及しているように、グランドセイコーは近年ブランディングを大きく変えており、かつその試みが成功。ブランド力がいや増します。
そのきっかけは2017年。
長らく母体であったセイコーから離れ、独立ブランド化を果たしました。
この独立化の目的には「グローバルブランドとしての成長」が一つとして挙げられます。事実、海外市場に向けた積極的な施策が行われました。
もともと、技術力やデザイン力と言った様々な「資産」を持つグランドセイコー。初期モデルの見事なリバイバルや新たなる「スポーツコレクション」の充実化。あるいは海外でのショップ展開の促進が功を奏し、グランドセイコーのグローバル化は好調と言っていいでしょう。
こういった海外ブランドと肩を並べるブランド力は、国内での評価を高めることにも繋がり、最近では若年層のグランドセイコーファンも獲得してきました。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja
そんなグランドセイコーの、驚くべき新境地が2020年9月に突如としてリリースされました。
これまで「最高の普通」がコンセプトであったことからコンプリケーションモデルはあまりなかった同社。しかしながら、「超複雑」にして「世界初」の、T0 コンスタントフォース・トゥールビヨンを発表したのです。
これを計器に、ますますグランドセイコーのブランド力は高まることが容易に想像できますね。
T0を簡単に解説すると、コンスタントフォースおよびトゥールビヨンと呼ばれる超複雑機構を同軸一体化した、世界初の機械式ムーブメントです。
コンスタントフォースとは、精度がゼンマイの持続時間に干渉されない機構のことです。
トゥールビヨンとは精度を司る「テンプ」と言うパーツを専用キャリッジに入れてキャリッジごと回転させる仕組みです。これによって時計の姿勢や重力による、機械へのパーツ負荷を平均化させることが目的です。
言うは易し、の通り、この二つの機構は製造すること自体がきわめて難しく、実現しているブランドは限られています。
しかしながらグランドセイコーはこの二つを、さらに同軸上に一体化するという世界で初めての偉業を成し遂げました。
精度を追求し続けてきた、グランドセイコーならではの、希代の銘品と言えるのではないでしょうか。
なお、T0は同年7月に竣工した岩手県岩手郡雫石町の、「グランドセイコースタジオ雫石」で展示されています。
T0は本項でメインにご紹介するような実用モデルとはもちろん異なりますが、「これだけのことをやってのける」というブランド力は、確かなステータスに繋がります。
40代・50代以上のビジネスマンにとって、時計を選ぶ際の一つの指標に、このステータスはきわめて重要な立ち位置を持っているのではないでしょうか。
海外製と遜色のないブランド力、そこから導き出されるステータス。年を重ねて重要な役職に就くことの多い世代から、グランドセイコーが選ばれ続ける理由が垣間見えます。
40代、50代の一流ビジネスマンに似合うグランドセイコー15傑
それでは、40代・50代以上のビジネスマンに似合うグランドセイコーを、当店の売れ筋からご紹介いたします!
①クォーツ ヘリテージコレクション SBGV225



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】ブルー
【ムーブメント】クォーツ式9F82
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】286,000円(税込)
「これぞグランドセイコー!」といった印象を持つ、スタンダードな一本。当店でも売れ筋ナンバーワンとなります。
搭載される9Fキャリバーは、グランドセイコーが「腕時計の本質を問い続けた」ゆえに生まれたと言います。
そのため、冒頭でも述べたように精度が通常のクォーツとはケタ違い。
なんと、年に±10秒ほどしか時間がずれないのです。
ちなみに一般的なクォーツですと、「月」に±15秒の誤差が生じると言われています。
また、「緩急スイッチ」によって、簡単に遅れと進みを調整できることができます。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/
そのため、グランドセイコーのクォーツを持っている40代・50代というのは、機能性を重視する渋さを感じさせます。これはビジネスマンとして、時間をしっかり管理する責任感を持つことにもなりますね。
新品並行相場が20万円台前半~と、グランドセイコーのなかでもおてごろなのが嬉しいところ。
なお、2017年にロゴが切り替わりましたが、旧型のSBGV025も比較的流通しております。
価格を抑えたいという方は、中古市場で当モデルを探してみるのも良いでしょう。SBGV225とムーブメントは同一です。
②クォーツ ヘリテージコレクション SBGX261



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】37mm
【文字盤】ブラック
【ムーブメント】クォーツ式9F62
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】253,000円(税込)
同じく超高精度の9Fクォーツを搭載したモデルの中でも、特に「The グランドセイコー」といった趣の一本です。こちらも非常に高い人気を誇ります。
一見すると派手さはありません。しかしながらセイコースタイルによって燦然とした輝き・高級感を放っており、類まれな逸品に仕上がります。
37mmケースサイズと昨今のデカ厚などと比べると決してボリューミーではありませんが、確かな存在感をスーツの袖口からも放ってくれるでしょう。
新品並行相場は20万円前後~。
こちらも、中古市場では旧型モデルが出回っています。
③クォーツ ヘリテージコレクション SBGV223



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】ブラック
【ムーブメント】クォーツ式9F82
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】286,000円(税込)
やはり、超高精度の9Fクォーツを搭載したモデルです。ただしこちらは40mmケースサイズが特徴的な一本となります。
近年のメンズの主流は40mm程度となります。もちろん好みや体格にもよりますが、ある程度の大きさが欲しい、という方は大きめのこちらを選ばれると良いでしょう。
もっとも、大きいとは言えヘリテージコレクションはスタンダードデザインが特徴です。そのためビジネススーツにしっくり収まり、悪目立ちすることがありません。
新品並行相場は20万円台前半~。
④クォーツ ヘリテージコレクション GMT SBGN011



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】クォーツ式9F86
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】341,000円(税込)
GMTは、現在地の他にGMT針を用いて、第二時間帯の同時表示を可能とした機構です。
グローバル化が進む昨今、大変人気の高い機構の一つとなっており、ロレックスやオメガ,パネライにタグホイヤー等の各人気ブランドも、リリースしています。
グランドセイコーもまた、同社らしく高性能なGMTモデルをいくつか展開しているのですが、他社とはちょっと違うこと。それは、クォーツGMTをリリースしており、かつ時分針・GMT針いずれも太く美しい造形を実現しているのです。
と言うのも、クォーツはゼンマイを駆動力とする機械式時計に比べるとトルクが弱く、どうしても針が細くなりがち。さらにセンターにGMT針を取り付けるとなると、その重量は当然ながら上がってしまい、トルク不足に陥ってしまいます。
しかしながら9Fクォーツの醍醐味の一つ、それはトルクの力強さです。グランドセイコーのクォーツはクォーツでありながら機械式時計と遜色のないダイナミックな針を獲得しており、GMT機構でもその威力を発揮しました。
グランドセイコーがクォーツGMTをリリースしたのは2018年と結構最近。しかしながらその技術は既に成熟しており、2020年新作ではこちらのシルバー文字盤が美しい逸品がリリースされました。
流通開始から日が浅いにもかかわらず既に人気モデルに仕上がっており、入荷するとすぐに売れるほど!
新品並行相場が20万円台後半~とコストパフォーマンスをきわめて優れておりますので、気になる方はぜひ一度お手に取ってみて下さいね。
⑤スプリングドライブ ヘリテージコレクション SBGA211



【材質】ブライトチタン
【ケースサイズ】41mm
【文字盤】ホワイト
【ムーブメント】スプリングドライブ9R65
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】682,000円(税込)
次にご紹介するのは、セイコーが世界に誇るスプリングドライブです!
前項でもご紹介したように、スプリングドライブとは、駆動力はゼンマイでありながら精度を司るパーツに水晶振動子―クォーツ―を採用した画期的なシステムです。
これはグランドセイコー独自にして未だ他の追随を許さないほど革新的なもので、グランドセイコーを買うならスプリングドライブ!といった方もいるほど。
このムーブメントの魅力は、クォーツの高精度と機械式時計が持つ味わい深さを見事融合させたこと。つまり、機械式時計のような力強いトルク・優美な運針と、時間の正確性が一本の時計の中で両立されているのです。
さらに当モデルは、「ゆきしろ」「スノーフレーク」等とも呼ばれることがあります。その理由は、純白の和紙のような文字盤デザインにあり。青い秒針が映えて、大変美しいの一言に尽きますね。ブライトチタンが素材のため、重量100g弱という軽やかさも嬉しいところ。
なお、グランドセイコーにしては大きめサイズで、こちらはマスターショップ限定モデルということもありやや高価格帯です。並行相場は50万円台~。
ただし、「ワンランク上の一本が欲しい」「グランドセイコー愛好家」であれば、チェックしておきたい逸品ではないでしょうか。
ちなみに当モデルの旧型が、今なお当店で売上トップ10に入るほどの人気を誇っていることも特筆すべき点です。
⑥スプリングドライブ クロノグラフ スポーツコレクション SBGC203



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】43.5mm
【文字盤】ブラック
【ムーブメント】スプリングドライブ式9R86、パワーリザーブ約72時間
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】946,000円(税込)
こちらもスプリングドライブ搭載モデルですが、これまでご紹介してきた「ヘリテージコレクション」とは一転。かなりスポーティーでに男らしく仕上がった一本となります。
「スポーツコレクション」はグランドセイコーが独立後に特に力を入れている分野であり、現在時計業界で流行りのスポーツライン!かっこいいはずですよね。
もっとも、こちらのスプリングドライブ SBGC203は、2017年以前のSBGC003から受け継がれている伝統的なスタイルでもあります。そのためスポーツウォッチながらもスーツの黄金律を崩さない、正統派の魅力を有しますね。
さらに、クロノグラフ&GMT機能も搭載されていることもミソ!絶妙にこれらインジケーターがレイアウトされた文字盤は、メカニックな風貌を湛えることとなりました。
ちなみに2時位置が30分積算計、4時位置が12時間積算計、9時位置がスモールセコンド、そのすぐ下がパワーリザーブインジケーターです。かっこよさとグランドセイコーらしさを両立していますね。
これなら40代・50代のビジネスマンで、「クロノグラフが欲しいけどスーツに合わせるのはちょっと・・・」とためらっていた方もすんなり受け入れられるのではないでしょうか。
相場はスプリングドライブ×複雑機構と言うことが手伝ってか、中古でも70万円台~。流通量もまだそう多くはないので、見つけた時が買い時ですよ!!
ちなみに旧型のSBGC203。
旧型のため生産終了から既に3年が経つにもかかわらず当店の売り上げランキングでは2018年は第三位、2019年は第一位、そして2020年8月現在でも三位の超人気機種となっております!
グランドセイコー初となるクロノグラフモデルという背景も、人気の秘訣でしょう。
なお、同機能のシルバー文字盤タイプも同様に人気があります。
洗練された印象が強くなり、オシャレ重視派の男性から根強い支持を誇ります。
⑦スプリングドライブ ヘリテージコレクション SBGA283



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】39mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】スプリングドライブ9R65
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】440,000円(税込)
このモデル、スプリングドライブが搭載されていることもおすすめポイントですが、加えてシルバー文字盤の美しさに、まず心惹かれませんか?
これまたグランドセイコーの特殊技術が使われた仕上げとなります。
これは、「厚銀放射仕上げ」と呼ばれる装飾技法で、もともとの質感の良さに加えて、光を受けると放射状のラインに沿って得も言われぬ光沢を生み出すことが最大の特徴です。
セイコースタイルと相まって、輝きがいや増した一本に仕上がりました。
40mmアンダーのケースサイズもクラシカルテイストが強調されており、40代・50代の男心をくすぐりますね。
なお、こちらも旧型のSBGA083が、今なお高い人気を誇っています。
中古ならコンディションにもよりますが30万円前後~入手できる個体が出回っていますので、かなり狙い目な一本でもあります。
⑧スプリングドライブ スポーツコレクション ダイバーズ SBGA231



【材質】ブライトチタン
【ケースサイズ】縦 51.0mm × 横 44.2mm
【文字盤】ブラック
【ムーブメント】スプリングドライブ式9R65、パワーリザーブ約72時間
【防水性】200m
【定価】814,000円(税込)
40代・50代となると、ロレックスのサブマリーナやオメガのシーマスターを持っている、または若いころ欲しかった、という方もいらっしゃるのではありませんか?
そんなスイス勢のダイバーズウォッチに負けないと近年評判なのがグランドセイコー ダイバーズ。グランドセイコーとしては異色となりますが、非常に人気の高いモデルです。
逆回転防止ベゼルや夜光、ワンプッシュアジャスターなどを備えながらも、ザラツ研磨が施されたケースや独特の光沢があるベゼルなどで、グランドセイコーらしい高級感は健在です。
厚みも14mmほどと、通常のダイバーズウォッチに比べればそこまでのボリュームはありません。
さらに言うと、素材にブライトチタンが使用されているためステンレススティールよりも軽量で、こちらのモデルも137gほど。スペックと着け心地を両立するところに、グランドセイコーの「実用時計の最高峰」の精神を感じ取れるでしょう。
⑨メカニカル ヘリテージコレクション SBGR251



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】37mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】メカニカル式9S65、パワーリザーブ約72時間
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】440,000円(税込)
これまた「This is the グランドセイコー」と言った、良い意味でシンプル&無駄のないスタンダードなデザインを有したこちらのモデル。しかしながら、内部にはやはり同社が誇る超高精度「メカニカル9S」が搭載されています。
クォーツ,スプリングドライブと同様に、グランドセイコーになくてはならないアイデンティティです。
「メカニカル」とは、昔ながらの機械式時計モデルを指したシリーズとなります。セイコーと聞くとクォーツやスプリングドライブがフォーカスされがちですが、もちろんオーソドックスな機構にもグランドセイコーらしい技術力とこだわりが光ります。
特筆すべきは何と言っても36,000ビート(1秒間に10振動)。これは、「テンプ」と呼ばれる時計の精度を司るムーブメントの部位の振動数を表したもので、高ければ高いほど精度は良好になる一方で、パーツが摩耗し劣化が早まるという弱点も有します。
しかしながらグランドセイコーは独自設計と新素材使いによって、ハイビートながらもムーブメントを長寿命とするシステムを編み出しました。それが1998年に発表された、9Sメカニカルムーブメントです。
2018年には当ムーブメントが20周年を迎えたために様々なアニバーサリーモデルがリリースされましたが、やはりスタンダードな一本は普段使いに最適ですね。
新品並行相場は30万円台半ば~となっておりますので、40代・50代以上のビジネスマンがご購入になる高級時計として、決して無理のない価格帯なのではないでしょうか。
⑩メカニカル ヘリテージコレクション GMT SBGJ201



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】メカニカル式9S86、パワーリザーブ約55時間
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】737,000円(税込)
先ほどクォーツのGMT搭載モデルはご紹介いたしましたが、こちらはメカニカル!
さらに、超高性能との呼び声高い、36,000振動のハイビートムーブメントが用いられました。
なお、こちらの文字盤デザインも、ひときわ目を惹くものがあるかと思います。
これは、「岩手山パターン」と呼ばれるグランドセイコーの名物仕上げ装飾!グランドセイコーは岩手県雫石に工房を構えますが(前述したT0コンスタントフォース・トゥールビヨンが展示されているのも雫石の「グランドセイコースタジオ雫石」)、そこから見晴るかす岩手山の山肌が文字盤上で再現されました。
日本の雄大な自然が落とし込まれた、美しくも精巧な逸品と言えるでしょう。
⑪初代グランドセイコー リミテッドコレクション SBGW253



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】38mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】手巻き式メカニカル9S64、パワーリザーブ約72時間
【防水性】日常生活用防水(3気圧)
【定価】648,000円(当時)
こちらは、グランドセイコーの上品なドレスウォッチ。
しかもセイコーから独立し、新たな「グランドセイコー元年」とも言える2017年に発表された、スペシャルエディションです。
その門出にふさわしく、1960年グランドセイコー創世当時のファーストモデルを復刻したもの。
ちなみにこの初代グランドセイコーを簡単に解説すると、国産時計を世界と渡り合えるようにするため、同社が持つ当時の技術と粋を集めて製造された銘品。
高精度・視認性等の実用性、そして耐久性を何よりも重視した、現在のグランドセイコーのまさに元祖でした。
このストーリーは時計ファンにはたまりませんが、もちろん時計そのものの魅力も随一。
上品で古き良きアンティークを思わせるようなデザインは、丸みをもったサファイアクリスタル風防と文字盤により形成されます。
リューズのSマークや独特なデザインの尾錠、裏蓋のライオンマークもしっかり復元。針やインデックスの形もばっちりですね。
こちらのステンレスティールモデルが1960本生産されたほか、18Kイエローゴールドモデルが353本、プラチナモデルが136本限定で同時にラインナップされました。
出典:https://www.grand-seiko.jp/thefirstgrandseiko/detail01/
40代・50代のビジネスマンともなると、ちょっとしたパーティーやここぞというビジネスシーンでドレスウォッチが必要となってくるため、一本はお持ちになることをおすすめします。
その選択肢にこちらの初代グランドセイコー復刻モデルは最適。
さりげなくおしゃれで上品なだけに留まらず、このモデルを選ぶ男はどこかこだわりを感じます。
なお、初代復刻は2020年にレギュラーモデルで仲間入りを果たしています!
今回ご紹介したモデルは限定生産であったためなかなかほしい時に出会えないというジレンマがあったものですが、今後復刻の層が厚くなり、お気に入りの一本を見つけやすくなることに期待です!
⑫ヘリテージコレクション 44GS 現行デザイン SBGA373



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】スプリングドライブ9R65、パワーリザーブ約72時間
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】594,000円(税込)
40代・50代以上のビジネスマンともなると、持ち物に「こだわり」が出てくる方も多いでしょう。
「ちょっと変わった逸品が欲しい」「でもビジネスマナーに反したくはない」
そんなニーズをお持ちでしたら、グランドセイコーの復刻モデルは特にお勧め。
グランドセイコーは創業60年の歴史の中で数々の名作を生み出してきたのみならず、それらは当時の高級機として作られた背景があります。そのため今見ても「高級機」としての風格は抜群。現代の高級ブランド時計と並べてみてもそん色がありません。
しかしながら年式の古いモデルは、普段使いで不安を抱く方も少なくないでしょう。
そこで、「復刻」です。
先ほどご紹介した「初代グランドセイコー」でも触れたように、復刻モデルは当時の意匠を最先端のテクノロジーで復刻させていることが特徴です。
そのためデザインは当時の、しかしながら機能は現代、といった様相をお楽しみ頂けるでしょう。
そんな復刻の中で、最近特に人気が高いのがこちらの「44GS」復刻モデルです。
44GSは1967年登場の永遠の名作!当時、セイコー100周年を祝して発売された逸品です。何度か言及している現在の「セイコースタイル」―セイコー独自の高級時計のデザイン、価値観―を開花させることにもなった一本です。
さらにこちらのSBGA373は、ただの復刻ではなく、現代風に解釈し生み出されました。
オリジナルより大きめで、メタルブレスレットが精悍な印象。
当時にはなかった裏スケルトンから、やはり当時はなかったスプリングドライブを鑑賞できることも嬉しいですね。
↑1967年当時の44GS(出典:https://www.seiko-watch.co.jp/)
太めラグやメタルブレスレットのスポーティーテイストとは裏腹にかなり上品な見た目です。
ビジネススーツにさりげなく身に着ければ、こだわりあるメンズも大満足でしょう!
⑬GSセルフデーター 限定1200本 SBGV009



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】37.2mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】クォーツ式9F82
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】378,000円(当時)
やはり、40代、50代ともなると人と違った「こだわり」を持ちたくなる・・・そんなお年頃に44GS復刻と併せておすすめしたいのが、こちらの限定モデルです!
こちらは、1964年に発売され一世を風靡した「GSセルフデーター」のデザインを復刻させたもの。
グランドセイコーの第二世代だったため、グランドセイコーセカンドとも呼ばれていました。
今でこそ世界が知ることとなった実用時計の最高峰というグランドセイコーの理念。その礎とも言えるシリーズで、ただ精度や性能が高いだけでなく、一生涯愛用できる高級時計を目指して製造されたと言います。
ちなみにセルフデーターとは、「日付表示機能」を指すセイコー独自の呼称。ファーストモデルに日付窓はありませんでした。
↑1964年当時のGSセルフデーター(出典:https://www.seiko-watch.co.jp/)
オリジナルは手巻き式でしたが、こちらはより使いやすいクォーツモデル。
また、プラスティック風防もサファイアクリスタルへと、より現代の実用時計へと進化していっています。
最近「復刻腕時計」が時計界で流行っていますが、当時の情緒ある時計を現代技術で楽しめるのが嬉しいですよね。
一方でオリジナルのコンサバティブな印象はそのまま。
1200本限定のため、欲しい時にパッと時計専門店で探すことは難しいかもしれません。
しかし中古品でしたらある程度の流通量があり、価格も抑えられますので、見つけた時が買い時です!
⑭クォーツ 強化耐磁 SBGX291



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】38.8mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】クォーツ式9F61/40,000A/m強化耐磁
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】367,200円(当時)
使いやすくお値段もお手頃なクォーツモデルは人気グランドセイコーの鉄板。40代・50代以上の、日々細かなスケジュール管理が求められる男性陣にはうってつけの代物でしょう。そんなクォーツの中にも様々な派生モデルが存在するのですが、中でもこちらは異色。強化耐磁機能を備えたモデルなのです。
ちなみに40,000A/mという、クォーツとしては世界最高峰の強化耐磁。そのアイコンとして、文字板のGSロゴと「MAGNETIC RESISTANT」の表示を赤色に統一されているところもちょっと他モデルとは一線を画しますね。
なお、GSロゴが一新されてリファレンスは変更となりましたが、同スペックの旧強化耐磁モデルSBGX091は、2013年にグッドデザイン賞を受賞しています。グッドデザイン賞とは世界規模のデザイン評価制度ですが、グランドセイコーは過去に幾度もこの栄えある称号を獲得してきました。
グランドセイコーはただ地味なだけでも機能だけを追求したのでもない。内外ともに時計として申し分のない価値を有することがおわかりいただけるエピソードでしょう。
⑮スプリングドライブ スポーツコレクション GMT SBGE245



【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】44mm
【文字盤】マホガニー
【ムーブメント】スプリングドライブ9R66、パワーリザーブ約72時間
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】640,000円(当時)
最後にご紹介するのは、マホガニーレッドの文字盤が眩しいこちら!
2018年、スポーツコレクションに新たに追加された、「海」をモチーフにしたモデルです!
44mmというダイナミックなケース径、そして深みのある文字盤カラー、ダイナミックなGMT針がインパクト抜群ですね。
「海」をモチーフとしたダイバーズウォッチらしく、逆回転防止ベゼルがデザインアクセントになっていることもポイントです。ちなみにセイコー独自の夜光塗料「るみブライト」が針・インデックスのみならずベゼルの24時間表記にも塗布されており、太陽光の射さない過酷な状況下でも時刻視認を可能とします。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/sbge245/
さらに、グランドセイコーには珍しく、強化シリコンストラップが付属しておりました。
ビジネスシーンではメタルブレスレットを、オフシーンではシリコンストラップを・・・と言ったように、状況に合わせてテイストの変化を楽しめるのが嬉しいですね。
なお、当モデルは600本限定生産だったため、現在は生産終了となっております。
そのためこれまた欲しい時にすぐに出会えるモデルとはなかなかいかないため、見つけた時はお早めのご決断をおすすめいたします。
一方で「海」シリーズは継承されているため、ダイバーズウォッチが気になるメンズはぜひチェックしてみてはいかがでしょうか(通常モデルはメタルブレスレット仕様のみとなります)。
まとめ
グランドセイコーの時計を15本ご紹介いたしましたが、一見すると違いがわからないように見えるデザインも、それぞれに個性が垣間見えていますよね。
むしろ、内蔵されたムーブメントや品質を鑑みれば、唯一無二の独創性があると言っていいでしょう。
また、40代・50代のビジネスマンは、部下や上司・取引先や顧客など全方面に気遣いを求められる年代。
それなりのステータスがあって、高級感もあって、でも目上の方に嫌みのないデザイン性・・・
そういったサラリーマンにありがちな悩みを全て克服してくれるのがグランドセイコー。
かゆいところに手が届く、まさに日本企業ならではです。
文:鶴岡
■グランドセイコーの一般モデルとマスターショップ限定モデルって何が違うの?
■ニッポンの高級時計ブランド5選。ザ・シチズンやミナセ等、日本メーカーの名機をまとめてみました!
■セイコー・シチズン・カシオ 買うならどれ?国産時計を徹底比較!
■セイコーミュージアム 銀座が移転オープン!さっそく行ってみました!
この記事を監修してくれた時計博士



新美 貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN リテール(本店、ナイン店)商品管理、メンテナンス マネージャー
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴23年