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スピードマスターとして月へ到達したムーブメント「レマニア Cal.321」

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月へ到達した”ムーンウォッチ”として圧倒的な知名度を誇るオメガ スピードマスター。

1957年に誕生したスピードマスターは大きく分けて6世代に分かれており、基本コンセプトはそのままに様々な進化を辿ってきました。

今回はそんなスピードマスターにおいて、第1世代~第4世代までに使われていた名機「レマニアCal.321」について掘り下げていこうと思います。

現在レマニアCal.321を搭載したスピードマスターは非常に希少性が高く、高額で取引されています。

月に到達したCal.321とはいったいどんなムーブメントなのか?

オメガウォッチが好きな方に是非ご一読いただきたい内容です。

 

レマニア Cal.321

 

初期のスピードマスターとレマニアCal.321

スピードマスターは伝説のムーンウォッチとしてのイメージが強いですが、元々はオメガの潜水時計の1つ「シーマスター・クロノグラフ」を改良したモータースポーツ用の時計として誕生しました。外周ベゼルにタキメーターを配した世界で初めての時計でもあり、デザインも画期的なモデルであったといえます。

オメガ スピードマスター トリロジー 60周年

オメガ スピードマスター 1957 トリロジー

 

そして初期のスピードマスターは画期的なデザインだけでなく、当時の時計界において優れたムーブメント製造技術を持っていたレマニア社の傑作ムーブメントCal.321を搭載していることでも大きな話題を呼びました。

オメガ スピードマスター Cal.321

オメガ スピードマスター Cal.321

Cal.321はスピードマスターを高精度クロノグラフとして認知させた最大の功労者です。

毎時18000振動のロービートでありながらも優れた精度。細かな部品の構成による見事な様式美。

レマニア社の時計技師アルバート・ピゲによって設計されたCal.321はムーブメントの美しさだけでなく機能性にも優れた「手巻きクロノグラフムーブメントの代表格」として現在も語り継がれています。

オメガとレマニア社によって「Cal.321」が開発されたのは1942年のことです。オメガはスピードマスターの開発において、ムーブメント設計に2つの条件を出します。

1つは30分と12時間の積算時計があること。もう1つは出来るだけムーブメントサイズを小さくすることです。

当時の時計界において小型クロノグラフムーブメントを作ることは非常に難しく製作は困難を極めましたが、レマニア社及びアルバート・ピゲは見事に期待に応える傑作ムーブメントを創り上げます。

 

「Cal.321」は直径27mm・厚さ6.7mmという手巻きクロノグラフムーブメントとしては非常に小型設計で作られました。また、Cal.321を搭載した初代スピードマスターはオメガ初の3インダイヤル装備クロノグラフとしても歴史に名を刻むこととなります。

 

Cal.321を作り上げたレマニア社

レマニア社は1884年に時計師アルフレッド・ルグランによってジュウ渓谷のロリエントで創設されたスイスの老舗ムーブメントメーカーです。戦時中にイギリス軍に約10万本のミリタリークロノグラフを納入した実績もありますが、時計そのものよりもムーブメント製造で名を馳せた会社でした。

そして、そのレマニア社が作り上げる美しいムーブメントに目を付けたのが、オメガだったわけです。

オメガ スピードマスター トリロジー

オメガ スピードマスター 1957 トリロジー

この選択こそがムーンウォッチ誕生の原点であり、オメガの繁栄に繋がったといっても過言ではありません。

 

Cal.321が名声を博した後のレマニア社はオメガ以外にもジン・ブライトリング・ブレゲといった有名ブランドにムーブメントを提供。数々の名作ムーブメントを世に残しました。

しかし、クオーツショック後の1981年にブレゲに買収され、社名を「ヌーベル・レマニア」に変更。そのブレゲがスウォッチグループ傘下になったことで、スウォッチグループの一員となりました。2007年にはブレゲのムーブメント製造部門として吸収合併されたため、現在メーカーとしてのレマニア社は消滅しています。

 

現代の時計界でもレマニアの魂は健在

現在のレマニアはスウォッチグループに属するブレゲのムーブメント製造部門ですが、グループ内外のブランドにムーブメントを提供する機会もあり、今尚その魂は生き続けています。

ブレゲ クラシック コラムホイール

ブレゲ クラシック クロノグラフ コラムホイール 5247BB/29/9V6

上の写真は現代のブレゲに搭載されている手巻きクロノグラフムーブメント。ベースはCal.321となっており、レマニア時代の面影が濃く残っているのが分かります。

ちなみにオメガが所属するスウォッチグループの一員となったことで、レマニアとオメガの関係性はより深くなりました。オメガとレマニアの関係は切っても切れない縁があるようです。

 

レマニアCal.321の功績

1965年NASAはジェミニ計画の宇宙飛行士に装備させる「ミッション・ウォッチ」のテストを行ない、各ブランドから10個の時計を集めました。宇宙空間を想定したテストの内容は、高低温に対する耐性・耐衝撃性能・耐圧力性能・耐振動・異常な酸素濃度への耐性など11にも及ぶ項目で、この試験を突破したのはスピードマスターとロレックス コスモグラフの2本のみだったのです。

最終的にはスピードマスターがNASAの公式時計に選ばれ、見事ムーンウォッチとして月へと到達しました。

 

オメガ スピードマスター 試験

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/planet-omega

月へと旅立ったスピードマスターは第4世代のモデルですが、ムーブメントは初代から変わらずCal.321が搭載されていました。

スピードマスターはCal.321が搭載されていなければ、今の地位を確立することは難しいかったでしょう。それだけCal.321の功績は大きいです。

Cal.321は「オメガの歴史を作った伝説のムーブメント」であり、「月へと到達したムーブメント」であるともいえるのです。この事実があるからこそ、現在もCal.321を搭載したモデルは非常に高い評価を受けており、高額で取引されています。

尚、Cal.321を搭載したスピードマスターは非常にレアな存在になっているため、現在の中古市場では殆ど見かけません。

 

雲上時計ブランドのムーブメントのベースにもなっている

Cal.321はパテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタンにも採用されている「レマニア Cal.2310」のベースともなっていることでも知られています。

パテックフィリップ レマニア

上の写真は「パテックフィリップ クロノグラフ コンプリケーテッド 5070G-001」。スウォッチグループの一員となったレマニアがパテックフィリップの為だけに作ったCal.2310を工房で組立・仕上・調整を施した特別なクロノグラフムーブメント”Cal.27-70″を搭載しています。

このムーブメントは1986年に製造されたムーブメントですが、その完成度の高さは現代でも通用するほどのクオリティです。現在は後継機であるCH29-535へと受け継がれており、時計愛好家を魅了し続けています。

CH29-535

ムーブメント:CH29-535

CH29-535の一世代前のムーブメントがCal.27-70。Cal.27-70のベースとなったのがCal.2310。そして、そのCal.2310のベースはCal.321。Cal.321は手巻きクロノグラフムーブメントの歴史そのものと言っても過言ではありません。

 

また、高級ムーブメントのCal.2310以外にもパネライ ルミノールクロノ(Cal.1872ベース)、ブライトリング ナビタイマー A120BNMFBA(Cal1873ベース)といったモデルにもレマニアベースの手巻きクロノグラフムーブメントが採用されています。勿論どのモデルも他のムーブメントにはない美しさを誇り、未だに根強い人気を集めています。

このことから、現代におけるレマニアのムーブメントは時計ファンならば誰もが憧れる至高のムーブメントであることがお分かりいただけると思います。

 

最後に

手巻きクロノグラフの歴史的ムーブメントであるCal.321はスピードマスターの歴史を切り開いた伝説のムーブメントです。月へと到達した時計はオメガ スピードマスターで間違いありませんが、その内部に使われていたCal.321もまた月に到達したムーブメントであるといえます。

開発から50年以上が経過した現代においてもCal.321をベースとしたムーブメントは高い人気を得ており、Cal.321の設計の素晴らしさは疑いようもありません。

そんなCal.321を搭載したスピードマスターは今では大変希少なレアモデルとなっています。状態の良いCal.321搭載モデルを手に入れることは難しくなっているので、もし見かけた場合は即購入するくらいの判断が必要です。

 

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