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WEBマガジン, シャネル, ブランド時計豆知識, ミドルクラスのモデル特集

ケニッシの株式取得によってシャネルが打ち出したJ12 2019年の新作とは?

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シャネルが2018年に繰り広げた名門腕時計メーカーの買収劇に、驚かされた時計ファンも多いのではないでしょうか。
F.P.ジュルヌ創立のモントル ジュルヌに続き、ケニッシ社の株式20%を取得したのです。

ケニッシと言えば、チューダーとムーブメントを共同開発している部品メーカーです。ロレックスグループの所有地であるル・ロックルで共同の時計製造工場を建設中であり、その関係性の良好さは誰もが知るところ。

そんなケニッシの株式取得。
さらにバーゼルワールド前夜にあたる2019年3月19日、ケニッシ社協力のもと開発したムーブメントを搭載したJ12の2019年新作を一足早く打ち出しております。

ケニッシ×シャネル×チューダー(ロレックス)の大手三社の群像劇とは?
そして、新作J12の実力のほどはいかに?

 

シャネル J12

 

シャネルの近年のM&Aの動向

昨年、シャネルの謎に包まれたベールの中身の、一部がチラ見せされました。
それによると、2017年の同社の売上高は100億ドル(約1兆1000億円)近く。ファッションブランド最大手のルイ・ヴィトンに肉薄していると言うのです。
ちなみにシャネルから財務情報が明かされたのは、1909年の創業以来初となります。

一時期ルイヴィトン率いるLVMHがシャネルを買収する、なんて話もありましたが、シャネルの飛ぶ鳥落とす勢いはむしろ逆。特に腕時計分野における買収劇はなかなか壮大でしょう。

もともとシャネルは多角的な経営を行ってきた歴史があります。
アパレル、香水、ジュエリー、そして腕時計。オーナーであるヴェルテーメル兄弟の見事な経営手腕によって、いずれも一級品を生産しています。
シャネルの製造技術やデザイナー起用などが巧みであることも大きな理由ですが、それぞれの分野が得意の企業のノウハウを、M&Aなどを通じて吸収してきたためでもあるでしょう。

腕時計分野でもそれは同じで、1993年にスイスの腕時計部品メーカーG&Fシャトレーンの子会社化を皮切りに、1998年にはベル&ロスと資本提携を果たしました。

そして2011年にグランドコンプリケーションの雄ローマン ゴティエの株式を少数取得。
次いで昨年2018年に、冒頭で述べたモントル ジュルヌ及びケニッシとも資本提携する運びとなったのです。

 

F.P.ジュルヌ

※F.P.ジュルヌのモデル「オクタ」

 

ちなみにモントル ジュルヌは独立時計師F.P.ジュルヌが創業したブランドです。
年間製造本数は千本にも満たない小規模経営ながら、時計愛好家たち垂涎のブランド。時計界のアカデミー賞と名高い「GPHG(ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ)」では、最優秀賞である金の針を三度も受賞した実力派です。

しかしながら、大手と小規模ブランドが提携するのはよくあること。
また、シャネルは「M&A」と言っても決して提携先ブランドを植民地化するような手法は取らないことをご存知でしょうか。

提携先の理念やノウハウを尊重するものであり、シャネル、ひいてはヴェルテーメル兄弟のこういった手腕はファッション界でも有名です。

そのため、モントル ジュルヌの株式取得に話題性はあれど、センセーショナルといった印象はあまり持ちません。

でも、ケニッシは違います。
なぜならケニッシには、あのロレックスグループの影が見え隠れするためです。

シャネルが20%の株式を取得したケニッシについて、次項で解説いたします。

 

ケニッシってどんな企業?

チューダー ブラックベイ 79230
※ケニッシ×チューダーによる開発ムーブメントMT5602を搭載したブラックベイRef.79230

 

ケニッシは、2016年創業、スイス ジュネーブに本拠を置く高級腕時計の部品メーカーです。
特に自動巻きムーブメントに定評のある会社で、精巧にして堅牢・高性能な動きが魅力と言われてきました。

そんなノウハウを持つケニッシは、チューダー(チュードル)にムーブメントのパーツを供給のうえ、共同開発しています。
チューダー初となる自社製自動巻きムーブメントであり、COSC認定のMT5602はケニッシ社の協力のもとに誕生しました。

ケニッシの創業者は知られていませんが、現在の管理はチューダーの取締役エリック・ピルソン氏、元ブライトリングの副社長ジャンポール・ジラルダン氏などによって行われています。

さらに、ケニッシは2022年までに、現在本拠があるジュネーブから製造工房をル・ロックルに移設することが決まっています。
このル・ロックルの移設予定地はロレックスグループの所有地で、現在建設中となりますが、同グループも携わっていると言うのです。

出来上がった工房は、チューダーとケニッシそれぞれ50%ずつ使用する、とのこと。

つまりシャネルがケニッシの20%の株式を取得する、ということは、この工房の1/5を所有する権利を得る、ということになるのでしょうか。

そしてこれは、ロレックスとシャネルによる共同声明をも意味するのでしょうか?

 

ロレックス ケニッシ シャネル

 

ロレックスは創業以来独立を貫いてきたため、あまり他社と共同したり提携したりするイメージはないかもしれません。

ただ、もともとチューダーはブライトリングと共同関係にあったことでも知られています。
チューダーのクロノグラフムーブメントMT5813は、ブライトリングの自社製ムーブメントCal.B01をベースに作成されています。
ちなみにチューダーは3針のMT5612をブライトリングに提供しています。

こういった従来からの共同関係を鑑みれば、シャネル×チューダー(ロレックス)の関係性は特段不思議ではありませんね。

不思議でないどころか、顧客には利益がもりだくさん!
なんせ、高名なケニッシのムーブメントのノウハウを、J12で味わうことができるのですから。

もちろんシャネルの時計製造技術自体は高いレベルにありますが、従来のETAムーブメントだと物足りない、マニュファクチュールをもっと味わいたい!といった時計&シャネルファンは少なくないでしょう。

そんなファンお待ちかねの、ケニッシと共同開発したムーブメント搭載J12が発表されています!
次項でご紹介いたします。

 

シャネル2019年新作メンズJ12

シャネル J12
出典:https://www.hodinkee.com/articles/chanel-j12-2019-introducing

 

ケースサイズ:38mm
素材:ホワイトまたはブラックセラミック
ムーブメント:自動巻きケニッシ/シャネルCal.12.1(28,800振動)、COSC認定
パワーリザーブ:約70時間
防水性:200m
予価:5700米ドル

 

見た目は従来のJ12と違いがわからない・・・正直、初見ではそんな風に思ってしまったこちらの2019年新作。
シャネル J12でおなじみの自動巻き×38mmとほぼ一緒ですよね?

シャネル J12
H0970H0685

 

外装には若干のアップデートが加えられています。
シャネル特有のラッカー文字盤の上に配されたアラビアンインデックスがポリッシュ仕上げされたセラミック製に変更になり、さらにミニッツサークルも見やすいようアワーマーカーの下にアクセントが加えられました。
タイポグラフィもわずかながら再設計され、文字盤が広くなっています。

とは言え、大きな変化と言えばやはり中身。
ケニッシのノウハウを活かしたCal.12.1は、パワーリザーブを従来のものより約2倍の70時間に、そしてCOSC認定として打ち出したのです。

まだ実機を見ていないので正確にはわかりませんが、なんとシースルーバックが採用されている、という情報もあります。J12はこれまでステンレスのケースバックだったため、もし本当なら非常に楽しみです!
それによると、裏蓋から鑑賞できる仕上げや精巧な動きはやはり従来とは一線を画している、とのこと。

これまでJ12は「オシャレさ」が際立っていましたが、ケニッシとタッグを組んだことによって、文句なく実用性や時計としての真価を極めた、と言っていいでしょう。

予価は5700ドルと、他のJ12と大きな差がないのも嬉しいところ。
限定生産ではないようなので、実勢相場がどれくらいになるかはわかりませんが、早く手にしたい2019年新作のうちの一つです。

 

まとめ

シャネルが買収したケニッシについて、そして買収後初となる共同ムーブメントを搭載させたJ12の2019年新作をご紹介いたしました!

文中でもご紹介しましたが、ケニッシと手掛けたチューダーのムーブメントはロングパワーリザーブ始め実用性に定評がある名機であり、それが今後シャネルのJ12でも楽しめるとすると、やはり消費者にとっては嬉しいニュースと言えそうです。

今後、いつ日本に入荷してくるのか。また、2019年新作に他にケニッシ社とのムーブメント搭載モデルはあるのか。実勢相場はいくらになるのか。まだまだ目が離せそうにありませんね。

 

バーゼルワールド2019 シャネル  速報レポートはこちら

 

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