「ロレックスの値上がりについて気になる」
「値上がりで実勢相場はどうなるの?」
ロレックスは2019年以降、年に一・二度ペースでの定価改定を行ってきています。
とりわけ2022年の値上がり率はなかなかの高さで、前年比で20%近く上昇しているモデルも存在しました。
そして2025年1月。
全体的な上昇幅はそこまで高くないものの、改めて定価改定が敢行されています。
金の高騰に伴いゴールド系のモデルが大幅に値上げとなり、時計愛好家に大きな影響を与えました。
「もはや定価では買えない」そう騒がれるようになって久しいロレックス。
この記事では近年のロレックスの相場・人気、実施された定価改定から見る、ロレックスの今後の動向について考察しています。
各人気コレクションごとに詳細に説明していますので、ロレックスの資産価値について興味がある人はぜひ参考にしてくだい。
目次
ロレックス 人気モデルの定価と過去10年間の定価推移
まず始めに、ロレックスの定価改定の動向を解説するとともに、人気モデルを中心に過去10年間の定価推移を掲載致します。
現行モデルが出始めた2010年以降をめどに掲載致しました。
なお、直近の定価改定は2015年、2019年10月。次いで2020年1月、2021年8月。2022年1月・9月、2023年1月・9月、2024年1月・6月。そして2025年1月に行われています。
生産終了したモデルに関しては初出年と最終定価を掲載いたしております。
【2025年1月】ロレックス 定価改定について

2025年明けてすぐ、にわかにロレックスの定価改定が敢行され、メーカーホームページもしっかりと書き換わりました。
主要モデルを対象に、5%~20%程度の値上がりとなっております。
2022年に比べると上昇幅は抑えられていますが、ゴールド系に関しては過去最大級の値上げとなり、金無垢デイトナの一部モデルに関しては20%前後の値上がりが確認されています。
もともと2022年に定価改定されて以降、「まだ上がる」と言われ続けてきましたが、毎年これ程までの値上がりが実施されるのは時計愛好家にとっては想定外の事態といえます。
それでは次項より、2025年1月~の新価格を含む、人気モデルの過去10年間の定価推移を掲載致します。
①コスモグラフ デイトナ
ロレックス デイトナ 126500LN

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
新定価:2,349,600円
定価推移:2,176,900円⇒2,349,600円(2025年1月改定)
ロレックス デイトナ 116500LN

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2016年~
新定価:1,757,800円
定価推移:1,274,400円⇒1,309,000円(2019年10月改定)⇒1,387,100円(2020年1月改定)⇒1,457,500円(2021年8月改定)⇒1,609,300円(2022年1月改定)⇒1,720,400円(2022年9月改定)⇒1,757,800円⇒2023年9月定価改定時、お値段据え置きのまま生産終了
②GMTマスターII
ロレックス GMTマスターII 116710LN(黒ベゼル)

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2007年~2018年
定価推移:714,000円⇒799,200円(2013年改定)⇒最終定価:864,000円
ロレックス GMTマスターII 116710BLNR(青黒ベゼル)

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2013年~2018年
定価推移:864,000円⇒最終定価:918,000円
ロレックス GMTマスターII 126710BLRO / 126710BLNR ジュビリーブレス

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2018年~
新定価:1,664,300円
定価推移:1,569,700円⇒1,664,300円(2025年1月改定)
ロレックス GMTマスターII 126710BLRO / 126710BLNR オイスターブレス

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2021年~
新定価:1,633,500円
定価推移:1,540,000円⇒1,633,500円(2025年1月改定)
③エクスプローラーI
ロレックス エクスプローラーI 後期型 ホワイト369 214270

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 39mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2010年(2016年にマイナーチェンジ)~2021年
定価推移:598,500円⇒621,000円(2013年改定)⇒669,600円(2015年改定)⇒687,500円(2019年10月改定)⇒2020年1月定価改定時、お値段据え置きのまま生産終了
ロレックス エクスプローラーI 124270

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 36mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2021年
新定価:1,104,400円
定価推移:1,036,200円⇒1,104,400円(2025年1月改定)
ロレックス エクスプローラーI 124273

素材: ステンレススティール / SS × イエローゴールド / YG
ケース:直径 36mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2021年
新定価:1,943,700円
定価推移:1,762,200円⇒1,943,700円(2025年1月改定)
④エクスプローラーII
ロレックス エクスプローラーII 216570 ホワイト

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 42mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2011年~2021年
定価推移:693,000円⇒772,200円(2013年改定)⇒831,600円(2015年改定)⇒853,600円(2019年10月改定)⇒最終定価:875,600円
ロレックス エクスプローラーII 226570 ブラック

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 42mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2021年
新定価:1,477,300円
定価推移:1,392,600円⇒1,477,300円(2025年1月改定)
⑤サブマリーナ
ロレックス サブマリーナ デイト 116610LN ブラック

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2010年~2020年
定価推移:735,000円⇒810,000円(2013年改定)⇒874,800円(2015年改定)⇒898,700円(2019年10月改定)⇒最終定価:943,800円
ロレックス サブマリーナ デイト 116610LV グリーン

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 40mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2012年~2020年
定価推移:702,000円⇒766,800円(2015年改定)⇒787,600円(2019年10月改定)⇒最終定価:832,700円
ロレックス サブマリーナ デイト 126610LN

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 41mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2020年
新定価:1,570,800円
定価推移:1,481,700円⇒1,570,800円(2025年1月改定)
ロレックス サブマリーナ デイト 126610LV

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 41mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
新定価:1,648,900円
定価推移:1,555,400円⇒1,648,900円(2025年1月改定)
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 124060

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 41mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2020年
新定価:1,400,300円
定価推移:1,318,900円⇒1,400,300円(2025年1月改定)
⑥シードゥエラー
ロレックス シードゥエラー クラウン無し 126600

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 43mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2017年~
新定価:2,022,900円
定価推移:1,911,800
円⇒2,022,900円(2025年1月改定)
⑦シードゥエラー ディープシー
ロレックス ディープシー 136660 ブラック

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 44mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
新定価:2,043,800円
ロレックス ディープシー D-BLUE 136660

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 44mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
新定価:2,087,800円
ロレックス ディープシー 126660 ブラック

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 44mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2018年~
定価推移:1,263,600円⇒1,298,000円(2019年10月改定)⇒1,331,000円(2020年1月改定)⇒1,399,200円(2021年8月改定)⇒最終定価:1,538,900円
ロレックス ディープシー Dブルー 126660

素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 44mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
初出:2018年~
定価推移:1,296,000円⇒1,332,100円(2019年10月改定)⇒1,365,100円(2020年1月改定)⇒1,434,400円(2021年8月改定)⇒最終定価:1,574,100円
この記事では人気の主要モデルのみをピックアップしてご紹介しておりますが、ほとんど全ての製品が2021年8月以降の価格改定対象となっています。
わずか4年ほどの期間で定価が1.5倍~2倍近くまで跳ね上がったモデルもあり、世界的な「値上げの波」はロレックスでも例外ではありません。
ロレックスの定価改定は実勢相場に影響を及ぼすのか?
上記で定価推移を掲載しましたが、結構上がってますよね?
しかしながら、一般的にメーカーが定価改定したからと言ってすぐに実勢相場が上がったり下がったりすることは稀です。
もちろん新品に関しては仕入れ値が変化するため、並行相場はおのずと上がります。
一方でロレックスのように新品があまり出回らず、中古や未使用品でも形成される実勢相場においては、定価改定の影響は少ないとされています(もちろん長期的な影響は大きくなります)。
しかしながら、最近のロレックスはそうも言っていられません。
ロレックスの定価を上回る実勢相場が時計業界以外でも話題になっており、ロレックスの一挙手一投足で相場形成が変わるような状況が見受けられるのです。
その顕著な例が、「新作発表」です。
ロレックスは例年3月~4月にその年の新作を発表するのですが、それがモデルチェンジだった場合、「生産終了したモデルの相場が上がる」という噂が一人歩きしてしまい(実際に上がる傾向にはありますが)、新作発表前後で需要集中した結果、信じられないような価格を記録する個体が出てきているのです。
例えば2021年4月7日に新作発表されたエクスプローラー 124270。事前にエクスプローラーの生産終了説が飛び交っていたため、その前後でエクスプローラーI 214270は190万円、エクスプローラーII 216570 白文字盤は200万円まで実勢相場を急騰させました。
2025年1月現在は落ち着きを取り戻し、実勢相場120万円前後~となっています。
定価改定によって話題性が上昇することで、「2025年以降の実勢相場」に影響を与えるということも考えられるでしょう。
ロレックス定価は今後世界的に値上がり?
実は価格改定は日本国内だけではありません。香港などでも度々国内定価が値上がり対象となっています。
2015年の価格改定の際は、確かにヨーロッパ圏や香港でも同時に値上がりとなりました。そのため今回の価格改定も、今後全世界で波及していくことは不思議ではありません。
この背景としては、原材料や人件費といった原価高騰が存在します。高級機と無関係ではいられない金やステンレス鋼板の高騰の影響は小さくなかったでしょう。2022年以降、円安が進行していることや、ロシア・ウクライナ危機が深刻化したことも、多くの輸入品の原価を上昇させる背景となっております。
特に原油や鉱物の供給に大きな影響力を持つロシアからの供給が不安定になっていることは、既に多くのメディアが報道するところですね。
そのためロレックスのみならず、多くの高級ブランドが定価改定に踏み切っており、2023年に入ってからはオーデマピゲやパティックフィリップ、IWCなどがその例として挙げられます。

また、度々の価格改定は実勢相場が上がりすぎた結果だ、と言った声もあります。
ご存知、ロレックスの人気モデル(加えて一部のブランドの人気モデル)は今や、定価でなかなか買うことができなくなりました。圧倒的な高い需要とそれに喚起された品薄のため正規店で入手できず、結果的に市場価格が高騰を続けていますね。
こういった中で、実勢相場に合わせる形でロレックスが値上げを敢行したのでは…?なんて声も出てきています。
ロレックスは非上場企業であることに加えて徹底した秘密主義。そのためどういった要因での定価改定かはわかりませんが、一番気になってくるのが2025年のロレックス相場への影響ですね。
繰り返しになりますが、ロレックスは世界的な需要が非常に高く、ほとんど全ての国でプレミア価格を叩き出しています。世界的に値上がりすれば、その相場がさらに上昇するであろうことは想像に難くありません。
ロレックスの定価改定から見る!実勢相場動向とポジショニングの変化
前述の通り、ロレックスの今回の定価改定によって、実勢相場にも影響を及ぼす可能性があります。
また、ロレックスの度重なる定価改定には、ロレックスの時計業界内でのポジショニングも変化させつつあります。
さらには「まだこれから定価が値上げされる」といった考察も・・・!
そこでロレックスの定価改定や実勢相場を中心に、2025年動向を読み解いてみました。

ロレックス2025年の動向①供給不足と世界的な品薄の加速

まずロレックス、そして全ての人気高級時計ブランドに言える2022年~2025年の動向として挙げたいのが、供給不足と世界的な品薄の加速です。
これは、世界中で猛威を振るっていた新型コロナウイルス(COVID-19)が原因として挙げられます。
かつて、新型コロナウイルスは、私たちの生活様式を一変させました。
とりわけ感染力の強さは人やモノの行き来を大きく制限させており、他国との貿易はもちろん、国内でも交流が避けられるようになりましたね。
現在では、すっかり過去の出来事になりましたが、数年程前は各国・わが国でも―ロックダウンや緊急事態宣言が発令され、ショップや飲食店が休業や時短営業を余儀なくされました。2023年後半には、ウイルス性の体調不良なども一部では流行り、いつ同じような状況がおきてもおかしくない日々が続いていました。
メーカー側も人員確保やパーツ製造は引き続き課題となり、結果としてますます原価高騰が進むことになりました。ここに加えて、ロシア・ウクライナ危機による輸送コストや原材料価格の高騰も影響は小さくありません。
こういった背景から前項でもご紹介しているように、大幅な価格改定に踏み切ったブランドは2020年~2021年にかけて少なくありませんでした。
ロレックスでも、いつまた価格改定が行われても不思議ではない背景がある、と言った見方ができるのではないでしょうか。

なお、新型コロナウイルスはメーカー側の定価改定事情のみならず、実勢相場にも色濃い影響を落としていました。
貿易や海外との業者間取引が制限されたことから国内市場への海外仕入れがしづらくなっていたからです。
コロナ過は、ロレックスのみならず多くのブランド時計の市場流通量が低減ることとなりました。
しかしながら、新型コロナウイルスで需要も一緒に低減したかと言うとそうではありません。むしろ、旅行やイベントでお金を遣わなくなったこと等も関係してか高額品への消費が顕著となり、依然としてロレックス需要は高まり続けているのです。この購買マインドは「リベンジ消費」などとも称されていますね。
需要は落ち着くどころかむしろ高まっているのに、品不足…市場原理である「需要と供給」の法則に従えば、相場が上がるのは明らかです。
繰り返しになりますが、これはロレックスのみならず多くの人気ブランド時計に言えること。しかしながらロレックスできわめて相場高騰が顕著であることはご存知の通りです。
最近では各国で制限が緩和され、レジャーを楽しむ様子が戻ってきてはいるものの、相変わらず高級時計市場は堅調となっております。
そのため2025年もブランド時計の供給不足および品薄は加速し、結果としてロレックス定価改定のみならず、相場の上昇傾向も続くことが考えられます。
ロレックス2025年の動向②新型ムーブメント開発の促進は値上げの兆候?

次にロレックスの2025年相場動向に大きな影響を与えるのが、「新型ムーブメント」の存在です。
前項でも簡単にご紹介していますが、ロレックスが「新世代」と自負する新型ムーブメントが続々新作に搭載されています。 例えば3針+日付機能のCal.3235。 デイトジャストやパールマスター、そして赤シードの異名でも知られる2017年発表のシードゥエラー126600などに採用されてきました。
従来のCal.3135も素晴らしい名機でしたが、後継機にあたるCal.3235は約70時間ものロングパワーリザーブが最たるウリです。 もともとが48時間だったことを考えると、約1日分もの延長を実現したということになります。
「週末に腕時計を外して過ごしたら、週明けにはぜんまいを巻かなくてはならない」といったこれまでの自動巻きの常識を覆しました。

加えて、ロレックスが特許を取得した、新しいクロナジーエスケープメントによる高いエネルギー効率と信頼性。さらにニッケル・リン合金を使用し、高耐磁性をも獲得していること。 カレンダーをどの時間帯でも日付変更可能にしたことも特筆すべき特徴です。
2018年にはGMT機能にメスが入れられ、同様にCal.3186がスペックアップしたCal.3285搭載GMTマスターII 126710BLROが登場。同じくロングパワーリザーブを誇ります。
こう書くと夢のようなムーブメントですよね? 実際スペックアップしたと話題です。
しかしながらそれに合わせて、既存のモデルがどんどん廃盤になっています。 続投が噂されていた116710LNおよび116710BLNRも、ついに生産終了となりました。
さらには、116500LN、116610LVも生産終了。より人気の高いモデルに的を絞っているような状況です。
そこで、こうは考えられませんか? 既存モデル廃盤・新ムーブメント搭載モデルの発表と同時に、じわじわと値上げを敢行していると。

126600の初出定価は1,166,400円。先代モデルにあたるシードゥエラー4000 Ref.116600が定価1,069,200円だったことを考えると、50万円以上も値上がりしています。
スペックアップすると同時に、当然ながら相場も上昇。
例えばGMTマスターIIは126710BLNRの実勢相場は270万円前後。さらに人気の126710BLROに至っては340万円前後という相場を記録しています。
ロレックスにとっては美味しい展開ですよね。旧ムーブメントを同時並行して製造することはコストもかかりますし、今後エクスプローラーI・IIなどにもモデルチェンジが促進されていくと考えられます。
そうは言っても、2018年に登場したシードゥエラー ディープシー 126660の黒文字盤は相場180万円前後。D-BLUE文字盤は220万円前後と、旧型とそこまで大きく差をつけていないモデルもあります。
そのため一概に「新型ムーブメントがさらなる定価改定および相場上昇の兆候」と断定することは危険ですが、後述するその他の要因を考慮すると、少し怪しい気がしてしまいます。 次項でご紹介いたします。
ロレックス2025年の動向③チューダー日本上陸は値上げの布石だった!?

チューダー(チュードル)は2018年に日本上陸を果たし、日本時計業界におけるビックニュースとなりました。
チューダーはロレックスの弟分とも言えるブランドで、ロレックス創業者ハンス・ウィルスドルフ氏がロレックスの知名度向上のために立ち上げました。
かつては「ロレックスのパーツを使った時計をロレックスより安く購入できる」といった人気がでしたが、今では独自路線を進み「チューダーでなくてはならない」といったファンを獲得しています。ロレックスにはないヘリテージラインや、自社製ムーブメントの開発などに意欲的で、しかもヒットを飛ばしていることからもその事実が裏付けられることでしょう。
しかしながらロレックスのファミリーブランドであることは変わりません。 実際、日本ロレックスはチューダー製品のメンテナンスを受け付けてきました。

チューダーの日本上陸は、ずいぶん前から時計業界で噂として流れては否定され、流れては否定され・・・そんな「信じようと信じまいと」的な情報として存在していました。 とりわけここ数年はチューダーの飛ぶ鳥落とす勢いが凄まじく、今度こそは!と期待していたものです。 そんな折、2018年の夏、唐突とも思えるタイミングで日本上陸が公式発表されました。
なぜ、今なのか? これは、ロレックスのブランド戦略の一環で、自社のブランド属性を変化させようとしているのではないでしょうか。 その心は、ポジションを上げ、プライスレンジも同様に上げる、と・・・!!

ロレックスの価格相場は近年高騰を遂げていますが、定価だけ見れば高級時計マーケットの中では「ミドルクラス」といったポジションです。IWCやパネライあたりと同クラスとなります。
雲上ブランドだと、世界三大時計にあたるパテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタンにオーデマピゲ・・・さらにランゲ&ゾーネやブレゲなんかが挙げられます。
ロレックスは、こういった雲上ブランドへのポジショニングアップを図っているのではないでしょうか。
実際、ロレックスの新品並行相場やヴィンテージ相場を見れば、そのクラスを狙ってもおかしくないほどの高騰を遂げています。 デイトナ116500LNは白文字盤に至っては中古であっても470万円台~を記録しており、雲上ブランドと遜色ないと言って過言ではないでしょう。
ロレックスの青写真を予想してみました。 ロレックスの価格高騰⇒市場にチューダーを投入し、ロレックスにはないシリーズや価格帯をカバー⇒高級時計市場でのシェア拡大・征服⇒さらなる高みへ・・・
チューダー進出は市場征服への第一歩! さらにブランド力を強固なものにし、さらに定価を上げるなどといったこともあるやもしれません。
ロレックス2025年の動向④高くても買うという消費者マインドが加速

ここまでで何度か触れてきた「ロレックスの価格高騰」。 例えばエントリーモデル的立ち位置だったエクスプローラーI 214270の最終定価が669,600円、実売価格は120万円台~(もっとも、生産終了も大きく影響していますが。GMTマスターII 126710BLROは新定価1,296,900円のところ中古ですら実売価格が260万円前後・・・コロナ禍において、今なお前例のないほどの値上がりを続けています。
日本は長くデフレが続いたため、モノの価格が上がり続けることは信じられないかもしれませんが、今後まだまだこの高騰は継続するでしょう。
この波はロレックスだけでなく、パテックフィリップやオーデマピゲ、オメガ、IWC、そしてチューダーなど多くの人気ブランドにおいて顕著です。 理由は供給を大きく上回る需要があるため。
欧州や米国、中国などもともと高級時計マーケットが大きい国々だけに留まらず、東南アジアなどからも高い需要が集中しています。

定価の倍以上値段が上がっているにもかかわらず購入する人がいる。その事実は覆せません。 上下はあるにせよ、今後もこの高騰はしばらく続くと思われます。
ブランドが値段を上げるのは、イチかバチかの勝負といった趣があります。必ずどこかで「この値段を出してまで買う価値とは・・・」と思われる時がくるためです。 いくらロレックスと言えどそれは変わらず、とりわけ古くからのファンにとっては「上がりすぎじゃない!?」と敬遠する向きもあるでしょう。
しかしながら、今の状況を見ると前述のように高くても買う人は少なからずおり、さらに価格を釣り上げています。
もしブランドが定価を値上げするとしたら、今のように絶好調を迎えている時でしょう。 ロレックスの価格高騰は、ロレックスが流通量を制限しているからという理由もあるため、あるいは値上げ戦略としての布石と考えられるのではないでしょうか。
なお、こういったロレックス相場の現状を要因としてかどうかはわかりませんが、2022年12月にロレックスから「認定中古制度」のスタートがアナウンスされました。Rolex Certified Pre-Owned(CPO)です。
認定中古というのは、厳格な基準や検査を設ける第三者が、その中古品に対して「真正性」や「品質」を保証して販売する制度です。
中古車業界では浸透しているシステムですが、時計業界ではフランクミュラーやリシャールミルがいち早く展開を始めておりました。
ロレックスでは、スイス、ドイツ、オーストリア、フランス、デンマーク、イギリスの6か国のBucherer(ブッフェラー)でスタートされました。

中古時計の売買は、真贋やコンディションの判断が難しいものです。そんな中で「メーカー」が正規に鑑定を行いメンテナンスするとあれば、その信頼性は格段に向上するというものです。
前述した価格高騰によってロレックスの中古市場は大きな成長を遂げてきたため、メーカーがここにビジネスチャンスを見出すのは当然と言えば当然。
ロレックスの認定中古品には専用ギャラとホワイト×グリーンの専用タグが付属するとのことです。
画像引用:ロレックス 公式サイト
ロレックスの認定中古品はまだ歴史が浅く、ロレックスの中古市場や相場にどこまで影響を与えているか定かではありません。
しかしながら、既にBucherer(ブッフェラー)で販売されている認定中古品を見ると、なかなかのプレミア価格!このプレミア価格に加えて、ロレックスの中古品にさらに注目度が増していくことを鑑みれば、今後さらに相場が高くなっていく可能性もあります。
さらに、ロレックスはBucherer(ブッフェラー)の買収をおこないました。この情報により競合他社の株が大暴落したといいます。Bucherer(ブッフェラー)がロレックスとの提携を通じて市場シェアを拡大するのではないかという市場の懸念が原因と考えられています。
業界に影響を与え続けるロレックス相場から、2025年以降も目が離せないですね。
まとめ
ロレックスの近年の定価改定、およびそれに伴う2025年の動向をご紹介いたしました。
ここ数年は年2回のペースで実施されている定価改定。ただでさえ過去類を見ない実勢相場を記録するロレックス、またもや大きな話題を呼び込むことは間違いありません。
もしかしたら、今が最後の買い時かも!!??