イタリアを代表するハイブランドの一つ・ブルガリ。
ブルガリはハイジュエラー・ハイブランドであるとともに、半世紀近い歴史を持つ高級腕時計メゾンでもあります。
そして腕時計ブランドとしてのブルガリの、アイコンとなっているモデルこそがブルガリブルガリです。
ブルガリブルガリは財布やパルファムにも使用されているデザインですが、そのルーツは腕時計ブルガリブルガリに見ることができます。
一度見るだけで心に刻印を残す力を持ったタイムピース・ブルガリブルガリについて語らせていただきます。
目次
名作腕時計・ブルガリブルガリの魅力とは？
ブルガリブルガリは、ブルガリの腕時計の中でもっとも知名度の高いモデルのひとつです。
誰もがひと目でブルガリの腕時計と認知するブルガリブルガリは、なぜこんなにも世界中の人々を魅了するデザインなのでしょうか。
ブルガリブルガリの歴史や魅力の謎を掘り下げ、気になる価格相場についても解説いたします。
①ブルガリブルガリの歴史
既にご存知の方も多いかもしれませんが、ブルガリは非常に古い歴史を持つイタリアブランドの一つ。1884年にギリシャの銀細工師一族がローマで立ち上げました。銀細工師であった初代のソティリオ・ブルガリに端を発し、高級宝飾ブランドとしてイタリアをはじめ全世界で名を知られるようになります。
出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/temples/rome.html
ジュエラーとして地位を確立したブルガリが、時計業界に参入し、その処女作を発表したのは1975年です。
今でこそ、多くのジュエラーが当然のようにファッションの一部として腕時計を手掛けています。しかし1970年代という早い段階に時計製造をスタートさせ、本格的に取り組んできたジュエラーは稀有な存在です。ブルガリの時計製造の深い歴史を、垣間見れる一端ではないでしょうか。
1980年代には時計王国スイスに「ブルガリ・タイム社」を設立。現在では自社でムーブメント製造を手掛ける、本格的高級時計ブランド部門を確立しています。
世界中のセレブに愛されてきたジュエラーにして、本格的なウォッチメゾンでもあるブルガリは、ハイブランドの中でも特別な立ち位置にあると言えるでしょう。
なお、ブルガリのスペルは「BVLGARI」。初めてこのスペルに雑誌で出会った高校時代、私は読むことができませんでした。
首をひねっていると、知人が「おや、君はブルガリの時計が欲しいのかい？」と笑い、ああこれが有名なブルガリなのか、どこの国の言葉だろうと思った記憶があります。
このブルガリのスペルは、古代ローマ帝国で使用されていた古ラテン語のアルファベットを使用しています。ブルガリがローマに在ることを重んじ、誇りにしていることがうかがえるポイントではないでしょうか。
そしてブルガリの腕時計のアイコンとして君臨するブルガリブルガリも、ローマと切り離せないモデルです。
ブルガリ初の腕時計は、ジュエラーの特別な顧客に配られた限定デジタル腕時計でした。金色の古代コインのようなフェイスには、ローマのトラヤヌス帝記念柱の碑文から着想を得たという「BVLGARI ROMA」のロゴが刻まれていました。
この「BVLGARI ROMA」から2年後、同社初の販売向け腕時計として発表されたモデルが、今なお人気を誇るブルガリブルガリです。ブルガリ ローマと併せて時計業界の巨匠、ジェラルド・ジェンタによってデザインされました。
ブルガリブルガリの特徴は、ベゼルに刻まれた「BVLGARI BVLGARI」という文字。非常にシンプルで、しかし強烈な印象を持つアイコニックなデザインに仕上がっていますね。
ブルガリブルガリ誕生から約50年が経過しようとしていますがこのアイコンは踏襲されており、不朽の名作として時計市場を席捲しています。
②ブルガリブルガリの魅力
ブルガリ腕時計のアイコンとして長らく頂点に君臨し続ける、ブルガリブルガリ。
単純明快でありながら、40年以上の間飽きられることなく人々に愛され続ける魅力は、どこから湧いてくるものなのでしょうか。
ブルガリファンならひと目で惹きつけられるアイコニックなロゴ、シンプルゆえにオンオフいつでも使えるスタイル、薄手で腕にしっくり馴染む着け心地の良さも大きな魅力です。
ブルガリブルガリが持つ魅力はいくつも挙げられるかと思いますが、まず外すことができないポイントがエングレービングベゼルの存在感でしょう。
このエングレービングベゼルのDNAは、ローマの歴史的遺物、古代ローマのコインから受け継ぐものです。
古代ローマのコインには外周に文字が彫り込まれており、ブルガリブルガリはそのデザインに着想を得て、ベゼルにブランド名を刻みました。この「刻む」手法はエングレービングと呼ばれるもので、ブルガリブルガリ最大の特徴でもあります。
世界に名を馳せるジュエラーでありながら、ブランド名を刻印しただけのシンプルなベゼルで勝負をかけるブルガリの誇り高き気概が、人々を惹きつける理由のひとつではないでしょうか。
ブルガリというブランドが持つ品位、ステイタス、格調すべてが高くなければ、ブランド名だけでここまでのデザイン性を確立させ続けることは難しいはず。
ブルガリというブランドの底力を、もっとも強く知らしめるモデルならではの魅力です。
ブルガリというブランドは、「永遠の美」を追求するジュエラーです。
永遠は古にのみ見出すものではなく、現代から未来へとつながるものです。
腕時計という革新し続ける技術の最先端に、永遠の美を求めた時、生み出されたのがブルガリブルガリなのでしょう。
進化を止めない腕時計の機能性を損ねることなく、歴史の流れによって研ぎ澄まされてきた美、そしてこれからも変容してゆく美の切先を見ることができます。
アメリカを代表する現代アートの巨匠、アンディ・ウォーホルはブルガリと深い絆を持つ人物でもありました。
アンディ・ウォーホルは「ブルガリのお店を訪れることは、まるで、もっとも素晴しい現代アートの展覧会に行くようなものだ」と語ったことが伝えられています。
アンディが残した言葉に、ブルガリが掲げブルガリブルガリが体現している「永遠の美」が表されているのではないでしょうか。
③ブルガリの新品並行相場
アイコニックな腕時計、ブルガリブルガリは、ちょっと驚きの価格で購入することができます。
ハイジュエラーからスタートしたイタリアのハイブランドの腕時計というと、非常に高価というイメージがあるかもしれません。
しかしブルガリブルガリはかなり手に入れやすいお値段！シンプルな機構であったり、ステンレススティールやカーボン，近年ではアルミニウムといった身近な素材を用いたりしているため、他モデルと比べて定価が良心的なこと(もちろんゴールドやダイヤモンドをあしらったハイエンドもありますが)。
また並行輸入市場だとぐっと価格が抑えられることから、ブルガリブルガリは実はかなりリーズナブルに入手できる高級時計なのです。
現在一番人気の高いカーボンゴールドでも新品並行相場20万円台～です。ステンレススチールモデルでも30万円台～と、決して手の届かない価格帯ではありません。
30代になって「ハイブランドの時計が一本欲しい」とお考えの男性諸氏にとって、ブルガリブルガリは魅力的な選択肢となることでしょう。
ブルガリブルガリ 人気モデル5選
長い歴史を持つブルガリブルガリには様々なモデルが存在します。
そこで本項では、東京 銀座に店を構える当店GINZA RASINで人気が高いモデルを5本、厳選してご紹介します。
①ブルガリブルガリ カーボンゴールド BBP40C3CGLD
ケースサイズ：直径40mm×厚さ10mm
素材：カーボン
駆動方式：自動巻き Cal.B77
防水：3気圧
参考定価：361,900円
ブルガリブルガリ カーボンゴールド BBP40C3CGLDは2015年に発表されました。ブルガリブルガリの中で現在最も人気が高いモデルです。
ゆったりと幅を持たせたベゼルに刻印された、ダブルロゴ。素材がカーボンとなっても、そのスタイルは変わりません。
カーボンが持つ柔らかさのあるマットな独特の素材感、ブラック地に施されたダブルロゴのスタイリッシュなスマートさが、古き良きゴールドモデル、シルバーモデルとの違いです。
こちらのモデルは深いブルーの文字盤をブラックのカーボンベゼルに合わせました。
3針はゴールド。そして12時と6時にだけアラビアインデックスを配し、他はバーインデックスというバランスのタイムマーカーも、ゴールドで揃えています。針とインデックス以外、文字盤にはブルガリのロゴと小さなデイト窓のみで、非常にシンプルなデザインですね。
なお、ブラックカーボンのケース横にはゴールドのプレートが埋め込まれて、アクセントとなっています。
ベルトは文字盤と同じ深いブルーのラバーをメッシュ状に編み込んだもので、高級皮革工芸のメッカであるイタリアを代表する、ハイブランドの誇りが垣間見られます。
シンプルな色彩の腕時計に、ゴールドがインデックスやプレート、リューズに入ることでラグジュアリー感も添えられ、色使いの妙も感じさせてくれるタイムピースです。
シースルーバックになっておりケース裏からムーブメント鑑賞ができるのも、高級機らしい味わいですね。
カーボン製ということもあり軽くて装着感も心地よいおすすめの逸品です。
なお、同モデルのカーボンゴールド BBP40C3CGLDは文字盤とベルトがブラック、ゴールド部分がピンクゴールドになっている2016年発売のバージョンです。
ブルー×ゴールドの持つ華やかさとはまた違った、ブラック×ピンクゴールドのみが創り出す深淵な世界観が、見る者を飽きさせないデザインとなっています。
②ブルガリブルガリ ソロテンポ BB41C3BSD/MB
ケースサイズ：直径41mm×厚さ9mm
素材：ブロンズ
駆動方式：自動巻き Cal.BVL191
防水：5気圧
参考定価：687,500円
ブルガリブルガリ ソロテンポは1997年に発表されました。そしてBB41C3BSD/MBは2019年の新作。同社屈指の自社製ムーブメント「ソロテンポCal.BVL191」を搭載したモデルとなります。その名のとおり191個のパーツから組み立てられていることが大きな特徴です。
もっとも当モデルでまず目を惹くのは、珍しいブロンズケースではないでしょうか。ブロンズのクラシカルな味わいが、もとは古代ローマのコインから着想を得たダブルロゴのベゼルと非常によくマッチしていますね。
なお、ブロンズは経年変化を楽しむことができる素材です。ブロンズが変化して出る色を古艶（パティナ）といい、自分の愛機だけのビンテージ感を育てる楽しみもあります。
独特なブロンズケースに合わせられているのは、マットな質感のブルー文字盤。ベルトもブルーレザーを細かく編み込んだメッシュタイプです。
デイト機能も全体のバランスを崩さないサイズ感で、こちらもケースバックからはシースルーでムーブメントを鑑賞できます。
③ブルガリブルガリ ソロテンポ BB39WSLD
ケースサイズ：直径39mm×厚さ10mm
素材：ステンレススティール
駆動方式：自動巻き Cal.BVL191
防水：5気圧
参考定価：715,000円
ブルガリブルガリ ソロテンポ BB39WSLDは、ステンレススチールモデルです。
マニュファクチュールムーブメントCal.BVL191を搭載、もちろんシースルーバックになっています。
ステンレススチールのベゼルに刻まれたダブルロゴは、初期のシルバーカラーモデルを彷彿とさせ、レザーストラップとの相性もぴったりです。
インデックスはこれまでにご紹介してきたモデル同様、12時と6時だけがアラビアインデックス、他はバーインデックスですっきりとしています。
文字盤を邪魔しない小さなデイト機能も同じですが、中抜きされた剣型の2針が特徴的です。
ステンレススチールモデルも80g台とかなり軽く、他の機種と同じように装着感も高いと好評です。
④ブルガリブルガリ クロノグラフ BB41BSSDCH
ケースサイズ：直径41mm×厚さ12.73mm
素材：ステンレススティール
駆動方式：自動巻き Cal.BVL328
防水：5気圧
参考定価：1,210,000円
ブルガリブルガリのクロノグラフモデル BB41BSSDCHです。
ステンレススチールのケース、ベゼルにはダブルロゴ、ブラックの文字盤には3時・6時・9時位置にサブダイアルを配置しています。
搭載しているCal.BVL328は、ゼニス社の誇るクロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」をカスタマイズしたものです。
毎時36000回というハイビートムーブメントで、高い精度をたたき出す本格派のクロノグラフとなっています。
さらに言うと、38mmサイズの、ホワイトが爽やかな文字盤モデルも魅力的！
全体にギョーシェ彫りが施されており、シンプルなサブダイアルを3つ配置したデザインで、ブラック同様5時位置にデイト機能を置いています。
クロノグラフはいずれもステンレススチールブレスレットを採用していることもあり、他のブルガリブルガリより100g近く重くなります。
しかしケースにできるだけ厚みを出さないように工夫が施されており、装着感の高いクロノグラフモデルです。
⑤ブルガリブルガリ ソロテンポ BB41C3SSD
ケースサイズ：直径41mm×厚さ10mm
素材：ステンレススティール
駆動方式：自動巻き Cal.BVL191
防水：5気圧
参考定価：869,000円
ブルガリブルガリ ソロテンポ BB41C3SSDは、自社製ムーブメントCal.BVL191を搭載した、2015年発表のブルガリブルガリソロテンポです。
ステンレススチールのケースとブレスレットを使用した現代的なデザインで、文字盤はティレニア海のような輝かしいブルーのラッカー仕上げとなっています。
ブルガリブルガリは2013年にデザインが一新し、ベゼルが薄型化して装着感がそれ以前よりもぐんとアップしています。
光を受けると微妙に角度を変えて反射するダブルロゴのベゼルと、サンレイ仕上げを施したようにきらめくブルーの文字盤がローマの澄み渡る夏を思わせるタイムピースです。
まとめ
アイコニックな高級時計・ブルガリブルガリについてご紹介致しました！
ブルガリの名をダブルで刻印されたブルガリブルガリは、1970年代の誕生以来腕時計ブランドとしてのブルガリを牽引してきたモデルです。古代ローマのコインから着想を得たデザインは、現代においても色褪せることなくマロウかつ新たな美を生み出し続けています。
様々な素材とのコラボレーションをさらりとこなし、そのたびに革新的な表情を見せてくれるブルガリブルガリは、仕事に脂がのってきた年代の男性にぴったりのタイムピースです。
高いステイタス性に反して手に入れやすい価格相場という点も魅力的ですね。
身につけるアイテムにこだわりのある男性に、おすすめしたい腕時計です。
この記事を監修してくれた時計博士
新美貴之（にいみ たかゆき）
（一社）日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年
