「世界三大腕時計って何がすごいの?」
「世界三大腕時計ブランドの魅力について知りたい」
高級腕時計といえばロレックスやオメガ、タグホイヤーをイメージされる方が多いと思います。
知名度が高く身に着けることでステータスが得られるため、誰もが憧れる腕時計ブランドです。
しかし、一流のセレブにとってはオメガやロレックスを超越する高級腕時計ブランドが存在します。
それは「世界三大腕時計ブランド」と言われる3つの超高級腕時計ブランド、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンです。
時計にあまりお詳しくない方にとっては、聞いたことがない名前かもしれません。
しかしながら、いずれもスイスの名門であり、歴史が深く、世界的にステータスが認められているブランドです。
そんな世界三大腕時計ブランドの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
世界三大腕時計の値段は破格ですが、誰しも一度は手にしたいと憧れる、超一流の時計だといえます。
この記事では世界三大腕時計ブランドの魅力や特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
各ブランドの代表的なコレクションの紹介もしますので、高級時計の購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
世界三大時計として世に知られているのは、以下の3ブランドです。
いずれも高級時計の本場スイスを本拠地とし、何世代にも渡り時計製造の頂点に君臨し続ける名門中の名門。
150年や200年を超える長い歴史と極めて高度な仕上げ技術、そして超複雑機構への卓越した対応力を持つことでも共通しています。
しかし、なぜ数ある高級時計ブランドの中でこの3社だけに「世界三大」の称号が与えられているのでしょうか。
その理由は、単なるラグジュアリーを超えて、時計そのものの本質と真正面から向き合う姿勢にあるといえるでしょう。
熟練職人の手作業によって生み出される名品の数々は、もはや工業製品ではなく、芸術作品と呼ぶにふさわしい存在です。
それらは王侯貴族や文化人、各国の元首などにも愛されてきた輝かしい実績を誇り、その時計を身に着けること自体が1つのステータスとされています。
世界三大時計は、腕時計という枠を超えた「時を継承する遺産」として、今もなお世界中の愛好家を魅了し続けています。
1839年にスイス・ジュネーブで創業したパテックフィリップは、世界三大時計の中でもとりわけ格式が高く、「時計界の頂点」と称されるブランドです。
永久カレンダーやミニッツリピーターなど複雑機構の分野で数々の革新を遂げてきた同社は、設計から製造、仕上げに至るまでを一貫して自社で行うマニュファクチュール体制を堅持しています。
さらに、2009年には同社独自の品質基準であるパテックフィリップ・シールを導入。
これはムーブメントの精度に加え、外装の美しさや購入後のサポートまでを厳格に評価する極めて総合的な品質保証制度です。
パテックフィリップ・シールが付されたモデルは、目に見える部分から見えない部分まで確かな品質が約束されているため、末永く安心して使用できます。
圧倒的な完成度と希少性を兼ね備えたパテックフィリップの時計はコレクター垂涎の的であり、特にノーチラスやアクアノートなどの人気モデルは中古市場でも常にプレミア価格で取引されています。
永遠のクラシックと呼ばれる「カラトラバ」。発売が開始されてから85年以上も同じフォルムを保つ、決して色褪せることのない定番モデルとして時計ファンの憧れです。 剣と十字架(4つの百合の花)を組み合わせた「カラトラバ十字」はパテックフィリップの伝統的エンブレムですが、その名前がコレクションネームとなっている「カラトラバ」はまさにパテックフィリップの歴史の象徴といえます。
エントリーモデルでありフラッグシップモデルである「カラトラバ」。カラトラバはクラシカルな”ラウンドケース”にラグジュアリーな2針、3針のモデルの総称となっており、シンプルの上に美しさと上品さ表現した究極の時計です。その完璧なプロポーションは丸型ウォッチの規範とされ、時計界に多大な影響を与えました。
1976年に登場したモデル「ノーチラス」はパテックフィリップ初の本格スポーツウォッチとして誕生しました。ケースデザインは潜水艦「ノーチラス号」の舷窓をモチーフとして製作され、従来モデルよりも大型サイズであることが特徴。オリジナリティあふれるオクタゴン型(八角形)のフォルムは、各辺が緩やかなカーブを描き全体が洗練されたクラシックな形をつくり出しています。
ノーチラスのデザインで最も特徴的なポイントは「耳」と呼ばれるケースの左右に飛び出した突起部分。この耳はノーチラスのシンボルデザインであると同時に”防水性”を高めるための構造的な理由により取り付けられています。また「ウェットスーツにもタキシードにも完璧にマッチするタイムピース」というコンセプトのもと作られたノーチラスは、スポーティでありながらも”薄さ”を保ちつつ「防水性」の向上にも取り組んだ画期的なモデルです。一見シンプルに見えるノーチラスですが、外装部分は複雑機構の開発に比肩するほどの技術を要するデザインとなっています。 ノーチラスはまさにパテックフィリップの高い技術力の結晶といえるでしょう。
アクアノートはノーチラスに遅れること20年、1997年にデビューしたモデル。「スポーツ・エレガンス」をテーマに誕生した新世代コレクションです。凹凸のある格子状の文字盤と、緩やかなカーブを描いたオクタゴン型(八角形)のフォルムが特徴的なモデルです。
アクアノートはスポーツウォッチとしては厚みが薄く、エレガンスなイメージを放ちます。また、マリン系を意識した時計として120m防水を搭載。ダイバーズウォッチとしては使用できませんが、日常使いには全く問題のない防水性を誇ります。 また、カジュアルだけではなくスーツとの相性も抜群。加えて癖の少ないシンプルなデザインは様々な年齢の方にオススメできます。
ゴンドーロは1993年に発表されたコレクション。その名の由来はブラジルの有名なパテック・フィリップの販売店、ゴンドーロ&ラブリオ社の為に1902年から1930年代にかけて製作した「クロノメトロ・ゴンドーロ」から来ています。
20世紀初頭の芸術活動、アール・デコの時代に作られたトノー型デザインを現代に蘇らせたことがゴンドーロの特徴。丸型のカラトラバに対して”角型・トノー型”をゴンドーロと呼ぶようになりました。 ゴンドーロはパテック・フィリップならではの”手間を惜しまぬ鍛造製法”で蘇った、クラシックとモダニティの見事な融合美をもったラインナップとして人気を博しています。
1875年にスイス・ジュウ渓谷のル・ブラッシュで創業したオーデマピゲは、創業以来一度も経営権を外部に委ねることなく家族経営を貫いてきた類まれなブランドです。
複雑機構を得意とし、特に超薄型ムーブメントや永久カレンダーの分野では、時計史に名を刻む名品を数多く生み出しています。
中でも1972年に登場したロイヤルオークは、高級時計にステンレス素材と前衛的なデザインを持ち込んだ革新的モデルとして、今なおブランドの象徴となっています。
八角形ベゼルと一体型ブレスレットという大胆な構造は、当時の常識を打ち破り、高級スポーツウォッチという新たな市場を切り拓きました。
伝統的な職人技を継承しながらも、常に革新を恐れない姿勢こそが、オーデマピゲを世界三大時計の地位に導いたといえるでしょう。
「高級時計の常識を覆す」と騒がれた世界初のステンレススティール製高級スポーツウォッチ。オーデマピゲの顔として人気を博しています。現在は”エクストラシン” “オフショア” “デュアルタイム” “ジャンボ”など、多くのシリーズを展開しています。
数多くのモデルを展開するロイヤルオークのモデルデザインを最初に考案したのは、数々の名作を世に送り出しているジェラルドジェンタ氏。デザインはもちろん、素材にも強い拘りを持ち、カーボンライトやチタン、アラクライトなど革新的な素材を使用したモデルを次々と発表しています。
出典:https://www.audemarspiguet.com/ja/
SIHH2019にて発表されたCODE11.59。
ロイヤルオークの誕生から数えると47年ぶりの新シリーズです。
CODEのCは職人魂の限界への挑戦(Challenge the limits of craftmanship)
Oはブランド遺産の所有(Owing the Brand’s legacy、歴史があるということ)
Dは恐れずにブランド理念に従う(Daring to Follow Firm Convictions)
Eは進化(Evolving)
そして11.59は、日付が変わる直前を表しています。
ロイヤルオークと比較するとオーソドックスなデザインではありますが、内装外装ともにオーデマピゲのこだわりが、職人魂とそれを実現する高い技術力によって散りばめられています。
創立者の一人、”ジュール・ オーデマ”を名前の由来としたラグジュアリーモデル「ジュールオーデマ」。シンプルなモデルからグランコンプリカシオンまで幅広いラインナップで展開されるコレクションです。
オーデマピゲ ジュールオーデマ 15135OR.OO.1206OR.01
ロイヤルオークの影に隠れて一般認知度が低いジュールオーデマですが、文字盤の種類も多く、隠れた銘品がいくつも存在します。世界三大腕時計ブランドのコレクションの中では比較的相場が安いモデルとなっており、手に入れやすい点もポイントです。 ドレスウォッチの購入をお考えの方にお勧めしたいモデルです。
楕円形フォルムが特徴的な「ミレネリー」。時間の流れを感じさせるデザインが特徴的なこのモデルは、日本人時計師・浜口尚大氏が設計に携わったことでも知られています。 丸形ケースを左右に伸ばしたオーバル(楕円形)ケースはミレネリー最大の特徴。文字盤をオフセンターの右側に配置し、そして左側の開いた空間にはテンプをスタイリッシュに組み込んだ芸術性の極めて高い逸品となっています。
ロイヤルオークに次ぎ、オーデマピゲの代表的モデルとなりりつつあるミレネリー。ケースデザインはオーデマピゲのデザイナーである”オッタヴィオ・ガルシア”によるものです。ユニークで特徴的なオーバルケースはイタリア・ローマにあるコロッセオの形にインスピレーションを得て開発されたといわれています。 ミレネリーは製造本数が少なく、市場に多く出回っていない希少価値の高い時計です。加えて、特徴となる美しい機械調のデザインが人気を呼び、著名人や富裕層の方から愛される超一流コレクションの仲間入りを果たしています。
1755年にスイス・ジュネーブで創業したヴァシュロンコンスタンタンは、現存する時計ブランドの中でブランパン(1735年)、ファーブル・ルーバ(1737年)、ジャケドロー(1738年)に次ぐ4番目に長い歴史を持っています。
しかも、創業以来一度も操業を止めることなく時計製造を続けており、その伝統は270年にも及びます。
同社の真骨頂は、複雑機構と装飾技術の融合にあるといえるでしょう。
ムーブメントの精度や構造美に加え、エナメル彩やギョーシェ彫りといった工芸的な技法を駆使することで、アート作品のような1本を完成させる姿勢は唯一無二です。
また、厳格なジュネーブ・シールの認定を受けたモデルが多く、それらは機能、外装、精度の全てにおいて完璧ともいえる品質を誇っています。
卓越した技術と格式ある美意識が共存するヴァシュロンコンスタンタンは、世界三大時計の中でも特に芸術性が光るブランドとして高く評価されています。
オーヴァーシーズは気品に溢れ技術性豊かな、大人のスポーツウォッチです。 ヴァシュロンの象徴でもあるマルタ十字を取り入れたリンクで構成されたブレスレットは、しっかりと手に馴染み、しなやかな装着感が魅力です。 オーヴァーシーズは150m防水機能に流線型のスポーティなケース、スクリューでしっかりと固定したベゼル、傷に強いサファイアクリスタルなど強固なスペックを誇り、アクティブな現代のライフスタイルに最適のスポーツウォッチとして人気です。
オーヴァーシーズは4種類のサイズが存在することもポイント。自分に合ったサイズ感が選べます。また、ステンレススティールモデルはヴァシュロンコンスタンタンの中でも比較的お求め安いモデルとなっています。
伝統的な技術とデザインが反映されたヴァシュロン・コンスタンタンを象徴するコレクションです。”完璧な円、無駄のない美しさ、そして調和の取れたプロポーションが「パトリモニー」の魅力。1950年代のヴァシュロン・コンスタンタンのモデルに着想を得て作られた、限りなく純粋なスタイルを具現化したコレクションです。
出典:http://www.vacheron-constantin.com/jp/
現在のヴァシュロン・コンスタンタンを代表するドレスウォッチ、「パトリモニー」は2004年に登場した比較的新しいモデルです。ラグジュアリーな2針モデルや、シックな印象の3針モデル、さらには見た目はシンプルながら複雑機構を備えたコンプリケーションモデルまで幅広くラインナップを展開しています。
ヒストリークはブランド創設の1755年からの伝統的な時計作りに敬意を表したコレクションです。歴代の名作を現代風にアレンジして復活させたヒストリークは、オリジナルモデルを知ってる人も知らない人も楽しめる人気ラインナップです。
ヒストリーク アメリカン 1921 82035/000R-9359
ヒストリークの中で特に目立つのは「ヒストリーク アメリカン1921。」文字盤が傾いた独創的なこのモデルは、1921年にアメリカ人コレクターに為にオーダー品として作られたモデルの復刻版です。傾けられた文字盤は車の運転時に視認しやすくするため。ヒストリークの中でも特に人気が高く、多くの時計ファンに愛されています。 他には1955年に発売されたモデル「コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ1955」「エクストラフラット1955」、1907年に発売された「クロノメーター・ロワイヤル1907」の復刻版がヒストリーのラインナップに存在しています。
パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンが世界三大時計と称されるのは、当然ながら高級ブランドだからという理由だけではありません。
歴史、技術、意匠、その全てが傑出しているからこそ、いつしか皆がそう認めるようになったのでしょう。
この項では、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンの3社がなぜ時計界の最高峰に君臨するのかを5つの観点から明らかにしていきます。
まず世界三大時計ブランドに共通するのが、150年を超える長い歴史を持つことです。
パテックフィリップは1839年、オーデマピゲは1875年、最も古いヴァシュロンコンスタンタンは1755年に創業し、今なお現役で時計製造を続けています。
長い歴史を誇るブランドは他にもありますが、重要なのはそれぞれの独自性を絶えず守り抜いてきたことにあると考えられます。
戦争や経済危機といった幾多の困難、時代ごとの技術革新や美意識の変化さえも乗り越え、ブランドとしての哲学と伝統を守り続ける姿に、世界中の時計愛好家は魅了されるのでしょう。
その背景には、世襲や創業家系譜を重んじる経営姿勢、熟練職人の技術継承といった文化的な土壌も深く関係しています。
長い歴史を持つブランドだからこそ、信頼性や芸術性において他の追随を許さず、時計界における頂点としての風格を今もなお保ち続けているのです。
世界三大時計ブランドは、その長い歴史の中で時計技術の限界を押し広げてきました。
パテックフィリップは1925年に世界初の永久カレンダー付き腕時計を世に送り出したのをはじめ、ミニッツリピーターやスプリットセコンド・クロノグラフなど、複雑機構の開発において数々の金字塔を打ち立ててきました。
オーデマピゲは世界最薄の自動巻きトゥールビヨン(Cal.2870)を開発し、複雑機構の薄型化という革新にも挑戦。
ヴァシュロンコンスタンタンも、世界最多となる57種の機構を搭載した懐中時計(リファレンス57260)を製造するなど、技術の極致を追い求めてきました。
これらの複雑機構を手がけられるのは極限られた熟練職人だけで、ムーブメントの設計や調整には年単位の歳月が費やされます。
精度と構造美、そして技術の粋を集めたいわば「動く芸術」への執念こそが、世界三大時計の名を不動のものにしているのです。
歴史や技術を真に継承し進化させるには、設計から製造、最終調整に至るまでを自社で完結させる体制(マニュファクチュール)でなければなりません。
世界三大時計ブランドはいずれもムーブメントやケースの製造、組み立て、仕上げなどを極めて高度な自社一貫製造体制のもと手がけているのが特徴です。
パテックフィリップは複数の専門工房を自社傘下に置き、95%以上の部品製造を内製化しています。
さらに、装飾や仕上げも熟練職人が手作業により行うことで、徹底した品質管理を実現しています。
オーデマピゲはル・ブラッシュの本社工房にて設計から最終調整までを行い、伝統的な手仕事と先端技術を融合。
ヴァシュロンコンスタンタンもジュネーブ・シール取得に対応した製造体制を維持し、外装からムーブメントまで一貫した品質基準を保持しています。
全てを自らの目と手で管理するからこそ、ブランドの理念と芸術性が損なわれずに、独創的な時計も絶えず生み出されているのでしょう。
自社一貫体制のもとで緻密に製造される世界三大時計は、大量生産とは無縁であり、生産数そのものが非常に限られています。
コンプリケーションウォッチ(複雑時計)に関しては、年間の生産本数が一桁や二桁といったレベルのため、手に入れるまでに年単位の時間を要することも。
それらに比べてステンレス製のノーチラス(パテックフィリップ)やロイヤルオーク(オーデマピゲ)、オーヴァーシーズ(ヴァシュロンコンスタンタン)などは生産数こそ多いものの、需要が供給を大幅に上回る状況が常態化しているために、新規客が正規店で購入するのはほぼ不可能です。
人気の定番モデルや限定モデルは、市場価格が定価の2倍やそれ以上に跳ね上がるケースも特に珍しくありません。
このように、圧倒的な希少価値と市場における需要の強さを併せ持つことで、世界三大時計は投機や投資対象として語られることも多くあります。
世界三大時計が多くの人を惹きつけてやまない理由の1つは、その国際的な評価と格式の高さにあります。
いずれも古くから王侯貴族や文化人、著名なスポーツ選手や映画俳優などにも愛されてきた実績を持ち、その存在は時計というよりも「成功者の証」や「ステータスシンボル」と呼んだ方がしっくりくるでしょう。
ほんの一例ですが、実際に世界三大時計を愛用する著名人には以下のような顔ぶれがあります。
パテックフィリップ | ブラッド・ピット(俳優) エレン・デジェネレス(コメディアン) ダイアナ妃(ウェールズ公妃) |
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オーデマピゲ | レブロン・ジェームズ(NBA選手) ジェイ・Z(ラッパー) トム・クルーズ(俳優) |
ヴァシュロンコンスタンタン | ヒュー・ジャックマン(俳優) ハリー・トルーマン(第33代米大統領) 遠藤航(サッカー選手) |
パテックフィリップの時計は「気持ちを刻み込んで、その時計は受け継がれる。父から子へ、世代から世代へ。」というキャッチフレーズの通り、品質やデザインにおいて一生モノを超える普遍的な価値を持っています。
さらに、人気モデルや特に希少価値が高いモデルはショーケースに並ぶ機会すら稀であり、一般的に正規店で購入するには長年の関係構築が必要不可欠とされています。
この入手の難しさが、時計の価値をより一層高めていることは想像に難くありません。
また、選ばれし者だけが身に着けられるような、そんな崇高さも時計ファンを虜にする一因であると考えられます。
ロレックスは世界で最も知名度が高く、圧倒的な人気を誇る高級時計ブランドですが、世界三大時計には含まれていません。
その理由は、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンが時計を芸術や文化財と捉え伝統的な職人技と装飾美に重きを置いてきたのに対し、ロレックスはあくまで実用性と信頼性を追求してきたブランドだからです。
例えば、世界三大時計ブランドはミニッツリピーターや永久カレンダーなどの超複雑機構に力を注いできたのに対し、ロレックスは防水性や耐久性、視認性といった日常使いにおける機能性を重視した時計開発によって発展してきました。
また、世界三大時計が少量生産や手作業にこだわるのに対し、ロレックスは高精度の自社ムーブメントを大量生産する体制を整え、安定供給と品質管理の両立を実現しています。
そのため、ロレックスは世界三大時計とは多少異なる立ち位置にいながらも、実用時計としての完成度、資産価値、ブランド力においては他を圧倒する存在です。
その地位は過去も現在も、そして未来においても容易く揺らぐことはないでしょう。
世界三大時計はいずれも卓越した職人技と芸術性が凝縮された逸品であり、その価格帯も時計界の最上位に位置づけられます。
シンプルなステンレス製モデルの定価は200万~300万円台から、ゴールドやプラチナを使用したモデルや高度な複雑機構を搭載したモデルになると1千万円以上も多くあります。
どのブランドもエントリークラスに該当するステンレス製モデルが特に人気で、ステンレス製モデルほどプレ値率が高い(定価と市場価格の乖離が大きい)のが特徴といえるでしょう。
この項目では、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンの代表的な価格帯をブランドごとに解説します。
パテックフィリップの中で特に人気なのが、スポーツラインのノーチラスとアクアノートです。
これらの定価は400万~800万円前後が中心ですが、あまりの需要過多により二次流通市場では1,000万~2,000万円台(あるいはそれ以上)で売買されるケースも少なくありません。
人気モデルの定価と市場価格(2025年現在)
一方、安定した人気がありかつ比較的手に入れやすいモデルの代表格といえば、ドレスウォッチのカラトラバです。
例えば、現行モデルのカラトラバ Ref.6119G-001の定価は5,240,000円ですが、新品実勢価格は450万円前後、中古であれば400万円前後で探すこともできます。
とはいえ、どのモデルも高額であることには変わりなく、市場価格は時期やコンディションによって変動する点にも注意が必要です。
比較的手に入れやすいモデルの定価と市場価格(2025年現在)
オーデマピゲの中で圧倒的な人気を誇るのが、ロイヤルオークとその上位モデルにあたるロイヤルオーク オフショアです。
ロイヤルオークの定価は400万〜700万円台が中心ですが、入手困難なモデルは二次流通市場において1,000万円超で取引されることも珍しくありません。
人気モデルの定価と市場価格(2025年現在)
一方、比較的価格を抑えたモデルとしては、クラシカルなCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲがあり、定価ベースで300万円台からラインナップされています。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲも総じて流通量が少ないだけに希少価値が高く、どのモデルも値崩れしにくいのが特徴。
ただし、ロイヤルオークほどは人気が過熱しておらず、二次流通市場では定価以下で購入できます。
比較的手に入れやすいモデルの定価と市場価格(2025年現在)
ヴァシュロンコンスタンタンの現行ラインナップで特に注目を集めているのが、ステンレス製のオーヴァーシーズと往年の名作を復刻したヒストリーク 222です。
これらの定価は300万〜800万円台が中心ですが、需要に対して供給が限られているため、二次流通市場では定価を上回るプレ値の個体が目立ちます。
人気モデルの定価と市場価格(2025年現在)
一方、比較的手が届きやすいモデルとして知られるのが、ステンレス製のフィフティーシックス・オートマティックです。
中でも革ベルト仕様のフィフティーシックス・オートマティック(Ref.4600E/000A-B487)の定価は1,892,000円と、世界三大時計の中ではかなりリーズナブルに感じられます。
ブレス仕様(Ref.4600E/110A-B487)の定価も2,288,000円とわりと控えめな上に、中古であれば200万円前後で手に入れることも可能。
フィフティーシックス・オートマティックはデザイン、サイズ感ともに使いやすく、世界三大時計における現実的な選択肢として多くの時計ファンに支持されています。
比較的手に入れやすいモデルの定価と市場価格(2025年現在)
世界3大時計ブランドについてご紹介いたしました。
世界3大ブランド時計は時計界の頂点に立つブランド。高い技術力はもちろん、「美しさ」「機能性」「斬新さ」そのどれもが世界最高の時計となっています。 長い歴史の重みが放つ、輝かしいステータス性は多くの時計ファンの憧れであり、一生のうち一度は手にしたいとして、これからも時計界のトップに君臨し続けていくことでしょう。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年