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新型コロナウイルスの影響が色濃い中にあっても、徐々に経済活動が活発となっていった2021年。

時計業界では「新しい生活様式」のもと、高級時計のオンライン販売が活発化したり、レジャーや飲食に変わる消費先として市場が成長していったり・・・こういった市況に加えて、新作発表も盛り上がりを見せた一年でした。新作見本市Watches & Wondersはもちろん、各社がおのおので新作モデルをローンチすることとなり、その新作の顔触れたるや、むしろ例年以上に豊穣なのではと思うほど。当店でも非常に多くのお問合せを頂いております。

そんな白熱の時計業界2021年、「最強」の腕時計はいったいどのブランドのどのモデルなのでしょうか

 

この記事では、高級時計店で働く時計のプロ50人から、「今年最も傑作だと評価する腕時計」を調査しました! 2021年新作・旧作問わず今現在の日本で購入できる全ての腕時計を対象に、全5カテゴリで徹底調査しております。

完全なる業界人目線!時計にうるさい目利きたちのリアルな意見!! 時計通も初心者も、これを買っとけば間違いなし!!!

※掲載している定価・相場は2021年12月現在のものとなります。

 

2021年傑作腕時計ランキングと各部門(カテゴリ)の説明

高級時計店で働く方50人を対象に、2021年、お客様に最もお勧めしたいと思える傑作腕時計をアンケート調査いたしました。 集計結果をもとに、5位~グランプリを、ランキング形式で発表しております。

 

対象

今日本で購入できる全ての時計ブランドの全てのモデル。2021年新作のみならず、2021年に注目度が高まったモデル、2021年もお勧めしたいモデルなど。

 

調査部門

①2021年新作部門:2021年に発表された新作の傑作

②スポーツウォッチ部門:スポーツウォッチの傑作

③コンプリケーションウォッチ部門:複雑機構を搭載したコンプリケーションウォッチの傑作

④オールドウォッチ部門:ヴィンテージやポストヴィンテージと呼ばれる年代の傑作

⑤エントリーモデル部門:30万円台以下で購入できる腕時計の傑作(2021年新品並行相場に準ずる)

 

2021年傑作腕時計ランキング~2021年新作部門~

高級時計店で働く時計のプロ50人が厳選した2021年の傑作腕時計ランキング! まず初めに、今年各ブランドから新作として発表されたモデルのランキングを発表いたします!

 

第5位ゼニス クロノマスター スポーツ

ゼニス クロノマスター スポーツ

まず最初に第5位としてご紹介するのは、ゼニスが新しいコレクションとして打ち出したクロノマスター スポーツです!

 

近年のゼニスは、大ヒット作を続々と打ち出しています。

2017年から既存コレクションを大幅モデルチェンジしたデファイしかり、エルプリメロ50周年を契機にリスタートさせたリバイバルコレクションしかり。ともすれば名ムーブメントの印象が強すぎたゼニス製品、現在では一度見たら忘れられない洗練されたデザインとハイクォリティな外装技術をも強みに、高級時計市場での存在感をいや増しています。

そんなゼニスからは、もはや何が出てきても驚かない。

そう思っていたものですが、2021年初頭に唐突に打ち出されたこちらのクロノマスター スポーツに心を奪われた業界人は少なくなかったようで、この度のアンケートでは数ある新作モデルを抑えて、第5位にランクインしました。

ゼニス クロノマスター スポーツ

クロノマスター自体は新しいコレクションではありません。

1994年から続く同社の人気ラインとなり、エルプリメロを基調に高性能・高デザイン性を誇ってきたロングセラーです。とりわけエルプリメロの心臓部が肉抜きされた文字盤から垣間見える「オープン仕様」は、屈指の人気を誇ってきました。

※エルプリメロ・・・1969年にゼニスが開発した高性能自動巻きクロノグラフ。1969年当時から既に36,000振動/時というハイビートであったことに加えパワーリザーブ約50時間(通常、ハイビート機だと持続時間は短い)。さらに直径わずか30mmに満たないコンパクトサイズに収められたことから、その後の多くのクロノグラフモデルに影響を与えてきました。ロレックスやパネライ、タグホイヤーなどといった名門ブランドもエルプリメロを採用してきた歴史があります。なお、現在でもその基本設計は変わっておらず、いかにエルプリメロは初出時から完成されていたかが理解できます。

 

こういったオープン仕様を採用しつつも、クロノマスターは引き絞られたベゼルや大きすぎないリューズ・プッシャー,革ベルトモデルの多数展開など、どちらかと言えばクラシカルな印象が強いものでした。

しかしながら「クロノマスター スポーツ」と銘打たれた当新作モデルは、その名の通りきわめてスポーティー!これまでのクロノマスターでは見られなかったセラミック製アウターベゼルに直接タキメータースケールを書き込み、さらにポリッシュ・サテンのコンビネーション仕上げが施されたケース・ブレスレットも、既存モデルから一新されています。

また、クロノグラフではお馴染みのインダイアルですが、シルバー・グレー・ブルーのトリコロールカラーとなっていることも大きな特徴です。

ゼニス クロノマスター スポーツ

スポーティーかつ、非常にモダナイズされた新境地のクロノマスターですが、実は全く新しいデザインコードというわけではありません。同社が1960年代~1970年代、あるいは1980年代~1990年代に製造してきた「A386」や「A277」、あるいは「デ・ルーカ」などの名作から範を取っているとのこと。

確かにトリコロールカラーは従来からゼニス製モデルによく見受けられるコードです。

これは1969年に初期エルプリメロとして発売されたA386がオリジナルと思われます。4時位置のデイトやバーインデックスも、A386が踏襲されているのでしょう。ちなみにクロノマスターにこのトリコロールカラーが採用され始めたのはバーゼルワールド2012でローンチされたクロノマスター1969です。前述したオープン仕様にもなっており、今なおゼニスの中で圧倒的な人気を誇ります。

 

ゼニス クロノマスター スポーツ

さらに特筆すべきは、やはりと言うべきか、ムーブメントです。外装も圧倒的なクォリティを以て登場しましたが、ゼニスと言えばムーブメントについても死角はありません。

当新作に載せられる自動巻きクロノグラフCal.3600は、エルプリメロ最新世代。2019年、エルプリメロ50周年の節目に合わせて限定モデルでリリースされましたが、現在ではレギュラー化しており、晴れてクロノマスタースポーツに載せられることとなりました。

このCal.3600の大きな魅力は、10秒で一回転するクロノグラフ針の高速な動きでしょう。1/10秒計測の世界を目の当たりにできるのは、機械好きにはたまりませんね。

Cal.3600は基幹機にあたるCal.400をベースに、パーツ数を低減。さらにシリコン製パーツを導入することで機能性を向上。さらに4番車(ムーブメントの中でも、一秒間に一回転する歯車)でクロノグラフ駆動を担うことが従来型でしたが、ガンギ車にこれを求めるという設計にしたことが肝となります。

基本設計はあくまでエルプリメロであるため古典的な外観はそのままですので、シースルーバックから覗く意匠の味わいは従来から受け継がれています。

ちなみにクロノマスター スポーツがリリースされた当初、「ロレックスのデイトナに似ている」と言われることがありました。恐らくセラミック製ベゼルにパンダ顔であることが起因しているのでしょう。

実機を見るとクロノマスター スポーツとデイトナは別物です。しかしながらクロノマスター スポーツの定価は税込1,166,000円となっており、デイトナ(税込定価1,457,500円)クラスをベンチマークした、野心的なスポーツウォッチであることがわかります。

 

クロノマスター スポーツ

ゼニス クロノマスター スポーツ

素材:ステンレススティールまたは18Kゴールド
ケースサイズ:直径41mm×厚さ13.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:エル・プリメロ3600(エル・プリメロ2)
パワーリザーブ:約60時間
防水性:10気圧
定価:1,166,000円(SSブレスモデル)

 

◆プロのコメントはこちら

「高価格帯スポーツウォッチ、もう少し言うとロレックスのデイトナをベンチマークしていると思われるが、ロレックス相場が軒並み上がってしまった現在、クロノマスター スポーツのお得感はありがたい。今後さらに出回って売買が活発になれば、高級スポーツウォッチのニューノーマルとなるだろう」

 

「クロノグラフ針が高速でぐるんぐるん回転する様は圧巻!」

 

「ステンレススティールモデルも良いが、ピンクゴールド素材がカッコいい。外装クォリティも文句のつけようがなく、価格と製品のバランスはきわめて良い」

 

「2021年の売上データを見ていて、一番気になった一本。なぜならどの個体も出品後すぐに売れてしまっている。再入荷のお問合せも依然として多く、当店でも積極的に仕入れをしたいが、新作ゆえ・そして人気モデルゆえに難しいところも。特に新型コロナウイルスの影響で海外輸入が激減しているため、今後、業者間で争奪戦が起こっていくモデルでもあるだろう」

 

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第4位グランドセイコー ヘリテージコレクション SLGH005 「白樺」

グランドセイコー ヘリテージコレクションSLGH005

時計専門店のプロが2021年新作の中で傑出している時計として推す第4位モデルは、グランドセイコーの通称「白樺」です!

グランドセイコーもゼニス同様、何かとムーブメントや性能面で魅力を語られることが多いですが、近年の快進撃は「デザインを含む外装」に起因しているように思われます。とりわけ2017年に母体となるセイコーから独立し、高級化路線と海外展開を積極的に行ってからは、世界中でそのファンを増やし続けていると言えるでしょう。

 

今回第4位として名前が挙がった「白樺」も、まずデザインに目を奪われますよね。

実際、こちらのSLGH005はグッドデザイン賞、さらにはGPHG2021「メンズウォッチ」部門賞を受賞しており、その見事さは各業界お墨付きとなっております(GPHGの詳細は下記。デザインだけが評価軸ではありませんが、ムーブメントだけでもなく、全体を通して評価されます)。

※グッドデザイン賞・・・公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、わが国唯一の総合的なデザイン評価機関および推奨運動です。腕時計のみならずプロダクトや建築物、ソフトウェアにサービスにビジネスモデルといった、有形無形のあらゆるモノ・コトが対象に評価されています。

※GPHG・・・正式名称はGrand Prix d‘Horlogerie de Genève「ジュネーブ時計グランプリ」。時計業界のアカデミー賞とも呼ばれる権威です。その年の新作モデルを対象に、「メンズウォッチ賞」「レディースウォッチ賞 」「レディース・コンプリケーションウォッチ賞」などといった各部門ごとの部門賞および大賞「金の針」を選出します。

グランドセイコーは2014年に「小さい針賞(8,000スイスフラン以下の時計を対象とした部門)」をSBGJ005で獲得して依頼の、二度目の栄光となります。

ちなみにゼニス クロノマスター スポーツは2021年GPHG「クロノグラフ賞」を受賞しています。

 

外装は「ヘリテージコレクション」に共通するように、きわめてベーシックですが、デザイン文法「シリーズ9(Series 9)」が新たに採用されています。

グランドセイコー ヘリテージコレクションSLGH005

シリーズ9は1967年に同社がリリースした「44GS」に端を発するセイコースタイルを受け継ぎつつ、正統進化させたデザインコードです。

ちなみに44GSは手巻きムーブメントCal.4420系を搭載したことから、このように呼ばれる一連のモデルです。当時、スイスに追いつけ・追い越せの気概のもと、高精度ムーブメント開発が同社で行われましたが、同時に国産高級時計としての「高級感あるデザイン」も訴求されました。そして完成した44GSは、9つのデザイン要素を有します。

この要素を簡単に言うと、「燦然と輝く時計」。

インデックスや針のカッティング、あるいは外装の仕上げにこだわり抜くことで「光と陰」のメリハリを効かせ、高級機らしい輝きを備えるといった考え方です。ちなみにグランドセイコーの外装は本当に見事な仕上げが施されており、とりわけザラツ研磨による歪みのない鏡面仕上げには定評がありますが、これもまたセイコースタイルから端を発する職人魂です。

※左が白樺 SLGH005 / 右が雪白 SBGA211。どちらも美しい外装ですが、フォルムやディテールはかなり異なることがわかりますね

 

シリーズ9ではこのセイコースタイルをいっそう突き詰め、質感や輝きがさらに増したデザインを確立しています。

面を増やしたことで強調された立体感やダイナミックな針・インデックス、さらに光と陰のメリハリが深まった顔立ち・・・

このシリーズ9の魅力をさらに後押しするのが、文字盤のテクスチャーでしょう。

グランドセイコー ヘリテージコレクションSLGH005

SLGH005が「白樺」と呼ばれるのは、この文字盤に由来します。これは、岩手県雫石市に位置するグランドセイコースタジオ近隣の、白樺林をモチーフにしているとのこと!確かに白樺の力強い樹皮や、白樺林に降り積もる雪景色を思わせるシルバーは、わびさびを感じますね。

この文字盤は、グランドセイコーの人気モデル「雪白」SBGA211と同様の製造工程で実現しているとのこと。

高度なプレス技術と丁寧なメッキ技術によって、ムラのない美しい、それでいて独特なテクスチャー装飾を獲得することとなりました。ちなみに仕上げでは分厚くクリアラッカーを吹き付けているため、経年劣化に著しく強いといった側面も抱えます。

グランドセイコーの現在の世界的な人気は凄まじいですが、ただブランディングが成功したのみならず、この他社にはあまり見られない文字盤装飾が寄与するところは大きいです。

 

グランドセイコー ヘリテージコレクションSLGH005

さらに特筆すべきは、新世代ムーブメント9SA5でしょう。

こちらも前項でご紹介したゼニスのCal.3600同様に新世代ではあるものの、今年の初出ではありません。2020年、グランドセイコー60周年の節目に合わせてローンチされましたが、ついに今作のSLGH005で量産化が実現しています。

ちなみに9Sムーブメントはグランドセイコーの手巻きまたは自動巻き式キャリバーです。中でも36,000振動/時のハイビート機はグランドセイコーの高精度の象徴として語られていましたが、さらに9SA5では、ついに約80時間ものロングパワーリザーブを獲得しました。

通常、ハイビート機は持続時間が短くなりがちです。テンプと呼ばれるパーツの振動によって機械式時計は精度を取りますが、振動数が高ければ高いだけエネルギー消費が大きくなります。また、油切れを起こしやすくパーツ摩耗・劣化がしやすいといったデメリットもあります。

しかしながらグランドセイコーでは半導体製造でも用いられるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって緻密かつ高精度なパーツ製造を実現。高いエネルギー伝達構造や耐久性に優れたムーブメントに仕上げることとなりました。フリースプラング式の精度調整機構を取ることで、精密かつ安定的な高精度を持続できるのも、9SA5が名機と呼ばれる所以です。

パーツの工作精度が高いゆえかムーブメントはきわめて薄く設計されており、SLGH005のケースも直径40mm×厚さ11.7mmと決してデカ厚ではありません。グランドセイコーは実用性を訴求するがゆえか、結構厚みのあるケースも少なくありませんが、SLGH005では薄型ケースという面でも新境地に達していると言えるでしょう。

税込定価は1,045,000円とグランドセイコーの中ではハイエンドです。しかしながら外装・内部機構ともにその分手間暇かけられており、適正価格。流通量もだんだんと増えていきていますので、新たなる定番グランドセイコーとして2022年も人気を獲得していくことでしょう。

 

ヘリテージコレクション SLGH005

グランドセイコー ヘリテージコレクション マスターショップ限定 SLGH005

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ11.7mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.9SA5
パワーリザーブ:約80時間
防水性:10気圧
定価:1,045,000円

 

◆プロのコメントはこちら

「(メンテナンススタッフより)技術者として、9SA5は非常に注目している。グランドセイコーは高精度・高性能がブランディングの要であったように思うが、基幹ムーブメントには長らく変化がなかった。60周年の節目に新世代機がリリースされ、翌年から待望の量産化。今後の耐久性や信頼性、メンテナンス性などを注目していきたい

 

「文字盤が本当に素晴らしい。グランドセイコーの真髄は外装にあるといつも思っている」

 

「グッドデザイン賞にジュネーブウォッチグランプリ賞・・・話題性も十二分で、従来から付きまとっていたグランドセイコーの大人しいイメージは払拭された!」

 

「一見すると非常にベーシックなデザインだが、研ぎ澄まされた仕上げや作り込まれたラグ,幅広のブレスレットは、プロダクトの頂点にあると言って良い」

 

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第3位オメガ シーマスター300 234.32.41.21.01.001

オメガ シーマスター300

出典:https://www.omegawatches.jp/

第3位は、2021年に大きなモデルチェンジが行われたシーマスター300の、最新機種です!

ちなみにステンレススティールモデルはブレスレットタイプもラインナップされていますが、圧倒的に票数が多かったのがこちらの革ベルトタイプとなります。

 

シーマスターは長い歴史の中で様々な派生モデルがリリースされていますが、中でもシーマスター300はその原点。1957年、オメガ初の本格ダイバーズウォッチとして誕生した初代シーマスターのリバイバルモデルとなります。ちなみに1957年当時の初代シーマスターは、スピードマスター・レイルマスターとともにリリースされました。

1950年代、宇宙や海底、あるいは高山といった人類未踏の地の開拓が盛んになっていた時代。この開拓をサポートするためのプロフェッショナル仕様が重要視される中、オメガもまた製品化に尽力したのでしょう。なお、初代シーマスターは同社初のダイビングベゼル採用機でもあり、当時から既に安全装置を搭載しておりました。

初代シーマスター

※1957年当時のシーマスター(画像出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watches/seamaster/seamaster-300/the-collection/product)

 

そんなシーマスター300が再び市場に返り咲いたのは2014年です。オメガからRef.233.30.41.21.01.001としてリバイバルされたのです。

発売するやいなや瞬く間にオメガ屈指の人気モデルとして君臨。潤沢に流通し始めた2016年頃から、当店GINZA RASINのオメガ売上ランキングでは、売れ筋モデルTOP3に例年入るような隆盛ぶりを続けてきました。ちなみに2021年も、2014年から発売されているシーマスター300 Ref.233.30.41.21.01.001はオメガのナンバーワン人気モデルとなりました。この233.30.41.21.01.001は、平均販売価格50万円台~とシーマスターの3針SSモデルとしては高価格帯に位置付けられます。しかしながら当店での平均滞留日数(仕入れから販売までの日数)はわずか20日にも満たないほど。この滞留日数は新品入荷の多いタグホイヤーやシャネルの人気機種と同程度です。

新品は検品をクリアすれば店頭に出すことができますが、中古商品は機械点検を行ったり、必要であればオーバーホールを施さなくてはなりません。つまり「滞留日数20日」とは言え中古入荷も多い当モデルは、店頭出しからはさらに早いスパンで売れていることが示唆できます。まさに「入荷即完売」というわけですね。

 

このシーマスター300がモデルチェンジされたのが、本稿でご紹介するRef.234.32.41.21.01.001です。

オメガ シーマスター 234.32.41.21.01.001

 

大きな変更点はムーブメントです。

これまでのCal.8400からCal.8912へと載せ替え。Cal.8912は時計業界トップレベルの高精度と高耐磁性を誇るマスタークロノメーター認定機となりました。

マスタークロノメーターはオメガがMETAS(スイス連邦・計量局)と共同開発した規格です。クロノメーター認定機であることを前提に、10日間にもわたる厳格なテストを突破した機械にのみ認証が与えられますが、特筆すべきは耐磁性能。なんと、15,000ガウス以上もの磁場における耐性の突破が義務付けられているのです。

確かに現代社会において、磁気帯びは機械式時計に最も多い不具合の原因のうちの一つです。しかしながら通常、耐磁時計としてJISで保証水準と定められているのは第一種で第1種耐磁時計で4,800A/m、第2種耐磁時計で16,000A/m程度。15,000ガウスは1,200,000A/mとなっており、いかに凄まじいスペックかが理解できますね。

この素晴らしきムーブメントは、シースルーバックから垣間見ることが可能です。

 

オメガ シーマスター 234.32.41.21.01.001

もっともモデルチェンジの要はムーブメントだけでは終わりません。

一見すると先代同様に初代シーマスターを踏襲したデザインが見て取れますが、実は先代以上にヴィンテージテイストを強調した仕上がりとなっているのです。

ケース直径41mmは先代と同じくするものの、ケース厚は13.85mmと上品な薄型仕様に。ちなみに先代はケース厚15mmと、どちらかと言えばモダンさも感じられる外装です。

さらに新型シーマスター300ではドーム型サファイアガラスを新たに採用。かつ、先代よりもやはりスリムに設計された逆回転防止ベゼルも魅力的ですが、このベゼルはなんとアルミニウムで製造されています。昨今のベゼル素材はセラミックが主流となりつつあります。傷つきづらく退色にも強いセラミックを、先代シーマスター300でも備えてきました。しかしながらヴィンテージテイスト強調のためか、あえてのアルミ製ベゼル回帰とは・・・!もっともシュウ酸陽極酸化処理によって硬化されており、デイリーユースもきちんと考えられているのは嬉しいところですね。

オメガ シーマスター 234.32.41.21.01.001

出典:https://www.omegawatches.jp/

加えて、初代モデルの仕様であったロりポップが秒針に、またより60年代の雰囲気に近づけた12・3・6・9のアラビア数字も当新作を語るうえでは欠かせない要素です。

ちなみい「6」と「9」のつなぎ目が若干離れていることが見て取れると思います。これはサンドイッチ文字盤の特色の一つです。

サンドイッチ文字盤とは夜光を塗布したベースプレートの上に、インデックスやセンター針部分をくり抜いたプレートを重ね合わせる文字盤構造です。夜光が劣化した際、容易に塗り直しが行えること。また夜光塗布の際の滲みがなくなること。さらにインデックスが落下してしまうことを防ぐことを目的に、軍用時計などで採用されていた仕様です。コストをかけずに機能性を損なわないためのアイデアですが、夜光の質が向上した現在では実用面はそう高くありません。しかしながらサンドイッチ文字盤を採用することで、ヴィンテージ・プロフェッショナルモデルとしての雰囲気が完成されたと言えますね。使われているスーパールミノバも、あえてエイジング処理を施すことで良い風合いとなりました。

マスタークロノメーター搭載機は文字盤にその旨が記されるのですが、あえてブランドとコレクション名だけに留めた潔さもまた、傑作と呼ばれる所以ですね。

最先端技術を採用しつつもヴィンテージらしさを感じられる銘シーマスター300、税込定価は726,000円です。SSブレスレットタイプは770,000円となります。

 

なお、やはり2014年に刷新されたスピードマスター プロフェッショナルもまた、2021年にマスタークロノメーター機へとアップデートが図られました。

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスタークロノメーター クロノグラフ 310.30.42.50.01.001

話題性としてはスピードマスターの方が高かったようにも思います。また、新型スピードマスターの方も、往年の仕様が復刻されるなど、愛好家には堪らないディテールを備えていました。しかしながら今回プロが選んだ時計として、シーマスター300を取り上げさせて頂きました。

 

シーマスター 300 コーアクシャル マスタークロノメーター 234.32.41.21.01.001

オメガ シーマスター 300 コーアクシャル マスタークロノメーター 234.32.41.21.01.001

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ13.85mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.8912
パワーリザーブ:約60時間
防水性:300m
定価:726,000円

 

◆プロからのコメント

「人気ラインのシーマスター300をマスタークロノメーター化、かつオールドウォッチのテイストを存分に備えるという、大変わかりやすい魅力が好感を持てる」

 

「近年、多くのブランドが価格改定と言って大幅値上げを行っている中、マスタークロノメーター認定機で定価税込70万円台の値付けは良心的。まだ出回り始めたばかりにもかかわらず並行相場は65万円前後~といった手頃感もとても良い。ただし旧型シーマスター300は生産終了で高騰か?今後の市場動向に要注目」

 

「単純にデザインが良い。往年のシーマスターのクラシカルな装いを思わせる。2021年新作の中では価格も大幅に高騰しておらず、良心的で消費者にとっても業界人にとってもとても魅力的です」

 

なお、同様にブロンズゴールド製シーマスター300 Ref.234.92.41.21.10.001にもコメントが多数寄せられました。こちらの定価は1,364,000円となっております。

シーマスター300 Ref.234.92.41.21.10.001

「個人的にはブロンズゴールド製シーマスター300を推したいです。ロレックスやオメガではもはやお馴染みとなった独自合金。ただしブロンズを全面に押し出したゴールドとは面白い。通常、ゴールドにブロンズを配合する時は赤みを出したい時。しかしながら変色がネックポイントとして扱われるが、ブロンズゴールドはあえてエイジングも楽しめるゴールドにした、と。ベースは9kゴールドなので普通のブロンズよりも時間はかかるかもしれないが、ゆっくりと自分だけのシーマスター300を育てたい方にはお勧め」

 

「(上記同様、ブロンズゴールド製シーマスター300に対して)金無垢は高いので購買しづらいが、これ位なら現実的なのでは。しかも金無垢より気を遣わないで着けられるし、エイジングも楽しみ」

 

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第2位パテックフィリップ カラトラバ 6119R / 6119G

パテックフィリップ 2021年新作

出典:https://www.patek.com/en/home

2021年傑作腕時計ランキング、新作部門として第2位にランクインしたのは、パテックフィリップ カラトラバです!

パテックフィリップと言うと、近年では何かとノーチラスが話題になってきました。ステンレススティール製モデルでありながらも1000万円をゆうに超える実勢相場は、確かに話題性という面ではきわめて高いと言えますね。

しかしながら新作モデルの顔触れとしては、こちらのカラトラバの存在感が頭一つ抜きんでていたように思います。

 

カラトラバは1932年に誕生した、現行パテックフィリップの中で最古の歴史を持つ一大コレクションです。その完成されたシンプルさは、「世界の丸形時計の規範」「名門ドレスウォッチの本質」などと称賛されてきました。

なお、1930年代当時は世界恐慌のただ中にあり、パテックフィリップも再編を余儀なくされていました。そこで同社の文字盤製造を請け負っていたジャン・スターン氏とシャルル・スターン氏の兄弟二人が経営権を買い取り、Patek Philippe S.Aを立ち上げます。その際にカラトラバが商品化されたという歴史があります。懐中時計から腕時計へと変わっていった時代ということもあり、カラトラバは新生パテックフィリップを盛り上げるのに、大きく貢献することとなりました。

 

パテックフィリップ 2021年新作

出典:https://www.patek.com/en/home

そんなカラトラバは長い歴史に裏打ちされるように、多岐に渡ったモデル展開が行われます。とりわけ初代Ref.96から系譜を引く「クンロクモデル」は高い人気を誇ります。

前置きが長くなりましたが、本項でご紹介する2021年新作カラトラバ Ref.6119Rまたは6119Gは、そんなカラトラバの最新世代となるのです。なお、Rはローズゴールド製、Gはホワイトゴールド製であることを意味しており、スペックは二本とも同一です。

 

ではこのカラトラバ、いったい何が新しいのでしょうか。

基本コンセプトはこれまでのカラトラバに同様です。薄く上品な丸型ケースに、2針とスモールセコンドのみとシンプルな意匠が大きな特徴です。しかしながらベゼルにクル・ド・パリ装飾が施されており、これがまたえも言われぬ魅力を湛えますね。この装飾は歴史的にカラトラバで見られるもので、直近ではRef.5119が高名です。Ref.5119は2019年に生産終了していること。加えて新型モデルの型番がRef.6119であることを鑑みれば、5119からDNAを引くモデルであることが理解できますよね。

パテックフィリップ カラトラバ 5119

※Ref.5119

一方でRef.3119や5119は直線ラグが印象的ですが、新型は湾曲したラグ,そして力強いドーフィン針やインデックスはクンロク(型番に96が付くことが特徴)から範を取っているのではと思わせる、新しいデザインです。

さらに新型カラトラバの特筆すべき点は、ケース直径が39mmであることです。

もちろん近年のカラトラバで39mmサイズは珍しくありませんが、なんと、この39mmのための全く新しい手巻きムーブメントCal.30-255 PSを併せてローンチしているのです。

これまでカラトラバの39mmサイズのムーブメントは、30mmや33mmサイズなどと同様に、Cal.215系が共有されていました。この手巻きムーブメントは1976年に発表されましたが今なお傑出しており、カラトラバの高精度や高性能スペックを下支えしてきました。

基本的に機械式時計のシェアは圧倒的な部分で自動巻きが占めているため、大きいケースのための手巻きムーブメント開発はあまり視野に入れられてこなかったのかもしれません。

しかしながら、この度ついに大径手巻きムーブメントの開発に至った、と。

パテックフィリップ カラトラバ 6119

出典:https://www.patek.com/en/home

パテックフィリップですから、もちろん新開発手巻きムーブメントCal.30-255 PSの性能も、215系に引けを取るものではありません。28,800振動/時の高精度設計であるにもかかわらず、ツインバレル(ゼンマイが入った香箱を二つ設けること)によって65時間のロングパワーリザーブを実現しています。さらにパテックフィリップではあまり積極的に採用されてこなかった、ハック機能が搭載されています。

なお、ムーブメントは大径化したものの厚さはわずか2.55mmであることから、ケース厚もカラトラバらしい8.08mmに抑えられています。

このムーブメントがシースルーバックから鑑賞できる仕様としたことも、特筆すべき点ですね。

 

定価は税込3,399,000円ですが、近年パテックフィリップ人気はノーチラスやアクアノートといったスポーツラインのみならず、カラトラバにも及んでいます。もともと生産数が少ないこともあり、果して市場に出回り始めた際の実勢相場はどうなるか。

もっとも新しいムーブメントに、新しい意匠を伴う新生カラトラバ、絶対に一度は手にとって眺めてみたい逸品です!

 

スペック

外装

型番: 6119R / 6119G
ケースサイズ: 直径39mm×厚さ8.1mm
素材: ローズゴールドまたはホワイトゴールド
文字盤: シルバーまたはチャコールグレー

ムーブメント

ムーブメント: Cal.30-255 PS
駆動方式: 手巻き
パワーリザーブ: 約65時間

機能

防水: 30m
予価: 3,399,000円(税込)

 

◆プロからのコメント

「この39mmケースを携えたカラトラバの為に、わざわざ需要の少ない手巻きムーブを改良するとは。パテックのカラトラバにかける意気込みを強く感じられるモデル!」

 

「2021年だけの話ではないが、パテックフィリップの売上データを見ていると、カラトラバの人気モデルが大きい部分を占めている。もちろん出回りの問題もあるが(近年、ノーチラスなどの人気コレクションは並行市場ですら品薄となっているため)、それだけカラトラバは安定した人気を誇っており、さらにそのベーシックモデルの新作を考えれば、2021年最も傑出していた一本と言えるだろう」

 

「待望のカラトラバの、基幹モデルの新作!ただし、なかなか買えないだろうという点では忸怩たる思い

 

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第1位ロレックス エクスプローラーI 124273

ロレックス エクスプローラー 124273

2021年傑作腕時計ランキング、新作部門で第1位に輝いたのは、ロレックスの新型エクスプローラーIの、イエローロレゾールモデルです!

例年、新作発表ともなると、時計業界で大きな注目を浴びるロレックス。とりわけ2021年はエクスプローラーIIがコレクション誕生50周年記念であったため、早い段階から新作の存在がそこかしこで噂されていました。

実際に新作発表が行われ、確かにエクスプローラーIIはモデルチェンジ。新型Ref.226570が登場します。

しかしながらそれ以上に注目を浴びたのが、こちらのエクスプローラーI 124273でした。

なぜならエクスプローラーIIはムーブメントに大幅アップデートが加えられたものの、デザイン面は先代の大きい部分を踏襲していたため。一方のエクスプローラーIは、先代Ref.214270がケースサイズ39mmであったことに対して、36mmへとダウンサイジング。さらにはエクスプローラーコレクションでは過去あまり見られなかった、イエローロレゾールモデル(イエローゴールドとステンレススティールのコンビのこと)が堂々リリースされたためです!

ロレックス エクスプローラーI 124273

エクスプローラーIについて補足を加えると、1953年に誕生したプロフェッショナルモデルです。

「探検家」の名を持つとおり、過酷な環境に足を踏み込む人々が、正確な時刻をいつでも確認できるように。そんな意気込みを感じられる精悍なモデルです。実際、デイト表示すら持たないきわめてシンプルな文字盤が非常に視認性に優れており、また100m防水の堅牢なオイスターケース・ブレスレットを外装としてきました。

このエクスプローラーIの上位機種として1972年に誕生したのがエクスプローラーIIです。

そんなエクスプローラーIはロレックスの常として、時代に合わせて性能をアップデートしつつ、系譜を経てきました。

2010年にリリースされたRef.214270では、エクスプローラーI初となる39mmサイズを実現。より精悍な印象を強めたものです。

このエクスプローラーIが2021年に、Ref.114270まで採用されていた36mmサイズへ戻された時は、非常に驚かされたものでした。39mmが既にスタンダードかと思われていたためです。さらに文字盤レイアウトも、新型エクスプローラーIではRef.214270ではなくRef.114270に範を取ることとなりました。

 

これ以上に驚かされたのが、コンビモデルのリリースでしょう。エクスプローラーは武骨なイメージを大切にしてきているがゆえか、金無垢とはどこか無縁なように思われたためです。

しかしながら実際にリリースされたRef.124273を見ると、そのかっこよさと言ったら

イエローゴールドという華やかな素材をベゼルやインデックス・針、コマのセンター鏡面部分にあしらうことで、スポーツ・ラグジュアリーな面を強調しています。エクスプローラーIらしく、基本はシンプルで精悍なままというのも嬉しいところですよね。

実機を手にした当店スタッフが、口を揃えて「これは良い!」と言ったのも頷けます

ロレックス エクスプローラーI 124273

なお、前述の通り、新型モデルの大きな特徴は、ムーブメントです。ロレックスもまた近年では新世代ムーブメントの載せ替えを順次行っており、2021年にメスが入れられた形となります。

この最新世代のCal.3230は、ロレックスらしい高精度と耐久性、そしてメンテナンス性を備えつつ、パワーリザーブ約70時間へと大幅延長。既存のCal.3100系が48時間でしたので、約一日分の延長であることを示唆しています。

もともとエクスプローラーIに搭載されていた専用機Cal.3132は耐磁性と耐衝撃性を備えたプロユースムーブメントでしたが、より高効率なクロナジー脱進機によって、この利便性高いパワーリザーブを実現することとなりました。

 

定価は税込1,201,200円。もっとも、ロレックスもまた定価はあってないようなもの。まだ十分に流通しきっていないこともあり、その実勢相場は160万円台~となっております。

しかしながらステンレススティール製デイトナが400万円をはるかに超えていたり、旧型エクスプローラーI 214270がなかなか100万円を切らなくなってきた昨今、コンビモデルとして考えれば決して高すぎるということはないでしょう。

気になる方は、ぜひ一度お手に取って頂きたい2021年新作モデルです!

 

ロレックス エクスプローラーI 124273

ロレックス エクスプローラー 124273

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径36mm×厚さ12mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3230
パワーリザーブ:約70時間
防水性:100m
定価:1,201,200円

 

◆プロからのコメント

「ロレックスの新作は例年話題に上るが、124273は例年以上の話題性を感じた。当初は賛否両論といった印象だったが、実機を見た方全員が絶賛しているところはさすがロレックス!」

 

「市場にまだまだ数が少ないものの、いくぶん相場は落ち着いてきた。36mmケースもちょうど良いし、ワンランク上のスポーツモデルが欲しい方にまずお勧めしたい」

 

「これまでロレックスのスポーツモデルのコンビはサブマリーナやデイトナがメインで、ゴールド素材に憧れはあるけどフォルムや機能はシンプルで良い・・・そういったニーズからは一線を画していたように思うが、ついに2021年に実現。デイトジャストほど華やかではなく、あくまでエクスプローラーらしさが出ているのも良い」

 

「ブレスの鏡面部分、使い込まれていくと艶が消えてシックなデザインになりそう!使用していくにつれて雰囲気が変わり長く楽しめそうに感じます」

 

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2021年傑作腕時計ランキング~スポーツウォッチ部門~

各ブランドがこぞって力を入れるスポーツウォッチ。それゆえ甲乙つけがたい、と思う方もいらっしゃるでしょう。 今年はラグジュアリースポーツウォッチが業界内でも一つのトレンドのようになりましたが、そんな世相をも反映しつつ、2021年最強のスポーツウォッチとは?

 

第5位 チューダー(チュードル) ヘリテージ ブラックベイ セラミック 79210CNU

チューダー ブラックベイ セラミック 79210

2021年傑作腕時計ランキング、スポーツウォッチ部門の第5位としてご紹介するのはチューダー ブラックベイに新しく出た79210CNUです!

ランクインは果たさなかったものの、2021年新作部門でも非常に多くの票数を集めることとなりました。「なんだかすごいモデルが出た」「特別モデルか?」などと初出時は騒がれましたが、どうもレギュラーモデルだというのだからここでも二度驚きです。

 

チューダーは前項でご紹介したロレックスの、ディフュージョンブランドとして誕生した経緯があります。1905年にイギリスで創業したロレックスは、市場での販路拡大を目的に1920年代、チューダーを打ち立てます。

そのためかつては、ロレックスの外装パーツやコンセプトを用いつつも、汎用ムーブメントを利用することで、ロレックスよりも安価に高性能ウォッチを購入できるブランドとして語られることもありました。

しかしながら近年では自社製ムーブメント開発を筆頭に、デザイン面でもコンセプト面でも独自性を発揮。今ではロレックスとは異なる、大人気ブランドへと成長を遂げていっています。

チューダー2021年新作 ブラックベイセラミック

出典:https://www.facebook.com/tudorwatch/photos/

そんなチューダーがフラグシップコレクションとして掲げるブラックベイ。

これは、かつてチューダーが製造していたダイバーズウォッチ・サブマリーナのデザインを復刻した一大コレクションとなります。

様々な派生モデルが存在しますが、2021年、セラミックで構成されたオールブラックの、とにかくカッコいい一本が登場しました。それがこちらのブラックベイ セラミック 79210CNUです。

このデザイン性もさることながら、特筆すべきはムーブメントです。

なんと、これまでオメガのお家芸であったマスタークロノメーター規格に認定された、高性能かつ高耐磁性キャリバーMT5602-1Uを同時にローンチしたのです。

前項のシーマスター300でも言及しましたが、マスタークロノメーターはオメガがMETASと共同開発した時計の規格です。とりわけ15,000ガウスという高耐磁性能を前提としたその性能は、時計業界ではあまりにも高名です。

マスタークロノメーターは工業規格であるため特にブランドによる選別はありませんが(クロノメーター規格に認定されている必要はあります)、これまで時計業界ではオメガの独擅場といった感はありました。

そこへきて、チューダーもこのマスタークロノメーター認定機を打ち出してきたことに、驚きを禁じ得なかったものです。ローターを始めとしたムーブメントパーツも、ブラック仕上げとなっていることが憎い演出ですね。シースルーバックから鑑賞できるため、機械好きにもお勧めできます。

チューダー ブラックベイ セラミック 79210

こういった機能面のアップデートが凄まじい一方で、チューダー「らしさ」をそこかしこで感じられるのも、今回票を多く集めた所以でしょう。

ケースサイズは直径41mmと、既存のブラックベイのベーシックモデルと同一です。

さらにブラックベイではお馴染みとなったイカ針(海外ではスノーフレーク針)を臨めるのも嬉しいところ。

このイカ針は1969年からチューダーが製造していたサブマリーナ―通称イカサブ」―に範を取った意匠で、ロレックスとの違いを明確にする特徴の一つでもありました。

イカ針だからチューダーが好き、と語るファンは少なくありません。

チューダー2021年新作 ブラックベイセラミック

出典:https://www.facebook.com/tudorwatch/photos/

定価は539,000円と、良心的なところもチューダーらしさを存分に感じられますね。

なお、近年チューダーは各モデルに搭載するストラップは基本的に一つとしておりますが、こちらの79210CNUはレザー×ラバーストラップおよびファブリックストラップがデフォルトで付いてくるのも、他モデルとは違った特別感で溢れます。

実勢相場は60万円台後半~と定価超えとはなるものの、じょじょに出回りも始まっています。前述の通りレギュラーモデルとなっているため、手に入りやすさも「傑作」たる所以ではないでしょうか。

 

チューダー ブラックベイ セラミック 79210CNU

チューダー ヘリテージ ブラックベイ セラミック 79210CNU

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ14.4mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:MT5602-U
パワーリザーブ:約70時間
防水性:200m
定価:539,000円

 

◆プロからのコメント

「素材やデザインの面白さもさることながら、マスタークロノメーター認定機とは恐れ入った。磁気帯びにさらされることも多い現代、スポーツウォッチの新しいスタンダードになってくれることに期待!」

 

「いよいよロレックスとは違った路線であることを感じる」

 

「オールブラックというデザインは今や定番。シンプルでかっこいいし、ブラック基調なためスポーツモデルなのにスーツにもカジュアルにもOK。よって、失敗しない時計

 

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第4位 ロレックス デイトナ 116500LN

ロレックス デイトナ 116500LN

2021年傑作腕時計ランキング~スポーツウォッチ部門~、第4位は、泣く子も黙るロレックスのデイトナです!

ちなみに2018年版~2020年版の当企画でも、傑作腕時計ランキング~スポーツウォッチ部門~で、だいたいランクインしておりました。むしろ、誕生以来ずっとナンバーワン。今回の調査対象としたプロの中には、「今後10年以上、腕時計界のトップとして君臨する」と考察する人も・・・!

 

デイトナは、もはや説明不要かもしれませんが、1960年代にデイトナインターナショナルスピードウェイというサーキットの完成を契機に誕生しました。ロレックス唯一のクロノグラフであり、現代のスポーツウォッチ人気の立役者でもあります。

スポーツロレックスには珍しく様々な素材・デザインバリエーションを豊富に有しますが、そのいずれもが人気で、屈指の高値。 とりわけここ数年では、過去なかったほどの爆上げを記録。 常に品薄で、どのロレックスをも凌いで正規店で購入することはほとんど不可能なのでは、と囁かれるほど。一部ファンの間では、ロレックス正規店でデイトナの在庫を探すことを、デイトナマラソンと呼んでいるようです。

 

定番の現行モデルはステンレススティール製の116500LNです。

デイトナ 116500LN

116500LNは、2016年に誕生しました。

一世代前の116520やもう一つ前の16520も人気ですが、116500LNの格別さ。それはベゼルにセラクロム(セラミック)を採用し、かなり精悍な印象となったこと!デイトナというと資産価値の高さがまず取沙汰されますが、この仕様変更によって、さらにかっこいいスポーツウォッチへと昇華されたことが大人気の秘訣ではないでしょうか。

 

そんな116500LNは本当に高値が続いており、「もう下がるだろう」と言われ続けてはや3~4年ほど…むしろその右肩上がりの上昇は止む気配がありません。

現在、白文字盤の方の実勢相場は440万円台~、黒文字盤で400万円前後~…とてもステンレススティール製モデルとは思えない相場ですよね。ちなみに昨年、同様のアンケートを行った際の実勢相場よりも、どちらも100万円以上の値上がりを記録しています。年末に集計しているため、どうしてもロレックスの全体的な相場が上がるというのはあります。しかしながらことデイトナ―そしてスポーツロレックス―に関して言えば、ほぼ一年を通してコンスタントに値上がりを続けたと言って差し支えないでしょう。

デイトナ 116500LN

なお2020年に続き、コロナ禍によってモノ・ヒトの行き来が大きく制限されています。これに伴い海外製品が国内市場に入荷しづらい状況が続いており、供給量が低減し続けています。また、2023年にはデイトナ誕生60周年を迎えることもあり、生産終了(モデルチェンジ)の噂もにわかに囁かれています。

こういった外的要因とデイトナそのものの人気が相まって、いっこうに相場は下落せず。にもかかわらず止まない需要…買い控えは見られず、むしろ高騰が高騰に拍車をかけるといった勢いです。

もっとも、デイトナ 116500LN自体、非常に完成された時計です。

確かに高価格帯とはなりますが、実物を手に取ってみると、「それでも欲しい」という方が後を絶たない理由が垣間見えるでしょう。 2021年のみならず、しばらくは「最強傑作」の座を明け渡しそうにもありません。

 

ロレックス デイトナ 116500LN

デイトナ 116500LN

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4130
パワーリザーブ:約72時間
防水性:100m
定価:1,457,500円

 

◆プロからのコメント

「一番よく売れる。例年、ダントツで売上ナンバーワン。全ての高級時計の中で一番売れている。旧型の116520は2000年~2016年まで17年間販売されたが価値を落とさず、生産終了後もその相場を上げ続けるという圧倒的な資産価値を記録した。116500LNも発表から4年経つが先代の流れを踏襲しており、やはり今後ずっとナンバーワンとなるのは想像に難くない」

 

性能・デザイン・ステータス・資産価値全てトップ

 

「2021年(だけに限らないが)、多くの実用時計の中で最も高騰したモデル。工芸品ではなく、工業製品でこれだけの値打ちを持つという現象はやはりデイトナだからと言えるのでは?」

 

「買って良し、売って良し。いつでもオススメ。相場を落とす気配がない」

 

「かっこよさもさることながら、不具合の少なさにロレックスの高い時計製造技術を感じる」

 

なお、先代の116520およびさらにその前の16520を推す声も相当数上がりました。

ロレックス デイトナ 116520

「116520は116500LNの高騰と比べ、落ち着いている。年代次第ではまだ300万以下で手に入るものもある

 

デイトナ16520 P番。現行ではない為これ以上はデザイン的に被らず、人気もあり資産価値としても安定している」

 

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第3位ショパール アルパイン イーグル ラージ 298600

ショパール アルパイン イーグル

出典:https://www.facebook.com/ChopardJP/photos/

第3位としてご紹介するのは、新時代のラグスポ!ショパールのアルパイン イーグルです!

ラグスポとは、ラグジュアリー・スポーツウォッチの略称であり、2021年は時計業界でその響きが特別なものへと昇華されつつありました。

ちなみにラグスポに決まった定義はないと言われています。しかしながらパテックフィリップ ノーチラスやオーデマピゲ ロイヤルオークに代表されるように、ラグジュアリー・メゾンが製造していること。薄型でケースとブレスレットがシームレスになっていることなどがラグスポの特徴として挙げられます。

近年では各メーカーがラグスポジャンルに意欲的に参入していますが、名門ジュエラーとしての審美眼と長年培ってきた時計製造技術を武器に、ショパールが2019年に打ち出したのがアルパイン・イーグルです。

 

ショパール アルパイン イーグル ラージ

出典:https://www.facebook.com/ChopardJP/photos/

そもそもショパールがどのようなブランドかと言うと、1860年に創業した老舗の中の老舗です。

ルイ=ユリス・ショパール氏がスイス ジュラ地方でスタートさせた時計工房がその原点ですが、後継者が途絶えたことから、1963年にドイツのショイフレ家に経営権が委譲されます。ショイフレ家はジュエリーと時計製造を手掛けてきたやはり名門であったことから、ダイヤモンドをデザインコードとして用いたラグジュアリーな時計製造によって名を馳せていくこととなります。ちなみに1976年から続く「ハッピーダイヤモンド」コレクションは、カルティエやシャネルなどと並び、レディース高級時計の定番ですね。

しかしながら、ただの宝飾時計屋ではないのがショパールのショパールたる所以。

1990年代という早い段階から自社製ムーブメント開発に着手し、1996年には初となるL.U.C.をローンチ。ちなみにこの名前は創業者ルイ=ユリス・ショパール氏に由来します。

このL.U.Cはきわめて優れた自動巻きムーブメントで、ジュネーブシールを獲得。ショパールの高度な時計製造技術を十二分に示唆する名機となっております。これを皮切りに本格マニュファクチュールとしての道を歩みながら、現在ではメンズ・レディースともに質の高い製品を世に輩出しています。

 

ショパール アルパイン イーグル

出典:https://www.facebook.com/ChopardJP/photos/

そんなショパールが手掛けるラグスポ、これがまた本当に美しいの一言です。

なお、アルパイン イーグルは1980年代に同社が手掛けたショパール初のラグジュアリースポーツウォッチ「サンモリッツ」から着想が得られています。

薄型ケースとブレスレットはシームレスになっており、いずれも丁寧かつ高度な仕上げがこれでもかと施されています。ちなみにアルパイン イーグルのステンレススティールは、従来品よりも高度の高い「ルーセント スチールA223」を使用しているのだとか。硬度や摩耗耐性に優れることに加えて強い輝きを放ち、かつ従来のステンレススティールよりも金属アレルギーを誘発しづらいことも特筆すべき点です。

この特別なスティールの、陰影の付いたフォルムやポリッシュ・サテン仕上げのコンビネーションが、立体感と高級感に拍車をかけます。

ちなみに文字盤にも高度な装飾が施されます。

ショパール アルパイン イーグル

出典:https://www.facebook.com/ChopardJP/photos/

これは、アルプス(アルパイン)を優雅に、そして力強く飛行する鷲(イーグル)の、瞳の虹彩がモチーフになっていると。

サイズ展開はラージ41mm、スモール36mm、そして2020年に新たにラインナップに加わったクロノグラフXL 44mmとなっておりますが、今回プロから圧倒的に票を集めたのがこちらのラージサイズでした。

それぞれのサイズに合ったムーブメントが搭載されていることも、名門ショパールならではですね。ちなみにラージサイズに搭載される「Cal.01.01-C」は、クロノメーター認定の高精度に加えて60時間のロングパワーリザーブを誇っており、実用面でも死角のない一本となっております。

 

ショパール アルパイン イーグル ラージ 298600

ショパール アルパイン イーグル ラージ 298600-3001

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ9.7mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.01.01-C
パワーリザーブ:約60時間
防水性:100m
定価:1,650,000円

 

◆プロからのコメント

とにかく仕上げが美しい。写真以上に実機を見て頂きたい逸品」

 

「ラグジュアリースポーツウォッチの最前線。ノーチラスやロイヤルオークがかなり高騰してしまった今、中古なら150万円台~で購入できるという点も魅力」

 

「かっこよさ・ショパールが手掛けた最上級の高級感もさることながら、これで200万円を切る価格は良心的」

 

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第2位 パテックフィリップ アクアノート 5167/1A-001

パテックフィリップ アクアノート 5167/1A

2021年傑作腕時計ランキング~スポーツウォッチ部門の第二位に君臨するのは、我らがパテックフィリップ アクアノートです!例年一位を獲得してきたノーチラスを抑えることとなりました。

パテックフィリップのスポーツラインは、ノーチラスの他に「アクアノート」も存在します。

アクアノートは1997年に誕生しました。ノーチラスよりもスポーツテイストが強く、また、スペックもアクティブ寄りであることが特徴です。

もっともパテックフィリップの人気シリーズと言えば、ノーチラスやカラトラバがまず思いつきますよね?

実際、カラトラバは初出1932年、ノーチラスは1976年ですので、同社の長い歴史の中ではアクアノートは新参者な印象が強いかもしれません。

 

パテックフィリップ アクアノート

しかしながらアクアノートの完成度の高さはノーチラスと決して遜色のないものです。むしろ、クラシカルなカラトラバとスポーティーなノーチラスの良いとこどりをした外観から、きわめて高い人気を誇ってきました。前項でご紹介した「ラグスポ」の上品さと、さらなるスポーティーさを兼ね備えます。

多角形ながら丸みを帯びたケース。暗闇でも視認性を確保する夜光アラビアインデックスと優美な時分秒針。そしてアクアノートをアクアノートたらしめる格子模様のブラック文字盤は、スポーツウォッチなのに見ていると引き込まれるような気品や美しさを感じさせます。

 

さらにアクアノートは120m防水なのも特筆すべき点です(ノーチラス一部モデルもですが)。ラグスポの中にはあまり堅牢性が高くないものも少なくありません。こういった堅牢性は、日常での使用をサポートしてくれますね。

実用的なアクアノートとして40代・50代を中心に支持を集めています。

 

なお、アクアノートはこれまで幾度かのアップデートを重ねてきましたが、現行567/1Aは2007年より製造されています。ちなみにアクアノートとしては第三世代です。

Ref.5167/1Aの大きな特徴は、40mmのケースサイズを有していること!これまで小径で上品なイメージであったアクアノートですが、このアップサイジングによってスポーティーな側面を強めることとなりました。ちなみに初代は34mmであったためミディアム、第二世代は38mmであったためラージ、当モデルはエクストララージなどと称されることがあります。

ノーチラスが品薄続きの現在、当店のパテックフィリップの中で最も売れているモデルとなります。

 

一方で人気ゆえに、ノーチラスに匹敵するような品薄を記録しています。ノーチラスが高くなりすぎたため、こちらに需要が流れてきている、というのもあるでしょう。

下記は2017年以降のアクアノートの中古価格の推移グラフです。

 

 

 

付属品 平均相場
2017年 箱/保証書 有 2,407,000円
2018年 箱/保証書 有 2,846,000円
2019年 箱/保証書 有 3,888,000円
2020年 箱/保証書 有 3,896,000円
2021年 箱/保証書 有 5,767,000円

 

とりわけ今年の上昇率はすさまじく、2017年起点で考えればその上昇率は239%!

「さすがにアクアノートはもうこれ以上価格高騰しない」と言われていますが、本当にそうでしょうか?ノーチラスやロレックスのデイトナ同様に、「あの時買っておけばよかった」時計の第一候補なのではないでしょうか?

 

本当に欲しい方は、早めに買っておくのが吉。

こういった緊迫の展開も踏まえて、スポーツウォッチ部門第2位として君臨するに至りました。

 

 

パテックフィリップ アクアノート エクストララージ 5167/1A

パテックフィリップ アクアノート 5167/1A

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40.8mm×厚さ8.1mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.324 S C
パワーリザーブ:約45時間
防水性:12気圧
定価:2,860,000円(ブレスレットモデル)

 

◆プロからのコメント

「高騰が続く複雑機構。それだけでも珍しいが、アクアノートは独創性高いフォルムであるにもかかわらず万人受けしている。薄型設計であることも関係しているだろう。ノーチラスはしばしば『タキシードにもウェットスーツにも似合う』と表現されるが、アクアノートもまた同様の印象を持つ」

 

「少しカジュアルさも残しつつ上品」

 

今後さらに価格が上がる可能性があり、資産性が見込める

 

「(商品管理スタッフより)11/24現在で平均相場700万円近く。驚くべき相場感ですが、2014年に250万円で販売したお客様から修理を預かりました。7年ご使用で初めての修理のお預かりで、メーカーで13万円程度のオーバーホールで対応いただけること。修理保証2年つくことから考えて長く愛用するにはメンテナンスもコスパが良い様に感じます」

 

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第1位 ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V/110A

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V

2021年、最も傑出していたスポーツウォッチとして時計業界人が太鼓判を押すのが、ヴァシュロンコンスタンタンの「ラグスポ」、オーヴァーシーズです!本当に今年のアンケートは、ラグスポへの投票が目立ちました。

 

パテックフィリップ,オーデマピゲと並んで世界三大時計に名前を連ねるヴァシュロンコンスタンタン。さらに、1755年の創業以来、一度も途切れずに経営を続けてきた非常に稀有な存在でもあります。

ドレスウォッチのパトリモニーや、265年の歴史の中で培ってきた時計製造技術を遺憾なく発揮した超絶複雑機構シリーズ「レ・キャビノティエ」など見事な銘品は枚挙にいとまがありませんが、今最も時計市場を賑わせているのがオーヴァーシーズではないでしょうか。

 

オーヴァーシーズは1996年に誕生した、ヴァシュロンコンスタンタンのスポーツラインです。

ショパールの項でも述べましたが、近年のスポーツウォッチ人気、そして価格高騰は凄まじいものがあります。この牽引役を務めているのが、「ラグジュアリー・スポーツ(通称ラグスポ)」です。今でこそ多くのハイメゾンがラグスポを手掛けますが、もともとは世界三大時計ブランドにあたるパテックフィリップ・オーデマピゲ・ヴァシュロンコンスタンタンのそれが高名でした。

そんなラグスポの歴史を遡ると、1972年にオーデマピゲがロイヤルオークを発表したことに端を発し、1976年にはパテックフィリップがノーチラスを発表しています。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V

この二社とはやや遅れる形でオーヴァーシーズを発表したヴァシュロンコンスタンタンですが、その出来栄えはまさに畢生。流線型のケース,ヴァシュロンコンスタンタンのロゴにあたるマルタ十字をインスパイアしたベゼルにブレスレットと、「This is the ヴァシュロンコンスタンタン」な風格をまといます。

オーヴァーシーズもまたいくつかの世代変遷を経てきましたが、現行はシースルーバックによってヴァシュロンコンスタンタンの見事なムーブメントが見えるのも嬉しいところ。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ

また、多くのラグジュアリーブランドが「スポーツ」と言いつつも実用性はそこまで高くないことに対し、オーヴァーシーズは150m防水×高耐磁性能ということもあり、死角のないラグスポと言っていいでしょう。

2016年に大幅な刷新が加えられ、さらにスタイリッシュな意匠をまとうこととなりました。

そんなオーヴァーシーズの基幹モデルであり、今回非常に多くのプロから推しの声を頂いたのがSS製のシンプル3針機です。

ちなみに一番人気はブルーですが、ブラックやシルバーも引けを取りません。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V/110A-B483

 

とは言え、なぜ2021年にあえてのオーヴァーシーズなのか?それは、ラグスポの中では、非常にお買い得感が強い逸品であるためです。

もちろんヴァシュロンコンスタンタンは世界に誇る名門高級時計ブランド。そのため定価も高く、また世界中で需要があることから実勢価格も高くなりがち。

とは言え、パテックフィリップのノーチラスの実勢価格が1400万円超(定価3,872,000円であったにもかかわらず!)、オーデマピゲのロイヤルオークが文字盤カラーにもよりますが間もなく600万円と、軒並み高騰。なかなか一般ユーザーが気軽に買えるものではありませんね。

しかしながらオーヴァーシーズであれば、実勢相場400万円前後~460万円程度まだお得感が強いと言えますね

とは言え高級時計市場全体の高騰も相まって、オーヴァーシーズもまたジワジワと価格が急騰しているところ。ヴァシュロンコンスタンタンは丁寧なものづくりを行っているゆえ大量生産はしておらず、流通量もそう多くないことから、これまた早めに買っておきたい2021年傑作スポーツウォッチとなっております。

 

オーヴァーシーズ 4500V/110A

オーヴァーシーズ 4500V/110A-B128

ケースサイズ:直径41mm×厚さ11mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント: Cal.5100
防水性:150m
定価:2,662,000円(税込)

 

 

◆プロからのコメント

「流行りのラグジュアリースポーツモデルの中でも完成度が高く、また独創性が楽しめる」

 

「人気のモデルの定価越えが続く中、中古であればお得感が強く、全体的(ブランド、機能、値段など)なバランスが良い

 

「デザイン・スペック・中古相場…コストパフォーマンスが非常に良い。新品だと、ブルー文字盤なんかはロイヤルオーク並に上がってきているが、逆に言えば今後の資産価値に大いに期待できるだろう

 

「もうスポーツモデルは食傷気味といったユーザーからも、気になる存在として挙がるのがオーヴァーシーズ。個人的にはクロノグラフモデルが好きかな」

 

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2021年傑作腕時計ランキング~コンプリケーションウォッチ部門~

長く時計業界にいると、様々な複雑機構―コンプリケーション―を目にします。 1300を超えるパーツで形成されたもの、天文周期を組み込んだもの、一本で家一軒買えるような価格のもの・・・

数々の見事なコンプリケーションを手にとり、時には操作してきたプロたちが選んだ2021年の傑作ランキングはこちらです!

 

第5位 ジャガールクルト マスターコントロール カレンダー Q4148420(830.8.A6.S)

ジャガールクルト マスターコントロール カレンダー Q4148420(830.8.A6.S)

出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/home-page.html

2020年~2021年にかけ、新型コロナウイルスの猛威に巻き込まれながらも、時計業界は成熟を止めませんでした。2020年の世相のうち、特筆すべきは複雑機構(コンプリケーション)の名作が続々と打ち出されたことです。

複雑機構とは3針+デイトよりも多くの機構を携えたモデルを指すことがあり、クロノグラフやGMT,パワーリザーブインジケーターといった比較的馴染みやすい機構から、トゥールビヨンやミニッツリピーター,パーペチュアルカレンダー等「製造できるブランドはそう多くない」ほど高度な機構までと様々です。

2021年は、製造ブランドが限られるような、超絶コンプリケーションが百花繚乱咲き乱れました。

そんな中においてひときわ輝きを見せるのがジャガールクルトです。レベルソ90周年に当たる2021年、世界初の4面を持つ超絶コンプリケーション―なんと、11もの複雑機構を有する!-搭載モデルも傑出していましたが、票の多くを集めたのが2020年発表のマスター コントロールでした。

 

ジャガールクルトのマスターは、ラウンドケースが基調となった、きわめてベーシックな一大コレクションです。しかしながらその出自は、レベルソ以上に同社らしさを感じられるかもしれません。

初出は1992年。長らく続いたクォーツショックやスイス時計の不振を乗り越え、クラシック回帰させた正統派モデルとしてリリースされたマスターですが、同時に「1000時間コントロールテスト」を製品の特徴の一つに加えました。

この1000時間コントロールテストは、マスターとともに打ち出された、ジャガールクルト独自の工業規格です。その名の通り1000時間(約41日)かけて時計の精度や防水性、耐磁性と言った六つに及ぶ項目を検査。これを突破した製品のみ、製品化させるというもの。この驚くべき厳格さを持った1000時間コントロールテストにちなむのがマスターというわけです。

現在では全てのマスターコレクションに1000時間コントールテストを課しているわけではありませんが、ジャガールクルトの生粋の技術屋としてのこだわりが見て取れる側面ですよね。

なお、認定機には裏蓋に特別な刻印がエングレービングされました。現行はシースルーバックモデルが多いため必ずしもメダリオンとはなりませんが、特別感のある仕様ですよね。

ジャガールクルト マスターコントロール

 

そんなマスターシリーズ、前述の通り2020年に刷新が図られました。

オーセンティックな雰囲気はそのままに、長らく基幹ムーブメントとしてジャガールクルトの信頼性を下支えしてきたCal.899系をアップデート。Cal.866系として、さらなる精度と性能の高みへと進むこととなったのです。

このCal.866の、最たる進化の特徴はロングパワーリザーブ化でしょう。

パーツにシリコン素材を用いたこと。加えてゼンマイを収める香箱の容積をさらに拡大したこと等で、従来の約38時間から約70時間の持続時間へと延長することとなりました。

ジャガールクルト Q4148420

 

この刷新に伴ってマスターの中でも旗艦モデルに当たるマスターコントロールからも様々なモデルがリリースされましたが、本年の傑作腕時計ランキング・コンプリケーションウォッチ部門で票を集めたのが、こちらのトリプルカレンダー×ムーンフェイズモデルでした。

センターには時分針に加えて、ポインターデイト針をセッティング。さらに12時位置の小窓に曜日・月表示を加えるという多機能性です。6時位置にはスモールセコンドとムーンフェイズを同軸上に備えており、これだけ様々な表示があるにもかかわらず、きわめて優れた視認性を発揮します。

もっともこのデザインコードはジャガールクルトでは初めてではありません。2013年に発売されたマスターカレンダーでも、同様の機能を採用したモデルがリリースされており、ロングセラーと言えます。

しかしながら新生マスターコントロールでは、Cal.866を搭載したことで70時間のパワーリザーブを獲得しました。多機能機はどうしても持続時間が短くなりがちなものですが、約3日間持ってくれると言うのは嬉しいですよね。

さらにポインターデイトはムーンフェイズの視認性を邪魔しないよう、6時位置をジャンピングする機能が備わっているとのこと!

ジャガールクルト Q4148420

出典:https://www.instagram.com/jaegerlecoultre/

15日から16日への移動はムーンフェイズをまたぐようにジャンプするという、ジャガールクルトらしい気遣いとコンプリケーションへの矜持を感じられますね。

多機能機でありながらもケース直径40mm×厚さ10.85mmというサイズ感も、ジャガールクルトの、それだけムーブメントをコンパクト設計できる高度な技術力を示唆します。

2021年に入ってじょじょに出回りも増えてきたため、この度は2021年傑作腕時計ランキングにランクインする運びとなりました。

 

 

ジャガールクルト マスターコントロール カレンダー Q4148420(830.8.A6.S)

ジャガールクルト マスターコントロール カレンダー Q4148420(830.8.A6.S)

ケースサイズ:直径40mm×厚さ10.95mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.866A
パワーリザーブ:約70時間
防水性:5気圧
定価:1,390,400円

 

 

◆プロからのコメント

「非常にシンプルかつ端正な文字盤であるにもかかわらず、実はトリプルカレンダーとムーンフェイズを備えている。何かとごちゃごちゃしがちな多機能時計ですが、名門ブランドは巧みなレイアウトでむしろシンプルに見せており、ジャガールクルトの真髄を感じられる。ポインターデイトのジャンピング機能も、こだわりがすごいですね!」

 

「近年のジャガールクルト人気はレベルソか、スポーティーなポラリスなどに注目が集まっていた。しかしながらマスターコレクションにこそ、私は同社らしさを感じていた。事実、2020年に基幹ムーブメントを刷新したことで、いっそうの魅力を増したように思う。これからのマスターコレクションに、いやがおうにも期待しれしまう」

 

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第4位ブルガリ オクトフィニッシモ パーペチュアルカレンダー Ref. 103200 / Ref. 103463

ブルガリ 2021年新作 オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー

出典:https://www.facebook.com/Bulgari/photos

第4位としてご紹介するのは、ブルガリが手掛けるオクト フィニッシモ パーペチュアルカレンダーです!

コンプリケーションウォッチの傑作となると、例年だいたいパテックフィリップやオーデマピゲといった時計専業メーカーの名前が挙がるものです。しかしながら近年目立つのが、ブルガリ。

 

ブルガリはご存知、イタリアの老舗ジュエラーです。

時計事業に参入したのは1970年代と、カルティエなどと比べると後発です。しかしながら2000年以降はジェラルド・ジェンタ社やダニエル・ロート社などの名門独立系ブランドを吸収し、独自のノウハウを確立。このノウハウとブルガリならではの高いデザイン性を強みに、専業メーカーと遜色のない時計を世に送り出してきました。

そんなブルガリが近年意欲作を続々と投入しているのが、オクトです。

オクトは2012年にリリースされたコレクションで、ジェラルド・ジェンタ氏のDNAを受け継ぐオクタゴン(八角形)フォルムのケースが大きな特徴となります。オクトの名前は、このケースに由来します。

オクトはスポーツウォッチでありながらきわめて薄く、一方で切削や仕上げによって高級機に欠かせない立体感をも十分に持ち合わせています。この銘デザインは、さすがブルガリと言うべきでしょうね。

ブルガリ オクトフィニッシモ パーペチュアルカレンダー

出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/103200.html

ブルガリはこのオクトの中でも「フィニッシモ―イタリア語で最上級の―」を柱に、超薄型コンプリケーションウォッチの世界記録を続々と打ち立てていることでも非常に高名です。

この世界記録の中にはトゥールビヨン クロノグラフやミニッツリピーターといった、製造するだけで容易ではないと囁かれる機構が多数存在していましたが、2021年、ついにパーペチュアルカレンダーを搭載しながらケース直径40mm×厚さ5.8mmのオクトを発表するに至りました。ちなみに薄型時計としての世界記録は七つ目となります。

パーペチュアルカレンダーとは永久カレンダーとも表記し、基本的には日付の手動修正を必要としないコンプリケーションです。仕組みはブランドにもよりますが、多くの場合は専用のディスクに各月・各日に対応した溝が刻まれており、一定期間の記憶媒体として活用できます。このディスクは48か月ディスク、すなわち4年分を記憶しているものが多いため、4年に一度のうるう年なども判別してくれ、自動で切り替わってくれるというわけです。

ブルガリ オクトフィニッシモ パーペチュアルカレンダー

出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/103200.html

このようなディスク始め、様々なカムや歯車を必要とする当該機構は、どうしてもパーツ数が多くなるため、厚みが出がち。近年では加工技術が進歩したとは言え、ケース厚15mm超えも珍しくありません。そう鑑みれば、オクト フィニッシモの5.8mmという薄さが、どれだけ卓越しているかが理解できるのではないでしょうか。なお、使われているパーツ数は400超となり、どこかを削減しているというわけではないようです。

さらにこういった永久カレンダーはその特性上、デイトのみならず月や曜日表示を備えます。そのため文字盤がごちゃごちゃとして視認性が低下してしまうといった側面も有していました。その点でも、オクトは抜かりないのだから二度驚きです。

ブルガリ オクトフィニッシモ パーペチュアルカレンダー

出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/103463.html

通常、カレンダーは小窓になっていることが多いものの、このオクト フィニッシモはむしろスッキリした印象を植え付けられます。その秘訣は、各機能の表示方法。

12時位置に日付をレトログラード式に配置。ここにもジェラルド・ジェンタ氏のDNAを感じられますね(ジェラルド・ジェンタのブランドではレトログラード機構を活かしたモデルが有名であるため)。さらに4時位置に月表示を、8時位置にデイト表示を備え、6時位置に同じくレトログラード式に閏年表示を搭載しました。

 

このように完成されたコンプリケーションウォッチですが、プラチナのみならずチタン聖モデルを発表したのもパーペチュアルカレンダーの実用性を押し上げていると言えますね。チタンはステンレススティールなどと比べても軽量なため、オクト フィニッシモの薄いケースと相まって、大変着用感に優れます。

 

定価はプラチナモデルが1025万2000円、チタンモデルでも683万1000円となかなか気軽に出回るものではないと思いますが、ブルガリの時計製造技術の矜持と、美しさへの情熱を感じられる2021年傑作コンプリケーションウォッチであり、これまた一度は実機を手に取って、その驚きの薄さを感じたい逸品ですね!

 

スペック

外装

型番: Ref. 103200 / Ref. 103463
ケースサイズ: 直径40.0mm×厚さ5.8mm
素材: チタン / プラチナ
文字盤: グレー / ブルー 

ムーブメント

ムーブメント: Cal.BVL 305
駆動方式: 自動巻き
パワーリザーブ: 約60時間

機能

防水: 30m
予価: 683万1000円 /1025万2000円  いずれも税込

 

◆プロからのコメント

「コンプリケーションウォッチを薄型に仕上げるというと、技術力の凄まじさが全面に押し出されるものだが、同時にブルガリの『オシャレさ』への訴求も垣間見ることができるのではないだろうか。武骨な時計がラインナップにないブルガリの中で、いくらパーペチュアルカレンダーやトゥールビヨン,あるいはミニッツリピーターを搭載していたとしても、薄く上品でなくてはと考えていたのだろう。ブルガリは時計メーカーとして、さらに世界最先端のジュエラーとして、この新作モデルでまた世界にその名を知らしめた」

 

「レトログラード機構を活かした表示がとてもかっこいい!インダイアルと文字盤にあえて陰影をつけていないところにも、ブルガリのハイセンスを感じる」

「こういった特別モデルはえてしてプラチナやゴールド素材のみの、超ハイエンドの位置づけであることが多いが、ブルガリはチタン製でリリース!過去、オクト フィニッシモのコンプリケーションシリーズはチタン素材が多く採用されてきており、ブルガリがコンプリケーションウォッチを実用品としてみなし、ある程度量産できる技術力を有しているという証左なのでは」

 

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第3位 ロレックス スカイドゥエラー 326934

ロレックス スカイドゥエラー

出典:https://www.rolex.com/ja

ロレックスのコンプリケーションモデルはそう多くありません。なぜならロレックスは実用時計の王者だから。

現代におけるコンプリケーションは利便性と言うよりかは、デザインとしての美しさや、至高の時計製造技術を腕元で楽しめるといった、付加価値の側面が大きくなります。また、内部構造が複雑ゆえに衝撃に弱かったり、高額になったりする特性もあります。

こういった事柄から、ロレックスはこれまであまりコンプリケーションに手は出してこなかった印象でした。しかしながら近年その様相が一変。高級時計市場が成熟し、コレクターのみならず一般ユーザーからのコンプリケーションの要請が高まったこと。加えてロレックスの優れた生産ラインと高度の時計製造技術によって、実用的なコンプリケーション製造を可能にしてきたことが大きな要因でしょう。

 

そんなロレックスのコンプリケーションラインは、ヨットマスターIIのレガッタクロノグラフやチェリーニのムーンフェイズなどが挙げられますが、今回「2021年傑作コンプリケーション」として業界人から非常に多くの票を集めたのが、スカイドゥエラーでした!ちなみに、2019年・2020年版でもランクインを果たしています。

 

スカイドゥエラーは2012年にロレックスのスポーツラインに加わった、比較的新しいシリーズです。当時はスポーツウォッチなのにフルーテッドベゼルを使用していることや、ロレックスには非常に珍しいコンプリケーションを搭載していることで大きく騒がれることとなりました。

スカイドゥエラーのコンプリケーション機能は、「サロス」と名付けられたアニュアルカレンダーです。アニュアルカレンダーというのはパーペチュアルカレンダーの派生機構のようなもので、一年に一度(アニュアル:年次)、2月の末日のみカレンダー調整を行えば、他の月は30日であろうと31日であろうと手動での調整は不要、という機構です。パテックフィリップやランゲ&ゾーネなどが有名ですね。

ロレックス スカイドゥエラー 326934

出典:https://www.rolex.com/ja

さらにGMT機構をも搭載しています。ただ、GMTマスターのようにGMT針とベゼルで別地域の時間帯を表示するものではありません。文字盤中央に設けられた24時間ディスクがメインの時針と連動して回転する仕様になっており、王冠マークのすぐ下にある逆三角マーカーで第二時間帯を読み取れるようになりました

ロレックス スカイドゥエラー 326934

↑この画像だと、メインの時間は10時8分(または22時)、第二時間帯は10時、ということになります。

アワーマーカーのさらに外に設けられた小窓は「月」表示です。該当月の窓が赤く彩られます。上の画像だと、12月を指します。

 

このように、見た目にも機構としても非常にユニークに仕上がった当コンプリケーション。すごいのが、実用面もしっかりしている、ということ!さすが実用主義者・ロレックス。

スカイドゥエラーのために開発されたCal.9001は、パワーリザーブ約72時間。さらに耐磁性や耐衝撃性も存分に高められ、コンプリケーションにありがちな「壊れやすい」を大きく改善するに至りました。

発表当初はハイエンドラインの位置づけで金無垢モデルのみのラインナップでしたが、2017年よりベゼルにのみホワイトゴールドを使用した扱いやすいRef.326934が登場。さらに2021年にはジュビリーブレスレット搭載モデルがリリースされるなど、他のスポーツウォッチに引けを取らない勢いを増しており、コンプリケーションウォッチとしてはもちろん、ロレックスウォッチとしても2022年ますますの存在感を増していくことでしょう。

 

スカイドゥエラー 326934

スカイドゥエラー 326934

ケースサイズ:直径42mm×厚さ約14mm
素材:ステンレススティール×ベゼルホワイトゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.9001/パワーリザーブ約72時間
防水性:100m
定価:1,643,400円(3列オイスターブレス)

 

■プロからのコメント

「アニュアルカレンダーを搭載しているにもかかわらず、ステンレス製。しかも定価は100万円台って、安すぎると思う。ただ、最近他のスポーツロレックスにつられて相場が上がり気味。もともと人気の高かった青文字盤が新品並行相場270万円台~、中古でも250万円前後と、定価から大きなプレミア価格をつけている。そこまでではなかった黒・白も、欲しかったら220万円出すのが当たり前になってしまった・・・

最近ロレックス相場がまた上昇しており、スカイドゥエラーはそれに比例してどんどん上がっている。さらに文字盤交換ができなくなったことから、高騰が止まらないモデルでもある。本当に欲しい方は今買っておくべき」

 

※ロレックスは基本的にカタログに掲載している同一リファレンスの範囲内であれば別のカラー・タイプへの文字盤交換が可能でした。しかしながら一部人気高騰しているカラー・モデルに関してはこれを取りやめています。スカイドゥエラー 326934 ブルー文字盤もこの対象となりました(ブルーから黒や白への変更は今のところ可能のようです)

 

「特にブルーが良い。プレミアがある。加えて文字盤のバランスや、大きなケースに搭載されたフルーテッドベゼルがかっこいいです。リューズとベゼルを使って操作できる点にワクワク感がある。」

 

アニュアルカレンダー搭載のコンプリケーションモデルなのに防水が効いている

 

「金無垢スカイドゥエラーもイイですよ!デイトナやサブマリーナの金無垢とはまた違う、大人の男性って感じ」

 

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第2位 パテックフィリップ ノーチラス プチコンプリケーション 5712/1A-001

パテックフィリップ ノーチラス コンプリケーション 5712A

数あるコンプリケーションを目にしてきたプロたち。 そんな中にあっても、パテックフィリップのそれというのは時計業界人にとってかなり特別なようです。ランキングの2位は圧倒的にパテックフィリップに票が入ることとなりました。

 

ただ、ひとくちにパテックフィリップのコンプリケーションと言っても、実はかなり種類が多いのが現状です。オーデマピゲ同様、パテックフィリップもまたコンプリケーションに一家言持っているため。しかも、パテックフィリップに至ってはこれを「ノーチラス」「アクアノート」などと同様、一大コレクションとして展開してしまっているのです。

そのため今回の調査でもパテックフィリップの様々な機構―ワールドタイム,パーペチュアルカレンダー,トラベルタイムなど―が挙がりましたが、第二位として票を集めたのはノーチラスのプチコンプリケーション。通称プチコンの5712シリーズです。ちなみに2019年・2020年版でもコンプリケーションウォッチTOP5にランクインしました。

 

本稿で何度かノーチラスはご紹介しましたが、シンプルな3針のみならず、様々な機能が搭載された派生モデルが存在します。プチコンは、そんな派生のうちの一つ。さらに言うと、2006年に誕生して以来、3針と並んで長らくノーチラス人気を牽引してきた、重要な役割を持つモデルでもあります。

文字盤を見ると、その多機能さがよくおわかりいただけるでしょう。

パテックフィリップ ノーチラス 5712

搭載されるムーブメントはCal.240PS IRM.C.LU。ポインターデイト、ムーンフェイズ、パワーリザーブと様々な機能を付加しております。

この多機能具合、にもかかわらず文字盤の端正さも驚嘆に値するのですが、さらに目を見張るのが薄さ!ブルガリ同様、コンプリケーションを搭載しているとは思えないくらい薄いのです。

コンプリケーションというのはムーブメントにモジュール的に搭載していくことが一般的なのですが、腕時計という小さな箱の中で組み込みが必要となるため、高い設計力と技術力を要します。つまり、薄いどころか、普通の時計にすることすら難しいのです。

パテックフィリップ ノーチラス プチコンプリケーション 5712/1A-001

なぜパテックフィリップが世界最高峰の時計ブランドと呼ばれるか。その理由がよくわかる名シリーズだと思います。

 

ただし現在価格が爆上がりしており、定価5,170,000円のところ当店での2021年平均販売価格は1300万円前後・・・(もっとも品薄から流通量が少なすぎて、そう入荷数も多くはありませんでしたが)。ちなみに2018年末に当企画を開催した時は、まだ650万円程度でした。

とは言えイニシャルコストは高くとも、パテックフィリップのコンプリケーションは値崩れしづらいというメリットもあるため、手に入れておいて損のない銘品と言えます。

 

なお、今回は定番のステンレススティール製5712/1Aにフォーカスしてご紹介しましたが、5712シリーズはゴールド製も大変人気が高く、その評価はステンレス製と二分するところ。

パテックフィリップ ノーチラス 5712

ノーチラス プチコン ロースゴールド製5712R / ホワイトゴールド製5712G

ちなみにタレントのローランド様はこちらの5712Rの方を愛用しているとか。

当店のバイヤーからのコメントで「よくわかってる。ローランドさんは通だと思う」といったものが寄せられました。確かにこの時計は、万人から受けるというよりも、通好み、玄人好みの逸品と言えるでしょう。

 

ノーチラス プチコンプリケーション 5712/1A-001

ノーチラス プチコン 5712/1A

ケースサイズ:直径43mm×厚さ約8.52mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.240PS IRM C LU/パワーリザーブ約48時間
防水性:6気圧
定価:5,170,000円

 

■プロからのコメント

「コンプリケーションと言えばまずこれが思い浮かぶほど、頭に刷り込まれている時計。コンプリケーションの最高峰」

 

「いつも業者向けオークションで取り合いになる。最近ではなかなか見かけなくなったが、あれば必ず買う。この傾向から個人買取に力を入れる業者がますます増えており、まさに売り手市場を2021年、最も謳歌したモデルだと思う」

 

「最近の高級時計市場の流れもあってか、5712もとても高くなった。でも、高くても欲しいという強烈な需要が、さらにこの時計の価格高騰を押し上げるというスパイラルを描いている。2000万円近いのに、購入層が絶えないのは本当にすごい。

ちなみに5712Rや5712Gは革ベルトのため、金無垢なのにステンレススティール製の5712/1Aと比べて価格が抑えられる。さらに言うとパテックフィリップは値崩れもしづらいので、買っても後悔とか損とか、そういった感覚は薄いと思う」

 

「コンプリケーションウォッチにもかかわらず文字盤の端正さも素晴らしいが、薄さもさすがパテックフィリップ!コンプリケーションウォッチは薄いどころか腕時計サイズに収めるのも難しいと言われる。パテックフィリップの真髄を垣間見れる逸品だと思う」

 

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第1位パテックフィリップ アニュアルカレンダー クロノグラフ 5960/1A

パテックフィリップ アニュアルカレンダークロノグラフ

2021年傑作腕時計ランキング、コンプリケーションウォッチ部門でのトップはパテックフィリップ アニュアルカレンダー クロノグラフ 5960/1A-001です!

何度かご紹介しているように、世界最高峰と言って過言ではないパテックフリップ。とりわけカレンダー機構に関しては、頭一つ抜きんでていると言えるでしょう。

本項でご紹介するアニュアルカレンダー(年次カレンダー)とは、年に一度の2月末日以外は、基本的にカレンダーの手動修正を必要としない機構のことです。大の月・小の月を自動認識してくれるというわけですね。パーペチュアルカレンダーについて前述しましたが、アニュアルカレンダーの方が操作がシンプルゆえにコンプリケーションウォッチの中ではポピュラーと言えます。

 

そんなアニュアルカレンダーは、1996年にパテックフィリップが開発しました。そしてこのアニュアルカレンダーに、さらにクロノグラフを載せたCal.CH 28-520をリリースしたのが2006年です。この年はパテックフィリップが初めて完全自社製クロノグラフをリリースした年でもありますが、と同時にさっそくコンプリケーションウォッチを投入してくるところに、パテックフィリップの気概を感じますね。

パテックフィリップ パテックフィリップ アニュアルカレンダー クロノグラフ 5960/1A

このCal.CH 28-520をベースにアニュアルカレンダー×クロノグラフモデルは連綿と同社から製造されていきますが、パテックフィリップらしいオーセンティックな外装に載せられることが多いものでした。しかしながら2014年、なんとステンレススティール製外装を身にまとった、きわめてスポーティーな同機構のモデルがリリースされたのです。それが、こちらのRef.5960/1A-001でした。

このモデルが出た当時は、まだラグスポがここまで人気を博していません。同社のコンプリケーションでは非常に珍しいカジュアル感,スポーティー感には驚かされたものでしたが、ステンレススティール製の扱いやすさも相まって、一躍定番モデルへと昇華されていくこととなりました。オールステンレスモデルは白文字盤・黒文字盤とリリースされましたが、とりわけ白の爽やかな印象は鮮烈ですね。

 

このRef.5960/1A-001は2018年に生産終了します。

製造本数は少なかったものの、現在のような価格高騰の煽りは受けておらず、実勢相場はどちらの文字盤であっても400万円台~500万円程度。コンプリケーションウォッチとしてはむしろお得感の強い価格ですよね。

しかしながら繰り返しになりますが、近年の高級時計市場は年々相場を上げてきております。加えて2021年、なんとこのアニュアルカレンダー×クロノグラフモデルに、再びステンレススティール製モデルが登場する運びとなったのです。

パテックフィリップ 2021年新作

出典:https://www.patek.com/en/home

上記の時計が、その2021年発表モデル Ref.5905/1A-001です。

今年のトレンドを用いたグリーン文字盤で、Ref.5960/1A-001とは雰囲気を大きく変えています。しかしながらこのモデルの登場が関係してか否か、当店ではRef.5960/1Aへのお問合せが非常に多くなってまいりました。

確かにSSノーチラスが1000万円超えとなってしまった今、コンプリケーションウォッチでありながらもまだ実勢相場は白文字盤であれば700万円台~。高くはなりましたが、ハイメゾンの特別なウォッチとしては常識の範囲内ではないでしょうか。

 

もっとも外装やデザインのみならず、熟成したCal.CH 28-520もまた当モデルの大きな魅力です。

例えば6時位置のインダイアルは60分積算計となり、このモデルには秒針がついていないことになります。しかしながらパテックフィリップのCal.CH 28-520 QA 24Hは、クロノグラフ針を常時稼働させ、秒針代わりにするもよし。通常のクロノグラフ個体でこの使い方はパーツ摩耗を促進するためご法度なのですが、パテックフィリップでは常時差動を可能にしているのです。

さらにパテックフィリップらしい、複雑ながら「デイト・デイ・月」を扇並びにすることでモダンに仕上げた文字盤も必見ですね。

こういった時計そのものの魅力から、Ref.5960/1Aは今最も注目すべき傑作コンプリケーションウォッチとして、当店では太鼓判を押させて頂きます!

 

パテックフィリップ アニュアルカレンダー クロノグラフ 5960/1A-001

パテックフィリップ アニュアルカレンダー クロノグラフ 5960/1A-001

ケースサイズ:直径40.5mm×厚さ約13.5mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.CH28-520/パワーリザーブ約55時間
防水性:3気圧
定価:7,887,000円(当時)

 

■プロからのコメント

「パテックフィリップでは珍しい、レーシーな印象の強いモデル。ノーチラスにもアクアノートにもない、個性を感じさせる逸品だと思う」

 

「防水性は3気圧であり、かつコンプリケーションウォッチということも相まってスポーツウォッチほど気軽には扱えません。しかしながらステンレススティール製のケース・ブレスレットにシンプルな文字盤と、スーツスタイルにもカジュアルなジャケパンにもマッチするスタイルのコンプリケーションウォッチとなっております。デイリーユースのハイエンドな腕時計をお探しの方にとって、非常に良い選択肢になるのではないでしょうか」

 

「パテックフィリップ渾身の自社製クロノグラフ×アニュアルカレンダー搭載!クロノグラフ針が秒針代わりになるのも、同社の高い技術力を感じられる一幕」

 

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2021年傑作腕時計ランキング~オールドウォッチ部門~

2021年の時計業界の一つのトピックが、中古市場の大いなる成長です。機械式を筆頭に、腕時計はメンテナンスと適切な取り扱いを欠かさなければ、末永く愛用できるプロダクトです。そのため古くから中古市場が確立していましたが、近年では高級時計市場の成長とともに、中古時計へのニーズも飛躍的に高まっています。

そこで本年より、傑作腕時計ランキングに「オールドウォッチ部門」を加えることと致しました!アンティーク、そしてポストヴィンテージと呼ばれる年代(~1990年頃まで)で、当店で取り扱いのあったものを中心に、時計業界のプロが傑作を選出いたしました!

 

第5位キングセイコー

キングセイコー  グランドセイコー  違い

第5位としてご紹介するのは、オールドウォッチの中でも長らく「雄」であり続けた、キングセイコーです!

当店ではそう多く取り扱ってきたわけではないのですが、2021年に誕生50周年ということでセイコーから特別なモデルが発表されたことから、キングセイコーの魅力を改めて再考したプロも多かったようです。

 

キングセイコーは、1961年~1975年頃まで製造されていました。セイコーが輩出したハイエンドラインとなり、当時から作り込まれていたためか、今なお実用できる個体が出回っているのが嬉しいところ。

ちなみに1960年に発表されたグランドセイコーもまた、セイコーのハイエンドラインです。しかしながらキングセイコーのステンレススティールモデルが12,000円程度の価格設定であったことに対し、グランドセイコーのファーストモデルの販売価格は25,000円。グランドセイコーが海外高級ブランド時計をベンチマークしたうえで打ち出されたことに対し、キングセイコーは一般的な当時の国民が「頑張れば買える」といったコンセプトだったのでしょう。

さらにグランドセイコーとキングセイコーは製造拠点でも異なることが有名です。当時のセイコーは諏訪精工舎(後のセイコーエプソン)と第二精工舎(東京都亀戸。後のセイコーインスツル株式会社)という二つの製造拠点を有していましたが、それぞれで独立して製品開発を行い競い合い、技術レベル・製品レベルを切磋琢磨しあっていたような関係性でした。そんな中で諏訪精工舎から1960年にグランドセイコーが、翌年に第二精工舎からキングセイコーがローンチされたのです(後にそれぞれの工房でグランドセイコー・キングセイコーともに製造されています)。

キングセイコー 44KS

出典:http://timetapestry.blogspot.com/

こういった背景もあり、キングセイコーはきわめて高性能・高デザイン性の個体が今なお中古市場に安定した価格で出回ります。

とりわけキングセイコー第二世代の44K(手巻きCal.44が載せられていたためこう呼ばれる)はよく流通しており、キングセイコーを購入しようと思ったらまず候補に挙がる個体ではないでしょうか。また、グランドセイコーと同様に諏訪精工舎で製造された自動巻きハイビートムーブメントCal.56系や第三世代のハイビートキングセイコーも高い人気を誇ります。

セイコーは1960年代当時、既に機械式ムーブメントの量産化に成功していたことからメンテナンスノウハウも出回っているため、初めてオールドウォッチをご購入になる方は、ぜひ一度キングセイコーをお手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

キングセイコー

キングセイコー

ケースサイズ:直径36mm
素材:ステンレススティール等
ムーブメント:Cal.44系、56系等
相場:10万円程度~(状態による)

 

■プロからのコメント

「オールドウォッチの価格が軒並み上昇している中、キングセイコーであれば上質な個体でもまだ10万円以下で入手できる。メンテナンスも受けやすく、扱いやすさもあるためオールドウォッチのエントリーモデル的な立ち位置だと思う。一方で中古市場が拡大してユーザーが増えていることから、今後相場が上がる可能性もあり(もっとも、既に一昔前より高くなっている傾向にあるが)、迷っている方は早めに買っておきましょう!」

 

「グランドセイコーだとアンティークであってもそれなりのお値段になるが、キングセイコーなら10万円以下で購入できる。当時の、わが国のメーカーの気概や情熱を感じられる一本でもあるので、持っておいて損はなし!ちなみに、当店スタッフでも何人もキングセイコーを所有しています」

 

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第4位オメガ スピードマスター 下がりr

オールドオメガの中で、「下がりr」という個体があることをご存知でしょうか。スピードマスター第五世代で確認できる仕様となり、下記画像がこれに当たります。

アンティークオメガ 下がりr

上:下がりr/下:現行モデルのロゴ

文字盤12時位置のspeedmasterロゴの、最後部スペル「r」の書体が下に伸びていますね。Sも縦に伸びていて、どこかレトロな雰囲気を感じさせます。

スピードマスター第五世代というのは、1968年から1990年代まで続いたロングセラー。外装は従来通りですが、この世代にムーブメントがCal.321からCal.861へと変更されました。リファレンスで言うとST145.022にあたり、1970年頃~1990年頃の製造個体に見られるのが下がりrです。

先代までのスピードマスターが軒並み高騰している中、第五世代は結構長生きだったこともあり、手ごろなお値段で楽しめるオールドウォッチです。下がりrも製造期間は短くありません。もっとも当時は機械式時計のシェアが低減していた時代であったこともあり、流通量が大変豊富・・・というわけでもありません。

アンティーク スピードマスター

とは言え相場は50万円前後~。数年前に比べると高くはなっているものの、スピードマスターとしてはお値打ちと言えます。

一方ロゴのレトロ感だけでなく、トリチウム夜光が焼けていたりベゼルが褪色していたりと、ヴィンテージならではのテイストを味わうことができるため、ちょっと年式の古いモデルに手を出してみよう!といった方にとりわけおすすめできるのが「下がりr」なのです。

オールドウォッチ人気が高まる今、ぜひ下がりrをお手にとってみてはいかがでしょうか?

 

ちなみに同じ第五世代の「下がりr」でも、初期型にあたるシーホースマークの裏蓋を持つタイプはかなり高額なので注意が必要です。

 

オメガ スピードマスター 下がりr

オメガ スピードマスター プロフェッショナル 5th ST145.022 下がり"r"

ケースサイズ:直径42mm
素材:ステンレススティール
ムーブメント:Cal.861
相場:50万円前後~(状態による)

 

■プロからのコメント

「一見すると、通常個体と大きな違いはない。でもよく見ると特別な仕様・・・オールドウォッチやスピードマスター プロフェッショナルをご購入になるお客様は、こういった『知る人ぞ知る』なディテールに惹かれる方が多いように思います。オメガ自身もそれを知ってか知らずか、2021年に発表した新型スピードマスターでは「ステップダイアル(段付き文字盤)」「ドット・オーバー90」「ドット・ダイアゴナル・トゥ70」などのディテールを盛り込んでいる。こういったディテールに魅力を覚える方に、ぜひ下がりrをご検討頂きたい」

※新型スピードマスター プロフェッショナルはムーブメントの載せ替えのみならず、外装にも多くの変更点が加えられました。とりわけ第四世代スピードマスターで見られた仕様を復刻させており、往年のファンにはたまりません。詳細は「オメガ スピードマスター プロフェッショナル 新型は旧型とどう違う?【310.30.42.50.01.002】」にてご確認ください。

 

「第三世代より前のスピードマスター プロフェッショナルな、正直一般ユーザーが気軽に手を出せる金額ではないと思う。しかしながら第四世代であれば、この下がりr含め、まだ相場は上がり切っていない。クォーツショック下にあったとは言え量産されていたこともあり、修理ノウハウも豊富に出回っているため、扱いやすいオールドウォッチの一つではないか

 

「現行にはない雰囲気や仕様・・・なかなか人と被りません!(所有者より)」

 

「不変的なデザインながら、下がりr等年代よってデザインが異なり、拘ることができる。それでいてロレックスよりも安価に買える点が◎」

 

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第3位カルティエ パシャ

カルティエ パシャ メンズ

オールドウォッチ第3位として票を集めたのは、カルティエのパシャです!ポストヴィンテージのくくりとはなるものの、根強い人気を誇りました。なお、現行ラインは、実は復刻となります。

長らくレディースのミスパシャがラインナップのメインだったカルティエのパシャに、2020年、41mmサイズの新しいパシャ ドゥ カルティエが改めてリリースされました!しかしながら、実はポストヴィンテージに目を向けると、メンズパシャは長らくカルティエの中でもトップクラスの人気を誇っています。

 

パシャはもともとはカルティエ初のメンズ防水時計として誕生した歴史を持ちます。1932年、三代目ルイ・カルティエがモロッコの太守(パシャ)より「水泳しながら着けることのできる時計が欲しい」という依頼を受け、製作された時計がそのコンセプトの源流となっています。1985年、この防水時計を原型に、「強さに惹かれる男性に向けて」というコンセプトのもとに誕生しました。ちなみにデザインを手掛けたのは、ノーチラスやロイヤルオークを輩出したジェラルド・ジェンタ氏です。

そんなパシャの最大の特徴はリューズプロテクタです。防水性の確保のため、カボション付きのプロテクターがリューズについており、ケースとチェーンで繋がっているのです。さらに丸形の中に正方形が収められた文字盤、ベゼルに直接プリントされたメモリ、独特のラグもまたパシャならではのコードですね。

 

現行も良いですが、オールドパシャはダイバーズウォッチやGMT、クロノグラフと機能性に富んでいるのも嬉しいところ。出回りも多く相場高騰も特に見受けられないため、様々な方面でオールドウォッチの2021年傑作と言えるでしょう。

 

カルティエ パシャ

カルティエ パシャ N950 グリッド W3106255

ケースサイズ:直径38mm
素材:ステンレススティール他
ムーブメント:自動巻き
相場:モデルによる

 

■プロからのコメント

「2020年にリバイバルされたパシャですが、個人的感覚としてデザインは過去のパシャの方に惹かれる。今着用しても古さを全く感じさせない個性的なデザインに加えて、クロノグラフモデル(シータイマー)などバリエーションが豊富なのも魅力的です」

 

「一つひとつのモデルに個性があるところがいかにもポストヴィンテージといった魅力」

 

「カルティエはジュエラーである一方で時計ブランドとしても長い歴史を誇ってきた。そんな歴史と、審美性の高さを感じられるオールドウォッチがパシャだと思う。90年代の個体も、良い状態のものが出回っているため、ご自分に合った一本をお求めやすいことでしょう。

 

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第2位ロレックス サブマリーナ 5513

アンティークロレックス サブマリーナ 5513

第2位としてご紹介するのは、ロレックス サブマリーナ 5513です!

アンティークウォッチ,オールドウォッチと言えば、まずロレックスが挙がることも多いですね。当店でも、多くのスタッフからロレックスのオールドウォッチに票が入りました。

 

ロレックスは20世紀初頭に創業し、早い段階から実用時計の製造に一家言持っていたブランドです。

とりわけ1950年代以降はエクスプローラーやGMTマスターなど、現行人気シリーズに続く礎が着々と築かれました。2021年新作部門の項でもご紹介したように、当時は宇宙や深海、山岳地帯といった人類未踏の地の開拓に、世間が湧いていた時代です。そのためプロフェッショナルが過酷な環境下で用いるに値する時計開発も、盛んに行われたのでしょう。

そんな時代の中で、サブマリーナは1953年に誕生しました。100m防水かつ潜水時間を計測するための回転ベゼルを搭載しており、現行とデザインは大きく変わりません。こういった不変にして普遍のかっこよさも、ロレックスのアンティーク市場が盛況している大きな理由の一つとも言えますね。

ロレックス サブマリーナ 5513

そしてRef.5513は、そんなサブマリーナの第四世代に分類されるモデルで、1962年~1990年頃までと非常に長きに渡って製造されていたことが大きな特徴です(ちなみに1959年頃に既に第四世代Ref.5512が誕生していましたが、5513はそのデュフュージョンモデルのような立ち位置でした)。

数あるロレックスの中でもとてもロングセラーで、そのため流通量は豊富。アンティークロレックスと言えばまずサブマリーナ Ref.5513をイメージする方も少なくないでしょう。

第四世代からはリューズガードが搭載され、防水性も200mにアップ。トリプロック仕様や両方向回転ベゼルも備えております。もちろん現在はこの防水性を保っている個体はそう多くはありませんが、堅牢な造りのために経年に強い個体が多いことは事実です。

ちなみに映画『007』で、ジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーア氏が5513を着用したことは有名ですね。

ロレックス サブマリーナ 5513

ロングセラーゆえに仕様変更が多い一方で、価格の開きが多く、ご自身の予算や好みに合わせて選べるのも5513の魅力。例えばインデックスのメタル枠(フチ)の有無で金額が大きく変わるのですが、価格を抑えたいのであればフチあり個体を選ぶのも手。

こちらもメンテナンスノウハウが非常によく出回っているので、さらに相場が上昇しておく前に手に入れておくのが吉、といったコメントが非常に多いオールドウォッチでした。

 

ロレックス サブマリーナ 5513

アンティークロレックス サブマリーナ 5513

ケースサイズ:直径40mm
素材:ステンレススティール
ムーブメント:Cal.1520/1530
相場:120万円前後~(仕様や状態による)

 

■プロからのコメント

「製造年が長く色々な仕様があり、さらに相場の開きが大きい。選択肢が豊富なのはさすがロレックス。予算や好みに合わせて選べるし、出回りも多いため初めてのオールドウォッチとしてはかなりお勧め。ただし、近年の相場上昇は痛しかゆしか」

 

「現行モデルにはないモダンな雰囲気かつ使いやすいデザイン。バースデーウォッチとして探されている方も多く、長年時計業界に身を置いているが、不変の根強い人気をいつも感じている

 

「堅牢な造りゆえか、実は美品も少なくない。アンティークのスペックや扱いに不安を覚えている方は、高年式の5513を狙うのも手ですよ!」

 

「アンティークの定番。まだまだこれから相場も上がりそうだし、オールドウォッチでありながらも現在最も目が離せない一本です」

 

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第1位ロレックス エクスプローラー 1016

アンティークロレックス エクスプローラーI 1016

2021年傑作腕時計ランキング、第1位としてご紹介するのはエクスプローラー 1016です!

2021年新作としてモデルチェンジを果たした同コレクション、現行モデルの注目度が挙がると生産終了モデルもそれに釣られるというのはロレックスによくある現象で、オールドウォッチでも反映された形でしょうか。実際に、今年1016を購入したスタッフもおりました

 

そんなエクスプローラー 1016は1960年代~1980年代末まで製造された、5513同様に超ロングセラーモデルです。

やはりアンティークロレックスと言えばメジャーどころで、当店でもオールドウォッチに限定すれば、売上ランキングはいつもTOP10に入るほどです。

日付表示すら持たない、3針のみのシンプルな機構ゆえ、扱いやすいというのもオールドウォッチとしての大切な魅力ですね。機構が複雑になればなるほど、どうしても取扱いに注意を要します(もちろん機械式時計全般、正しい取扱いは必須ですが)。アンティークは一度故障してしまうとメンテナンス先を吟味しなくてはならないケースも多く(メーカーでメンテナンスを受け付けない場合もあるため)、そのためご不安な方は、こういったシンプルモデルを選択肢に入れると良いでしょう。

さらにエクスプローラーは探検家向けに製造されているがゆえ、サブマリーナ同様に堅牢な造りで経年劣化に強いことも、嬉しいですよね。

エクスプローラーI 1016

なお、エクスプローラー 1016もまた、ロングセラーの宿命かいくつかの仕様変更が行われています。
しかしながら大まかな分類としてはシンプルで、使用するムーブメントによって「前期型」「後期型」とすることができます。前者はハック機能無しのCal.1560またはCal.1570を搭載した個体で、後者はハック機能有のCal.1570を搭載しています。

※ハック機能・・・リューズを引くと秒針が止まる機能のこと。秒針が動いたままの個体よりも、正確な時刻合わせがしやすい

 

基本的には高年式の個体の方が人気が高く相場も上がっている傾向にあります。とりわけ1980年代後半の製造にあたるR番やL番はそうでない個体に比べて100万円以上の差をつけることも!

ただし初期個体に見られるミラーダイアル(1967年頃までの製造個体に見られる、鏡面のようなツヤを持つ文字盤仕様のこと)やブラウンチェンジした通称トロピカルダイアルなどは、高年式個体をさらに上回る相場となることもあります。

アンティークロレックス エクスプローラーI 1016 トロピカルブラウン

 

前述の通り、エクスプローラーIのモデルチェンジによって、ますます人気と買いが集中しているオールドウォッチの代表格です。良質な個体は市場からどんどん減少していますので、出会った時が買い時と言って過言ではないでしょう。

 

ロレックス エクスプローラー 1016

ロレックス エクスプローラーI 1016

ケースサイズ:直径36mm
素材:ステンレススティール
ムーブメント:Cal.1560/1570
相場:160万円前後~(仕様や状態による)

 

■プロからのコメント

「124270がきっかけで高騰が始まりましたが、年代によって文字盤の微妙な違いがあって、自分好みの1本を選ぶのが楽しいモデルです。ロゴはもちろんですが、369の形や太さが実に様々で5513や1675と比べて1本1本の個性が出やすいので、ビビッと来る1016を見つけたら、皆さんも迷わず買いましょう!私は買いました!(笑)」

 

「124270の発表で再注目。今年は一年、エクスプローラーの年だった」

 

「以前は低年式の個体などは手に入りやすかったが、目を見張るほどの高騰を見せている。しかしながら製造期間の長さゆえかまだ安定的に流通しているしメンテナンスも受けやすいので、まずお勧めしたいオールドウォッチだと思う」

 

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2021年傑作腕時計ランキング~エントリーモデル部門~

最後にご紹介するのは、2021年傑作腕時計ランキングの中でも、30万円台以下で購入できる傑作選!

高価格帯よりもブランド数が多く、競争が熾烈を極めるエントリーモデル部門の中で、2021年に傑出した5本とは?

 

第5位 ロンジン マスターコレクション L2.673.4.78.3

ロンジン マスターコレクション

前述の通り、高級スポーツウォッチやコンプリケーションよりも、このエントリーモデル部門で優劣を付ける方が結構大変です。なぜなら、高価格帯に比べて、30万円以下が平均定価のエントリーブランドの方が圧倒的に数が多いため。さらにこのプライスレンジだと「少量生産」というより十分な製造本数を採り、必然的にシリーズ数・モデル数も多くなってきます。選択肢が豊富なため、一つのブランド・モデルに絞りづらいのです。

「選びづらさ」は、このプライスレンジは競争が激しいという理由も大きいですね。

 

しかしながらそんな中でも、ずっと定番として愛され続けるブランドもあります。むしろ、永世定番として、今後10年・20年・あるいは100年・・・時計好きを楽しませてくれる。そんなブランドの代表格がロンジンです。2019年および2020年版の傑作エントリーモデルでも、ランクインを果たしました。

ロンジンもまた他社同様にいくつかのシリーズを持ちますが、フラグシップはマスターコレクションです。

 

文字盤を見てすぐお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、「クロノグラフ」「ムーンフェイズ」「ポインターデイト」を有した、紛れもないコンプリケーションです。コンプリケーションであるにもかかわらず、30万円以下!定価は約42万円ですが、実売価格は新品で24-26万円程度です。かなりお値打ちですよね。

 

このロンジンというブランドは、ロレックスやオメガほどの知名度は持っていないでしょう。「知る人ぞ知る」といった立ち位置かもしれません。

しかしながらほとんどのシリーズでラウンドフォルムを採用している真の正統派。下手に奇をてらわない、いつの時代も通用する魅力を備えています。

それは、ロンジンが1832年創業とスイス時計界の中でもとりわけ老舗なことに由来するでしょう。 歴史や伝統にまつわるエピソードには事欠きません。

ロンジン マスターコレクション

現在はオメガやブレゲ、ブランパンなどを傘下に加えるスウォッチグループに属しており、巨大コングロマリットの資本力を背景に、高品質&リーズナブル路線を突き進んでいる、時計界にとっては稀有な存在となります。なんせ、「伝統」「正統」が申し分ないのに、リーズナブルなのですから。コストパフォーマンス最強と言っていいでしょう。

ロンジン マスターコレクション エントリーモデル

↑ブレスレット版のL2.673.4.78.6

そんなロンジンの中でもマスターコレクションは、機能美を全面に打ち出したシリーズとなります。

12時位置に月と曜日、ダイアル外周にポインターデイトを備えたトリプルカレンダーで、6時位置にはムーンフェイズを備えます。縦目のクロノグラフで、12時位置が30分計、6時位置が12時間計に。そして9時のインダイアルはスモールセコンドと24時間表示針と、機能満載!ちなみに当店のロンジンの中で、長年ナンバーワンの売上を誇ってきました。

ラウンドフォルムのためどこか雲上ブランドの雰囲気すら感じさせ、これが30万円以下で購入できるとは驚きです。

 

ロンジン マスターコレクション L2.673.4.78.3

ロンジン マスターコレクション

ケースサイズ:直径40mm×厚さ約15mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.L687/パワーリザーブ約54時間
防水性:3気圧
定価:419,100円(税込)

 

■プロからのコメント

ハイスペックなのに安い。コスパ最高

 

「さりげないムーンフェイズ、上品な青針、エレガントなケースフォルム・・・ビジネススーツにも合わせやすいし、20代・30代で初めて高級時計をご購入される方は、迷ったらロンジンを選んで損はないだろう。ロンジンきっての良作」

 

「30万以内だとブランドが限られてくるが、例年このモデルを選んでいる。それだけ定番であり、今後も長く人気が続いていくであろうモデル」

 

「ロンジンは俳優の藤木直人さんとか香川照之さんとか。一流芸能人の愛用者も多いですよ!」

 

「各社が2020年に入りこぞって定価を上げる中、ロンジンは据え置きなのが嬉しい!と、昨年コメントしていたら2021年もまだ据え置きとは・・・!」

 

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第4位 タグホイヤー アクアレーサー GMT WAY201T.BA0927

タグホイヤー アクアレーサー GMT

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

第4位としてご紹介するのは、タグホイヤー アクアレーサーのGMTモデルです!

GMTが搭載された機械式時計で30万円を切る価格帯…これだけで驚きに値すると回答したプロは少なくありませんでした。

さらにこちらは2020年にリリースされたばかりの新作であるにもかかわらず、値段が上がりすぎていないことも特筆すべき点です。

 

タグホイヤーは1860年にスイスで創業された時計ブランドです。2020年で160周年を迎えた屈指の老舗ですが、良質な生産ラインを確立することできわめて高性能な製品を良心的な価格帯で提供していることに定評があります。

その一例として挙げられるのが、「100万円台で購入できるトゥールビヨン」です。トゥールビヨンとは世界三大複雑時計に数え上げられる機構で、その製造過程たるや「至難」の一言。パーツ数もどうしても多くなってしまうため、トゥールビヨン搭載モデルは一本1000万円を超えることもあるほどです。

しかしながらタグホイヤーは2016年に「100万円台」のトゥールビヨンモデルをローンチ。いかに同社が「手の届くラグジュアリー」に力を入れているかを垣間見ることのできる出来事ですね。

さらに、レーシングスピリットにインスパイアされた、とにかくかっこいいデザインもタグホイヤーの特徴の一つとなります。

このように「コスパよし」「デザインよし」「もちろん性能もよし」の魅力から、初めて高級時計を購入される方がまず候補に挙げるブランドではないでしょうか。

タグホイヤー アクアレーサー キャリバー7 GMT WAY201T.BA0927

アクアレーサーは、そんなタグホイヤーが手掛けるダイバーズウォッチです。実際のプロダイバー監修のもと、2000年代に誕生しました。

アクアレーサーは人気商品だけあり、例年多彩なバリエーションがリリースされています。我々消費者を飽きさせない一大コレクションと言えるでしょう。

そして、2020年の新しいバリエーションが、こちらのGMT搭載モデルです!

 

青黒のバイカラーに同系色の文字盤・GMT針が、とにかく爽やかさを感じさせるこちら!傷つきづらく、金属とはまた違った質感を持つセラミックベゼルが実用性のみならず高いデザイン性を感じさせますね。2017年に赤青ベゼルで同機構のモデルが誕生していますが、よりファッショナブルになったと言えるでしょう。

さらに特徴的な横縞ギョーシェの文字盤もブルーに彩られ、さらにサンレイ仕上げが施されることで光の当たり加減で表情を美しく変える、という面白みも。

 

なお、搭載するムーブメントはフォーミュラ1などでも使用されている、キャリバー7。コストを抑えた汎用ムーブメントを用いることで、30万円以下の機械式GMTを実現することとなりました。

普通、GMT搭載モデルと言えば50万円はくだらないもの…タグホイヤーの優れたコスパを感じられる逸品ですね。

しかもダイバーズウォッチらしく300m防水を堅持しているため、水仕事の多い方でも安心してお使い頂けます。新品並行相場は20万円台後半~

前述の通り新作とは言え比較的よく流通しているので、気になる方はぜひチェックしておきましょう!

 

タグホイヤー アクアレーサー GMT WAY201T.BA0927

タグホイヤー アクアレーサー GMT WAY201T.BA0927

ケースサイズ:直径43mm×厚さ約13mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:キャリバー7
防水性:300m
定価:363,000円(税込)

 

◆プロからのコメント

「GMT、機械式、300m防水、しかもかっこいい…それでこの価格と言うのに、驚きを禁じ得ない。
もう10年以上の長きに渡って時計業界に身を置いているが、タグホイヤーほどコスパに優れたブランドを私は知らない

 

「今年はコロナ禍もあり、新作発表をしないブランドもあった。そんな中で意欲的にローンチを行っていたタグホイヤー。160周年という節目だったから、という事情もあるだろう。しかしながらアグレッシブなタグホイヤーには、今後の時計業界の明るい未来を感じさせてもらえる」

 

「タグホイヤーの2020年発表モデルは、カレラの復刻モデルに注目が集まりがちでした。しかしながら店頭で非常にお問合せが多かったのがこちらのアクアレーサー。確かに青黒ベゼルはロレックスのような高級感とスタイリッシュさを感じさせ、とてもエントリークラスとは思えない風格を持つ」

 

「GMT機能が付いていて30万をきる価格は魅力。アクアレーサーは2021年にモデルチェンジを果たして薄型スタイリッシュになった。しかしながらこちらのケース厚がしっかりとした、存在感ある一本も珠玉と言わざるをえない」

 

「タグホイヤーは新作であっても比較的よく流通し、値段が上がりすぎないのが嬉しいところ」

 

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第3位 グランドセイコー 9Fクォーツ SBGN005

グランドセイコー SBGN005

出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/

クォーツを超えたクォーツ」これが、グランドセイコーの9Fムーブメントを最も象徴する言葉です。

 

本稿ではどうしても機械式時計が主流になってしまいます。なぜなら機械式という機構は時計の伝統であり、高級時計の多くに採用されているためです。

しかしながら近年では「高級クォーツ」と呼ばれる市場が急速に拡大しています。そして、その先鋒を担うのが、グランドセイコーなのです。

そもそもクォーツとは、機械式のようなゼンマイではなく、電池を駆動力とする機構です。また、水晶振動子(クォーツ)を内蔵しており、これが電圧印加されることでブルブルと震え、この振動を電子回路でパルス変換し、時分針あるいは秒針を動かします。電子デバイスを持つため機構がシンプルで、衝撃にも強く価格が安いことがクォーツの何よりの特徴です。このクォーツを世界で初めて市販化に成功させたのが、セイコーでした。

セイコー 9f クオーツ

出典:https://www.grand-seiko.jp/about/movement/quartz/

この市販化から2021年で52年を迎えます。

この長い歴史の中で様々な形態のクォーツがリリースされるのですが、その一つが前述した高級クォーツというわけです。高級クォーツの登場によって、クォーツは安物」「クォーツは使い捨て」といった概念が拭いさられることとなりました。

グランドセイコーの高級クォーツは、まず精度が通常のものと桁違いです。もともとクォーツ自体がその構造上、正確性を保ちやすくなっています。一般的なもので「月」に±15秒ほどの誤差でしょう。しかしながらグランドセイコーの9Fムーブメントは、その誤差なんと「年」に±10秒ほど!また、独自機構によってトルクの力を最大限引き出し、クォーツでは難しいと言われてきたしっかりと太く長い時分針を可能としました。

そんなグランドセイコー クォーツモデルの中でも、そのトルクの強さを活かしてGMT針を搭載させたのがこちらのSBGN005です。。

 

スポーツコレクションから2019年に打ち出された一本で、ブルーと力強いレッドのGMT針が非常に印象的な一本ですね。

「2021年傑作腕時計ランキング~スポーツウォッチ部門~」の項で「ラグスポ」に代表される数々のスタイリッシュなスポーツウォッチをご紹介しましたが、昔ながらのシンプルさを活かしつつも、どんなスーツにもマッチするエレガンスを持ち合わせるグランドセイコーならではのこのデザインコードを好む方も少なくないでしょう。

 

でも、気になるのがお値段ではありませんか?確かに定価は363,000円と、グランドセイコーのクォーツモデルの中では比較的高価格帯です。しかしながら出回りも増えてきたため、近年新品並行相場なら30万円前後~と、かなりお手頃。

かつてはグランドセイコーと言うと、時計にこなれた40代,50代のビジネスマンが買われていくイメージがありましたが、最近ではお若い方の購入も見受けられます。

価格面でも、クォーツという扱いやすさでも、まさに2021年傑作腕時計・エントリーモデル部門第3位を飾る逸品であると明言させて頂きます。

 

グランドセイコー スポーツコレクション SBGN005

グランドセイコー 9Fクオーツ GMT SBGN005

ケースサイズ:直径39mm×厚さ約12.1mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:Cal.9F86
防水性:10気圧
定価:363,000円(税込)

 

◆プロからのコメント

「スポーツコレクションのため力強さを感じる一方で、セイコースタイルも活かされている。まさに原点にして頂点。これを買っておけば間違いない。贈り物にも最適。」

 

「グランドセイコーはかつて大人しい印象が強かったが、近年のスポーツコレクションは素晴らしい!」

 

「グランドセイコーの中で、個人的には一番好き!オンオフ使えるので、とりあえず持っておいて損はないのでは?」

 

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第2位 タグホイヤー カレラ キャリバー5

タグホイヤー カレラ キャリバー5

 例年、当調査で時計業界のプロたちが、口を揃えて「この価格でこのクォリティは驚き」と評するのがカレラのキャリバー5搭載モデルです。ちなみに販売価格を30万円以下で絞った時、2021年の売上ナンバーワン・ツーをカレラ キャリバー5が名を連ねています。

 

カレラはタグホイヤーのフラグシップ。 デイトナやオメガのスピードマスターなどと時を同じくする1960年代、やはりモーターレース「カレラ パンアメリカーナ・メキシコ」とF1チャンピオン「ファン・アニュエル・ファンジオ」へのオマージュとして誕生しました。

様々な派生モデルが存在しますが、基本的には「ムーブメント(キャリバー)」で区切られています。自社製キャリバーホイヤー01または02を搭載したハイエンドラインや日本限定モデルなども存在しますが、30万円以下で手に入れられて、最も普遍的な良さがあるカレラと言えばキャリバー5搭載モデルを置いて他はないでしょう

 

こちらのカレラが、エントリーモデル部門第2位であり、当店のタグホイヤーの中では常に売上ナンバーワンに輝いている一本です。シンプルながらケースにエッジが効いて、非常にスタイリッシュに仕上がりました。

スタイリッシュなケースにデイトまたはデイデイト表示と3針のみのシンプルな文字盤は、レーシングモデルでありながらエレガントさをもたたえます。

タグホイヤー カレラ キャリバー5

ちなみに一番人気は黒文字盤ですが、他バリエーションも同様によく売れます。

文字盤に新色や装飾などが加えられることはありますが、誕生以来デザインを大きくは変えず、愛され続けてきた正真正銘のロングセラーです。

2021年には新型モデルが登場したため、今後の出回り次第では人気ランキングがまた変わってくるかもしれません。今後の動向に要注目ですね!

 

カレラ キャリバー5 WAR211A.BA0782

カレラ キャリバー5

ケースサイズ:直径39mm×厚さ約12mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.5/パワーリザーブ約38時間
防水性:100m
定価:297,000円

 

■プロからのコメント

時計初級者の方に『どの時計がお勧めですか?』と聞かれたら、まずお勧めするのはこの時計

 

今年だけでなくここ数年ずっとタグホイヤーの年間売上本数1位生産本数は比較的多いが、需要が多すぎるためなかなか在庫を確保できない

 

「ブランド自体のスタイリッシュさも良い。低価格帯の製品はネームバリューやステータスが置き去りにされがちだが、タグホイヤーであればその辺もカバーしてくれるであろう」

 

「メンテナンスで並行差別があるとは言え、不具合が少なく性能もよい。普段使いに惜しみなく楽しめる逸品」

 

コメントからも、エントリーモデルとして優秀すぎることがわかるカレラ。 確かに、ここまでのコストパフォーマンスを誇る高級時計ブランドというのは、なかなかないかもしれません。

 

タグホイヤーのご購入はこちら

 

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第1位 ノモス タンジェント TN1A1W2

ノモス タンジェント TN1A1W2

2021年傑作腕時計ランキング~エントリーモデル部門~、第一位に輝いたのは、ノモス タンジェントです!ちなみに2020年版でも第一位でした。さらに2021年には、2位のカレラに大きく差をつけたことでも驚かされたものです。

 

ノモスというブランドをご存知でしょうか。 ロレックスやオメガを代表とするスイスメイドではなく、ドイツ生まれのブランドです。

特徴は一切の無駄を削ぎ落としたシンプルさ。端正で上品、そのためビジネススーツやここぞ!と言う時のフォーマルスタイルで真価を発揮してくれるとあって、年々日本国内での知名度を上げていっているブランドです。

ノモスはリーズナブルさも大きな魅力です。 かと言ってただ安いだけではもちろんありません。 ドイツブランドらしく技術力を堅持しつつ、「シンプル・機能・リーズナブル」を一貫して守り抜いてきました。

そんなノモスを2021年最強エントリーモデルとしてプロたちが推した一本はタンジェントです。

 

タンジェントはノモスのフラグシップです。基本的にタンジェントと呼ばれるシリーズがベースにあり、そこから派生モデルが多数存在する、というのがノモスのシリーズの特徴です(最近では新ラインも続々登場していますが)。

見ておわかりいただけるように、小径薄型という、ドレスウォッチのお手本のような意匠が何よりの特徴。

シンプルな使い勝手の良さが当店でも抜群に人気で、20代・30代のお若い方だけでなくシンプルウォッチをお探しの幅広い年代層からも選択される一本です。

ぱっと見はどこまでもシンプルなのですが、文字盤デザインやフラットなガラス・ケース、そして上品な薄さはなかなか他ブランドにはない独創性が溢れています。

ちなみに厚さはわずか6.2mm。
かっこいいデカ厚時計も魅力ですが、やはり上品な高級時計と言えば薄型でしょう。

ノモス タンジェント

さらにノモスは「タンジェント スポーツ」など一部を除く、全てのモデルでシースルーバックを採用していることも特筆すべきポイントです。低価格帯にもかかわらず、ムーブメントにも自負があることがおわかりいただけるでしょう。

 

新品並行相場は16万円台~と、本当にお求めやすい価格となっております。

ノモス タンジェント TN1A1W238(164)

タンジェント TN1A1W238(164)

ちなみに35mmサイズのタンジェントが当店一番人気ですが、「ちょっと小さいかも?」という方から、こちらの38mmサイズもご指示いただいております。

相場は大きくは変わりませんので、好みでお選びください。

 

なお、ノモスは当店ではWEB限定で販売しております。にもかかわらず、今回の調査でノモスに票を入れたプロたちは、どちらかと言えば店頭販売スタッフが目立ちました。

また、本稿を執筆するにあたって売上データを集計していた時にふと気づきました。「30万円以下」の新品時計のうち、なんとナンバー3,5,7と、TOP10の三つをノモスが占めていたのです。

※ちなみに個体としては、上から順にタンジェント TN1A1W2(139),タンジェント TN1A1W238(164),オリオン OR1A3GW2(309)でした

これは、かなり驚くべきことです。
第二位・四位でご紹介しているタグホイヤーと比べると圧倒的に入荷は少ないにもかかわらずここまで売れているということは、ノモスの人気が確かなものであることの証明に他なりません。

 

タンジェント TN1A1W2(139)

タンジェント TN1A1W2(139)

ケースサイズ:直径35mm×厚さ約6.6mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.アルファ(α)/パワーリザーブ約42時間
防水性:3気圧
定価:264,000円

 

■プロからのコメント

「隠れた名作。エントリーモデルというとオメガやタグホイヤーが挙がるかもしれないが、これらの人気ブランドを抑えていつも売上上位にランクインしている。ノモスは自社工場一貫生産率が80%を超えるブランド。そんなハイレベルな時計を20万円以下で販売できるのは、素直にすごいと思う」

 

「日本ではまだマイナーなブランドだが、業界関係者からの評価は高い。今後人気が上がりそうなブランド

 

「もっと派手にプロモーションしても良いのでは?ブランディングが上手く行けば人気ブランドの仲間入りをすると思う」

 

「(タンジェントに限らず)ノモスを着けている男性がいたら、お!ってなる。個人的に、スイスメイドではなくドイツブランドっていうのがいい。通な感じがする」

 

「「良い時計を買った」という満足感が得られると思う。」

 

ノモスのご購入はこちら

 

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まとめ

時計業界のプロ50人が選んだ、2021年の傑作腕時計ランキングを発表いたしました。定番のロレックスから雲上ブランドのパテックフィリップ、ファッション重視派からも人気が高いブルガリやカルティエなど、様々なブランドが挙がりましたが、今回ランクインしたものは2022年もまだまだ勢いを持ちそうなものばかりです。

新たに2022年を迎える前に、思い切って一本腕時計を購入しようと思ったとき。プロお墨付きの一本はいかがでしょうか。

 

文:鶴岡

 

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この記事を監修してくれた時計博士

新美 貴之(にいみ たかゆき)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN リテール(本店、ナイン店)、メンテナンス マネージャー

1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年

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