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2022年、ロレックスから異色の新作モデルが発表されました。

一見すると人気コレクション・GMTマスターIIの新カラーと思いきや、左リューズにデイト窓も左位置と、既存モデルとは大きく異なる仕様を採用していた当新作に、驚かされた方も多いのではないでしょうか。

こういったレフティモデルがこれまでロレックスに全くなかったわけではありませんが、非常に珍しいということは間違いありません。

 

いったいこの新作GMTマスターII 126720VTNRとは、どのようなモデルに仕上がっているのでしょうか。

この記事では、2022年の時計業界新作見本市Watches & Wonders Geneveでロレックスが公開した、新たなるGMTマスターIIを徹底解説いたします!

ロレックス GMTマスターII 126720VTNR

出典:https://www.rolex.com/ja

 

ロレックス2022年新作 GMTマスターII 126720VTNR スペック

スペック

外装

ケースサイズ: 直径40mm
素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.3285
パワーリザーブ: 約70時間

機能

防水: 100m
定価: 1,224,300円(オイスターブレス)/1,247,400円(ジュビリーブレス)

 

ロレックス2022年新作 GMTマスターII 126720VTNR 特徴

1955年、パン・アメリカン航空(パンナム航空)からの要請によって、ロレックスから生み出されたGMTマスター。

これは回転ベゼルとGMT針を用いて、ホームタイムとローカルタイムを一つの時計で表示させるGMT機能搭載ウォッチとなります。1983年には時針を単独稼働させることで第三時間帯までの表示が可能となったGMTマスターIIをリリース(GMTマスターはRef.16700を最後に、1999年に生産終了)。

以降、ロレックスのパイロットウォッチというアイデンティティによって、高い人気を博してきました。

出典:https://www.rolex.com/ja

そんなGMTマスターおよびGMTマスターIIは、高い機能性のみならず、豊かなカラーバリエーション展開が大きな特徴であり魅力です。

24時間表示の回転ベゼルは昼夜表示のためにツートーンカラーとなっていることが多く(ワンカラーのシックさも素晴らしいですが)、他のスポーツモデルとは違った個性を楽しめる意匠となっております。

とりわけ2005年以降、オールイエローゴールドのRef.116718LNを皮切りに、ベゼルを従来のアルミからセラミック製へとシフト。発色がよく、特殊なプラチナまたはゴールドコーティングが施された高級感あるセラクロムベゼルは、GMTマスターII人気をいっそう押し上げることとなりました。

※もちろん、アルミ製ベゼルのヴィンテージらしい風合いもファンには堪らないデザインであることは付け加えておきます。

 

2018年には最新世代のGMTマスターII 126710系がリリースされますが、GMTマスター時代のアイコニックなカラーリングであった赤青ベゼルがリバイバル。またルートビアと親しまれたカラーリングを彷彿とさせる126711CHNR等もリリースされるなど、そのラインナップは華麗を極めていきました。

そして2022年、ロレックスは事前のティザームービーで”BE PREPEARED TO MOVE SKYWARDS”と予告していたこともあって、空との関係性深いGMTマスターIIからの新作発表が行われています。

しかしながら、通常モデルと少し様相が異なりました。

と言うのも、グリーン×ブラックのツートーンカラーがハイソな新バージョンのRef.126720VTNRが発表され、かつ見慣れないレフティ仕様であったことは前述の通りです。

このかっこよくも異色の新型GMTマスターIIについて、本稿で解き明かしていきたいと思います。

※メーカーからレフティ・左利き用とアナウンスされているわけではありません。

 

①レフティ仕様!?左リューズ・デイトの珍しいロレックス

GMTマスターII 126720VTNR

出典:https://www.rolex.com/ja

冒頭でもご紹介したように、ロレックスが過去製造したモデルの中で、レフティ仕様が一つもなかったわけではありません。

GMTマスターでも、1959年というGMTマスター初期に製造されたRef.6542の左リューズモデルが存在し、2018年のフィリップスオークションで出品されたようで、当時の日本円にして3000万円近い落札価格を記録しました。

もっとも、この稀少モデルもデイト窓は3時位置です。

レフティモデルというのはそう多くありませんが、いくつかのブランドでリリースされています。例えばロレックスの姉妹ブランド・チューダーもペラゴスで採用していますし、タグホイヤー モナコのレフティモデルは大変有名ですね。しかしながら9時位置にまでデイト窓を持ってきた個体というのは、なかなかありません。

ロレックスではムーブメントを反転させ、リューズ・サイクロップレンズともに9時側へと移動。確かに左側に時計を着用した際、日付がすぐに目に入るよう手前に配置していると考えれば、この変更は理にかなっているようにも思います。

GMTマスターII 126720VTNR

出典:https://www.rolex.com/ja

なお、後述しますがムーブメントはCal.3285が搭載されており、既存のGMTマスターIIと同一です。

スペックも同一で、パワーリザーブは約70時間。高精度クロノメーター認定。すなわちムーブメントを反転しているにもかかわらず、時計として相も変わらず超優秀な性能を獲得していることを意味しています。ロレックス曰く「リューズをウォッチケースの左側に、日付表示の小窓を9時位置に動かすには、さまざまな調整が必要であった」と。

ちなみに高精度クロノメーター認定とは、ロレックスが2015年よりスタートさせた精度規格です。
通常、時計に関する精度規格と言うとスイス公認クロノメーター検査協会、通称COSC:The Controle Official Suisse des Chronometresの検査が最も有名でしょう。「COSC認定」とか言われた場合、その時計は同協会によって精度面でお墨付きということを意味しています。

ロレックスではこのCOSC認定されたムーブメントをケーシングして実際の着用状況を想定し、さらに精密な検査によって、「高精度クロノメーター認定」を行っています。認定されたモデルには、グリーンのタグが付属し、メーカー5年保証の対象となります。ちなみにクロノメーター時代はレッドタグが付属していました。

文字盤の6時位置のSUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIEDの文言は高精度クロノメーター認定機、と言う意味です。

グリーンタグ

出典:https://www.rolex.com/ja/watches/rolex-watchmaking/movements.html

この高精度クロノメーターは7つの静止姿勢と回転装置によって実測を行い、ロレックスの検査環境下で平均日差±2秒以内という名前通りの高精度を証明していることがミソ。つまり左腕で当GMTマスターII 126720VTNRを着用したとしても、右腕仕様と同等の正確性をユーザーに提供することを意味しています。

COSCだと検査は5姿勢、日差はマイナス4秒~プラス6秒以内となっております。

時計の姿勢差(向き)は精度に大きな影響を及ぼすものです。この事実を鑑みれば、ムーブメントを反転させ、左腕での着用を想定したと思われる新作GMTマスターII 126720VTNRは、ロレックスの実用性へのこだわりを証明もしている新作と言えるのではないでしょうか。

 

②新しいデザイン

ロレックス GMTマスターII 126720VTNR

出典:https://www.rolex.com/ja

左リューズ×左デイトは機能として刮目すべきものがあるのは前述の通りですが、やはりデザイン面でも頭一つ抜きんでているのが我らがロレックス。
ベゼルに新しいカラーリングを追加し、スタイリッシュなGMTマスターIIとして仕上げてきました。

この独創的なツートンカラーも、GMTマスターIIの醍醐味ですね。

特殊プラチナコーティングが施されたセラクロムベゼルの発色が、濃いグリーンとブラックのコントラストをより美しく見せているように思います。グリーンはロレックスのコーポレートカラーであり、サブマリーナ 126610LVのセラクロムベゼルでもお馴染みの色合いですが、ツートンとなったことでまた違った顔立ちです。

ロレックス GMTマスターII 126720VTNR

出典:https://www.rolex.com/ja

また個人的には24時間針が濃いグリーンに彩られたのも嬉しいところです。

セラクロムベゼルがGMTマスターIIで採用され始めた2007年、Ref.116710LNがステンレススティール製モデルとしてまず登場しましたが、ブラックベゼルにブラック文字盤の精悍な一本でした。

当時はセラクロムベゼルでツートンカラーを採用することが技術的に難しいと言われており、ツートンベゼルは一時カタログから消え、SS製は116710LNの一つとなります。その後2013年に青黒ツートンベゼル搭載の116710BLNR―通称バットマン―がリリースされてGMTマスターII人気は一気に盛り上がっていくのですが、シンプルなブラックベースに24時間針・モデルのロゴのみグリーンをあしらった116710LNが好み、といった方は少なくありませんでした。

かく言う私もその一人。ブラックは時計業界の中で大変ベーシックな色合いですが、そこにコーポレートカラーのグリーンを添えてくるというロレックスのデザイン力を存分に感じられる意匠であったためです。

ロレックス GMTマスターII 116710LN

※2007年~2019年まで製造されたGMTマスターII 116710LN

しかしながら2018年、次いで2019年に新型GMTマスターIIがリリースされると、オールブラックモデルは生産終了となり、ラインナップはツートンベゼルのみとなりました。そのため、グリーンの24時間針は、新たに126720VTNRで息づいている捉えることもできるのではないでしょうか。

ちなみにロレックスはファンの間で「ニックネーム」が付けられることがおうおうにしてあります。

例えば2018年に復刻した赤青ベゼル 126710BLROはペプシ、126711CHNRはルートビア(日本だとカフェオレとも)などと親しまれます。

グリーン×ブラックのレフティGMTマスターII 126720VTNRは既にスプライトといった呼び方が出回っているようで、今後定着していくかもしれませんね!

 

なお、126720VTNRのバリエーションはジュビリーブレスレット・オイスターブレスレットの二種となります。

一度116710系が生産終了となってからステンレススティールモデルのGMTマスターIIはジュビリーブレスレットのみのラインナップになっていましたが、2021年にオイスターブレスレットが復活。

現在のGMTマスターIIのSSモデルはどちらのブレスレットもカタログ掲載されておりますが、126720VTNRでも踏襲されることとなりました。

ブレスレットにはセーフティキャッチ付オイスターロック(微調整可能なイージーリンク付)も搭載しており、実用性は十二分です。

 

③ムーブメントCal.3285

ロレックス GMTマスターII 126720VTNR

出典:https://www.rolex.com/ja

近年のロレックスは新型移行の際に、ムーブメントをCal.32系へと載せ替えることがほとんどでした。

しかしながら2022年の新作GMTマスターII 126720VTNRはムーブメント自体は2018年以降、同コレクションに搭載されてきたCal.3285となっております。

とは言え反転させたうえで高精度・高性能を維持しているのは前述の通り、さすがロレックスと感嘆せざるをえません。

 

このCal.3285について補足を加えると、現行エクスプローラーIIにも搭載される自動巻きムーブメントです。日付表示と、時針の単独稼働によって第二時間帯、第三時間帯表示が可能となっております。

ロレックスでは1980年代後半に開発したCal.31系を長らく基幹ムーブメントとしてきました。高精度かつ信頼性の高いCal.31系は紛れもない名機ですが、2015年に最新世代としてCal.32系をリリース。

Cal.31系から32系への載せ替えが順次行われていっており、2022年はエアキングもこの対象となりました。

Cal.32系の「すごい!」は下記の通りです。

◆ロングパワーリザーブ約70時間を実現
◆従来品より約15%高効率となったクロナジーエスケープメント(脱進機)
◆ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイおよびニッケル・リン合金で作られた脱進機による高耐磁性の獲得
◆独自耐震装置パラフレックス・ショック・アブソーバーによる耐衝撃性
◆切り替え車の一新による、巻き上げ効率の向上

 

繰り返しになりますが、Cal.31系も非常に傑出したムーブメントです。ロレックスの中古市場が圧倒的に大きいのは、このムーブメントが担保している部分が少なくありません。すなわち、堅牢かつ高性能。安定した高精度を長年ユーザーに届けてくれる名役者です。

しかしながらロレックスは、さらにムーブメントを一新。とりわけ約1日分もパワーリザーブが延長したことや、耐磁性・耐久性を有したことは特筆すべき点でしょう。またカレンダーモデルについては、操作禁止時間帯も取り払われました。

ロレックスはしばしばその知名度や、近年では定価を大きく上回る実勢相場が取り沙汰されます。しかしながらロレックスの魅力の真髄はムーブメントにあり!内外ともに知れば知るほど、好きになるブランドの一つであり、例年新作発表が大きな話題になるのも頷けます。

 

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2022年新作 GMTマスターII 126720VTNRの定価と今後の入荷時期

新しいGMTマスターII 126720VTNRの定価は、オイスターブレスレットモデルが1,224,300円、ジュビリーブレスレットモデルが1,247,400円です。

現行ステンレススティール製GMTマスターII 126710系はオイスターブレスレットモデルが1,166,000円、ジュビリーブレスレットモデルが1,189,100円ですので、レフティの方が若干高い値付けが行われていることがわかります。

入荷時期はわかりませんが、例年ですと5月頃。最近だと新型コロナウイルスの影響もあるため例年通りにいくとは一概には言えませんが、2021年も5月を過ぎたあたりからちらほらと購入の声を聞いております。

 

もっとも、ただでさえ品薄続きのロレックス。ロレックスマラソン(希望のモデルを求めてブティックを何軒か回ること)を熱心に行わなくては、人気モデルは獲得できないなどと言われるほどです。

近年では時計業界以外にもロレックスの噂が波及し、ブティックに開店前から行列ができたり、店頭には一切の人気モデルが並ばなかったりなどといった状況が続いています。なぜなら世界的な需要に供給・流通が追い付いておらず、定価を大きく超える実勢相場で売買が行われているためです。

最近では少し落ち着いてきたとは言え、一時期は定価1,609,300円のSS製デイトナ 116500LNが600万円を大きく超える二次流通価格を記録していました(もっとも、今なお白文字盤などは新品600万円、黒文字盤も500万円前後~となっております)。

そのためロレックスの投機的な側面が高い注目を浴び、時計愛好家やロレックスファン以外でも所有欲をそそられる。あるいは購入マインドにリセールバリューが大きく影響するなど、かつてとはやや異なるロレックス市場が現在では世界的に確認されています。

ロレックスマラソン 六本木

GMTマスターIIも、価格高騰するロレックスの代表格です。

通称バットマンと呼ばれる126710BLNRは実勢価格が300万円前後~、126710BLROに至っては360~370万円台~という高値が長らく続いており、「そろそろ落ち着いてきた」と言われる今なお、相場の大きな下落傾向は見受けられません(むしろ2021年と比べると随分と価格高騰しました)。

普通、ここまで価格高騰してしまうと買い控えが起きるものですが、ロレックスに至ってはむしろ人気は過熱。高騰が高騰を呼ぶような狂騒を描いているのが現状です。

 

こういった中において、注目度の高いレフティGMTマスターII 126720VTNR、いったい初値がいくらになるのか・・・正直、予想がつきません。新作モデルはご祝儀価格になるものですが、しかしながら近年ではこの「ご祝儀価格」よりも高騰しているモデルは少なくなく、例年のデータなどからは予測をつけづらい状況です。

もっとも、早く実機を確認して、操作してみたい2022年新作モデルの一つです。国内入荷を待ちましょう!

 

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まとめ

2022年にロレックスが発表した、新作GMTマスターII 126720VTNRについてご紹介いたしました!

左リューズに左デイトというレフティ仕様でありながらスペックダウンはしておらず、またカラーリングの妙と言い、派手さはないもののさすがロレックスと唸る逸品が当新作です。

惜しむらくは、恐らく入手がなかなか困難そうなこと。

当店でも、実機をお届けできるよう、入荷を頑張ってまいります!

文:鶴岡

 

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この記事を監修してくれた時計博士

池田裕之(いけだ ひろゆき)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長

39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年

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