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自動巻き時計とは?歴史や仕組みを解説!

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機械式時計を購入しようと思った時、しばしば「自動巻き」「オートマティック」「AT」などといった文言に行き当たるかと思います。

これらは全て同じく、自動巻き式腕時計を指す用語です。

自動巻きがどういった機構なのかを理解することは、取り扱いについて正しい知識を得るとともに、深淵なる腕時計の世界を知ることにも繋がります。

 

そこでこの記事では、自動巻き腕時計について徹底解説いたします!

その歴史や仕組み・種類はもちろん、語れる自動巻き腕時計のモデルもご紹介いたしますので、ぜひ自動巻き腕時計の魅力に触れてみて下さいね。

ロレックス GMTマスターII

 

自動巻き腕時計とは?

自動巻き腕時計は、その名の通り「自動でゼンマイが巻き上がる腕時計」のことです。

 

腕時計は機械式時計とクォーツ式時計に大別することができます。

クォーツ式が電池を動力源とすることに対し、機械式時計はゼンマイを巻き上げ、それが「ほどける」エネルギーによって動く伝統的な機構です。

リューズを使ってこのゼンマイを手で巻き上げる「手巻き式」から機械式時計の歴史は始まりましたが、現在では腕が動くエネルギーを利用して巻き上げる「自動巻き式」が主流となっています。自動であることから、オートマティック(Automatic)と称されることもあります。ちなみに手巻き式はマニュアル(Manual)です。

本項では、この自動巻き腕時計の仕組みや魅力について解説致します。

 

①基本の仕組み

一般的に機械式時計のムーブメントは、エネルギー源となるゼンマイを香箱(こうばこ)車と呼ばれる歯車に格納しています。この香箱車には二番車・三番車・四番車がカナ(小型の歯車)によって噛み合っており、これらの組み合わせを輪列と呼んでいます。

機械式時計 仕組み

出典:https://www.seiko-watch.co.jp/

歯車はそれぞれで歯数が異なるため回転差が生じます。

そのためゼンマイがほどけるエネルギーで香箱車が回転すると、それに続く歯車が1時間で一回転(二番車)、1分間で一回転(四番車。三番車は仲介)の動きを見せます。そのため、それぞれに分針・秒針が取り付けられます。ちなみに時針は12時間で一回転となりますが、これは二番車と同軸に取り付けられた筒車が、別途取り付けられている歯車(日ノ裏車・筒カナ)によって減速されることで実現しています。なお、ゼンマイは通常ほどける際はあっという間ですが、これを制御するための機構が脱進機・調速機です。

 

さて、ゼンマイが格納された香箱車には角穴(かくあな)車が搭載されています。ここを回転させることでゼンマイ巻き上げが行われるのですが、かつてはリューズによる手巻き式が主流でした。

主ゼンマイ

 

主ゼンマイ

しかしながら自動巻きは、角穴車の回転をローター(回転錘)の運動で担うというシステムになります。

一般的な自動巻き腕時計のローターは半円形となっており、これが腕の動きに合わせて回転します。この回転運動によって、ゼンマイが巻き上げられていきます。

現行モデルの多くの自動巻き腕時計にはリューズによる手巻き機能も搭載されていますが、一定時間動力が供給されていれば、手動での巻き上げは基本的には必要ありません。

※ただし着用時間が少なかったり、腕の動きが十分でなかったり、しばらく着用していなかった場合はリューズを使って補助的にゼンマイ巻き上げを行うことが望ましいです。

 

ちなみに手巻き腕時計だと、ほとんどのモデルでゼンマイの「巻き止まり」があります。これ以上ゼンマイは巻き上げるこのできない位置で、ゼンマイはフルに巻かれている状態です。

この巻き止まりを無視して巻き上げを行うと、ゼンマイが切れてしまうことになりかねません。

そのため自動巻き腕時計はゼンマイの先端にスリッピング・アタッチメントが取り付けられています。

手巻き式 ムーブメント

手巻き式のゼンマイの先端と香箱

自動巻き式 ムーブメント

自動巻き式のゼンマイの先端と香箱

このスリッピング・アタッチメントは香箱車の内側に押し付けられるとスリップするため力を逃し、巻き止まりを持たせません。そのため安心して自動巻き腕時計を腕に着用し続けられるのです。

②自動巻き腕時計の魅力

自動巻き腕時計の魅力は、何と言っても手動操作がぐっと軽減されることにあるでしょう。

ゼンマイの巻き上げを定期的に行わなくても良いことはもちろん(とは言え、ゼンマイの巻き上げは機械式時計の楽しみの一つとも言え、これはこれで愛着の湧く魅力でもあるのですが)、定期的に身に着けていれば時刻合わせや日付修正の回数もぐっと少なくなりますね。

また、着用時にゼンマイ巻き上げが行われる自動巻き腕時計は時間が止まりづらいことに加えて、一日の中で着用を続けていれば安定したエネルギーを供給することができ、結果として精度も安定する傾向にあります。つまり時間にズレが生じづらいというわけです。

ゼニス クロノマスター スポーツ

さらに「腕時計を購入しよう」と思った時、自動巻きモデルの選択肢は豊富です。

非常にメジャーな機構であるため各ブランドから多彩なラインナップが打ち出されているため、様々なデザインや機能を持った製品群の中から、お気に入りの一本を見つけることが可能です。

ちなみにクォーツ式時計と比べて機械式時計はトルク(回転力)が強いため、針の造形の自由度が高いと言われています。高級クォーツだとその限りではありませんが、カジュアルな価格帯のクォーツモデルはどうしても針が細かったり、軽量なプラスティック製であったりすることが多いですよね。その点自動巻き腕時計は機械式ならではのトルクによって、力強い針や多機能を搭載させやすい傾向にあり、これは腕時計の高級感や風格にひと味買ってくれます。

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なお、自動巻き腕時計はローターを有する分、クォーツ式や手巻き式に比べるとケースが厚く重くなりがちと言われてきました。現代はボリューミーなサイズ感の腕時計がトレンドである一方で、薄型の方がフォーマルかつ装着感に優れることは事実です。そのため最近では工作技術の発展によって、高級時計ブランドを中心に薄型自動巻き時計の展開も意欲的に行われています。

自動巻き腕時計は価格帯の面でも、安価なモデルだと数万円程度、高級時計だと数十万円~100万円程度、雲上モデルだと数百万円程度とラインナップが幅広く、ご予算に合わせてのご購入が可能です。

 

このように、多岐に渡って魅力を持つ自動巻き腕時計。「良い腕時計を一本買おう!」と思った時、自動巻き腕時計をまず選択肢に入れてみませんか?

 

Column;見て楽しい、選んで楽しいローター

機械式時計 自動巻き 巻上方向

前述の通り、自動巻き腕時計はローターの回転運動によってゼンマイの巻き上げを行う機構です。

ローターはセンターに配されることが多く(センターローター式)、また慣性を高めるため、比重の大きい金属が使われることが一般的です。ローターの外周部分に厚みを持たせるケースもあります。このローターがあまりに軽量だと回転力が弱く、ゼンマイの巻き上げ効率は下がると言われています。

そのためローターがムーブメントのほとんどを覆い隠すような設計となり、シースルーバック(裏蓋がシースルー式になり、ムーブメントが鑑賞できる仕様のこと)が主流となる昨今、「味気ない」といった声も少なくありませんでした。

しかしながらブランドによってはこのローターに工夫を凝らすことで、目で見ても楽しい自動巻き腕時計を実現しています。

例えば高級時計ブランドではローターをゴールドやプラチナといった貴金属で製造し、さらに美しい装飾・仕上げを施します。

自動巻き 基礎知識 種類

ローターを肉抜きしたり、独自のメダリオンを施すような記念モデルもリリースされています。

 

さらに、ローターの形状自体を変えてしまう方式もあります。その代表は「マイクロローター」です。

パテックフィリップ パーペチュアルカレンダー 5040J-001

センターローターと異なり、マイクロローターはムーブメントの窪みにローターを埋め込むスタイルです。ちなみに1954年、スイスのBUREN(ビューレン)社によって開発・特許取得されました。

ムーブメントをローターが覆い隠さないため、機械の鑑賞に適していることに加えて、薄型化しやすいことが大きな特徴です。現在ではパテックフィリップやピアジェ,ロジェデュブイにブルガリなどといった名門の薄型時計に採用が見られます。

 

同様に、ペリフェラルローターも薄型かつ機械の美しさを存分に楽しめる方式です。

自動巻き  ペリフェラルローター式

出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/

これはムーブメントのフチ部分を、ローターが回転するという革新機構です。ちなみにパテックフィリップが1965年に高効率なペリフェラルローターの特許を出願したことが高名です。

とは言え長らくメジャーにはならず、カール F.ブヘラが2000年代に復活させたことで普及が促進していきました。

マイクロローター同様、ヴァシュロンコンスタンタンやブルガリ,ピアジェといった薄型時計に定評のある名門ブランドが現在では採用しています。

 

このように、オーナーが裏側から覗く世界観として楽しめるローターも、自動巻き腕時計の魅力をぐっと押し上げてくれる要素の一つですね!

自動巻き腕時計の歴史を知ると魅力がいっそう伝わる

手動操作を行わずにゼンマイを巻き上げるといった構想は、懐中時計の時代から生まれていました。

この機構が誕生したのは1770年代、アブラアム・ルイ・ペルレによる開発です。この数年後にあたる1780年、ペルレと同名にして今なおその名を轟かせている天才時計技師アブラアム・ルイ・ブレゲが「ペルペチュエル」として実用化を果たしました。

出典:https://www.breguet.com/jp

このペルペチュエルはムーブメントに分銅が取り付けられ、懐中時計を持ち運ぶ際に上下に振れることでゼンマイの巻き上げが行われました。ちなみにペルペチュエルは、パワーリザーブインジケーター(ゼンマイの残量を表示させる機構)とスモールセコンドを最初に備えた時計でもあります。

とは言え懐中時計はそう大きく動かすことも少なく、自動巻き機構は今ほど普及はしませんでした。

 

時代は下って20世紀、世の中は腕時計がじょじょに浸透していきます。腕時計は懐中時計と比べて腕の動きが利用できるとあって、いよいよ自動巻き技術が花開いていくこととなりました。

1920年に入るといくつかの自動巻きシステムが開発されましたが、現在の原型とも言える技術が確立されたのは1924年です。イギリス人のジョン・ハーウッドが、半回転式ローターを搭載することでゼンマイ巻き上げを行う機構を開発し、特許を取得するに至ったのです。ちなみにこのジョン・ハーウッドの自動巻き機構は、「手動での巻き上げいらず」をアピールするためにあえてリューズを持たなかったとか。ベゼルで時刻合わせをするという手法を採用しており、いかに力を入れられた開発であったかが垣間見えますね。

ジョン・ハーウッドの自動巻きをいっそう改良したのがロレックスです。

出典:https://www.rolex.org/ja

1931年、ロレックスは360度回転するローターを備えた自動巻きムーブメントを開発したのです。ジョン・ハーウッドの半回転式ローターは90度しか回転しませんでしたが、ロレックスでは全回転させることで、巻き上げ効率の向上を実現しました。ちなみにロレックスではこの機構を「パーペチュアル」と呼び、今なおシリーズ名やスペック名に用いています(当時の特許名はオート・ローターだが商標登録がパーペチュアルだった)。

ちなみにこのパーペチュアルは、発表当時から量産性やメンテナンス性が考慮されていたところもロレックスならではですね。

ロレックスの全回転式ローター搭載自動巻き機構は、現在生産されている多くの自動巻き腕時計の主流となっています。

ロレックス バブルバック

出典:https://www.telegraph.co.uk/luxury/watches/rolex-bubbleback-classic-watch-world-forgot/

※ロレックスは1926年に高い防水性を誇るオイスターケースでも、腕時計業界に大きな一石を投じていました。
ただしオイスターケースはねじ込み式リューズによって防水性を担保していたため、リューズを解放してゼンマイを巻き上げる行為は、ねじ込み忘れによる浸水リスクを示唆しました(実際に、そういったトラブルが頻発していたのでしょう)。そこでゼンマイでの巻き上げいらずの自動巻き機構の開発に力を入れたといった背景があったのではないでしょうか。
なお、ローターを収めるためにロレックスではケース設計を変更し、裏蓋を膨らませて丸みのある形状としました。1930年代初頭~50年代中頃までに見られるこの独特の裏蓋は「バブルバック」と呼ばれ、ヴィンテージロレックス愛好家の間で親しまれています(上記画像)。

 

なお、開発当時の自動巻きローターは片方向巻き上げ式でした。これはローターが右回転した時のみ、ゼンマイの巻き上げが行われるというもの。左回転では空転している状態となり、そのためロレックスは1950年頃に製造開始したCal.1030より、両方向巻き上げ式を採用しました。

これは文字通り、両方向の回転にゼンマイ巻き上げが対応できるというもの。そのため巻き上げ効率がさらに向上していき、利便性もいっそう高まっていくこととなりました。

 

ちなみに同年代に両方向巻き上げ式自動巻きの開発にいそしんだのは、当然ロレックスだけではありません。

有名どころではIWCのペラトン式が挙げられます。1950年、IWCの技術者アルベール・ペラトン氏により開発された自動巻き機構で、現行モデルにもこのDNAが継承されています。

ロレックスの両方向巻き上げ式自動巻きでは、切り替え車(リバーサー)と呼ばれるパーツが香箱車の角穴車に搭載されています。

自動巻き式 ムーブメント

ローターの左右の回転を一方向に整流することで効率的に巻き上げ運動へと変換する手法です。現在多くの自動巻き腕時計で採用されていることからもわかる通り量産に向いており、非常にベーシックな手法と言えます。

手巻きムーブメントにローターを後付けしたようなイメージとなるため各社で改良やメンテナンスがしやすい一方で、ムーブメントに厚みが多くなったりローターの回転によってパーツが摩耗しやすいといったデメリットもあります。

そこでIWCではローターにハートカム(偏心の作動カム)を取り付け、ローターの回転に合わせて爪付ロッキングバーを左右に動かし、一定方向に引き寄せることでゼンマイ巻き上げを行う手法を編み出しました。

この機構は「ツメ巻き上げ式」などと称されますが、セイコーでも1959年にマジックレバー式が開発されています。なお、こちらも現役で活躍しています。

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja

セイコーでもやはり切り替え車は用いず、二つの爪を持ったマジックレバーによってローターの自由な回転を正しい方向に修正しながらゼンマイ巻き上げを行う手法を開発しました。

これらツメ巻き上げ式は切り替え車を持たない分、薄型化が容易となります。またパーツ数が少ないため耐久面でも高い評価を得ています。

一方で切り替え車ほどの巻き上げ効率はないと言われていましたが、ローターに比重の大きい貴金属を採用したり、セイコーでは機構自体の改良を行ったりしており、必ずしもこの限りではありません。

 

切り替え車式・ツメ巻き上げ式といったスタイルのいかんに限らず自動巻き機構は年々進化を遂げており、前述したローターの審美性や小径薄型化に加え、高効率性や耐久性がアップデートされてきました。

間もなく100年が経とうとする自動巻き腕時計。伝統と、今なお進化の途上にあると言う「機械式時計のロマン」を一身に受けたスタイルと捉えられるのではないでしょうか。

Column;「両方向巻き上げ式」VS「片方向巻き上げ式」

IWC ポルトギーゼ クロノグラフ

自動巻き腕時計の歴史の中で、両方向巻き上げ式が主流になった、と解説いたしました。

しかしながら片方向巻き上げ式が全く廃れたわけではありません。確かに主流と言ったら両方向巻き上げ式ですが、それぞれに一長一短となっており、

片方向巻き上げ式に親しむ愛好家は少なくありません。

 

この片方向巻き上げ式はローターが一方向にしか回転しない、というわけではありません。回転自体は左右ですが、ゼンマイを巻き上げない方向では勢いよく空転し、この加速を利用して反対方向で勢いよくゼンマイを巻き上げる、といった仕組みです。ちなみにブランドやムーブメントによって巻き上がる方向は異なり、右巻き・左巻きが存在します。

ジャガールクルト 型番

この片方向巻き上げは構造的にシンプルゆえ、薄型設計がしやすい傾向にあります。そのためパテックフィリップやジャガールクルトといった、薄型上品な腕時計を製造する高級ブランドでの採用が目立ちます。

また腕の動きのみに依存せず、ローターの空転した勢いを利用して巻き上げを行うため、デスクワークなど腕をあまり動かさないユーザーであってもゼンマイが巻き上がりやすいといった魅力も備えています。ただしこのローター空転時の振動は腕に伝わりやすいと言ったデメリットもあります。

 

一方の両方向巻き上げは、腕をよく動かす方にとってはやはりゼンマイの巻き上げ効率が高いと言えます。ローターの空転がないため、これに伴うショックも軽減されます。

一方で常に歯車が動いているためパーツ摩耗が起こりやすかったり、腕の動きが少ないと上手に巻き上がらなかったりするといった面も抱えています。

 

もっとも実際に製品選びの際に、巻き上げ方式によって選択するといった方は少ないでしょう。

そのためどちらが優れているかではなく、ライフスタイルに合わせた時計の使い方を行っていけば(例えばデスクワークが多いのに両方向巻き上げ式であれば、リューズを使って補助的にゼンマイを都度巻き上げる等)、いっそう自動巻き腕時計との付き合いが楽しくなっていくことでしょう。

ただしワインディングマシーンをお使いになる場合、片方向巻き上げ式モデルをお持ちの方は注意が必要です。マシーンの回転をゼンマイが巻き上がらない方向でセットしてしまうと、意味もなくローターが空転してしまうためです。右巻き・左巻きを確認したうえで、正しいセッティングを行うようにしましょう!

語れる自動巻き腕時計7選

それでは最後に、時計愛好家にも初めて機械式腕時計をご購入になる方にも、語れるモデルを7選ご紹介いたします!

 

①ロレックス

ロレックス エクスプローラーI 価格推移

やはり自動巻き腕時計の王道と言えば、ロレックスの名前が挙がることでしょう。

現代に続く自動巻き腕時計の礎を築き上げ、かつ今なお業界最先端のアップデートを図り続けているブランドです。

2015年頃からは、ロレックスが「最新世代」と自負するCal.3200系自動巻きムーブメントが登場。ロレックスらしい高い精度と信頼性を備えていることは言わずもがな。約70時間のロングパワーリザーブを備えたことで、ますますの実用性をユーザーへ提供していくこととなりました。

現在は世界的に高い人気ゆえ、正規店はおろか並行輸入店ですら品薄続きとなっており、これに伴い実勢相場も過去類を見ないほど上昇しています。しかしながらその分資産価値も高く、またメンテナンスノウハウが出回っていることから、末永く価値を保っていける高級時計の一つです。

②IWC

IWC パイロットウォッチ

前述の通り、ペラトン式で自動巻き腕時計の黎明期を下支えしたIWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)。

当然ながら今なお優れた自動巻きムーブメントを製造しており、フラグシップのポルトギーゼやパイロットウォッチ,ポートフィノといった人気コレクションを展開しています。

ちなみにIWCの腕時計は大きく見やすいモデルが多いですが、これは伝統的にムーブメントに耐久性を持たせてきたため。

機能美を突き詰めつつも時計好きに刺さるデザインの多いIWCは、不動の人気を誇っています。

③オメガ

オメガ シーマスター300

フラグシップは手巻きクロノグラフを搭載した「スピードマスター」ですが、自動巻きモデルのラインナップも当然豊富なオメガ。ロレックスと並んで、わが国での知名度はピカイチですね。

オメガは現行モデルの多くのムーブメントに「マスタークロノメーター認定」を備えています。これはオメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)が共同で制定した時計の規格で、高精度であることはもちろん、業界トップクラスの耐磁性能を誇ることが大きな特徴です。ちなみに自動巻き式にしろ手巻き式にしろ、機械式時計に磁気は大敵。金属でできたパーツの多い機械式時計は一度磁化してしまうと、専用の脱磁機を使って磁気抜きしたり、ひどい時にはオーバーホールが必要となってきます。

そんな中で、そもそもその磁気に強いムーブメントを開発してくれるというのは、さすが高い技術力を持つオメガと言えますね。ちなみにマスタークロノメーターで耐えうる磁場は、15,000ガウスと言われています。

さらにオメガではコーアクシャルと呼ばれる脱進機を独自に用いており、これによってパーツの摩耗を低減し、従来品と比較してオーバーホールスパンを延長。約2倍ほども長持ちさせたと言われています。

オメガは流通量も比較的多いので、好きなモデル・人気モデルを購入しやすく、自動巻きモデルの中でも非常に有力な選択肢となってくれることでしょう。

④グランドセイコー

グランドセイコー ヘリテージコレクションSLGH005

わが国が誇るグランドセイコーの自動巻きモデルもまた、「語りたがり」にはピッタリです!

ちなみにグランドセイコーは1960年に誕生しました。「スイス製高級時計に負けない高精度」と「国産最高峰の腕時計」を志してセイコーから生み出された当ブランドは、今では国内外で高い人気と評価を獲得しています。

「高精度」は現在でもグランドセイコーを象徴するトピックの一つとなっており、36,000振動/時という超ハイビート設計キャリバーを中心に、タイトなスケジュールで日々を戦う人々へ正確な時刻を提供してきました。

グランドセイコーは時として「大人しい」などと称されることがありますが、それは違います。むしろ高精度ムーブメントとそれに見合った高級機らしい外装を強みに、年々市場での存在感を増していっています。

⑤チューダー

チューダー 79830RB

ロレックスのデュフュージョンブランドとして誕生しながら、近年ではロレックスとは全く異なる路線を突き進むチューダー。2018年に日本上陸を果たしたことで、国内人気はいっそうの高まりと熱狂を見せております。

チューダーはロレックス譲りの高性能ウォッチを多くリリースしていますが、30万円台~40万円台といった良心的な価格設定がラインナップの中心であるのも嬉しいところ。初めて自動巻き腕時計をご購入になる方に、まずはお勧めしたいブランドです。

ちなみにオメガの項で解説したマスタークロノメーターですが、2021年、オメガ以外では初となる認定機がチューダーからリリースされました。

一部品薄モデルはあるものの比較的出回りも良いため、気になる方はぜひ実機を見てみて下さいね。

⑥カルティエ

カルティエ カリブル

宝飾ブランドのイメージが強いカルティエですが、実は腕時計製造の歴史は長く、むしろその黎明を担ったと言って過言ではありません。

1904年、最初の本格腕時計の一つと言われる「サントス」発売以降、数々の名作を世に送り出してきました。

近年では同社が所属するリシュモングループ内で共有するムーブメントを基幹機に、自動巻きモデルのラインを拡充。時計ブランドと全く遜色のない信頼性・高精度を堅持したムーブメントながら、カルティエらしい高いデザイン性をも持ち合わせており、「特別な自動巻き腕時計が欲しい」といった方はまずカルティエを候補に入れてほしいところです。

⑦ブルガリ

ブルガリ オクト

カルティエ同様、宝飾ブランドでありながら、時計製造の実力者であるブルガリ。

ジェラルド・ジェンタやダニエル・ロートといった名門独立系ブランドを吸収して時計製造ノウハウを伸長し、現在ではマニュファクチュール(自社一貫製造)としても頭角を現しています。

とりわけ薄型ムーブメント製造には一家言持っており、2017年には世界最薄自動巻きムーブメントをリリース。もっともこの最薄記録はコンプリケーションを中心にブルガリ自身で更新され続けており、その進化の勢いは他の追随を許しません。

まとめ

自動巻き腕時計の魅力について、解説致しました!

自動巻きの機構の歴史は古く、18世紀にまで遡ることができます。人類が時計をより便利に、そしてより実用的に進化させてきたこの軌跡は、現代にも正統に受け継がれていると言えます。

そんな歴史と進化を体現した自動巻き腕時計は魅力的なモデルが多数ラインナップされていますので、ぜひご購入をご検討下さい!

当記事の監修者

廣島浩二(ひろしま こうじ)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 課長

1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年

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