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WEBマガジン, 時計の使い方, 時計の雑学, 田中拓郎

高級腕時計いる・いらない?時計専門店が本気で考察してみた

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インターネットの掲示板やSNS上でしばしば論争となる「高級腕時計いる・いらない」問題。
私はもともと時計好きであったため「いらない」という考えは思いつきもしませんでしたが、不要論を見てみるとなるほど納得できるものもあります。

昔に比べ「いらない」論が急速に増えているのには、この意見に共感する人が多いためでしょう。実際、高級どころか腕時計すら身に着けていない人も見かけます。
一方で近年では過去類をみないほど高級時計市場は拡大しています。大手ショッピングモールの楽天、ヤフーショッピングの腕時計ジャンルの2019年売上高は昨年対比120%を超えており、ジュエリーやバッグが伸び悩む中で腕時計だけが突出してマーケットを拡大しています。

 

これだけ論争を巻き起こす高級腕時計とは、一体どんな魅力があるのか。なぜ不要と言われることが増えた今なお需要が止まないのか。

そこで今回、時計業界で働くプロたちに「高級腕時計が絶対にいる理由」をアンケート調査してみました!
もちろん業界側の意見ですのでポジショントークと思えるものもありますが、実用面でのメリットもたくさん。

今高級腕時計はいらないと思っている方や、高級腕時計不要論に反対したい方に読んでいただきたい記事となっております。

 

ロレックス GMTマスターII

 

よくある「高級腕時計いらない」派の意見

インターネットの掲示板やブログ、SNSなどで散見される「高級腕時計いらない派」の意見をまとめてみました!

 

・1,000円の腕時計でも時間がわかってしかも正確なものはたくさんあるから
・実用性がない(高級腕時計の多くは機械式時計だが、クォーツに比べると精度は低い)
・腕時計を着けている腕だけ疲れるし、パソコンで作業する時に邪魔
・メンテナンスが面倒臭いしお金がかかる
・スマートフォンで時間が確認できる
・高級腕時計を着けているやつのマウンティングがうざい
・他の持ち物も高級にしないとトータルバランスが悪いと思う

 

こうしてみると、実用面などで「なるほど」と思うものも少なくありません。
もっとも、マウンティングがうざい等は腕時計関わらずその人の人間性の問題もしますが・・・

 

高級時計市場は成長している

パテックフィリップ ノーチラス

「なるほど」と思ってしまうような考え方もある高級時計いらない理論。また、結構インターネット上にしろリアルにしろ、耳にする声でもあると思います。

一方で、世界の高級腕時計市場は、実は成長しているということもご存知でしょうか。

 

市場調査レポートプロバイダーのReport Ocean(レポートオーシャン)が2021年7月20日に発表したレポートによると、世界の高級腕時計市場は2019年に34億ドル規模であったところ2020年に67億ドル規模へと成長。そして2021年から2027年にかけて4.5%のCAGR(年平均成長率)で推移し、2027年には513億1730万ドル規模へ到達することが予測されています。

また、アイルランド ダブリンの市場調査会社Research And Marketsが同年10月12日に発表したレポートでは、世界の高級品市場は2026年までに4298億1千万ドルに達することを予測し、この市場の中心として時計・宝飾品を挙げています。

事実、この高級品市場の主要プレイヤーとしてLVMHグループ,リシュモングループ,ケリンググループなど、高級時計を主要商材とするグループを掲げています(ただし時計市場で見るとApple,スウォッチグループに次いでロレックスが売上高の上位を占めています)。

もちろん、この市況だけを見て「高級時計はいると考えている層が世界的に多い」と断言することはできません。

後述しますが現在、腕時計市場の中でもとりわけ中古市場(二次流通市場)の拡大が顕著となっていますが、これは投資目的による購入層の増加も多分に寄与しているためです。さらにReport Oceanの分析ではアジア圏の新興国の市場成長やインドの小売業界の成長を背景として分析しています。

一方で高級腕時計ブランドのeコマースの促進。あるいは新型コロナウイルスの影響で旅行・飲食への消費が低減した結果、高級腕時計や宝飾品への需要がかつてないほど高まる「リベンジ消費」なども現在の高級腕時計市況の説明としてしばしばなされています。

IWC ポートフィノ

つまり、「高級腕時計はいらない」という層がいる一方で、高級腕時計への購入マインドを持つ層も存在し、かつ後者の層によって市場は成長している、と。

では、不要論に対して、「いる」派の意見はどのようなものがあるのでしょうか。

時計業界に身を置く専門店スタッフへのアンケートをもとに、「いる」と考える声を調査してみました!

 

なお、「高級腕時計とは何円からのモデルを指すのか?」といった議論があります。当店は高級腕時計サロンとして経営しておりますが、価格帯は幅広くなります。

10万円以下のものもあれば、一千万近くするものも。

また、人によっては数万円でも高級腕時計と感じる方もいらっしゃるでしょう。

そのため、ここでは「いくら以上の時計」といった具体的な価格帯は対象にしません。

 

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時計専門店で働くプロが本気で考えた、高級腕時計が「いる」理由

それでは、時計専門店で働くプロからもらった「高級時計はいる」という意見で、投票数の多かったものを中心にご紹介いたします!

納得するもよし、反論するもよし。

プロならではの視点をぜひ楽しんでみてくださいね。

 

主張①資産としての価値がある,投資になる

最も多かった意見がコレ!

「必要性」とは異なりますが、高級腕時計の最大にして最高のメリットと言えるでしょう。

確かに、安物の時計は使い捨てなことがほとんどですが、高級腕時計であれば資産としての価値を有します。

 

パテックフィリップ コンプリケーション

 

円という強い通貨を持っている日本ではあまり一般的ではありませんが、海外では高級腕時計は「持ち運べる資産」として扱うことがあります。
何年も普段使いしたとしても資産価値が高いため、売れば資金回収ができるのです(状態によって価格自体は変動)。
これは、同じブランド品だとしても、バッグや靴などには無い現象ですね。

なぜなら高級腕時計―特に機械式時計は、メンテナンスさえ行えば末永く使い続けていけるため。
ノーメンテナンスで使い倒す、といったことがない限りは、きちんと時計本来の機能を持ち続けるでしょう。
実際、現在のアンティーク市場では1940年代~50年代と半世紀以上も前の個体が取引されています。
そしてロレックスのような人気ブランドでは、当時より高い価格で取引されているものが多いのです。

 

ロレックス アンティーク

 

このように、高級腕時計は買って使って終わり、ではなく、普段使えて・しかも趣味性の高い資産としての側面が大きいのです。
どうせお金を出して買うのだから、使い捨てのものではなく価値を持ち続けるものの方が良いですよね。
実際高級腕時計いらない派は「実用面」の観点で不要と思っている方が多い印象ですが、この資産価値と言うのは実用を越えた価値と言えるのではないでしょうか。

 

さらに付け加えると、高級腕時計を「投資対象」として考える方は少なくありません。実際「ロレックス投資」なんて言葉があるほど。

「購入価格も高い売却益を得られた!」などといった例は稀ですが、良好な換金率では他の商材の中で群を抜いていると言えるでしょう。

ロレックス以外の有名どころでは、パテックフィリップやオーデマピゲなどの雲上ブランドやロレックス、オメガ、パネライにIWCといった人気ブランドは価値が落ちづらい傾向にあります。

 

ロレックス デイトナ

※定価1,387,100円に対し、2021年10月現在、実勢相場を黒文字盤で370万円台~、白文字盤で400万円超記録しているロレックス デイトナ 116500N 黒文字盤

 

また、高級腕時計は一大市場を形成しているので、換金するのも比較的容易です。

前述の通り、近年では中古市場が拡大しており、ヤフオクやメルカリと言ったCtoCプラットフォームはもちろん、Chrono24(クロノ・トウェンティ―フォー)という越境ECサービスの巨大プラットフォームが一般化することとなりました。

※Chrono24・・・2003年に設立された、国際的な高級時計専門ECプラットフォーム。世界最大級とも言って良いECプラットフォームであり、各国の売り手・買い手を繋ぐのみならず、独自の買い手保護制度やサービスを提供している

 

もちろん買取店を吟味することは重要ですが、街中で多くのお店が高級腕時計の買取を行いますし、査定サービスも多岐にわたります。

なお、この腕時計の資産価値に着目し、投資目的で中古品を購入する傾向が近年過熱してしまい、全体的な中古相場が上昇しているといった現状もあります。しかしながらその分時計の「価値」は向上しているとも言えます。

ご自身が気に入って購入に至った高級腕時計。楽しんだ後、お得な金額で手放せたら嬉しいですよね!

 

時計専門店のプロからの具体的な意見も併せてご紹介いたします。

「持ち運べるし楽しめる資産」

「ロレックスとか、経年で価値がぐんぐん上がる時計もある」

今持っている時計の値上がりに期待!それが楽しみ」

 

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主張②高級腕時計は成功・憧れのシンボルとして欠かせない

オーデマピゲ ロイヤルオーク

 

「高級腕時計を着けていると成功する」「高級腕時計を買わないといつまでも半人前」
こういった意見は極論だし、必ずしも高級腕時計を着けている=成功者ではありません。

しかしながら、メディアや周囲で「憧れられる」存在の人は、みんなステキな高級腕時計を着けているな、といった印象を受けます。

例えば大人気タレントの木村拓哉さん。時計好きで様々なモデルを身に着けているところをよく見ます。
人気ブランドの、でも独特のこだわりを感じる腕時計コレクターといった印象で、ロレックスのデイトナ アイスブルー文字盤(116506)やオメガのスピードマスター、ブレゲのマリーンIIと時計愛好家からも支持の高い良いモノを持っています。
また、ビートたけしさんや福山雅治さんといった、幅広い分野で活躍し、成功を収めている方々の腕には極上の時計がキラリと光ります。
ちなみにこの二人はパテックフィリップです。

海外に目を向けてもその傾向は顕著で、ハリウッドスターのジョニー・デップさんやブラット・ピットさん、元サッカー選手にしてモデルのデビット・ベッカムさんなど、世界的に有名な彼らが大の時計愛好家であることは広く知られています。

 

ロレックス パテックフィリップ

左:キムタク愛用の116506 / 右:ブラッドピット愛用の5711/1A-010

 

つまり、「高級腕時計を買えば成功する」とは言わないけれど、憧れの存在=高級腕時計という図式は成り立ちやすい のです。
高級腕時計は成功のシンボルと言ってもいいでしょう。

「成功のシンボル」という要素だけで、所有欲を刺激するには十分ですよね。

 

ハリーウィンストン アヴェニュー

 

さらに、こういったシンボル的存在がなくなると、私たちは何を目標に頑張ればいいかわかりません。
例を挙げるなら戦後、「三種の神器―テレビ,クーラー,自家用車など―」たちが日本を高度経済成長へ引っ張ったのではなかったでしょうか。

もちろんスマートウォッチやタブレットといった最先端デジタルデバイスがそれらにとって代わるのかもしれませんが、時計は「他人に魅せる」こともできます。

憧れの気持ちや所有欲を呼び起こすことができる存在というのは、自分にとっても社会にとっても大きな値打ちを持つ でしょう。

 

あるプロが、この説を象徴するエピソードを教えてくれました。

「テニスの錦織圭選手が2014年の全米OPで準優勝した時には、彼がアンバサダーを努めているタグホイヤーの時計のモデルに問い合わせが殺到しました。

この時計はもともとそんなに注目される事が無かったのですが、錦織選手の活躍で一躍注目度が上がります。

“錦織選手のように最前線で頑張る自分になりたい”という気持ちが所有欲を刺激するのでしょう。

また、映画『007』の新作が公開されると、常にオメガから限定モデルが発売されますが、毎回入手する事が困難になるほど人気が集まります。

ジェームズ・ボンドのかっこよさによって、所有欲が駆り立てられていると思われます」

 

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主張③収入面や社会的地位、人間性でポジティブな印象を持ってもらえる

ジャガールクルト レベルソ

 

ハロー効果」をご存知でしょうか。
ハロー効果とは、人が誰か(もしくは何か)を評価する時、相手が持つ「ある目立つ特徴」に引きずられて、他の特徴が目に入らず、評価が歪められることを言います。

例えば「医者です」と言われた時、その人の人間性にかかわらず「医者だから優秀な人」「医者だから人助けに意欲的」などと、医者という言葉がフィルターとなって評価に大きな影響を与えるのです。

これは、えてして持ち物にも言えることで、高級時計は最も顕著なものの一つでしょう。
「ロレックス デイトナを着けてるからビジネススキルが高い」

「パテックフィリップを着けているから社会的地位が高い」

「オーデマピゲを着けているから成功している」

といった印象・評価に繋がります。

 

オーデマピゲ ロイヤルオーク

 

冷静に考えればそうとは言い切れません。
高級腕時計の存在で、その人の人格や社会的地位は変わらないでしょう。

しかしながら、腕元の目立つ存在に引きずられ、相手を評価してしまうのです。

また、海外の高級レストランやホテルなどでは、高級腕時計をしていると「しっかりした人」「お金をキレイに使う人」とみなされ、待遇が異なってくることがあります。

このように、相手にポジティブな印象を持ってもらえて、かつそれで得をするシーンが少なくないことは、高級腕時計の大きなメリットとなります。

もちろん「必要」とまでは思わない方もいるかもしれません。「男は裸一貫で勝負や!!」なんて方もいるでしょう。
でも、得するって購買動機に大切な要素ではありませんか?

 

高級腕時計 買う理由

 

なお、ネガティブなハロー効果もあります。
すなわち、「安物の腕時計を着けているからあまり収入がない」「安物の腕時計を着けているから社会的地位が低い」と言ったものです。

実際、明らかにチープな腕時計をしていたら、友人間や社交場などで「あんまりお給料もらえないのかな?」「会社がうまくいってないのかな?」と思われてしまうことは想像に難くないでしょう。
こういったイメージを持たれてしまっては、思わぬチャンスを逃しかねません。

ポジティブな評価に繋げるためにも、高級腕時計は必須アイテムと言えます。

 

プロの意見をご紹介します。

「スーツや靴もステータスシンボルとして評価対象なのかもしれないけど、わかりづらい面がある。の点腕時計は有名ブランドなら、一目でそう認識してもらえる

「高級店であればあるほど、待遇変わる。やっぱり高級品を見慣れていると思う」

「古い考えと言われる場合もあるが“スーツには革靴、革ベルト、ネクタイ、高級腕時計”と言う。オーソドックスなスタイルは初対面の人には信頼され易い傾向にある」

 

主張④コミュニケーションツールとして有効

ロレックス デイトジャスト エクスプローラーI

 

私は、高級腕時計の必要性として、隠れたNo.1がこの理由なのではないか、と個人的に思っています。
と言うのも、高級腕時計と言うのは、本当に話題のきっかけになりやすいのです。

安物ではなく高級腕時計を選ぶ人と言うのは、まず間違いなくこだわりがあります。
例え「必要性」「実用性」を意識して買ったとしても、高いお金を払って購買する、という大きなアクションを起こした人間は、何らかの思い入れがあるものです。

こういった高級腕時計を所有している人ほど、初対面で話すきっかけとして腕時計をツールに使います。
自分自身も色々勉強してこだわりながら選んだ方が多いので、「あ、あの時計着けてる!」「いいモノ知ってるな!」そんな風に気づきやすいでしょう。

また、逆にこちらが「その時計、IWCですよね?僕はIWCかパネライで迷って、結局パネライ選んだんですよね~」なんて聞いてあげれば、相手は気づいてくれたことが嬉しくて、たくさんエピソードを紹介してくれるでしょう。

 

IWC ポルトギーゼ

 

このように、高級腕時計は安物に比べてコミュニケーンツールになりやすいです。

さらに、オジサマの中には結構高級腕時計好きが多いもの。
今の若者の高級腕時計離れを嘆いている方も少なくないので、若手や年下が良い腕時計を身に着けていると嬉しくなります。

ただし、ビジネスシーンでは超高級腕時計を身に着けていく際は注意が必要です。
目上の人より高額な時計を着けていると、ヒンシュクを買ってしまいます。

また、コミュニケーションツールとなる理由で、あるプロから面白いエピソードをいただいたのでご紹介いたします。

「高級腕時計を身に着ける層=ある程度の富裕層,社会的地位がある人,身なりに気を遣える人となるが、そういった層と共通の話題を持つことができる

結果としてそこから会話が広がれば、自分は知らなかった世界の話や成功のノウハウを聞くことができる」

 

主張⑤安物にはない品質の良さや機能

ブレゲ クラシック

 

高級腕時計の魅力のうちの一つは、時計本来の価値が高いことにあります。
ただのブランドバリューですとか、ゴールドやダイヤモンドがふんだんに使われているとか言った、価格の高さに留まりません。

高級腕時計は、長い歴史の中で築きあげられてきた時計製造技術の結晶であり、今なお進化し続けるリビングヘリテージです。
機械式時計の機構自体は何世紀も変わっていません。
そのため機械式時計を製造すること自体は大きなコストはかからず、1万円前後でも販売されています。

しかしながら、何百年もの歴史の中で、時計製造技術は非常に奥深い技法を獲得してきました。

 

ムーブメント

 

「ただ時間が動けばいい」という安物とは違います。
ムーブメントや文字盤に手作業で装飾を施したり、外装の仕上げに何日もかけたり、日常生活では必要ない複雑機構を開発したり・・・
もはや伝統工芸品と言って過言ではないような芸術性があります。

こういった生きた伝統工芸品を身に着け、日々愛でることができると言うのは、高級腕時計ならではのだいご味です。

もちろんこういた伝統技法だけでなく、GMT機能やワールドタイムなど近年特に注目度が高まった機能が付いていることも魅力的。
安い機械式時計やアナログのクォーツ式にはほとんどないのに、非常に便利ですよね。

また、防水性や耐磁性能などの研究開発が目覚ましく、安心して使えるのも高級腕時計の魅力となります。

 

ロレックス GMTマスターII

※ロレックスが2018年に発表したGMTマスターII 126710BLRO

 

そしてもう一点、購入時にはあまり気にされない高級腕時計の魅力の一つ。
それは、多くの高級メーカーが手厚く長期間の保証を設けてくれるところ!

ロレックスやオメガなど、技術躍進が目覚ましい企業は保証期間を5年に設定しており、しかもメーカーでオーバーホールを受ければ、さらに保証を延長することができます。ちなみにシチズンの上位ブランド「ザ・シチズン」に至っては、なんと10年無償保証サービスを提供しています。

保証が長いということは、それだけ自社技術に自信があるということ。
高度な設計と熟練した技術者たちによる製造技術で作り上げられた至高の腕時計は、末永く愛用していけるという安心感がありますね。

こういった「きちんとしたもの」にはどうしてもコストがかかってしまうもの。
高級腕時計いらない派も、ブランドバリューなどではなく、技術にお金を払っていると思えば納得してくれる方も多いでしょう。

 

プロからの意見はこちらです。

「高級腕時計は仕上げとか、ムーブメントの装飾とかが全く異なる。ずっと見ていて飽きない」

「高級=造りがいいわけではないが、やはり造りの良いモノは高級腕時計に多い」

「一年そこらで一万円のものを買い替えるなら、50万円のモデルを50年使い続けた方がいい。

もちろんメンテナンス費用はかかるが、時刻を知る以外のメリットもあると考えればパフォーマンスは高いと言える」

 

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主張⑥文化・技術継承の意義

ランゲ&ゾーネ

 

主張⑤と少しかぶる部分もありますが、高級腕時計は何世紀にもわたって受け継がれてきた伝統技法です。

これだけ大量生産技術が発達した今なお、手作業や昔ながらの専用機械でしか作れない機構・装飾も存在します。

また、業界自体が「手作業」をよしとする風潮があり、熟練した職人たちが手作業によって生み出す至高の名作たちは、デジタル機器にはない深みですとか、美しさを味わうことができます。

こういった伝統的な技術が、今なお現役で大量生産品と戦っている、というのは、高級腕時計ならではでしょう。通常は安価で質の良いものを大量生産できる技術が早い段階で確立され、伝統技法は廃れていくものです。

しかしながら高級腕時計はむしろ、伝統技法の方を重宝します。

 

ランゲ&ゾーネ

 

加えて、クォーツ式は機械式に比べてメンテナンス技術が発達していません。

クォーツであっても、電池やムーブメント交換を行えば末永く使い続けることが可能です。

でも、クォーツ式のムーブメント交換までを受けてくれるメーカーは一握りでしょう。機械式ほどの歴史がないため、メンテナンス技術がなかなか普及していかないことが要因の一つです。

このように、「リビングヘリテージ」といった概念をそのまま地でいき、しかもそれが今でも活躍していることは、時計の文化・技術を守り続けていくことに他なりません。業界のみならず全ての産業において意義深いことです。

そういった意味で、高級腕時計は絶対に人々に欠かせないものでしょう。

 

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主張⑦自己満足度が最高に高い

ヴァシュロンコンスタンタン オーバーシーズ

 

実は今回、「資産価値」「ポジティブな印象を持ってもらえる」の次に多かった必要性の意見がこちらです!

嗜好品のみならず、日用品は「自分が良い」と思ったものを買うのが一番。
例えば高級腕時計に興味はないけど、バイクや車好き、という男性は多いでしょう。これらも、お金をかけようと思えばいくらでもかけることができ、また維持費も結構かかりますよね。
他にもオーディオやカメラ、ゴルフなどお金のかかる趣味や日用品は世間に溢れています。

別に安物でもいいのかもしれない。でも、高級機にしかない魅力が溢れ返っている・・・そんな理由でお金をつぎ込んでいる方は多いのではないでしょうか。

こういった自己満足感というのは、一度手に取ってみなくては分からないかもしれませんが、高級腕時計には満足感を感じる方がとても多いです。

 

ウブロ ビッグバン

 

また、「好きなブランドに共感できる」「好きなコンセプトを身近に感じられる」といった満足感もあります。

例えばタグホイヤーやウブロはスポーツ界との結びつきが強いです。
そのため、サッカーやF1などのファン層がタグホイヤーやウブロを知り、興味を持つことは珍しくありません。

そしてこれらのブランドは、スポーツ界をインスパイアしたモデルをラインナップ。その時計を購入すれば、好きなスポーツを身近に感じることができます。

もちろん全てのブランドではありませんが、こういったブランド戦略をとるメーカーは多くあります。

そのため、安物にはない満足感を得やすいのです。

 

プロからの意見はこちら。

「自分がこれを買えるだけ頑張ったと思える」

「安い時計は流行り。高級メーカーはブランドストーリーがある」

 

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まとめ

高級腕時計いる・いらない?の論争に、時計専門店なりに答えを出してみました。

冒頭で述べたように、いらない派の意見もそれなりに納得できるところがあり、人によっては今回の考察では納得できないかもしれません。

ただ、一度も高級腕時計を身に着けたことがない・見たことがない、といった方は、一度手に取ってみてほしいと思います。
買わなくていいんです。ちょっと試着してみるだけでも構いません。

実機を見ると、高級腕時計にしか出せない貫禄というか、風格というか・・・そういったものを肌で感じていただけると思います。

 

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この記事を監修してくれた時計博士

田中拓郎(たなか たくろう)

高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター

当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年

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