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2022年は、2年ぶりとなるリアル開催の大規模新作見本市があったり、各社で記念すべき周年を迎えていたりと、時計業界が大きく盛り上がりを見せております。

過去2年間、色濃かった新型コロナウイルスの影響をじょじょに脱し、各社の豊穣な新作発表を堪能している諸氏も多いのではないでしょうか。

この記事では華やぎを増す時計業界で発表された2022年の新作のうち、特筆すべき10本の腕時計を厳選してご紹介いたします。

ロレックス,パテックフィリップ,オメガにグランドセイコー・・・2022年、最も熱い一本はこれだ!!!

 

2022年新作①ロレックス エアキング Ref.126900

ロレックス 2022年新作 エアキング

出典:https://www.rolex.com/ja

スペック

外装

ケースサイズ: 直径40mm
素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.3230
パワーリザーブ: 約70時間

機能

防水: 100m
定価: 816,200円

例年、大きな注目を浴びるのがロレックスの新作です。

とりわけ近年ではロレックス相場が熱を帯びており、モデルチェンジするコレクション(あるいは追加される新ライン等)は新作発表前から喧々諤々(けんけんがくがく)と噂される風潮があります。

なぜなら新作、あるいはモデルチェンジによって生産終了したロレックスの個体は注目度が増し、その前と後で実勢相場が大きく異なるケースがおうおうにしてあるためです。

例えば2021年、新作発表によって最新世代へと移行したエクスプローラーI。39mmケースから36mmへとダウンサイジングしたことが大きく話題になりましたが、これによって旧型Ref.214270が価格急騰(ロレックス相場全体が高値続きというのもありますが)。生産終了時に定価687,500円であったRef.214270が一時期は190万円の実勢相場を叩き出したことがありました。

こういった背景から、ロレックスの新作発表はある種の狂騒のような熱で以て、特別な注目を浴びているという実態があります。

もっとも、こういった熱狂は別にしてもロレックスの新作は楽しみなもの。デザイン面でも実用面でも頭一つ抜きんでており、「これは欲しい!」と思えるラインナップを憎らしいほどにローンチしてくるためです。2022年もロレックスの新作は百花繚乱で、いずれを「10傑」として選ぶべきか迷いに迷ったものでした。ここは一番話題性も、個人的な所有欲も高かった新型エアキングを推したいと思います。

ロレックス エアキング 126900

出典:https://www.rolex.com/ja

エアキングは1940年代にロレックス史に誕生した、歴史あるモデルです。

文字通り航空業界へのオマージュがコンセプトとなっており、また現行ロレックスの中で最古のペットネーム(愛称)を持つことでも知られています。かつてはオイスターパーペチュアルのバリエーションといった立ち位置で、文字盤に「Air King」のロゴを持つことでエアキングとして分類されていました。
しかしながら2014年に一度オイスターパーペチュアルには当該ロゴが用いられなくなり、代わって2016年、プロフェッショナルモデルとしてRef.116900に生まれ変わりました。

エアキング Ref.116900はオイスターパーペチュアル時代同様に日付は持ちませんが、デザインやコンセプトを一新。

ロレックス エアキング 116900

※2016年に発表されたエアキング Ref.116900

計器然とした文字盤に従来の直径34mmから40mmへと大幅アップサイジングされたケース,そしてミルガウスと同じく耐磁性能を有したCal.3131が特別に搭載されていること等々、プロフェッショナルモデルへと生まれ変わったことで、発表当時は大きく話題になったものです。ちなみにこの文字盤は、Ref.116900発表時期にロレックスがスポンサードしていた「ブラッドハウンドSSC」というプロジェクトの、航空ジェットエンジン搭載スポーツカーに用いられていたクロノグラフ計器と同様のデザインになっております。

 

そんなエアキング Ref.116900、登場からまだ時間が経ってはおりませんが、早い段階からモデルチェンジが噂されていました。なぜならロレックスは新世代ムーブメントへの載せ替えを順次行っており、ロフェッショナルモデルの中でまだこの載せ替えが行われていないのが2022年の段階ではミルガウス・エアキングに限られていたためです。

もっともエアキングよりもミルガウスの方がCal.3131の搭載が早かったため(プロフェッショナルモデルとしての登場が早かった)、ミルガウス⇒エアキングの順番か、あるいは同時にモデルチェンジとなるのでは、と囁かれていたものでした。

実際には一足早く、新生エアキングが誕生したこととなります。

ロレックス 2022年新作 エアキング

出典:https://www.rolex.com/ja

この新作エアキング Ref.126900、新世代ムーブメントが搭載されていることは言わずもがな。外装にも革新的なブラッシュアップが加えられたことに、驚きを禁じえませんでした。

なぜならエアキング初―このタイプのプロフェッショナルモデルとしては初―となる、リューズガードが搭載していたためです。

ロレックスはレギュラーモデルに関して言えば、リューズガードが搭載される場合はタキメーターベゼルやダイビングベゼル等をともに用いてきました。しかしながら2022年の新作エアキングより、スムースベゼル(ポリッシュベゼル)×リューズガードのコンビネーションが果たされたことを意味しています。

リューズのサイズも大きくなっているとのことですので、リューズガードが組み合わさることで、いっそう精悍なデザインへと昇華されました。

リューズガードが搭載されたことで、これまでの丸みを帯びたケースフォルムから、直線的な印象へと変化している点も特筆すべきでしょう。

ロレックス 2022年新作 エアキング

出典:https://www.rolex.com/ja

 

ロレックス エアキング 116900

仕上げは大きく変わっておらず、ヘアライン仕上げを基調にケースサイドやベゼルがポリッシュ仕上げとなった高級感あるコンビネーションを楽しめますが、近年のロレックスの新型モデル同様にラグがシャープとなっているように見受けられます。これによってスタイリッシュなスポーツウォッチとして、より完成されたと言えますね。

文字盤デザインも前作を踏襲しており、お馴染みの計器然とした顔立ちがこれぞエアキング。

しかしながら随所にブラッシュアップが加えられており、まず従来はホワイトゴールド製であった3・6・9インデックスにクロマライト夜光が塗布されました。またミニッツインデックス「5」が2桁表記となったことで、いっそう統一感のあるデザインに落とし込まれています。

なお、メルセデス針の先端が若干長くなっているようにも見受けられます。

126900 116900 比較

出典:https://www.rolex.com/ja

さらにはバックルにエアキング初となる、セーフティキャッチ付オイスターロッククラスプを搭載したことも要注目です。

従来はオイスターパーペチュアル等と同様に、ワンタッチで取り外しできるオイスタークラスプを採用しておりましたが、同機構にアップデートしたことで、さらなる堅牢性を獲得しました。なお、イージーリンクによってバックル部分で5mmの微調整が可能となっております。

 

もちろん、近年の新作ロレックスの要とも言うべき、最新世代ムーブメントへの載せ替えも敢行されました。

2020年に発表された新型サブマリーナ ノンデイトや2021年発表の新型エクスプローラーIでも搭載された、完全自社製Cal.3230が新作エアキング Ref.126900にも採用されています。

従来のCal.3100系も非常に傑出したムーブメントであることは間違いありません。しかしながらロレックスが「最新世代」と自負する3200系は、ロレックスの独自規格「高精度クロノメーター」を適用しつつ、約70時間のロングパワーリザーブを実現。性能が確実にアップしていると言えます。

さらに耐磁性能・耐衝撃性能に優れるブルーパラクロム・ヒゲゼンマイや同時耐震装置パラフレックス・ショック・アブソーバーが標準装備となったことも最新世代ムーブメントを語るうえでは欠かせません。

すなわちロレックスの実用性は、時代とともにいっそう進化を果たしており、この「実用時計の王者」という側面がロレックス人気を下支えしていると考えられます。

 

もっとも先代エアキングに搭載されていたCal.3131も、ブルーパラクロムヒゲゼンマイを既に搭載していました。耐磁専用ムーブメントとしてミルガウス・エアキングに搭載されてきた歴史は前述の通りです。とは言え新世代ムーブメントで耐磁性能が標準装備となったことで、他のモデルと特に住み分けられることがなくなったのでしょう。

そうなると、磁気シールドの存在が気になるところです。

エアキングはミルガウス同様、磁気シールドを搭載してムーブメントを磁気の影響から保護する仕組みがありました。この磁気シールドがなくなっていれば、ケースサイズ40mmは変わらずとも、厚さは変化があるかもしれません。

早く実機を確認して、新旧比較を行いたい2022年新作モデルの一つです。

 

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2022年新作②オメガ シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ 6,000m

出典:https://www.omegawatches.jp/

スペック

外装

ケースサイズ: 直径45.5mm×厚さ約18.12mm
素材: O‑MEGAスティールまたはチタン
文字盤: ブラック,ブルー,ホワイト

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: マスタークロノメーターCal.8912
パワーリザーブ: 約60時間

機能

防水: 6,000m
定価: 1,430,000円~1,573,000円

Watches and Wonders Geneveが現在では時計業界で最大規模の新作見本市となりますが、これには参加せず、独自発表を行うオメガ。

2022年も独自に、豊富かつ先進的な新作モデルの数々を堂々ローンチしてきました。オメガの素晴らしいところは、例年「寡作」とは無縁の、多彩な新作ラインを続々展開するところです。とりわけ近年ではムーブメントの刷新を伴う大幅な新作展開を行っており、こういった革新性にオメガ人気の秘訣を見る思いです。

2022年、新型スピードマスター 57や新しいコンステレーションのバリエーションも素晴らしかったのですが、オメガの2022年新作モデルの中からどれか一つを選ぶとしたら、絶大なインパクトのシーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ 6,000mを挙げる方が多いのではないでしょうか

出典:https://www.omegawatches.jp/

もっともこの新作シーマスター プラネットオーシャンの凄まじさは、インパクトのみにあらず。モデル名からも明白なように、なんと6,000mという腕時計としは常識破りの防水性能を引っ提げて登場したのです。

もともと、防水性能には一家言持つオメガ。

防水時計のパイオニアと言うと1926年にロレックスが発表したオイスターケースがよく語られますが、実はオメガもまた早い段階から防水性能では業界内で先鋒を切っておりました。1932年、角型防水時計「マリーン」をオメガは発表した歴史があります。すなわち2022年は、オメガの防水史にとって90周年ということを意味していますね。

ちなみにこのマリーンは、ムーブメントへの浸水を防ぐためにダブルケースを設け、内部ケースをすっぽりと覆うような構造をした防水ウォッチです。

出典:https://www.omegawatches.jp/

 

出典:https://www.omegawatches.jp/

角型時計は一般的に防水性の確保が難しいと言われていますが、オメガではこのような発想で以て、気密性を堅持しました。さらに浸水の原因となりやすいリューズを12時位置に搭載し、これもまたカバーで固定しております。「リューズのねじ込み忘れによるムーブメントへの浸水」は当時とても多いトラブルでした。現在でも、もちろんこういった修理事例は少なくありませんが、まだ自動巻き時計が実用化していなかった当時はリューズ操作の必要性が格段に多く、マリーンはこういったヒューマンエラーをも考慮した防水時計と言うことができます。

なお、このマリーンには、現代ダイバーズウォッチの標準装備となっている微調整可能なクラスプも既に実装されていたというのだから、恐れ入ります。

こういった防水技術によって軍用時計でも重宝されたオメガですが、1948年にはタウンユースを想定した防水時計「シーマスター」を発表します。このシーマスターは1957年に発表された同社初の本格ダイバーズウォッチへと系譜を引いていき、現在にも続くオメガ屈指の人気コレクションとなっております。

 

そしてこのシーマスターは、バリエーションの豊富さも魅力の一つです。

タウンユースに最適なオシャレウォッチ・アクアテラから、1957年発表モデルをリバイバルしたシーマスター300、より現代ダイバーズウォッチとしての要素を加えたダイバー300m等、ユーザーや使用シーンに合わせたモデル展開を、オメガではシーマスターで行ってきました。

そんな中でプラネットオーシャンは、2005年にシーマスターのハイスペックモデルとして誕生しました。これまで300mがスタンダードであったシーマスターに対し、600mもの防水性を確立していたことが大きな特徴です。肉厚のケース・ブレスレットはヘアライン仕上げが基調となっており、精悍ながら高級機然としたダイバーズウォッチとして人気を博していきました。ちょうど時代が「デカ厚」をトレンドとし始めていたことも、人気の追い風になったのでしょう。

 

そして2022年、このプラネット―シャンに「ウルトラディープ 」として、6,000m防水という驚くべき新作モデルが追加されたと言うわけです。

もっとも、プロトタイプは既に2019年に発表されていました。

大西洋・南極海・インド洋・太平洋・北極海それぞれの最深部の探査を行うというプロジェクト「ファイブ・ディープス探査」のうちの一環として、同年にアメリカ人海底探検家ヴィクター・ヴェスコヴォ氏がマリアナ海溝10,925mの海底で、単独乗りの潜水艦にて4時間の海底探査を敢行。有人潜水艇による世界新記録を樹立しました。その際、潜水艦内でオメガのダイバーズウォッチが携行されていたことをご存知でしょうか。

オメガはこの記録的な冒険のために、15,000mの深度を想定したウルトラディープを製造しましたが、2022年にはこの量産モデルを開発し、一般市場向けにリファインしたというわけです。

出典:https://www.omegawatches.jp/

そうしてできた新作シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープのケースサイズは直径45.5mm×厚さ約18.12mm。かなりダイナミックですが、6,000mの水圧に耐えうる堅牢性を有していると鑑みれば、むしろ小型と言って良いかもしれません。むしろボリューミーなデザインも多い昨今では、腕時計として常識的なサイズ感と言えます。ちなみに2019年の特別モデルでは、厚さは28mmでした。

オメガらしくサテン仕上げを基調にポリッシュ仕上げのコンビネーションとなっており、高級ダイバーズウォッチとしての風格はスペックアップしても健在です。

出典:https://www.omegawatches.jp/

バリエーションは計7種ですが、うち6種は新しい高性能スティール「O-MEGAスティール」がラインナップされています。

このO-MEGAスティールはニッケルを取り除き、窒素とマンガンを加えるなどしたオメガの独自合金とのことです。一般的なステンレススティールに比べて強度・硬度が40~50%高くなり、かつ耐蝕性にも優れる他、ホワイトの色合いが強く押し出されていることが見て取れます。

出典:https://www.omegawatches.jp/

堅牢なO-MEGAスティールによって高防水ダイバーズウォッチとしては標準装備となっていたヘリウムエスケープバルブがなくなり、端正なケースフォルムを獲得していることにも驚かされます。

セラミックベゼルとラッカー仕上げのグラデーションがかった文字盤と合わせて、高級機としても美しいダイバーズウォッチに仕上がります。

 

なお、あとの一種はチタン製モデルです。

近年、チタンモデルは他社でも増えてきたし珍しくない・・・などと思うなかれ。このグレード5チタンを用いたウルトラディープは、前述した2019年に探査をサポートした同名コレクションにも採用されています。軽量かつ強靭な同素材は、ウルトラディープのようなプロユースモデルにとって、欠かせない素材と言えるのではないでしょうか。

ちなみにグレード5チタンは、ファイブ・ディープス探査で用いられた潜水艦「DSVリミティング・ファクター」の船体にも使用されました。

出典:https://www.omegawatches.jp/

チタンモデルのウルトラディープは、非対称ケースや特徴的な「マンタラグ」を有します。これらの個性こそ、プロジェクトをよく助けたウルトラディープのDNAです。海底での膨大な掃流力を考慮して、ラグを開いた形状が採られています。

出典:https://www.omegawatches.jp/

さらにセラミックベゼルに描かれたダイビングスケールにはやはりオメガの独自素材であり高強度を誇りつつ軽量さも持ち合わせたリキッドメタルを使用しており、硬化被膜加工処理されたチタン製文字盤と合わせてプロフェッショナルな雰囲気を称えます。

O-MEGAスティールモデルは同素材のブレスレットまたはラバーストラップが組み合わさりますが、一方のチタンモデルにはNATOストラップが取り付けられました。このNATOストラップも只者ではなく、100%リサイクルのポリアミド製とのこと!網(ぎょもう)の再利用となっており、強度や耐久性に優れることは言わずもがな。環境に優しい素材ですね。

 

搭載するムーブメントはマスタークロノメーター認定のCal.8912です。

出典:https://www.omegawatches.jp/

マスタークロノメーターは、オメガが誇る業界屈指の製品規格です。オメガがスイス連邦計量・認定極(METAS)との共同開発によって確立した規格で、高精度を備えることは言わずもがな。加えて、15,000ガウスという業界屈指の耐磁性能が認定機には搭載されることが大きな特徴です。ちなみに15,000ガウスは120万A/mで、JISで規格される第二種耐磁時計が16,000A/mとなっていることを鑑みれば、いかに規格外の性能かが垣間見えてきますね。

ちなみにチューダーも2021年にマスタークロノメーター認定機を発表しており、業界内での注目度は増すばかりなのですが、オメガはこの認定機を標準装備としつつあるのだから驚きを禁じ得ません。

なお、コーアクシャル機構もオメガが誇る高度なテクノロジーです。コーアクシャルはオメガの脱進機で、従来品よりもパーツ摩耗を低減する仕様となります。そのため一般的なメンテナンスのスパンを2倍ほどに延長することに成功した機構となります。

 

バリエーションはチタンモデルが一種と、O-MEGAスティールモデルが6種。O-MEGAスティールモデルからはブルー・ホワイト・ブラックグレーの文字bんバリエーションが用意されており、それぞれブレスレットまたはラバーストラップタイプとなっております。

うちブレスレットモデルはバックルにオメガ特許技術の伸縮可能な折り畳み式ラック&プッシャーが備わり、容易に微調整が可能です。

いずれのモデルにも、ケースバックにはグレード5チタン製ソナーメダリオンが搭載されました。

出典:https://www.omegawatches.jp/

中央のシーホースからソナーが発せられているようなデザインは、オメガの深海へのチャレンジの歴史を物語るかのようです。

定価はラバーモデルが1,430,000円、オールO-MEGAスティールモデルが1,474,000円。チタン製モデルが1,573,000円。レギュラー生産であるため、今後の定番となってくれるのが嬉しいところです。

 

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2022年新作③ヴァシュロンコンスタンタン ヒストリーク222

ヴァシュロンコンスタンタン 2022年新作

出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

スペック

外装

ケースサイズ: 直径37mm×厚さ7.95mm
素材: イエローゴールド
文字盤: ゴールド

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.2455/2
パワーリザーブ: 約40時間

機能

防水: 50m
定価: 7,436,000円

創業1755年と、時計業界屈指の歴史を誇るヴァシュロンコンスタンタン。

近年では「ヒストリーク」と銘打った一大コレクションで、ヴァシュロンコンスタンタンが歴史的に手掛けてきた特筆すべきモデルを復刻しており、歴史と伝統を有する同社ならではの世界観を展開しております。

そんな中で2022年、ヴァシュロンコンスタンタンはこのヒストリークコレクションに、Ref.222を復刻させてきました。

Ref.222は今をときめく「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」のパイオニア的存在のうちの一つです。ラグジュアリー・スポーツウォッチにこれといった定義はありませんが、基本的にラグジュアリー・ブランドが手掛けるスポーツウォッチであること。スポーティーながら薄く上品なエレガンスも両立していること。ケースと一体型となったブレスレットを有していることなどが特徴として共通しています。

「ラグジュアリー・スポーツウォッチのパイオニア」と申しましたが、このジャンルが花開いたのは1970年代のことです。

1972年にオーデマピゲがロイヤルオークを、1976年にパテックフィリップがノーチラスをリリースしており、続いてヴァシュロンコンスタンタンが1977年に222を発表したといった時系列です。なお、この年はヴァシュロンコンスタンタンにとって創業222周年に当たるため、当リファレンスが付けられたようです。そのため前の2社のラグジュアリー・スポーツウォッチが定番モデルであったことに対し、ヴァシュロンコンスタンタンでは222本限定生産としていました。

ヴァシュロンコンスタンタン 222コレクション

※1977年に発表されたRef.222

ケース直径37mmとジャンボサイズである一方で厚みはわずか7mm。

当時、「薄型であること」には、きわめて優れた時計製造技術が必要でした。とりわけムーブメントを薄く設計することは難易度が高く、後年クォーツ式の高級スポーツウォッチ等が登場することとなりますが、1970年代に機械式時計で同ジャンルを確立していたのが現在でも世界三大時計ブランドに名を連ねる3社であることは、当然と言えるかもしれませんね。

 

前置きが長くなりましたが、ではこのRef.222がどのような時計だったのか。

ヴァシュロンコンスタンタン 2022年新作

出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

当時の雲上ブランドが手掛ける高級腕時計としては異例であったステンレススティール製で、かつブレスレットと一体型になっていることが大きな特徴です。

なお、前述したロイヤルオークとノーチラスはジェラルド・ジェンタ氏によってデザインされましたが、Ref.222はヨルグ・イゼック氏が手掛けました。

ヨルグ・イゼック氏はもともとロレックスのデザイン部門に所属しており、後にブレゲのマリーンやタグホイヤーのキリウム等を手掛けた名デザイナーです。長らく222もジェラルド・ジェンタ氏がデザインしたと囁かれていましたが、ヴァシュロンコンスタンタンから公式にヨルグ・イゼック氏の作品であることが発表されました。

Ref.222は薄型ラグスポとしてのデザインを確立していることはもちろん、120mという高い防水性を誇っていたことも特筆すべき点です。薄いケースはどうしても防水性が低くなる傾向がありますが、1970年代という早い段階から高い防水性を獲得していたのだから、ヴァシュロンコンスタンタンの時計製造技術の歴史を感じさせますね。

このほかにも当時の時計では珍しい無販社コーティング サファイアクリスタルガラスが採用されていたり、ダイバーズウォッチの回転ベゼルを彷彿とさせるデザインのねじ止めベゼルを搭載していたりと、最先端のスポーツウォッチであったことは間違いありません。

最も有名なRef.222はオールステンレススティール製ですが、イエローゴールド製やクォーツを搭載したレディースサイズの24mmモデル等も製造されました。いずれも上品な薄型ラグスポであること。ブレスレット一体型のケースであること。またケース5時位置にヴァシュロンコンスタンタンのシンボルであるマルタ十字があしらわれていたことが共通しております。

今でこそ熱狂的なファンを抱えるRef.222ですが、当時はまだ大ヒットを飛ばすような代物ではありませんでした。
そのため1980年代にRef.222は生産終了。ヴァシュロンコンスタンタンのスポーツラインは222から333、フィディアスへと移行し、1996年には現行で最も有名と言って過言ではないオーヴァーシーズがリリースされますが、同社のスポーツの根底にはRef.222があったと言って過言ではありません。

 

そして時代は下って2022年。

ヴァシュロンコンスタンタン 2022年新作

出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

いまだかつてないほどラグジュアリー・スポーツウォッチ人気が上昇し、かつ相場も熱を帯びている現在、ヴァシュロンコンスタンタンからRef.222がリバイバルされる運びとなったわけです。

しかしながら流行に流されないのが、ヴァシュロンコンスタンタンの大御所としての風格か(ヴァシュロンコンスタンタンはスポーツラインの多い昨今では珍しく、ドレスラインやクラシカルラインに力を入れていることからも、他社と一線を画しているのがおわかりいただけるでしょう)。

市場で熱狂を帯びているステンレススティール製モデルではなく、イエローゴールド製モデルとして新作を登場させたのです。

もっとも個人的にはイエローゴールドのRef.222が、ヴァシュロンコンスタンタンらしいラグジュアリー・スポーツウォッチとも感じますが(価格面はさておき)。

ヴァシュロンコンスタンタン 2022年新作

出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

基本デザインは往年のRef.222が踏襲されています。

薄型ケースと一体型になった薄いブレスレット、シンプルで視認性に優れた文字盤、舷窓のようなベゼル、そして5時位置のマルタ十字・・・恐らく実機からも、1970年代の古き良き時代の薄型のエレガンスを感じられることでしょう。

一方で最先端にリファインされた面も、当然あります。

ケース直径は変わらず37mmサイズですが、厚みがわずかに出て7.95mmとなりました。もっとも、かなりの薄型であることに変わりはありません。ケースはオリジナル同様にツヤ消しをメインに、随所にポリッシュ仕上げが施されたコンビネーションとなっておりますが、いっそうの洗練を獲得していることでしょう。

バックルはいっそう堅牢なトリプル・ブレード・フォールディング・クラスプに改良されることとなりました。なお、新作の防水性は50mとなっております。

 

またオリジナルはソリッドバックであったことに対して新作ではシースルーバックが採用されていますが、ムーブメントも変更が加えられることとなりました。

ヴァシュロンコンスタンタン 2022年新作

出典:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

オリジナルRef.222のムーブメントは、Cal.1120(または1121)が搭載されてきました。これは往年の雲上ブランドの薄型スポーツウォッチを底支えしたジャガールクルト製Cal.920がベースとなっており、オーデマピゲ ロイヤルオークやパテックフィリップ ノーチラスに用いられ、また現行ヴァシュロンコンスタンタンでも活躍している歴史的名機です。繰り返しになりますが1970年代当時は薄型設計の機械式時計、しかも自動巻きモデルを製造することはそうやすやすとできることではなく、ジャガールクルトのCal.920があったからこそラグジュアリー・スポーツウォッチが確立したと言って過言ではありません。

しかしながら新作Ref.222では、新たにCal.2455/2が搭載されることとなりました。

このCal.2455/2はヴァシュロンコンスタンタンが手掛ける薄型自動巻きムーブメントとなり、28,800振動/時のハイビート設計であり、かつパワーリザーブ約40時間を備えます。

オリジナルにはないシースルーバックから、「222」のエングレービングが入ったゴールド製ローターを鑑賞できるのも粋な計らいですよね。

なお、ヴァシュロンコンスタンタンは自社製ムーブメントに厳格なジュネーブシールを獲得することを義務のようにしていますが、このRef.222のムーブメントもまた例外ではありません。

 

ヴァシュロンコンスタンタン渾身のリバイバルRef.222の国内定価は税込7,436,000円です。

限定生産ではないとのことですが、近年のヴァシュロンコンスタンタン需要を鑑みれば、なかなか出回らないことは想像に難くありません。ラグジュアリー・スポーツウォッチのオーヴァーシーズを中心にヴァシュロンコンスタンタン需要が世界的に拡大しており、正規店では人気モデルは予約すら受け付けていない状況なのだとか。

大量生産とは無縁のヴァシュロンコンスタンタンが手掛ける、工芸品のようなスポーツウォッチRef.222であればやむなしか。

一度は実機を見て、腕に巻いてみたい。そう思わずにはいられない2022年の新作モデルの一つです。

 

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2022年新作④グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン

グランドセイコー 2022年新作 SLGT003

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja

スペック

外装

ケースサイズ: 直径43.8mm×厚さ12.9mm
素材: プラチナ
文字盤: スケルトン

ムーブメント

駆動方式: 手巻き
ムーブメント: Cal.9ST1
パワーリザーブ: 約72時間

機能

防水: 10気圧
定価: 44,000,000円

近年、国内外で人気を博すグランドセイコー。

2022年には新作見本市がWatches and Wonders Geneveの形式になってより初参加することとなりましたが、グランドセイコーは日本のみならず、世界を代表する高級時計ブランドとしての風格を見せつけました。それが、この「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」です。

特に時計や機構に詳しくなくとも、一目見てただごとではないと感じられるのではないでしょうか。

もっとも、この素晴らしきコンプリケーション(複雑機構)には前身があります。それは2020年、グランドセイコーが発表したコンセプト・ムーブメント「T0(ティーゼロ)」です。このT0は世界で初めてコンスタントフォースとトゥールビヨンを同軸上に一体化して組み合わせるという、高精度を求め続けてきた同社ならではの逸品でした(機構の詳細については後述)。

そして2022年には「コンセプトモデルから現実の腕時計へ」とし―グランドセイコー曰く、様々な匠(たくみ)が一丸となって―、このT0を実際の腕時計サイズまでに小型化。世にも精緻な複雑機構を直径43.8mm×厚さ12.9mmというサイズ感に収めることとなりました。

このサイズ感を実現したのは、T0をブラッシュアップしたキャリバー9ST1の功績です。サイズのみならず、精度面や見た目の美しさをも進化させるのだから、さすがグランドセイコーと言うべきか。

 

とは言え、そもそもコンスタントフォースとトゥールビヨンは何なのか。

簡単に解説すると、トルクの大小(ゼンマイがどの程度巻き上げられているか)にかかわらず、一定のエネルギー供給を実現するのがコンスタントフォースです。機械式時計は主ゼンマイを巻き上げ、それがほどける力を利用して時を刻む仕組みとなっていますが、チョロQなんかの動作を想定すると明白なように、ゼンマイは巻き上げ量が少なくなっていくほどエネルギーも小さくなっていきます。そのため機械式時計はゼンマイがフル巻きであれば安定した精度を保つことになりますが、現実世界ではなかなかそうもいきません。そこで時計の精度を司るテンプに一定のエネルギーを供給する仕組みを作り出すのがコンスタントフォースです。

ちなみに「トルクを一定にする」にはいくつかのやり方があるのですが、コンスタントフォースは主ゼンマイのトルクを別途小さい板バネ等に蓄え、このバネ等がもとに戻ろうとするエネルギーでテンプを動かすといった仕組みです。基本的に主ゼンマイがほどけ続けている限りは、このバネ等に力を送り続けているので、バネ等を介してトルクは一定になるといった考え方です。似た機構でルモントワールがありますが、これよりもコンスタントフォースはテンプに近い(あるいは内臓された)設計となっております。

グランドセイコー 2022年新作 SLGT003

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja

トゥールビヨンは脱進機をキャリッジに収め、キャリッジごと一定周期で回転させることでテンプにかかる姿勢差を解消し、精度誤差を抑えるための機構です。かの有名なアブラアン=ルイ・ブレゲ氏が開発した機構で、1801年6月26日に特許が取得されました。当時は懐中時計の時代であり、縦方向の姿勢差がテンプへの外乱となっていたのです。しかしながら現代腕時計にとってトゥールビヨンは必ずしも実用性を有しません(懐中時計の時代にも、姿勢差を解消するシンプルな方法は存在していました)。にもかかわらず現在トゥールビヨンは、非常に人気のある機構と言えます。なぜならキャリッジが回転するトゥールビヨン―仏語で渦―は、「観賞」に一種の愉悦を見出せるためです。一般的にトゥールビヨンのキャリッジは1分間に一回転しており、この動きとテンプの振動を融合して眺められる様は機械式の複雑機構ならでは。こういった機械の妙に魅力を覚える愛好家は少なくありません。こういった意味から、現代では各ブランドがトゥールビヨン製造に力を入れていると言えます。

そしてグランドセイコーでは、この二つの複雑機構「コンスタントフォース」と「トゥールビヨン」を、さらに同軸上に組み込むということをやってのけたのです。とりわけコンスタントフォースを設置する「位置」は安定的な精度にとってきわめて重要であったため、この一つの解をグランドセイコーは世界に提示したと言えます。

下の画像が、グランドセイコーが公開しているキャリバー9ST1の構成です。

グランドセイコー コンスタントフォーストゥールビヨン Kodo

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja

左の図がコンスタントフォースキャリッジ、右の図がトゥールビヨンキャリッジとなっています。

この世界初の機構を作り上げたグランドセイコーの目論見には、もちろん安定的な高精度の追求が前提としてあるのかもしれません。しかしながらその本丸はKodo(鼓動)です。

どういうことかと言うと、時計の心臓部にあたるテンプの動きと音を、余すことなく我々に伝えているためです。

キャリバー9ST1(およびT0)のベースはグランドセイコーのハイビートムーブメント9S65です。9S65は同社の基幹ムーブメントで、テンプは28,800振動/時(8振動/秒)のビート設計となっています。そのためキャリッジ内に収められたテンプも毎秒8振動を繰り返しており、トゥールビヨンキャリッジが滑らかに回転しています。さらに同軸上のコンスタントフォースキャリッジが追いかけるかのように1秒に1ステップずつ回転することで、初めての世界がそこには広がっているのです。なお、コンスタントフォースキャリッジのアームの一つにはルビーがセッティングされており、秒針代わりとして機能しています。

テンプのハイビートな振動音とコンスタントフォースの1秒ステップがともに奏でる音色によって、さながら温かな心臓の音を思わせる16ビートの刻音が耳に届くことも特筆すべき点です。

こういったコンスタントフォースやハイビート機はパワーリザーブが犠牲となることも多いのですが、グランドエイコーでは約72時間、コンスタントフォース作動時であっても約50時間の持続性を獲得しました。ちなみに文字盤8時位置にパワーリザーブインジケーターが搭載されております。

グランドセイコーではこの希代の鼓動をリリースするまでに、10年の歳月を経たと言います。

グランドセイコー 2022年新作 SLGT003

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デザイン面でも、世界のグランドセイコーとしての風格が随所に感じられます。

グランドセイコーでは文字盤側もだいたんにスケルトナイズしたようなデザインは初となりますが、コンスタントフォース・トゥールビヨン同軸機構によって奥行をいっそう感じられることはもちろん、あえて光を透過させることでグランドセイコーが近年のコンセプトの一つとしている日本伝統の美を実現しています。またパーツ一つひとつが丁寧に彫金・仕上げされることで、美しさと視認性を両立していることもミソですね。

さらにグランドセイコーが「伸びやかなアーチを描く」と表現するケース意匠はプラチナとブリリアントハードチタンを組み合わせてスタイリングされました。ブリリアントハードチタンとはグランドセイコー独自の高性能チタンです。これらの素材にザラツ研磨による鏡面仕上げおよびヘアライン仕上げをコンビネーションさせることで、グランドセイコーが得意とする、美しく輝く高級機が完成されています。

グランドセイコー 2022年新作 SLGT003

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja

前述の通り、これだけの複雑機構と丁寧な仕事が行われたパーツを組み込んで、直径43.8mm×厚さ12.9mmのケースサイズに落とし込んでいるのはさすがと言わざるを得ません。

ストラップには、日本古来の伝統技法である「なめし」と「漆塗り」を融合させた「姫路 黒桟革(くろざんがわ)」を採用。さらに上質なクロコダイルストラップも付属しています。

価格は4400万円、20本の限定生産。

世界初となるKodoによって、グランドセイコーはまた一つ世界に名を轟かせたと言えるでしょう。2022年の新作ウォッチの中でも、国産メーカーの大きな体動を感じられる一本です。

 

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2022年新作⑤パテックフィリップ コンプリケーション アニュアルカレンダー トラベルタイム Ref.5326G-001

パテックフィリップ 2022年新作

出典:https://www.patek.com/en/home

スペック

外装

ケースサイズ: 直径41mm×厚さ約11.07mm
素材: ホワイトゴールド
文字盤: グレー

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.31-260 PS QA LU FUS 24H
パワーリザーブ: 最大48時間

機能

防水: 30m
定価: 8,880,000円

世界最高峰の呼び声高いパテックフィリップ。2022年、そんなパテックフィリップの新作発表は例年以上に注目されたと言って良いでしょう。恐らく、時計業界以外からも。

なぜならパテックフィリップのスポーツライン・ノーチラスは、今や時計以外の意味合いを備えつつあるためです。と言うのも近年、高級時計ブランドを中心に、一部モデルへの需要が集中。過熱する人気によって定価以上の実勢相場を記録しており、ノーチラスはその代表格と言って過言ではありません。

定価3,872,000円のステンレススティール製ノーチラス Ref.5711/1Aが2018年を超えたあたりで定価の倍以上の実勢相場で売買されるようになり、2020年に白文字盤が、2021年に青文字盤が生産終了となるとさらに急騰。現在ではほとんど一般市場には流通せず、出たとしても2000万円超の高騰を記録していると言われています。

この急騰には、前述した「生産終了」が大きく寄与したことでしょう。とりわけ現在、伝統的に続いてきたステンレススティール製ノーチラスはレディースのみのラインナップとなっており、パテックフィリップの2022年新作モデルには、ノーチラス Ref.5711/1Aの後継機が出るのでは?と噂されていました。

実際にはノーチラスからは新作発表は行われていません。

しかしながら、もともとコンプリケーションウォッチにこそ一家言持ってきたパテックフィリップ。例年、他社とは一線を画す新機構や新デザインを生み出しており、世界最高峰の時計ブランドというポジショニングは伊達ではありません。

2022年にも、偉大なる新機構を生み出すこととなりました。時計愛好家にとってはあるいは、新型ノーチラス以上のセンセーションであったやもしれません。

その新作とはいったいどんな機構なのか。

パテックフィリップ初となる1/10秒単位での精密計測可能なモノプッシャー・クロノグラフも偉大なる発明でしたが、個人的なデザインの好みから、新作10傑としてはコンプリケーション アニュアルカレンダー トラベルタイム Ref.5326G-001をご紹介させて頂きます。

パテックフィリップ 2022年新作

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粗いテクスチャの文字盤に、経年で程よく焼けたような夜光、そして力強い針およびアラビアン・インデックスが古き良き時代のパイロットウォッチを彷彿とさせるこちら。一目で欲しい!と思える新作ではないでしょうか。

これまでパテックフィリップのヴィンテージらしい風合いというとサーモンピンク文字盤などがリリースされてきましたが、ここまで思い切りの良いデザインは大変珍しいと言えます。

ホワイトゴールド製ケースの意匠も独創的で、丸みを帯びたケースフォルムにシャープなラグを有し、そしてケースサイド部分にクル・ド・パリ装飾が施されました。

ちなみに同時リリースされた新作カラトラバでも同様のデザインコードが用いられました。カラトラバなどでベゼルにクル・ド・パリ装飾を施すことはありましたが、大胆にケースサイドに装飾することで思い切りの良い、しかし上品な高級時計として当新作は完成しています。

パテックフィリップ 2022年新作

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もっともRef.5326G-001の主役と言うと、新しい機構ではないでしょうか。この度パテックフィリップは、自社の十八番であるアニュアルカレンダーとトラベルタイムを併載させることに成功しました。

アニュアルカレンダーは年次カレンダーとも呼ばれるように、一年に一度、2月末日以外を除いてカレンダー送りが自動で行われる機構です。通常のアナログウォッチは大の月・小の月の区別を行わず、31日までない小の月はリューズを使って手動で日送りを行わなくてはいけません。パーペチュアル(永久)カレンダーと呼ばれる、18世紀には既に存在していた年間を通して手動での日送りの必要がない機構も存在しますが、これをよりシンプルにしたのがアニュアルカレンダーとなります。

1996年にパテックフィリップが特許を取得し、以降、他社でも普及していきました。ちなみにパーペチュアルカレンダーも、現在ポピュラーな機構はパテックフィリップが1889年に特許を取得しています。

パーペチュアルカレンダーはパーツが多く複雑になりがちなため、実用性はアニュアルカレンダーに軍配が上がると言って良いでしょう。

パテックフィリップ 2022年新作

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一方のトラベルタイムは、GMT機能のことです。アニュアルカレンダー発表と同年にあたる1996年、パテックフィリップはリリースしました。

GMTはお馴染みですね。単独稼働する針を持つことでローカルタイムの他、ホームタイム(第二時間帯)を表示させられるという、現在では多くのブランドからリリースされる人気機構です。一般的にはリューズを用いて針の操作を行いますが、1996年発表当時のトラベルタイムでは9時位置に搭載されたプッシャーによって針を単独稼働させる、という仕組みが採られました。さらにローカルタイムを対象としたポインターデイトや、ローカルタイム・ホームタイムの昼夜表示窓をも備える優れものです。

これまでアニュアルカレンダーやトラベルタイム、それぞれで別のコンプリケーションを搭載したモデルを、パテックフィリップではリリースしてきました。しかしながらアニュアルカレンダーとトラベルタイムの融合は初。思いついたとしても、実現は不可能ではないか、と思うのではないでしょうか。

なぜならアニュアルカレンダーを搭載させるとして、ローカルタイム・ホームタイムそれぞれで時刻操作が行われた時、アニュアルカレンダーのメモリもまたそれに対応させる必要があるためです。

多くの場合アニュアルカレンダーは一年の大の月・小の月の情報をインプットした専用ディスクによって、2月末日以外の自動日送りを可能としています。時間帯が頻繁に切り替わることで、アニュアルカレンダーもまたそれぞれで対応させなくてはならないためです。

しかしながらパテックフィリップでは今回の新作で、常に現地時間の正確な日付を示すことに成功したと言います。このために8件の撮許を取得したとのことですが、パテックフィリップがコンプリケーションの大家と言われる理由が垣間見えてきますね。

パテックフィリップ 2022年新作 アニュアルカレンダー×トラベルタイム

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この驚くべきコンプリケーションを担うのは新型自動巻きCal.31-260 PS QA LU FUS 24Hです。

自動巻きでありながらプラチナ製マイクロローターを搭載させることで、機械をよく鑑賞できるのも嬉しいですね。なお、このムーブメントはパーペチュアルカレンダーRef.5236Pにも搭載されたCal.31-260系がベースとなっています。

このコンパクトな自動巻きムーブメントによって、アニュアルカレンダー×トラベルタイムという二つの複雑機構を搭載していながら、ケース直径41mm×厚さ約11.07mmというスタンダードなサイズ感―さらに上品な薄型―を実現しました。ボックスサファイアクリスタルガラスによってレトロな雰囲気を強調させつつ、この薄さは大変魅力です。

パテックフィリップ 2022年新作

出典:https://www.patek.com/en/home

なお、当新作では針の単独稼働はリューズで行われ、またポインターデイトではなく6時位置にデイト窓が搭載されることとなりました。このデイトは前進・後進どちらも可能となっております。

さらにムーンフェイズや12時位置の曜日・月表示と複雑機構ならではの機能を有しながらも、整然としたレイアウトで視認性を確保しているのも素晴らしいですね。ローカルタイムとホームタイムの昼夜は、従来通り白と青で表示されます。

 

ストラップはベージュのスエード調カーフスキンベルトか、エンボス加工のテキスタイル仕上げが施されたベージュのカーブスキンベルトが付属しており、いっそうヴィンテージに磨きがかかります。

パテックフィリップとしては珍しいデザインコードながら、パテックフィリップらしい2022年新作コンプリケーションでした。

この実用性に富んだコンプリケーションは、実際に使って、装着してみていっそう感じられるのでしょうね。

 

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2022年新作⑥チューダー ブラックベイプロ Ref.M79470

チューダー 2022年新作ブラックベイ

出典:https://www.tudorwatch.com/ja

スペック

外装

ケースサイズ: 直径39mm
素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.MT5652
パワーリザーブ: 約70時間

機能

防水: 200m
定価: ブレス:455,400円/ストラップ:419,100円

ロレックスの廉価ブランドとして誕生しながらも、独自路線を突き進むチューダー(チュードル)。

とりわけ日本では2018年に本格進出が果たされて以降、市場でのシェアを急ピッチで拡大していき、幅広い層のファンを獲得していくこととなりました。

もともとチューダーはロレックスのパーツを用いながらも汎用ムーブメントを搭載することで、良心的な価格設定を実現してきたブランドです。さらにロレックスのとの関係性をインスパイアしつつ、独自のデザイン・コンセプトを基調としたブランディングでも名を馳せています。チューダーの魅力とは、ロレックスとのダブルネームという面白みを持ちながらも、一風変わったチューダーならではの独創性を有するところにあると個人的には思います。

 

そしてチューダーのフラグシップはブラックベイです。

ブラックベイはチューダーが1954年から製造しているダイバーズウォッチ「オイスタープリンス サブマリーナー Ref.7922」の系譜を引くコレクションです。

このオイスタープリンス サブマリーナ―はロレックスのサブマリーナからインスパイアされたコレクションでしたが、第二世代(1969年~)以降はチューダー独自のデザインが前面に押し出されているのがポイントです。とりわけイカ針(海外ではスノーフレーク針)やスクエアインデックス仕様は現行ブラックベイやぺラゴスにも続く、チューダーならではのアイコニックなデザインコードと言えます。

 

そして2022年、チューダーの「ロレックスとのダブルネームという面白み」と「チューダーならではの独創性」を見事に体現した、至極の新作がリリースされました。それが、こちらのブラックベイ プロ Ref.M79470です。

チューダー 2022年新作ブラックベイ

出典:https://www.tudorwatch.com/ja

ツヤ消し仕上げがメインとなった外装に直接24時間スケールが印字されたメタルベゼル、オレンジのヴィヴィッドな24時間針・・・精悍なこのスタイル、ロレックスを代表するコレクション・エクスプローラーIIの初代モデルRef.1655を彷彿とさせますね。

フチのないインデックスやエイジングで焼けたような風合いの夜光も、ロレックスのヴィンテージモデルの粋を感じさせます。

 

一方で時分秒針、そして24時間針にはチューダー伝統のイカ針を用いることで、チューダーらしさも存分に楽しめる仕様となっております。

さらにチューダーの上手いところは、ケースサイズを39mmに抑えたところです!

チューダー 2022年新作ブラックベイ

出典:https://www.tudorwatch.com/ja

長年メンズのスタンダードと言うとケース直径40mmオーバーであったものです。ちなみに初代エクスプローラーIIのケース直径は40mm、現行は42mmです。

しかしながら近年、従来よりもやや小さいアンダー40mmケースが流行りつつあるという事実もあります。そこでチューダーでは2018年よりブラックベイに「ブラックベイ58」と呼ばれる、39mmサイズのコレクションを加えることとなりました。これが大ヒットを遂げており、今なお正規店では品薄状態が続いています。

そんな時代のニーズを反映して39mmサイズが採用されたブラックベイ プロ、もう素晴らしさしか感じません。カッコいいに決まっています。

ドーム型のサファイアクリスタルベゼルや視認性もデザイン性も優れるブラックダイアルを有しており、ヴィンテージのテイストを巧みに最先端デイリーウォッチに取り込むこととなりました。

チューダー 2022年新作ブラックベイ

出典:https://www.tudorwatch.com/ja

「最先端」と申しますのは、搭載ムーブメントCal.MT5622に理由があります。

これは2018年に登場していたブラックベイGMTにも搭載されたチューダーのマニュファクチュールムーブメントです(ちなみにこのブラックベイGMTも品薄モデルの代表格です。さすがに発表から4年目となり出回りは増えてきたとは言え、絶大な人気を誇っています)。チューダーでは2015年以降、自社ムーブメントの開発に意欲的に乗り出していきますが、MT5622は複雑機構機としてはブライトリングと共同開発したクロノグラフMT5813に次ぐ第二弾。COSC認定の高精度、シリコン製ヒゲゼンマイを搭載したことによる耐磁性能、約70時間の十分なパワーリザーブと、優れた性能を有した銘ムーブメントとなっております。

こういった自社製ムーブメントを使ったモデルは、近年高額になりがち。しかしながらチューダーのさらなる魅力は「良心的な価格設定」。

2022年の新作ブラックベイ プロも、メタルブレスモデルで455,400円、ストラップモデルで419,100円の国内定価に抑えられているのは、本当にさすがチューダーと言わざるをえません。

既に国内入荷が始まっているようです。

デザイン・性能・価格帯の優等生と言える当新作モデル、争奪戦は必至か!?

 

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2022年新作⑦カルティエ マス ミステリユーズ

カルティエ 2022年新作

出典:https://www.cartier.jp/

スペック

外装

ケースサイズ: 直径43.5mm×厚さ12.64mm
素材: プラチナ
文字盤: スケルトン

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.9801MC
パワーリザーブ: 約42時間

機能

防水:
定価: 32,500,000

ジュエラーとしての印象も強いですが、カルティエは紛れもないウォッチメーカーです。

20世紀初頭、本格腕時計の黎明を担ったサントスやアイコニックなタンクを始め、数々の名ウォッチを世に送り出し続けてきました。ちなみにこのサントスにも搭載されたデプロワイヤントバックルは、ストラップを強固に留める機構ですが、1909年と非常に早い段階でカルティエによって特許申請がなされています。まだ懐中時計が主流であった当時において、腕時計としての基本機能をしっかりと備えていたこと。他のウォッチメーカーに先駆けてこれを行っていたことは、カルティエが既に時計製造においても一歩先んじていたことを示唆します。

2010年には自社製ムーブメントを発表し、メンズ専用ラインも展開。時計としても、独創的かつエレガントな装飾品としても、カルティエは男女問わず世界で愛され続けているウォッチメーカーと言えます。

 

そんなカルティエの中でも異色の逸品「ミステリークロック」をご存知でしょうか。

ミステリークロックとはジャン・ウジェーヌ・ロベール=ウーダンというマジシャンによって、19世紀に誕生した機構です。普通、針はムーブメントに取り付けられているのですが、ミステリークロックではこのムーブメントと針が連動している様が外装からは見えず、まるで針だけが浮いているように見えることが大きな特徴です。このミステリークロックをカルティエでは1912年、置き時計の「モデルA」として発表。以降、いくつかの歴史的なミステリークロックの製造に成功しました。

2013年には、このミステリークロックを腕時計で実現させます。

ミステリークロック自体、多くのブランドが製造できるという代物ではなく、非常に高度な設計力と時計製造技術を有すると言われています。

しかしながらさらにカルティエでは2022年、なんとローターとして活用されるムーブメントを搭載しつつも、針は浮いて見えるという驚異のミステリークロックを打ち出してきたのです。

カルティエ 2022年新作

出典:https://www.cartier.jp/

搭載されるCal.9801 MC、いったいどんな仕組みになっているのかはわかりませんが、通常の自動巻き時計のローターのように、腕の動きに合わせて回転を行います。しかしながら、針はまったく動いていないように見受けられます

繰り返しになりますが、針はムーブメントに取り付けられます。にもかかわらずムーブメント全体が動いているように見えるこのマス ミステリユーズは針は変わらず端座しており、いかに凄まじい逸品であるかがおわかり頂けるのではないでしょうか。

ちなみにこのCal.9801 MCは自動巻きですが、この回転はゼンマイ巻き上げのみならず、トゥールビヨンのように重力の影響を分散させ、姿勢差による精度誤差を解消する効果が狙われているのだとか!ただ精度を追求するのみならず、機構としての面白みを誰にもわかるように表現できるカルティエの時計製造技術の凄まじさには恐れ入ります。28,800振動/時というハイビート設計も、高精度を訴求した結果でしょう。

なお、カルティエではこのムーブメントの開発に8年の歳月をかけたと言います。

カルティエ 2022年新作 マスミステリユーズ

出典:https://www.cartier.jp/

カルティエらしく、上品なローマ人デックスにリューズのにルビーカボションを添えるという、デザイン面での完成度の高さも当新作の見どころです。
プラチナ製ケースは鏡面仕上げで高級感を醸しており、特別なウォッチであることを存分に知らしめてくれていますね。

まさに「ミステリー」というにふさわしい、最大の謎とワクワクを秘めた2022年新作ではないでしょうか。

なお、価格は32,500,000円、世界限定30本生産となっております。

 

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2022年新作⑧タグホイヤー アクアレーサー スーパーダイバー1000

タグホイヤー 2022年新作

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

スペック

外装

ケースサイズ: 直径45mm
素材: チタン
文字盤: ブラック

ムーブメント

駆動方式: 自動巻き
ムーブメント: Cal.TH30-00
パワーリザーブ: 約70時間

機能

防水: 1000m
定価: 786,500円

タグホイヤーと言うと、カレラが有名かもしれません。実際、当店GINZA RASINで最もよく売れるタグホイヤーの人気モデルと言うと、ぶっちぎりでカレラとなります。

しかしながらタグホイヤーの魅力は、バランスの良いコレクション展開です。フラグシップのカレラ内でも豊富にバリエーション展開しておりますが、ヴィンテージテイスト極まる「モナコ」やレーシーなデザインと良心的な価格設定で幅広い年齢層から指示を集める「フォーミュラ1」、さらにはコネクテッドウォッチなど、コレクションごとでターゲティングを変え、幅広い「時計好き」に刺さるブランディングを巧みに行ってきました。時計を初めて購入する方からも、時計好きからも人気の高いタグホイヤーは、こういった巧みなマーケティングと高いデザイン力・時計製造力の三種の神器を有しているからではないでしょうか。

 

そんなタグホイヤーのダイバーズウォッチラインが「アクアレーサー」です。2004年から続く人気コレクションで(前身は1978年に発表されたRef.844)、ダイバーズウォッチのコンセプトとタグホイヤーのレーシーさが融合した、唯一無二のスポーツウォッチとなっております。

そして近年、タグホイヤーはこのアクアレーサーを意欲的に刷新してきました。2021年はアクアレーサー プロフェッショナル300として、デザインをモダナイズ。ケースやベゼル、ブレスレットがスリム化し、いっそうの洗練をまとうこととなりました。

一方で経年や傷・変色に強いセラミック製ダイビングベゼルを採用。しかもこのベゼルは操作性がよりスムーズになっていることが特徴です。さらに広角とすることで日付を読み取りやすくしたサイクロップレンズや最大1.5mmの微調整可能なバックルを備えるなど、デザイン面のみならず機能面もアップデートを果たしました。

 

2022年には、さらに驚きの新型アクアレーサー スーパーダイバー1000が発表されるに至っています。「驚き」と言える理由は、大きく分けて三つあります。

タグホイヤー 2022年新作

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

驚きの一つ目は、1000mというきわめて高い防水性を搭載していることです。

アクアレーサーは200mまたは300mの防水性が定番となっていましたが、これを大きく超越するハイスペック機を打ち出してきたことを意味します。

1000mの防水性に合わせて、ケース直径も45mmと大型化(これまでのメンズモデルは36mm、40mm、41mm、43mm)。さらに独特なリューズガードが見て取れますが、これはねじ込み式リューズのねじ込み忘れ防止システム!ねじ込み式リューズの閉め忘れは水中のみならず、日常生活でもムーブメントにゴミや湿気を取り入れてしまいます。そこでタグホイヤーはリューズをブラックDLCコーティングし、さらにクラウンチューブ周りにオレンジのシールを貼り付けました。これによってリューズのねじ込みが行われているかどうかが目視できるというわけです。

タグホイヤー 2022年新作

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

さらに9時位置には飽和潜水に欠かせないヘリウムエスケープバルブが搭載されており、より深い地点でのダイビングが想定されています。

※ヘリウムエスケープバルブ・・・減圧症等を防ぐため、より深い地点でのダイビング前に人体をあらかじめ高圧酸素・ヘリウム混合ガスで飽和させておく手法を飽和潜水と呼びます。この飽和潜水の際、加圧・減圧時にヘリウムが時計ケース内部に入り込んでしまい、内外に圧力差を生じさせることがあります。これを防ぐため飽和潜水を想定したダイバーズウォッチにはヘリウムを逃すための可動式バルブが搭載されています。

 

ちなみにタグホイヤーではヘリウムエスケープバルブにもブラックDLCコーティングを施しているため、デザインに統一感が出ていますね。

タグホイヤー 2022年新作

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

暗所での視認性を確保するためのスーパールミノバなどといった、本格ダイバーズウォッチのための機能を十二分に有するアクアレーサー スーパーダイバー1000。

しかしながら驚きの二点目は、厚みがわずか15.75mmに抑えられていることにあります。これこそが、2022年新作10傑に加えるべき大きな理由です。

1000m超えのダイバーズウォッチともなると、ケース厚18mm前後となることも珍しくありません。タグホイヤーらしくタウンユースに適用した洗練性を備えているのも、当新作の大きな魅力となっております。

さらにチタン製ケース・ブレスレットであるため、軽量で扱いやすいことも特筆すべき点です。

(もっとも、しっかりとした厚みやずっしりとした重みをもつダイバーズウォッチも、ハイスペックならではの魅力を有していると言えますが)

タグホイヤー 2022年新作

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

オレンジが随所で差し色になっていること。また文字盤にはサンレイ仕上げが施されており、ラグジュアリーなテイストも健在です。

 

さらに驚かされた三点目は、新しい自動巻きムーブメントCal.TH30-00を搭載していることです。

なぜ驚きかと言うと、このムーブメントはケニッシ製なのです。

ケニッシとは前述したチューダーが設立した自動巻きムーブメント専業メーカーです。ブライトリングも協業しており、かつ2019年にはシャネルがケニッシの株式を20%取得したことで、この三社に信頼性高いムーブメント供給を行ってきました。

このケニッシのムーブメントを、タグホイヤーでもまた採用するに至ったというわけです。

タグホイヤー 2022年新作

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

COSC認定の高精度に加えて約70時間のパワーリザーブを有しており、内外ともに完成されたダイバーズウォッチに仕上がったと言えますね。

 

国内定価は786,500円。

タグホイヤーの中ではハイエンドに位置づけられますが、1000mという防水性、チタンケース・ブレスレット、そして新しいムーブメントを備えていることを鑑みれば、むしろお得感の高い価格設定と言えますね。

 

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2022年新作⑧カシオ G-SHOCK MR-Gコレクション Ref.MRG-5000

MRG-B5000

出典:https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/

スペック

外装

ケースサイズ: 縦49.47mm×横43.2mm×厚さ12.9mm
素材: チタン
文字盤: 液晶ディスプレイ

ムーブメント

駆動方式: タフソーラー
ムーブメント: Cal.TH30-00
時刻表示: マルチバンド6

機能

防水: 20気圧
定価: 396,000万円/462,000円

みんな大好きG-SHOCK。

1983年の誕生以来、「タフネス」を強みに、世界中のあらゆるシーンで携行されていくこととなります。現在の時計好きも、入り口はG-SHOCKだったという方は少なくないでしょう。

もっともG-SHOCKと言えば、カジュアルなイメージが強いものです。樹脂製ケースで実現された耐衝撃構造は比較的お求めやすい価格帯であったことも魅力ですが、一方でビジネスシーンでの相性はあまり良くない、などといった声もありました。

しかしながらカシオでは「メタル」を素材として扱ったハイエンドG-SHOCKの拡充にも力を入れてきました。その代表格がMR-Gコレクションです。

 

MR-Gコレクションもまた、G-SHOCKを代表するロングセラーです。

1996年、これまで不可能とされてきたメタル素材での耐衝撃構造の実現によって誕生したMR-Gのコンセプトは、大人のためのG-SHOCK。スーツスタイルにもマッチする高級機としてのG-SHOCKとして、高級感とタフネスが見事融合されました。

もっともMR-Gコレクションは、ラウンドフォルムに太く力強い時分針を搭載したアナログ表示が一つの特徴でした。しかしながら2022年、G-SHOCKと聞いて多くの方々がイメージするであろう、スクエア型のMR-Gコレクションが新たに追加されることとなったのです。

それが、こちらの2022年新作MRG-B5000です。

MRG-B5000

出典:https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/

これは、1983年に発表されたG-SHOCKの初号機「DW-5000C」、通称5000系をリバイバルした新作となります。ブラックDLC処理が施されたブラック基調のMRG-B5000B、そしてチタンカーバイト処理が施されたシルバーが美しいMRG-B5000Dの二種がラインナップされています。

どちらもディスプレイにはレンガパターンやレッドラインがあしらわれており、1980年代の往年のレトロフューチャーを感じますね!

もっとも5000系のフルメタル化は既に2018年に行われていました。しかしながら最高峰のMR-Gコレクションに追加されたことで、いっそう高級機としての風格をG-SHOCKはまとったと言えます。

G-SHOCK曰く「不変のカタチに、こだわりのクオリティを。先進技術と匠の技が生んだNEW MR-G」。このコンセプト通り、カシオの強みである最先端テクノロジーと職人技が存分に注ぎ込まれた、至極の新作となっております。

まず何よりも素晴らしいのが外装仕上げです。

MRG-B5000

出典:https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/

G-SHOCKは形状が複雑なため、仕上げや装飾はかなり難易度が高いと見て取れます。初号機のようなスクエア型だと、なおさらでしょう。

そこでカシオではケース・ブレスレットを構成するパーツを細分化。これによって細かな部分にまで丁寧な仕上げを施すことに成功しました。ちなみにどれくらい細かくなったかと言うと、ベゼルだけで25個のパーツで構成されているとのこと!

MR-Gコレクションは山形カシオと呼ばれる、カシオのマザー工場で製造されています。ここは高級機を中心に手掛けており、オートメーションラインでは対応しきれない「精密な針付け」「丁寧かつ高度な仕上げ」を担う熟練の職人が常駐していると言います。

この職人らによって一つひとつのパーツは仕上げられ、組み立てられ、美しい外装をまとっているのでしょう。

実際、当新作のみならずMR-Gコレクションは、鏡面仕上げとツヤ消し仕上げのコンビネーションによって立体感を備えており、ワンランク上の風格を伴います。ちなみに仕上げにはグランドセイコーやミナセといった国産高級メーカーが得意とするザラツ研磨を採用しています。

MRG-B5000

出典:https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/

さらにこの新しいMRG-B5000を実現するため、耐衝撃構造もアップデートされました。それがマルチガードストラクチャーです。

従来フルメタル5000等では、ケース内部とモジュール間にファインレジン製緩衝材をサンドイッチすることで衝撃吸収を担ってきました。一方の新作MRG-B5000では、ベゼルのパーツが細分化されており、一体成型構造ではありません。そのため同様の手法は採ることができなかったようです。

そこでマルチガードストラクチャーとして、T字バーと板バネを組み合わせた四隅(2時・4時・8時・10時位置)のサスペンションパーツ(ショック・アブソーバー)を新たに組み込みました。このサスペンションパーツが衝撃・振動を吸収し、G-SHOCKならではのタフネスを実現しています。なお、ケースサイドなどといった各所にシリコン緩衝体を用いていることも特徴です。

MRG-B5000

出典:https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/

加えてトップベゼルに、コバリオン(COBARION)なる新素材を用いていることも特筆すべき点です。

このコバリオンとは、日本の東北大学金属材料研究所の千葉晶彦教授が株式会社エイワとの共同で開発した特殊素材です。純チタンの約4倍の硬度を持つ一方でプラチナに匹敵する輝きを有していることが大きな特徴となり、まさにG-SHOCKのタフネスと美の融合を担保してくれる立役者です。ニッケルをほとんど含まないため、耐金属アレルギー性も認められています。

高高度な素材はその分加工や仕上げが難しいものですが、カシオでは長年培ってきた時計製造技術で以て、これをG-SHOCKに採用することに成功しました。

なお、カシオの注釈によるとコバリオンは、公益財団法人いわて産業振興センターの登録商標で株式会社エイワのみが製造を担っているとのことです。

MRG-B5000

出典:https://gshock.casio.com/jp/products/mr-g/mrg-b5000/

さらにバンドには、やはり新素材となるDAT55Gが採用されました。

DAT55Gはチタン合金です。しかしながら純チタンの約3倍の硬度を誇るとのこと。ゴルフのドライバー等で用いられているとのことですが、腕時計での採用ということに、これまた驚かされますね。ちなみにこのDAT55Gも開発は日本の大同特殊鋼株式会社です。

ケース・裏蓋・プッシャーは64チタンとなっており、細部に至るまで硬度と軽量性が配慮されました。

価格はシルバー基調のMRG-B5000Dが396,000円、ブラック基調のMRG-B5000Bが462,000円と、決して安価ではありません。

しかしながら大人のためのG-SHOCKとして、そしてカシオのこれまでの進化と伝統を体現した至高の銘品として、2022年を代表する腕時計の一つと言えます。

 

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2022年新作⑩ウブロ スクエア・バン ウニコ

ウブロ 2022年新作

出典:https://www.hublot.com/ja-jp

スペック

外装

型番: 821.NX.0170.RX他
ケースサイズ: 直径42mm
素材: チタンまたはキングゴールドまたはセラミックス
文字盤: スケルトン

ムーブメント

ムーブメント: Cal. HUB1280
駆動方式: 自動巻き
パワーリザーブ: 約72時間

機能

防水: 10気圧
予価: 2,684,000円~(税込)

最後にご紹介するのは、ウブロの新コレクション「スクエアバン」です!

ウブロと言えば、まずビッグバンが思い浮かぶことでしょう。2005年に誕生したコレクションで、多層構造のケースに異素材を随所に用いた外装、そしてラバーストラップの組み合わせが非常にアイコニック。すぐに大ヒットを飛ばし、ウブロの名を大きく広めることとなりました。

ウブロは例年意欲的に新作発表を行っています。しかしながら基幹モデルに大きなテコ入れを加えることはそう多くはなかったのですが、最近ではラグスポを思わせる「ビッグバンインテグラル」等、魅力的な新コレクションでラインナップを華やがせてきました。

 

そんなウブロ、2022年にはさらなる新境地に到達しています。

3針の「タイムオンリー」も捨てがたいですが、2022年新作10傑のトリとしては、スクエアケースの新たなるビッグバンを取り上げます。

ウブロ 2022年新作

出典:https://www.hublot.com/ja-jp

そう、ビッグバンの多層構造や異素材の組み合わせと言ったアイデンティティはそのままに、ケースが正方形へと変化しているのが、新しいコレクションの大きな特徴です。スクエアバンの名の通りですね。

スクエアケース自体は他ブランドでも製造されています。ビッグバンは多層構造を持っていること。またシースルー文字盤を採用していることなどから、多くの調整が必要であったとウブロは語ります。これまでトノー型のスピリット オブ ビッグバンやコンセプトウォッチのMP(マスターピース)コレクション等も展開してきましたが、スクエアケースが採用されたことで、また独創性に拍車がかかったと言えるでしょう。

ビッグバンらしくケース上下にプレートが存在し、また張り出したビス留めベゼルも立体感を強調しています。

ウブロ 2022年新作

出典:https://www.hublot.com/ja-jp

なお、ベーシックなビッグバンはケースサイズは直径45mm・44mm・42mmですが、スクエアバンでは42mmが展開されています。

針はビッグバンと同一です。

またムーブメントには2018年から小径ケースに採用されてきた、ウブロ社製「ウニコ2」のCal.HUB1280が搭載されました。

パワーリザーブ約72時間と高い実用性、そして信頼性を備えます。厚みが抑えられているため、よりスタイリッシュな印象を醸し出しております。

なお、ビッグバン ウニコ同様に文字盤・裏蓋側がスケルトナイズされていますが、「魅せる」ためのムーブメントとして各パーツが仕上げられていること。またモデルによって色調が変更されていることも特筆すべき点です。

ウブロ 2022年新作

出典:https://www.hublot.com/ja-jp

新作スクエアバンでは、計6種のバリエーションがラインナップされました。

ベーシックなチタン製またはチタン×セラミックモデル。それぞれの国内定価は2,684,000円、後者が2,816,000円です。またラグジュアリーなキングゴールド製が5,016,000円で、同素材にセラミックベゼルを載せたモデルが4,653,000円での販売となりました。

 

さらに精悍なオールブラックモデルも追加されています!250本限定生産とのことですが、これは必見のクール・テイスト!

ウブロ 2022年新作

出典:https://www.hublot.com/ja-jp

「オールブラック」は時計業界のトレンドの一つですが、ウブロは内部のムーブメントもしっかりと黒基調とすることによって、統一感のあるブラックスタイルに完成させています。ウブロはとにかくデザイン性に優れたブランドですが、その強みを存分に感じられるのがオールブラックモデルではないでしょうか。

 

全てのモデルにはチョコレート・スクエア装飾が施されたモールド加工のラバーストラップが搭載されています。

新たなるスタンダードとして、スクエアバンは今後ウブロの顔を張っていくことでしょう!

 

 

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まとめ

2022年に各社から発表された新作モデルのうち、特筆すべき10選をご紹介いたしました!

技術進歩や市場拡大が追い風となってか、時計業界の新作は年々華やかになっていっております。そのためいずれも甲乙つけがたく、好みやタイミングによって、10選の顔触れはまた変わってくることでしょう。

いずれの新作も、早く実機を見たくて見たくて仕方ありません。

当店GINZA RASINでも、入荷を頑張ってまいります!

文:鶴岡

 

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この記事を監修してくれた時計博士

田中拓郎(たなか たくろう)

株式会社羅針 取締役
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター

当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年

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