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東京 銀座で人気の高級腕時計ランキング。1位はロレックス、2位は?
最終更新日:
「人気の高級腕時計が知りたい」
「世の中の腕時計のトレンドはどうなっているの?」
ラグジュアリー市場の拡大とともに、テレビや雑誌などの各メディアでも取り上げられることが増えてきた高級時計ブランド。
人気の高い高級腕時計が知りたい人は多いのではないでしょうか。
人気の高級腕時計は価格に関係なく売れています。
この記事では人気の高級腕時計をGINZA RASINの売上本数をもとに紹介します。
各モデルの人気の理由も解説していますので、高級腕時計のご購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
人気の高級時計ランキング 第10位 オーデマピゲ
東京 銀座の高級時計専門店GIZA RASINで2023年に最も売れたブランドランキング、第10位はオーデマピゲです!
「売上本数」ベースとなると、上位にくるブランドに高価格帯は少なくなります。
しかしながらオーデマピゲは、パテックフィリップ・ヴァシュロンコンスタンタンとともに世界三大時計ブランドに名前を連ねる超名門。その美しい仕上げや作り込みの高さから、お値段もまた雲上級となります。しかしながら数あるブランド時計を抑えてTOP10に入っているところから、いかに人気の高いブランドであるかがおわかり頂けるのではないでしょうか。
ちなみに「売上金額」ベースでは、第3位となりました。
そんなオーデマピゲがどのようなブランドかと言うと、1875年にスイスで創業した老舗時計メーカーです。
1892年に当時としては世界最小のミニッツリピーターを、1921年にはジャンピングアワーを、1986年には超薄型自動巻きトゥールビヨンを製造するなど、複雑機構(コンプリケーションウォッチ)の名手としても名を馳せていきます。しかしながら近年最も世間の耳目を集めているのがラグジュアリー・スポーツウォッチ―通称ラグスポ―の分野ではないでしょうか。
ラグジュアリー・スポーツウォッチに決まった定義はありませんが、基本的にはラグジュアリーメゾンが手掛けるスポーツウォッチです。また、スポーツウォッチでありながらも薄型上品なケース・ブレスレットを有し、これらがアクセサリーのようにシームレスに一体化していることも特徴の一つとなります。
このラグジュアリー・スポーツウォッチのパイオニア的存在こそが、オーデマピゲです。
1972年、かの有名なジェラルド・ジェンタ氏によるデザインのもと、「ロイヤルオーク」が世に輩出されました。
オーデマピゲのような超高級時計ブランドが手掛けたステンレススティール製のスポーツウォッチ―もちろん、名門ならではの価格と出来栄えで―は、当時時計業界で驚きを以て語られることとなります。しかしながら人気を確立するのに時間はかからなかったことは、後年ロイヤルオークをベンチマークしたスポーツウォッチを各社が製造したことからも伺い知れますね。
そんなオーデマピゲの中で2023年、最も売れた時計はやはりロイヤルオークでした。リファレンスは15300ST.OO.1220ST.03です。
ロイヤルオーク 15300ST.OO.1220ST.03
ケースサイズ:直径39mm×厚さ約9.4mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3120/パワーリザーブ約60時間
防水性:50m
ちなみに15300STは、2005年~2012年まで製造されたロイヤルオークで、現行から数えると先々代となります。
2012年のモデルチェンジでケース直径は41mmとなるものの。、15300STは若干サイズダウンする39mm。近年では小径ケースが流行っているため、あえてこちらを選ぶ方も少なくありません。
もっともこれは、現行が人気がないということは意味しません。
むしろオーデマピゲは近年、きわめて品薄となっており、並行輸入市場ですら人気モデルを見つけるのが難しい状態です。
これは新型コロナウイルスの影響で国際間の物流に影響が出ていること。一方で経済活動は再開していることから時計・宝飾品需要がきわめて高まっていること。この需要の中でもオーデマピゲに対するものが、メーカー供給や流通を遥かに上回るものであることが、その背景として挙げられます。
各業者間ではロイヤルオークを中心に争奪戦が起きており、これに伴い実勢相場が急騰を続けています。
文字盤カラーや個体ごとの状態にもよりますが、現行15500STは中古価格でも600万円以上の値が付いています。ちなみにブルー文字盤のRef.15500ST.OO.1220ST.01は850万円前後~・・・!先代のRef.15400STも500万円を切ることがなかなかなくなってきました。Ref.15300STもまた、これに追随する形です。
こういった相場感にもかかわらず買い控えの傾向は薄く、「売上本数」ベースに見ても、TOP10にランクインするに至りました。
人気の高級時計ランキング 第9位 パテックフィリップ
第9位はオーデマピゲと同じく世界三大時計ブランドに数え上げられるパテックフィリップです!ちなみに売上金額では第2位となります。
オーデマピゲの項でも言及した通り、こういった超高級時計ブランドが本数で他社よりも人気を獲得するというのは驚嘆に値します(もちろん売れ筋ゆえに、仕入れに力を入れているというのもありますが)。
パテックフィリップは世界三大時計として語られるとともに、世界最高峰の呼び声もまた高いブランドです。
1839年に創業されていますが、1932年に現在の経営一族にあたるスターン兄弟が同社の資本を引き継ぎ、パテックフィリップ S.A.の社名に至りました。
パテックフィリップがなぜ世界最高峰と言われるか。
それは、頭一つ抜きんでた時計製造技術と卓越した審美眼によって編み出される、至高の高級時計の名手であるから>に他なりません。シンプルなドレスウォッチから製造するだけで難しいと囁かれる超絶複雑機構搭載モデルまで、マニュファクチュール(自社一貫製造)のもと、傑時計作の数々を連綿と世に送り出し続けてきました。
ちなみにパテックフィリップでは創業170周年を迎えた2009年よりパテックフィリップ・シールという独自の品質規格を導入しています。
これは時計の工業規格の中でもきわめて厳格なジュネーブ・シールに準拠するもの。そしてジュネーブ・シールは最高級スイス時計を象徴する存在となります。
もっともパテックフィリップ・シールは後者を準拠するばかりではなく、これを凌駕し、ムーブメントやケース,文字盤にといった時計の細部からアフターサービスに至るまでを対象に徹底した条件を課して認定機とする「最高水準」規格。
パテックフィリップの、品質に関する徹底したこだわりを象徴するトピックの一つと言え、この品質ラベルとしてムーブメントに「PP」のエングレービングが施されます。
ちなみにローター部分にエングレービングされた十字はカラトラバ十字と呼ばれ、パテックフィリップのエンブレムとなります。
※カラトラバ十字・・・剣と十字架(4つの百合の花)を組み合わせたロゴで、12世紀頃、スペインで初の戦争騎士団の名前に由来。
パテックフィリップではカラトラバ十字の美しさと併せてスペイン騎士団の勇気と独立、そして礼節の志を同社の指針と重ねて、19世紀よりこのロゴを採用しているのだとか。なお、この十字は、アイリスの仲間の花をモチーフにしているため百合十字とも呼ばれます。
そんなパテックフィリップもまた、ラグジュアリー・スポーツウォッチの人気急上昇が目覚ましいブランドでもあります。
それは、1976年に誕生したノーチラス。オーデマピゲ ロイヤルオークと同様にジェラルド・ジェンタ氏によってデザインされました。
ノーチラスはステンレススティール製モデルの5711/1Aが2021年に生産終了したことから、現在では1000万円をゆうに超える金額で売買されているという、狂騒的な相場感を描いています。
さらに1997年に新たなるスポーツラインとして登場したアクアノートもまた人気が急騰し、定価3,586,000円(ブレスモデルの場合)のところ、800万円前後が当たり前といった状況です。5167/1A-001や5065A-001といった定番どころは当店でもよく売れています。
アクアノートは「シンプルなカラトラバ」と「スポーティーなノーチラス」の中間といった表現をされることもあり、スポーティーでありながらもドレッシーといった側面を持ちます。ノーチラスとはまた違ったスタイリッシュなフォルムが良い!という時計愛好家は多数です。
そんなパテックフィリップですが、2022年に最も売れたモデルはカラトラバでした。リファレンスは 3919J となります。
カラトラバ 3919J
ケースサイズ:直径33.0mm×厚さ6.5mm
素材:イエローゴールド
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻きイエローゴールド
ムーブメント:Cal.215 /パワーリザーブ
防水性:30m
パテックフィリップにおいて最も人気を博したモデルはカラトラバの名作 3919Jです。
2022年はオーデマピゲと同じく、パテックフィリップも旧型の需要が高まっています。
ちなみに「カラトラバ」は丸型時計の規範あるいはドレスウォッチの手本などとも称される、パテックフィリップのフラグシップモデルです。
薄型で上品なデザインが何よりの魅力で、「永世定番」「ラウンドウォッチの模範」とまで称されます。
カラトラバはリファレンスに96がつく通称クンロク系が人気ですが、広告イメージにも採用されたことのある3919Jの人気も絶大です。
細いラグ、鋲打ち(びょううち)模様と言われるホブネイルパターンが施されたベゼルなど、クラシカルの極みともいえる美しいデザインが時計愛好家の心をつかみました。
妥協を許さないパテックフィリップの姿勢ゆえか、同社製品はどのモデルも本当にお問合せが多く、また売買が活発となっております。
2022年や2023年のみならず、永世定番の人気モデルであり続けていくことでしょう。
人気の高級時計ランキング 第8位 パネライ
2022年人気の高級時計ブランドランキング、第8位はパネライです!
1860年、イタリア フィレンツェで時計店を創業した同社は、20世紀以降は長らくイタリア海軍御用達メーカーとして精密機器を開発・製造していました。
1916年に夜光塗料「ラジオミール」を開発。その後1936年にロレックス社の協力のもと軍用ダイバーズウォッチを製造したことで、イタリア海軍―とりわけ特殊部隊―との関係性は密になっていきます。冷戦下でも「エジプシャン」などといったプロフェッショナル・ダイバーズウォッチを生み出していき、軍用時計としてのDNAを確実に築いていくこととなります。
1993年より初めて民生市場に向けたモデルをローンチしましたが、このミリタリーな精神は引き続き受け継がれていきます。そして現在も変わっていません。
パネライが海軍の特殊任務に向けて開発した夜光塗料「ルミノール」「ラジオミール」の名をそのまま二大コレクションとし、以降アイコニックなモデルを打ち出してきました。
そう、パネライはアイコニックなデザインにそのアイデンティティがあるように思います。パネライの時計は、一目で「パネライを着用している」ことがわかるほど、とても特徴的です。
独創的なケースフォルムに、存在感あるダイナミックなサイズ、そして軍用時計にルーツを持つがゆえ、どんな状況下においても優れた視認性を誇る文字盤・・・とりわけサイズ感に関しては、パネライを特徴づける一コマです。2000年代を中心にデカ厚時計がトレンドとなっていきますが、それを牽引したのがパネライと言って良いでしょう。
近年では小径薄型モデルもリリースされていますが、見やすい文字盤デザインゆえか、その存在感が失われることはありません。
ちなみにルミノールが特徴的なリューズガードを有するモデルがルミノール、クッションシェイプの薄型ケースを有するモデルがラジオミールです。また、2019年にはルミノールの中の派生コレクションであったダイバーズウォッチライン・サブマーシブルが独立コレクション化しました。
いずれも人気商品とはなりますが、出回りの多さゆえか、例年売れ筋としてランキング上位に来るのはルミノールです。2022年は、ルミノール マリーナ 1950 3DAYS オートマティック アッチャイオ PAM01312が一番人気でした。
ルミノールマリーナ 1950 PAM01312
ケースサイズ:直径44mm×厚さ約15.6mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.P.9010/パワーリザーブ約3日間
防水性:30気圧
小さめサイズが流行り始めたとは言え、44mmケースのこちらのルミノール マリーナは不動のトップクラスの人気機種!例年、2位以下と大きく差を開いてぶっちぎり一番に売れており、パネライ人気を下支えする存在です。
ちなみにルミノール マリーナは1993年、初めて一般ユーザー向けにパネライがローンチを行った際に、ファーストモデルに含まれていました。
9時位置にスモールセコンドを持つことが特徴的であり、1950年代当時のモデルをインスパイアしたケースフォルムと相まって、とにかく精悍な一本です。リューズガードのREG.T.M.のロゴは、Registered Trade Markの略で、パネライのリューズガードの特許取得を示しています。
シースルーバックから自社製P.9010ムーブメントが鑑賞できるのも、嬉しいところですね。
なお、パネライファンのことを「パネリスティ」と称することがあります。
パネライは近年、反町隆史さんをブランドアンバサダーに加えるなど、わが国でも積極的にプロモーション展開を行っており、2024年もまだまだパネリスティが増えていきそうです!
人気の高級時計ランキング 第7位 チューダー(チュードル)
東京 銀座で人気の高級時計ランキング、第7位はチューダーです!
2018年に本格的に日本進出を果たしたチューダー。翌年には日本初となる旗艦店を東京 銀座にオープンし(2021年に同地で移転)、さらに意欲的に全国展開を行っています。
当店GINZA RASINでも2018年以降のチューダー人気は凄まじく、取扱量も大幅に増え、非常に売買が活発になっております。
そんなチューダーは、ロレックスの廉価ブランドとして1930年代に誕生した歴史を持ちます。
ロレックスの外装パーツやコンセプトは受け継ぎつつも、汎用ムーブメントを用いることで良心的な価格を実現していることが一つの特徴であったものです。しかしながら近年ではロレックスとはまた違った路線を突き進んでおり、2015年以降は自社ムーブメント開発を成功させるなど、独立した高級時計ブランドとしての存在感を高め続けてきました。
とは言えロレックス譲りの堅牢性と、昔ながらの安心感あるプライスレンジは今なお健在!
多くの時計メーカーが軒並み定価を上げる中―もちろんチューダーも価格改定は逐次行いますが―、平均価格は40万円前後~50万円台。さらに自社製ムーブメント搭載機やクロノグラフといった上位機種であってもだいたい50万円台までで抑えられた定価を実現しています。そのため初めて高級時計をご購入になる方でも、まず選択肢に上げやすいブランドの一つではないでしょうか。
一方で往年の名作サブマリーナやクロノタイムに範を取ったコレクション展開を行っていることから時計愛好家からも親しまれており、幅広い世代に愛される高級時計と言えるでしょう。
チューダーの一番人気はブラックベイです。2012年初出と比較的新しいコレクションですが、前述の通り、1950年代~同社で製造されていたサブマリーナの系譜を引いていることが特徴です。
とりわけ1970年代に市場を賑わせた個体―「イカ針(海外ではスノーフレーク針)」「独特なカラーリングのベゼル」等―をデザインに落とし込んでおり、チューダーの歴史を感じられるコレクションでもあります。
2022年の一番人気は、GMTを搭載したブラックベイ 79830RBです。
ブラックベイ 79830RB
ケースサイズ:直径41mm×厚さ約14.5mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.MT5652/パワーリザーブ約70時間
防水性:200m
2018年にリリースされたモデルで、同じ赤青ベゼルを持つロレックス GMTマスターII 12671BLROとともにローンチされました。ブラックベイの数ある派生モデルの中で屈指の人気を誇ると言っていいかもしれません。
第二時間帯および第三時間帯を表示できるGMT機構に加えて、チューダーの自社製ムーブメントに共通する約70時間パワーリザーブ,あるいは200m防水といった高性能は言わずもがな。武骨なイメージの強い堅牢な外装にスタイリッシュな赤青ベゼルというカラーリングが加わったことで、洗練されたダイバーズウォッチとして昇華された逸品となっております。
一時期は定価の551,100円(SSブレスモデル。ストラップタイプは510,400円)を上回る実勢相場を記録しており、現在では出回りが増えたためか多少は落ち着いているものの、当店でも入荷即完売の続く人気モデルとなっております。
近年ではさらに歴史を体現した特別モデルを打ち出したり、高級ラインを拡充したりと、破竹の勢いを誇るブランドと言えるでしょう。
人気の高級時計ランキング 第6位 IWC
第6位としてご紹介するのは、IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)です!
スイスブランドとなりますが、アメリカ ボストン出身の時計師フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズによって1868年に創業されたこと。加えて創業当時からアメリカ市場を視野に入れていたことにより、英名のブランドとなっております。
またスイスとは言え本拠地はジュネーブなどのフランス寄りではなく、シャフハウゼン。ここはスイス北東部の、ドイツ寄りの地域となるためか、どこか質実剛健で職人魂を感じさせる時計製造で高名です。
実際、長いクォーツショックからの完全復活を予期させるような1985年製ダヴィンチ パーペチュアルカレンダー クロノグラフに端を発する複雑機構製造や、美しくも視認性に優れたポルトギーゼにポートフィノ,パイロットウォッチといった製品群。あるいは高級時計ブランドの中でも数少ない「永久修理」を掲げるブランド姿勢は、「技術のIWC」と称されることも少なくありません。
※クォーツショック・・・1969年にセイコーが「アストロン」として市販化したクォーツ式腕時計を皮切りに、時計市場のシェアを機械式時計に代わってクォーツが席巻していった一連の時代。当時はスイス時計業界の不振が重なり、伝統的な時計ブランドが休眠したり倒産を余儀なくされていました。
※永久修理・・・通常各メーカーではあるモデルの生産終了後、一定のパーツ保有期間を設けており、この期間を過ぎたモデルに関しては修理の保証を必ずしもするわけではありません。しかしながらIWCやパテックフィリップ,オーデマピゲといった一部の名門ブランドでは、自社で製造した時計に関しては一生涯修理することを掲げています。これは生産終了モデルのパーツ類や修理ノウハウを完全には破棄していないということ。「一生愛せる時計」「世代を超えて受け継がれる時計」といったブランディングに大いに役立っているとともに、ユーザーにとっても非常に安心できる保守姿勢です。
そんなIWCの一番人気はポルトギーゼ クロノグラフ IW371446 通称青針です。
ポルトギーゼ クロノグラフ IW371446
ケースサイズ:直径40.9mm×厚さ12.6mm
素材:ステンレススティール
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.79350/パワーリザーブ約44時間
防水性:3気圧
ちなみに金針として親しまれるIW371445も高い人気を誇りますが、青針の方が僅差とは言え売上本数でリードしている形です。
ポルトギーゼは1939年、ポルトガルの時計商人より「航海中にあっても高精度の腕時計」を所望されて生み出された大型腕時計を、創業125周年にあたる1993年リバイバルさせた傑作コレクションとなります。
大振りの文字盤がポルトギーゼの特徴ですが、これは1930年代当時、懐中時計用ムーブメントを転用したため。また、IWC自身が堅牢で安定した大型ムーブメント製造に一家言持っていたため、現行においてもこの存在感たっぷりの外装が受け継がれています。
ちなみにポルトギーゼ クロノグラフが誕生したのは1995年で、ポルトギーゼ人気を飛躍的に高める大きなきっかけとなりました。
2020年に自社製ムーブメントCal.69355を搭載させ、かつシースルーバックを採用した新生ポルトギーゼへとモデルチェンジを果たすものの、旧型の出回りはまだまだ堅調で、とてもよくお買い上げ頂きます。
外装は新旧で変わらず、作り込まれたリーフ針やインデックス,あるいは厚みを感じさせないケース構造はいずれも健在。旧型の方が60万円前後~の相場感となっているため、価格を抑えたい方は状態の良い旧型の中古モデルを探すというのは大きな手ですね。
なお、IWCは本当に質実剛健といったイメージで、ロレックスやオメガほどの知名度を誇っているわけではありません。また、ハリーウィンストンやシャネルのようにダイヤモンドをふんだんに用いているというわけでもありません。
しかしながら時計好きが一度見たら忘れられない。ずっと心に残る。そんな雰囲気を身にまとう、傑出した高級時計ブランドとなっております。
人気の高級時計ランキング 第5位 グランドセイコー
人気の高級時計ランキング、第5位はわが国が誇るグランドセイコーです!
ちなみに2021年は5位、2020年は第7位、2019年は第10位、2018年は第11位といった推移になります。もともと有名ブランドでしたし、これに伴い人気も昔から高いものでした。
しかしながら近年さらに急速にファン層を拡大していることは、この例年のランキング推移からも感じられるのではないでしょうか。
セイコーウォッチ株式会社で代表取締役兼副社長兼COOを努めていた梅本宏彦氏の著書では、商品は変えていない、と。ブランド価値を向上させることで、大きな売上向上に成功したと語られています(梅本宏彦氏 2021年 『眠れる獅子を起こすグランドセイコー復活物語』 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
前述の通りグランドセイコーは国内人気はあったものの、ロレックスやオメガといった海外ブランドと比べると知名度や売上といった面で長らく後塵を拝していたことは事実です。そこでブランディングによって自社イメージや販売手法を大きく変えることで、知名度・売上のブラッシュアップに着手しました。
この最たる例が高級化路線でしょう。グランドセイコーは2017年に母体のセイコーから独立を果たし、以降、高級ブランドとして独自の製品開発や海外進出を図っています。これが功を奏していることは、当店の売上ランキング推移からも垣間見ることができるのではないでしょうか。
そんなグランドセイコーの、2022年の当店での一番人気はSBGA211でした。
グランドセイコー SBGA211
ケースサイズ:直径41mm×厚さ12.5mm
素材:ブライトチタン
文字盤:ホワイト
駆動方式:スプリングドライブ自動巻き
ムーブメント:Cal.9R65/パワーリザーブ約72時間
防水性:10気圧防水
別名「雪白(ゆきしろ)」とも親しまれるこちらのモデル、まるで雪が降り積もったかのように美しい文字盤にまず目が惹かれますよね。実際、グランドセイコーが近年海外でも大きな人気を獲得しているのは、同社ならではの文字盤意匠にあるように思います。グランドセイコー自身もそれを理解してか、多彩かつ独特なテクスチャ・装飾が施された文字盤を新作として続々リリースしています。
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/photos/
なお、この文字盤はグランドセイコーの自社製造拠点の一つ「信州 時の匠工房」から臨める、穂高連峰の山肌に降り積もった雪をイメージしているとのこと。塗装ではなく銀メッキのためシルバーがかったテクスチャが美しく、また仕上げの分厚いクリアラッカーによって経年があってもなおその美を維持します。
グランドセイコーのもう一つの真髄は外装です。
こちらはステンレススティールではなくブライトチタンですが、ザラツ研磨による歪みのない鏡面と、さらにツヤ消し仕上げによるコンビネーションで、高級機らしい立体感を備えます。どの角度から見ても美しく輝く外装は、グランドセイコーならではです。
さらにこれまたグランドセイコー独自の機構・スプリングドライブを搭載していることもミソ。これは駆動をゼンマイとしながらもクォーツによって精度を取るため、機械式時計のような力強いトルクを実現しながらもクォーツ式時計の高精度を兼ね備えた、画期的なムーブメントとなっております。
このように、グランドセイコー「らしさ」を随所に感じられる雪白。2位以下と圧倒的に売上本数に差をつけており、2024年もグランドセイコー市場を牽引してくれることでしょう。
人気の高級時計ランキング 第4位 オメガ
ランキング第4位は、わが国で古くより抜群の人気と知名度を誇る、オメガです!
2020年には東京オリンピックのオフィシャルタイムキーパーを努めたり、待ちに待った映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開にあたり、今作でもオメガがボンドウォッチとして活躍していたりと、様々な産業界からもオメガへは熱視線が送られることとなりました。
ちなみに「売上金額」としては、ヴァシュロンコンスタンタンに次いで第6位となっております。
もっともオメガは例年、こういった人気ランキングの常連です。中でも最も有名なタイムピースは、スピードマスター プロフェッショナルではないでしょうか。
スピードマスター プロフェッショナルは1957年に誕生したオメガのクロノグラフモデルです。モータースポーツ・スピリットに着想を得たデザインはレーシーかつスタイリッシュですが、同時にNASA公式装備品として月面着陸にも携行されたという壮大な歴史をも有します。
2021年明けてすぐに、1996年から愛されてきたCal.1861(もっと言うと1942年発表のCal.27 CHRON C12より歴史を紡ぐ)から、最新世代ムーブメントCal.3861へと載せ替えになるといった大規模なモデルチェンジを果たしたことも相まって、多くの時計メディアやサイトではスピードマスター プロフェッショナルの特集記事を組んでいたものです。
しかしながら「売上本数」という点では、シーマスターの300M 210.30.42.20.01.001がナンバーワンでした!
シーマスター ダイバー300M 210.30.42.20.01.001
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.8800 /パワーリザーブ約55時間
防水性:300m
シーマスターはスピードマスター プロフェッショナルが発売された1957年、オメガ初の本格プロフェッショナルダイバーズウォッチとしてローンチされた歴史あるコレクションです。
オメガは同一コレクション内に派生モデルが本当に豊かなブランドでもあるのですが、シーマスターは随一と言っていいかもしれません。
ちなみにボンドウォッチについて前述しましたが、1995年公開の『007 ゴールデンアイ』より、ジェームズ・ボンドの腕にはオメガが巻かれることとなりました。
そしてこのボンドウォッチとして選ばれてきたのが、シーマスターです。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
そんなシーマスターの中で長年売れ筋として君臨しているのがシーマスター ダイバー300Mです。
現在ではコンセプトに合わせた豊富なバリエーション展開が行われていますが、例年必ずと言って良いほど上位5番には入る人気を誇ります。
Ref.210.30.42.20.01.001はダイバー300Mの現行モデルとして時計ファンに愛される一本であり、その評価は年々高まっています。
美しいフォルムやポリッシュ仕上げ・ツヤ消し仕上げのコンビネーション、セラミック製のベゼル・文字盤が放つ煌びやかな光沢。
ムーブメントにはスイス連邦軽量・認定局(METAS)とオメガが共同開発した規格「マスタークロノメーター」の認定を受けた Cal.8800を搭載し、高級ダイバーズウォッチとして完成されたスペックを持ちます。
シーマスター ダイバー300M Ref.210.30.42.20.01.001、現在の新品並行相場は60万円前後~。
コストパフォーマンスにおいても申し分ありません。2022年はブラックが1番売れましたが、ブルーやホワイトも非常によく売れています。
ご自分の好みやファッションにあわせた時計選びを行えることも、シーマスター300Mの魅力だといえるでしょう。
人気の高級時計ランキング 第3位 タグホイヤー
いよいよTOP3の発表です!第3位は、タグホイヤー!!!
タグホイヤーは1860年に創業した老舗の時計ブランドです。
クロノグラフ分野で早い段階から他社に抜きんでた実力を有し、1887年に振動ピニオンの特許を取得。これは、現代の機械式クロノグラフにも採用されている仕様で、クロノグラフのオンオフ制御を容易にしました。1911年に自動車のダッシュボード用クロノグラフ「タイム オブ トリップ」を、1916年には1/100秒単位の計測が可能な「マイクログラフ」を、1969年には自動巻きクロノグラフの黎明を担った「クロノマティック」をブライトリングらと共同開発するなど、その快挙は枚挙にいとまがありません。
昨年は創業160周年を迎えて、ますますの勢いを放っていると言って良いでしょう。
こういった歴史あるブランドは、とかく「高額」になりがちなものです。
しかしながらタグホイヤーの魅力の一つに、「良心的な価格設定」が挙げられます。タグホイヤーは優れた生産ラインを強みに、20万円前後~をプライスレンジに、良質な時計コレクションの展開を行っています。名門としての歴史や時計製造技術と、コストパフォーマンスが両立されているため、幅広い世代に愛されているブランドと言えます。
そしてそんなタグホイヤーの中で、2022年のみならず例年ナンバーワン人気を誇るのが、カレラのキャリバー5搭載「デイデイトWBN2010.BA0640 / WBN2012.BA0640」です。ちなみに前者がブラック文字盤、後者がブルー文字盤となります。
カレラ キャリバー5 WBN2010.BA0640
ケースサイズ:直径 41mm×厚さ13mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.5 / 約38時間
防水性:100m
カレラ キャリバー5 WBN2012.BA0640
ケースサイズ:直径 41mm×厚さ13mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.5 / 約38時間
防水性:100m
カレラは1964年に開催された、伝説のレース「ラ・カレラ・パンアメリカーナ・メキシコ」へのオマージュとして誕生しました。
このカレラを中心に多くのレーシーなモデルが展開されていますが、クロノグラフを搭載していないシンプルなキャリバー5モデルが、お若い方からビジネス用途をお求めの方まで、本当によく売れているのです。
100mの防水性やデイデイト(デイトのみのモデルもあり)付といった実用性の高さ、そしてスーツの袖口からも目立ちすぎない外観は、ビジネスマンのニーズをよく汲み取っていますよね。
もし初めて高級時計をご購入になる方で迷っている方がいらっしゃったら、ぜひこのカレラを勧めたいところです!
人気の高級時計ランキング 第2位 ウブロ
人気ブランド第2位はウブロです!ちなみに売上金額では第4位でした。
高級時計についてあまり知らなくても、ウブロのロゴは見たことがある。そんな方は少なくありません。
ウブロは1980年、イタリア人のカルロ・クロッコ氏によって創業されたブランドですが、その知名度が飛躍的に高まったのは2005年発表のビッグバン以降でしょう。
ビッグバンを象徴するのは、まずはデカ厚です。直径44mmオーバーという当時としてはダイナミックすぎるケースは多層構造となり、インパクトは無限大!しかしながら新しさだけを訴求したコレクションではなく、1980年のウブロ創業当時の伝統もフュージョンさせていることがミソ。1980年代当時、バーゼルワールドで発表されたウブロのモデルは船の舷窓(げんそう)をイメージしたビス止めの顔立ちが印象的で―実際にブランド名もフランス語で舷窓を意味しますが―、かつゴールド×ラバーという画期的な異素材の組み合わせを有していました。そしてこの「舷窓」「異素材とのフュージョン」精神が、ビッグバンに継承されたこととなります。
ちなみにこのビッグバンは、2004年にCEOに就任したジャン-クロード・ビバー氏の功績が大きいところです。氏は時計業界の「カリスマ」とも「立役者」とも「巨星」とも称される名手で、数々の名門ブランドで手腕を振るってきました。
とりわけブランディングにかけては天才的とも言えます。スポーツ界を始めとしたあらゆる産業界のスターをアンバサダーに迎える,高名なスポーツ大会のスポンサードやオフィシャルタイムキーパーを努めるといった、時計ファンではない層へのアプローチを積極的に行ってきました。「時計は知らなくともウブロは見たことある」というのは、こういった背景があります。
もちろん、時計自体がとにかくかっこよくて魅力的なのもウブロが売れる大きな秘訣ですよね。
そんなウブロの中で、当店一番人気はビッグバン Ref.301.SB.131.RXでした!
ビッグバン 301.SB.131.RX
ケースサイズ:直径44mm×厚さ15mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.HUB4100/約42時間
防水性:10気圧
ビッグバンは2020年で15周年を迎え、様々なバリエーション展開を行っています。ウブロ独自合金のもと生み出されたキングゴールド製モデル、あるいは自社製ムーブメント「ウニコ」を全面に押し出すため、裏蓋のみならず文字盤もシースルー化させたモデル、さらには全面サファイアクリスタルで覆い、その構造をあけすけにまで見せたモデル・・・
しかしながらそういった特別モデルを抑えて長らく愛され続けてきたのが、こちらのRef.301.SB.131.RXなります。
多層構造となったダイナミックなケースはビッグバンならではですが、一方でブラックを基調としたシンプルな文字盤ゆえ、ビジネススーツやジャケットにも合わせやすいのではないでしょうか。
もっともウブロはまんべんなくどのモデルも売れる傾向にあります。
また、薄型上品なケースを持ったクラシックフュージョンも大きな売れ筋です。
ウブロもまた高価格帯のモデルが多くなるものの、それでも本数で第2位となったということは絶大な人気を誇っているということ。前述の通り素材展開やデザイン展開も豊富ですので、ぜひお気に入りの一本を見つけてみてはいかがでしょうか。
人気の高級時計ランキング 第1位 ロレックス
東京 銀座の高級時計専門店で2022年、最も売れたブランドはロレックスでした!
もちろん売上金額も圧倒的ナンバーワン。これは例年のことであり、まさに「不動」の人気となります。
ご存知ロレックスは、1905年にハンス・ウイルスドルフ氏がイギリス ロンドンに創業した時計ブランドです。
知名度やブランディングで語られることも多いですが、ロレックスの魅力の真髄は徹底した実用主義。1926年に世界初の防水ケースの規範となる「オイスター」を、1931年に独自の自動巻き機構「オイスター」を、1945年には日付がカシャリとクイックチェンジする「デイトジャスト」を開発するといったエピソードを持つロレックスは、腕時計の発展の歴史を牽引してきたと言って過言ではないでしょう。
上記の「ロレックス三大発明」は、今現在の時計の機構・デザインに大きな影響を与えています。
早い段階から技術を確立したこともあり、1953年には本格ダイバーズウォッチ「サブマリーナ」、1955年にはパイロットウォッチとして第二時間帯表示を可能にした「GMTマスター」、1963年にはモータースポーツをインスパイアしたクロノグラフ「デイトナ」をリリースするなど、半世紀以上にも渡って続くロングセラーを抱えていることも、ロレックスの凄みとなっております。
もっとも最近のロレックスは「実勢相場」といった面での話題性が非常に大きいと言えます。
プロダクトにはメーカーが決める定価が付くものですが、一方実際に市場に出回る中での「相場」も存在します。そして高級時計は並行輸入時市場あるいは二次流通市場が大規模であるため、この実勢相場が大きな意味を持つこととなります。すなわちメーカーブティックや代理店以外の時計専門店で購入する際は、実勢相場が価格に大きく反映する、と。
この実勢相場は為替や「需要と供給」によって上下します。そしてロレックスは現在、高まりすぎた世界的需要によってメーカー供給や流通が追い付かず。結果として過去類を見なかった超高額な実勢相場を記録しています。
そんなロレックスの気になる一番人気は時計ファンの憧れ、ロレックスの最上位機種・デイトナ 116500LN!
2016年のリリース以来、常に売上第1位にランクインしており、その強さはまさに圧倒的です。
第1位 コスモグラフ デイトナ 116500LN
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12.5mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ホワイト
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.4130/パワーリザーブ 約72時間
防水性:100m
定価:1,757,800円
ステンレススティール製であるにもかかわらず116500LNは400万円を大きく上回る実勢相場を記録しています。中古相場は白文字盤480万円前後~・黒文字盤420万円前後~。ちなみに116500LNの定価は1,757,800円です。
デイトナを代表するロレックスの人気モデルであることから、正規店はおろか並行市場ですら品薄となっており、その人気は今なお留まるところを知りません。
2022年の下半期に相場をやや落としましたが、「高くても買いたい」というマインドに支えられ、買い控えが起きることなく売れ続けています。
まとめ
2022年、東京 銀座の高級時計専門店GINZA RASINで最も売れたブランド時計10選をご紹介致しました!
1位は例年通りロレックスとなりましたが、グランドセイコーの快挙やパテックフィリップ・オーデマピゲといった雲上ブランドの「売上本数」での伸びなど、刮目すべき事柄も多い一年間のデータであったように思います。
本稿でご紹介した売れ筋モデルは2024年も、同様によく売れよく注目されることになるかと思います。中には品薄傾向がきわめて強い個体もありますので、気になる方は早めに入手しておきましょう!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年